「矯正中でも歯を白くしたい」──インビザライン治療を受けている方の多くが抱く希望です。実際、治療中の患者さまの約7割が歯の色にも関心を持っているというデータがあります。インビザラインとホワイトニングを組み合わせれば、効率よく美しい口元を目指すことが可能です。ただし、実施のタイミングや方法によって効果や仕上がりに差が出るため注意が必要です。本記事では、インビザライン矯正中に行うホワイトニングについて、そのメリットや注意点をわかりやすく解説します。
インビザライン矯正中のホワイトニングについて
インビザライン矯正中にホワイトニング治療を行うことは可能です。歯並びと歯の白さを同時に改善できるため、効率的に歯の美しさを引き出すことができます。ただし、時期や方法によって効果や快適性が異なります。
ホワイトニングには主に「ホームホワイトニング」と「オフィスホワイトニング」がありますがインビザライン矯正中は特にホームホワイトニングが適しています。自宅で行えるため、矯正治療のスケジュールに合わせやすく、低濃度の薬剤を使用するので刺激が少ないというメリットがあるためです。
ホームホワイトニングの基本
ホームホワイトニングは、歯科医院で作製した専用のマウスピースと処方された薬剤を使い、自宅で手軽に歯を白くする方法です。歯型に合わせて作られた専用のマウスピースに薬剤を塗布し、指示された時間に装着するだけで、時間と場所を選ばず自分の生活スタイルに合わせて施術が可能であり、この手軽さが特徴です。
インビザライン矯正中の場合、矯正用のアライナー(透明なマウスピース)とは別に、ホワイトニング専用のマウスピースを作製することになります。ただし、矯正の状況によっては、矯正用のマウスピースでホワイトニングができる場合もあります。
インビザライン矯正中にホワイトニングを行うメリット
インビザライン矯正中にホワイトニングを行うメリットはいくつかあります。
- 治療期間を有効活用できる:矯正に1〜2年かかる間に同時進行することで、終了時には歯並びと白さを同時に実現できます。
- ケアを習慣化しやすい:矯正中は歯の清掃意識が高まるため、ホワイトニングのケアも続けやすくなります。
- 口元の美意識が高まる:矯正で注目が集まる時期だからこそ、白い歯への意欲を維持しやすい傾向があります。
インビザライン矯正中のホワイトニングに適した時期
インビザライン矯正中にホワイトニングを行うベストなタイミングはいつでしょうか。結論としては「保定期間」がもっとも効果です。ただし、矯正途中でも状況に応じて実施できます。それぞれの時期について説明します。
保定期間がベストな理由
保定期間とは、矯正治療によって歯が理想の位置に並んだ後、元に戻るのを防ぐ期間です。この時期は、矯正用の突起(アタッチメント)が外れており、ホワイトニング剤が歯に均等に行き渡るためです。これにより色ムラが生じにくく、均一な白さを得ることができます。
保定期間に使用する透明なマウスピース(リテーナー)を、ホワイトニング用として使える場合もあります。歯科医師と相談しながら、装着時間とホワイトニングの予定を調整します。
矯正途中での実施時の注意点
インビザライン矯正の途中でホワイトニングも可能ですが、注意が必要です。アタッチメントがある場合、その部分にホワイトニング剤が届かず、後で外した際に色むらが出る可能性があります。
また、矯正途中は歯が動いている最中であるため、歯がしみやすい時期です。ホワイトニングによる一時的な知覚過敏と重なると、不快感が強くなる可能性もあるため注意が必要です。矯正途中でホワイトニングを希望する場合は、薄い濃度の薬剤を短時間から始めるなど、歯科医師の指示に従うことが大切です。
インビザライン矯正中のホームホワイトニングの手順
インビザライン矯正中にホームホワイトニングを行う場合の具体的な手順をご紹介します。矯正治療と並行して行うことで、効率的に美しい口元を目指せます。
事前の準備と診査
ホームホワイトニングを始める前に、まず歯科医院での診査が必要です。歯の状態をチェックし、虫歯や歯周病がないか、歯がしみやすくないかなど、歯の状態を確認します。必要に応じてクリーニングを行い、歯の汚れを落としてから始めることが重要です。
また、現在の歯の色調を記録しておくことで、後でホワイトニングの効果を比較することができます。歯科医師と相談しながら希望する白さの程度や、矯正治療との調整を考えた治療計画を立てます。
ホワイトニング用マウスピースの作製
診査後、ホームホワイトニング用の専用マウスピースを作製します。歯の型を取り、完全に合うマウスピースを作製します。多くの場合、矯正用とは別のマウスピースが必要です。インビザライン用のアライナーとは別に、ホワイトニング専用のマウスピースが必要なケースがほとんどです。
このマウスピースは薄く透明で、違和感を少なくする設計です。薬剤を均等に歯に作用させるための形状にもなっているため、市販品のマウスピースとは品質や効果が大きく異なります。専用マウスピースを使うことで、安全で効果的な治療が可能になります。
自宅での実施方法
ホームホワイトニングは以下の手順で行います。
- 歯をしっかり磨き、清潔な状態にする
- マウスピースの内側にホワイトニング剤を適量塗布する
- マウスピースを30分~2時間ほどつける
- 時間が経ったらマウスピースを外し、口をすすいで歯を軽く磨く
- マウスピースを洗浄し、保管する
この手順を歯科医師の指示に従って、毎日または隔日で2〜4週間程度続けることで効果が現れます。矯正中は、マウスピースの交換時期に合わせて進めていきます。
効果を長持ちさせる方法
ホワイトニングの効果を長く維持するためには、いくつかのポイントがあります。まず、着色しやすい食べ物や飲み物(コーヒー、赤ワイン、カレーなど)の摂取を控えめにすることです。特にホワイトニング直後の48時間は色がつきやすい時期のため、これらの飲食物は避けましょう。
また、日常的な歯磨きやフロスでのケアをしっかり行うことも重要です。定期的なメンテナンスでは、歯科医院でのクリーニングを受けることで、表面の着色を除去し、白さを保つことができます。必要に応じて数ヶ月に一度、短期間の追加治療を行うのも効果的です。
インビザライン矯正中のホームホワイトニングの注意点
インビザライン矯正中にホームホワイトニングを行う際には、いくつか注意すべき点があります。これらを理解することで、より安全で効果的なホワイトニングが可能になります。
アタッチメントによる色ムラの可能性
インビザライン矯正中では、歯の表面に小さな突起(アタッチメント)を付けることがあります。これはアライナーの固定力を高めるためのものですが、このアタッチメントがある部分にはホワイトニング剤が届かないため、ホワイトニング後にアタッチメントを外すと、その部分だけ色が異なる「色ムラ」が生じる可能性があります。
この問題を避けるためには、アタッチメントを外した後、つまり矯正治療の最終段階や保定期間にホワイトニングを行うのが理想的です。矯正途中からホワイトニングを始める場合は、後にアタッチメントを外した後に再度ホワイトニングを行う必要があることを念頭に置いておきましょう。
知覚過敏への対応策
ホワイトニング中に一時的な知覚過敏(歯がしみる症状)が起こることがあります。これはホワイトニング剤の成分が歯の神経に刺激を与えるためで、通常は治療終了後に自然と改善します。しかし、矯正中は歯が動いている状態のため、もともと知覚過敏が起きやすくなっている場合があります。
知覚過敏への対応策としては、濃度が低めのホワイトニング剤を使う、装着時間を短くする、知覚過敏用の歯磨き粉を使用する、などがあります。症状が強い場合は、数日間ホワイトニングを中断して様子を見ることも大切です。歯科医師と相談しながら、あなたの歯の状態に合わせた対応を行いましょう。
インビザラインのスケジュールとの調整
インビザライン矯正では、通常1〜2週間ごとに新しいマウスピースに替えていきます。ホームホワイトニングを同時に行う場合は、このスケジュールとの調整が必要です。例えば、アライナー交換直後は歯に圧力がかかり敏感になっている時期なので、数日間はホワイトニングを控えるなどの調整が有効です。
また、歯科医院への定期検診も両方の治療で必要になるため、スケジュールを上手く組み合わせることで通院回数を減らせる場合もあります。矯正とホワイトニングを同じ歯科医院で受ける場合は特に、両方の治療の進み具合を見ながら、適切なアドバイスをもらえます。
インビザライン矯正とホームホワイトニングの費用と効果
インビザライン矯正とホームホワイトニングを組み合わせる場合の費用対効果について見ていきましょう。両方の治療を効率よく行うことで、美しい口元を手に入れるための総合的な投資と考えることができます。
ホームホワイトニングの費用相場
ホームホワイトニングの費用は歯科医院によって異なりますが一般的な相場は30,000〜50,000円程です。この費用には、専用マウスピースの作製費用、ホワイトニング剤、そして歯科医師による指導や経過観察などが含まれています。インビザライン矯正を行っている場合でも、基本的にはこの費用は同じです。
ただし、矯正終了後の保定期間に使用するリテーナーをホワイトニングトレーとしても使用できる場合は、マウスピース作製費用が不要になるケースもあります。また、矯正とホワイトニングを同時に行うことで通院回数を減らせる場合もあり、交通費や時間の節約になることもあります。
ホームホワイトニングの効果持続期間
ホームホワイトニングの効果持続期間は、個人の生活習慣や食生活によって差がありますが、一般的には6ヶ月〜1年程度と言われています。コーヒーや赤ワイン、タバコなどの着色性の高い食品や嗜好品を多く摂取する方は、効果の持続期間が短くなる傾向があります。
効果を長持ちさせるためには、ホワイトニング後の適切なケアと、必要に応じた追加ホワイトニング(タッチアップ)が重要です。インビザライン矯正完了後に保定用リテーナーを使用している場合は、これを使って定期的な追加ホワイトニングができます。
インビザライン矯正完了後の総合的な口元の印象
インビザライン矯正とホワイトニングの両方を行うことで得られる効果は、単に「歯並びが良くなる」「歯が白くなる」という個別の効果以上のものがあります歯並びと色の両方が改善されることで、口元全体の印象が大きく変わり、より自然で健康的な美しさを手に入れることができます。
特に、矯正治療によって前歯が適切な位置に並び、噛み合わせが改善されることで、ホワイトニングの効果もより際立つようになります。口元の印象は対人コミュニケーションにおいて重要な要素です。自信を持って笑顔を見せられるようになることで、社会生活の質の向上にもつながります。
まとめ
インビザライン矯正中にホームホワイトニングを行うことは可能です。特に矯正の保定期間に行うことで、歯に付けている小さな突起(アタッチメント)による色むらの心配もなく、きれいに歯を白くすることができます。
矯正治療とホワイトニングを組み合わせることで、歯並びと白さの両方が改善され、総合的に美しい口元を手に入れることができます。両方の治療を適切なタイミングで行うことで、効率よく、より効果的に理想の笑顔を目指していきましょう。
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