Menu

入れ歯マウスピースとは?見た目用の装置と入れ歯の違い・使う際の注意点

口コミ29

結論:「入れ歯マウスピース」と呼ばれるものの多くは、歯の上にかぶせて見た目を整える取り外し式の装置で、噛む・話すといった機能を回復するための入れ歯とは目的が異なります[1]。見た目用の装置を使う場合も、歯科医師の診察を受けずに長時間使うと、むし歯や歯ぐきのトラブル、噛み合わせへの影響が心配されるため、注意が必要です[2][6]。

この記事では、見た目を整えるマウスピース型の装置と入れ歯の違い、使う際の注意点、お手入れの方法、歯科医師に相談した方がよいケースを解説します。

入れ歯マウスピースとは?見た目を整えるマウスピース型の装置

一般に「入れ歯マウスピース」「付け歯マウスピース」と呼ばれるものは、歯の色や形、すき間などを一時的に隠す目的で、歯列全体にかぶせて使う取り外し式の装置を指すことが多いです。

「マウスピース型入れ歯」「入れ歯みたいなマウスピース」「歯を綺麗に見せるマウスピース」など、さまざまな呼び方があります。歯科医院で作るものもあれば、歯科医師が関わらずに販売されている製品もあります。

大切なのは、名前に「入れ歯」と付いていても、医療として行う入れ歯の治療と同じものとは限らないという点です。次の章で、その違いを整理します。

見た目用マウスピースと入れ歯の違い

入れ歯は「噛む・話す・見た目」を回復するための治療用の装置で、見た目用のマウスピースは主に見た目だけを目的とした装置です[1]。

8020推進財団は、入れ歯の役割として、噛むこと、話すこと、見た目の回復を挙げています[1]。入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯があり、歯科医師が口の中を診察し、型を取り、噛み合わせを調整して作ります[2][3]。

比較項目 入れ歯(義歯) 見た目用のマウスピース型装置
主な目的 噛む・話す・見た目の回復[1] 見た目を一時的に整える
対象 歯を失った人 自分の歯がある人が使うことが多い
歯科医師の関与 診察・製作・調整を歯科医師が行う[3] 製品によって異なる
噛み合わせ 口の中で調整して合わせる[3] 噛み合わせの調整を前提としないものがある
使用後の管理 定期的なメンテナンスが勧められる[1] 歯や歯ぐきの状態を自分で確認しにくい

なお、歯を動かして歯並びを治す「マウスピース型矯正装置」も、見た目用の装置とは別のものです。こちらは歯科医師の診察・検査・診断に基づいて使う治療用の装置です[5]。

見た目用マウスピースを使うときの注意点

見た目用の装置を使うときは、「長時間付けっぱなしにしない」「合わないまま使わない」「歯や歯ぐきの異常を見逃さない」ことが大切です。

むし歯・歯ぐきの炎症のリスク

歯を装置で覆っている間は、装置と歯の間に汚れがたまりやすくなります。入れ歯についても、付着した細菌が歯ぐきの炎症や歯石の原因になり、入れ歯の歯垢が残っている歯のむし歯につながると説明されています[2]。

また、唾液には歯や粘膜を潤し、食べかすを洗い流し、細菌の付着を抑える働きがあります[4]。歯が装置で覆われると、この働きが歯の表面に届きにくくなると考えられます。

噛み合わせや顎への影響

口の中に合わない装置を入れると、噛み合わせが変わったり、顎に負担がかかったりするおそれがあります。スポーツ用のマウスガードについても、歯科医師の診査や型どりなしに作られたものは適正な噛み合わせを付与できず、歯の破折などの危険性があると指摘されています[7]。

自己判断で歯を動かそうとしない

マウスピース型の製品を、歯科医師の関与なく自己判断で使って歯を動かすことは、歯科医学的に非常に危険であり避けるべきだとされています[5]。見た目用の装置で歯並びを変えようとするのはやめましょう。

見た目用マウスピースが向かないケース

次のような場合は、見た目用の装置を使う前に、まず歯科医師の診察を受けることをおすすめします。

  • むし歯や歯周病がある:装置で覆うことで、治療が必要な状態が隠れてしまうおそれがあります。歯を失う原因の約66%はむし歯と歯周病とされています[8]。
  • 歯がぐらぐらする、歯ぐきから出血する:歯周病が進んでいる可能性があります[8]。
  • 歯を失ったままの部分がある:見た目だけを補っても、噛む機能は回復しません。入れ歯などの治療について相談しましょう[1]。
  • 顎の痛みや口の開けにくさがある:装置によって負担が増すおそれがあります。
  • 口が乾きやすい:唾液が少ないと、むし歯や歯周病が進みやすいとされています[4]。

入れ歯・マウスピース型装置のお手入れ方法

口の中に入れる装置は、使うたびに外して洗い、清潔に保管することが基本です[1][3]。

入れ歯のお手入れとしては、次の方法が勧められています。見た目用の装置も、製品の説明書を確認したうえで、同様の考え方で清潔を保ちましょう。

  • 食後は外して流水で洗い、専用ブラシで軽くこする[3]
  • 落としても壊れないよう、水を張った洗面器の上で洗う[1]
  • 研磨剤の入った洗剤は使わない[1]
  • 変形のおそれがあるため、熱湯消毒はしない[1]
  • 洗浄剤を使う場合は、決められた時間だけ浸ける[3]

あわせて、自分の歯もいつも以上に丁寧に磨きましょう。装置の内側に汚れが残ったまま付けると、歯や歯ぐきに汚れを押しつけることになります[2]。

合わない入れ歯を自己判断で使い続けるリスク

入れ歯が合わないと感じたときは、我慢したり自分で調整したりせず、歯科医師に相談して調整してもらうことが勧められています[3]。

市販の義歯安定剤については、合わない入れ歯でも一時的に安定させてしまうため、治療が必要な状態が見えにくくなると指摘されています。そのまま放置すると、顎の骨(顎堤)に不均一な力がかかって骨が過剰にやせ、入れ歯がさらに合わなくなるおそれがあります[6]。

また、歯科医師の診察を受けずに使用者の判断で製品を選んで使う状況にはリスクがある、とも述べられています[6]。見た目用の装置や入れ歯で困ったときは、まず歯科医院で相談しましょう。

見た目が気になるときは歯科医師に相談を

歯の色、形、すき間、歯の欠けなど、見た目の悩みの原因は人によってさまざまで、適した対処法も異なります。

歯科医院では、むし歯や歯周病の有無、噛み合わせ、歯を失った部分の状態などを確認したうえで、入れ歯や被せ物、矯正治療など、一人ひとりに合った方法を提案できます。治療によっては保険が適用されない自由診療となる場合があり、期間・回数・リスクや費用は治療法によって異なるため、事前に歯科医院で説明を受けてください。

見た目用のマウスピースを使ってよいか、ご自身の歯の状態に合っているかについては、詳しくは歯科医師にご相談ください。

よくある質問

入れ歯みたいなマウスピースで、失った歯の代わりになりますか?

見た目を整える目的のマウスピース型の装置は、歯科医師が噛む機能まで考えて作る入れ歯とは目的が異なります。入れ歯は噛む・話す・見た目を回復するためのもので、歯科医師の診察と調整のもとで使います[1]。歯を失った部分の治療は、まず歯科医師に相談しましょう。

付け歯マウスピースを付けたまま食事をしてもよいですか?

見た目用の装置は、噛む力に耐える設計とは限らず、食べかすが装置と歯の間にたまりやすくなります。装置の内側に汚れが残ると、むし歯や歯ぐきの炎症につながるおそれがあります[2]。食事のときは外し、使用方法は製品の説明と歯科医師の指示に従ってください。

見た目用のマウスピースを長時間付けていても大丈夫ですか?

歯を長時間覆うと、唾液が歯の表面に届きにくくなります。唾液には汚れを洗い流し、細菌を抑える働きがあり[4]、装置の内側に汚れが残ると残っている歯のむし歯の原因になりえます[2]。痛みや違和感が出たら使用をやめ、歯科医師に相談しましょう。

マウスピースで歯並びもきれいになりますか?

見た目用の装置は歯を動かすものではありません。歯を動かすマウスピース型矯正装置は、歯科医師の診察・検査・診断に基づいて使うもので、自己判断でマウスピース型の製品を使って歯を動かすことは危険だとされています[5]。歯並びが気になる場合は歯科医師に相談してください。

入れ歯や装置が合わないと感じたらどうすればよいですか?

痛みや違和感を我慢せず、歯科医師に相談して調整してもらうことが勧められています[3]。合わない入れ歯を市販の安定剤などで自己判断で使い続けると、顎の骨に不均一な力がかかり、さらに合わなくなるおそれがあると指摘されています[6]。

参考情報

  1. 8020推進財団「入れ歯を正しく使って元気で楽しく明るい人生を!」
  2. 8020推進財団「8020ライフ 高齢期」
  3. 8020推進財団 8020読本「人生100年時代の8020」入れ歯のケア
  4. 長寿科学振興財団「高齢者のQOLを低下させるドライマウスへの対応」
  5. 日本矯正歯科学会「マウスピース型矯正装置による治療に関する見解」
  6. 長寿科学振興財団「市販の義歯安定剤の問題点と洗浄性の良い義歯安定剤の開発」
  7. 8020推進財団「マウスガードの種類」
  8. 8020推進財団「歯を失ってしまう原因と対策」