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インプラント治療に欠かせない「骨造成」とは?手術の流れや費用まで徹底解説

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インプラント治療を検討中だけれど「骨が足りない」と言われてしまった方や、インプラントが難しいと診断されてしまった方も多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが「骨造成(こつぞうせい)」です。骨量が不足していても適切な処置を行うことでインプラント治療をあきらめずに済む可能性があります。

骨造成とは?基本的な考え方とインプラント治療との関係

骨造成が必要になる背景

インプラント治療では、インプラント体を顎の骨に埋め込み、しっかりと固定させることが重要です。しかし、歯周病や抜歯後の骨吸収などによって、顎の骨が不足している場合も珍しくありません。骨造成は、この不足した骨を増やし、インプラント体を安全かつ安定的に埋め込める状態に整えるための治療法です。

以下のような場合に骨造成が検討されることが多いです。

  • 長年放置していた虫歯や歯周病などで顎の骨が痩せている
  • 抜歯後、時間が経過して顎の骨が大きく減っている
  • 大きな嚢胞や外傷などで顎の骨が欠損している
  • 上顎洞(副鼻腔の一部)が大きく広がっていて、インプラントを埋め込む十分な骨の高さがない

骨造成によって得られるメリット

骨造成が行われると、顎の骨に十分な厚みと高さが確保できます。その結果、以下のようなメリットが期待できます。

  1. インプラントの安定性が高まる
  2. 治療後、インプラント周囲炎などのトラブルリスクが低減される
  3. セラミッククラウンなどの最終補綴物の見た目、調和が整いやすい

これらにより、インプラント自体の寿命が延びることはもちろん、噛み合わせや審美面でも自然な状態を得やすくなります。

代表的な骨造成の方法と特徴

GBR法(骨再生誘導法)

GBR法は、英語で“Guided Bone Regeneration”と呼ばれる「骨再生を誘導する」ための技術です。以下のようなステップで行われます。

  1. 不足している部位に骨補填材を充填
  2. 骨形成を助けるためにメンブレン(人工膜)を被せ、歯肉を縫合
  3. 一定の治癒期間をおき、骨がしっかりと再生されるのを待つ

メンブレンを使用することで、歯肉やその他の細胞が侵入するのを防ぎ、骨芽細胞が増殖しやすい環境を作ります。個人差はありますが、治癒期間は通常6〜10か月ほどが一般的です。

自家骨移植

患者自身の骨を他の部位から採取し、不足している顎の骨に移植する方法です。採取先としては、下顎のオトガイ部や下顎枝部などが代表的です。自家骨は、自分の骨であるため拒絶反応がほとんどなく、骨との結合が良好だとされています。ただし、採取部に負担がかかるため、患者さんの全身状態や口腔内の状態をみて慎重に判断されます。

骨補填材(人工骨)

自家骨の使用が難しい場合や、補填量が大きい場合には人工骨や牛由来の骨補填材を使用することがあります。また、自家骨と人工骨を混合して使う場合もあり、それぞれのメリットを活かしながら骨造成を行います。

サイナスリフト・ソケットリフト

上顎の臼歯部(奥歯)にインプラントを埋め込む際、上顎洞と呼ばれる空洞が近い位置にあるため、骨の厚みが不足している場合があります。そのような場合は、サイナスリフトまたはソケットリフトという方法で上顎洞粘膜を押し上げ、骨補填材や自家骨を移植して骨造成を行うことがあります。これによって、インプラントを埋め込む十分なスペースと骨量を確保できます。

骨造成のメリットとデメリット

メリット

骨造成を行う最大のメリットは、インプラントを十分な骨量のもとで埋め込みできるようになる点です。これによって、次のようなメリットが期待できます。

  • 機能面の向上: 噛み合わせの安定、食事のしやすさ、発音へ影響の低減
  • 審美面の改善: 顎のラインが整い、補綴物も自然に見える
  • 長期安定性: インプラント周囲の骨が健康に保たれやすく、インプラントの寿命が延びる

デメリット

骨造成にはデメリットも存在します。主なものは以下のとおりです。

  • 治療期間の延長: 骨が再生するまでの期間が必要となるため、治療全体が長期化する
  • 手術リスクの増加: 採取部位や骨移植部位に痛みや腫れ、感染リスクが生じる可能性がある
  • 全身疾患や喫煙の影響: 高血圧や糖尿病などの持病がある方、喫煙習慣がある方は治癒が遅れたり、手術自体が困難になる場合がある
  • 費用負担: 骨造成は保険適用外(自由診療)となる場合が多く、手術費用がかさむ可能性がある

骨造成を伴うインプラント治療の具体的な流れ

1. カウンセリングと検査

まずはカウンセリングを通じて、患者さんの希望や体調、口腔内の状況を確認します。その後、レントゲンやCT撮影を行い、骨の形状や硬さ、神経や血管の位置などを詳細に把握します。

2. 治療プランの立案

検査データをもとに、骨造成の必要性や具体的な方法を歯科医師が判断します。例えば、GBR法で対応できるのか、自家骨移植が必要か、あるいはサイナスリフトが必要かなどを決定し、患者さんへ説明します。

3. 手術(一次手術)

インプラントの埋め込みと同時に骨造成を行う場合、あるいは骨造成を先に行ってからインプラントの埋め込みを行う場合など、方法はさまざまです。一般的に、以下のような流れで行われます。

  1. 患部の切開・剥離
  2. 骨補填材の充填または自家骨ブロックの固定
  3. メンブレンの設置(GBRの場合)
  4. インプラントの埋め込み(同時に行う場合)
  5. 縫合

手術後は腫れや痛みが出る場合がありますが、通常は数日~1週間程度で落ち着きます。十分な休養と患部の清潔保持が大切です。

4. 治癒期間

骨が再生・定着するまでの期間は、6〜10か月ほどとされています。ただし、年齢や健康状態、生活習慣、骨密度などによって個人差があります。喫煙者や糖尿病などの全身疾患がある方は、治癒が遅れる場合もありますので、医師の指示にしっかりと従いましょう。

5. 最終補綴(上部構造装着)

骨とインプラントがしっかり結合し、歯肉や骨の状態が安定したら、仮歯または最終的なセラミッククラウンなどの上部構造を装着します。ここでしっかりと咬み合わせの調整を行い、機能性と審美性の高い被せ物を完成させます。

費用相場と保険適用の有無

骨造成の費用

骨造成にかかる費用は自由診療として扱われることがほとんどです。費用は歯科医院や使用する材料、骨移植の範囲などによって異なります。

治療法 費用目安
GBR法 55,000円~220,000円程度
自家骨移植(骨ブロック移植など) 100,000円~300,000円程度
サイナスリフト / ソケットリフト 100,000円~300,000円程度

これらはあくまで目安であり、地域や歯科医院によっても差があります。また、インプラント埋め込み費用や補綴費用は別途かかることが多いので、事前に歯科医院で見積もりを確認することが大切です。

保険適用の可否

現在、日本では骨造成やインプラント治療は、先進医療や高度医療として扱われることが多く、基本的に保険適用外(自由診療)です。ただし、事故や病気による顎骨の大幅な欠損など、特別な状況によっては一部保険が適用される場合もあります。

骨造成の成功率を高めるためのポイント

術後のセルフケア

骨造成を行った後は、口腔内を清潔に保つことが最重要です。歯磨きだけでなく、デンタルフロスやマウスウォッシュなどを適切に使用し、細菌の繁殖を防ぎましょう。また、喫煙習慣は治りを遅らせる原因となるため、禁煙することをおすすめします。

定期的な歯科検診

インプラント治療全般に言えることですが、骨造成を含めた大きな治療を行った場合、定期的な歯科検診が欠かせません。術後の経過観察やメンテナンスを怠ると、せっかく造成した骨量が減少したり、インプラント周囲炎が起きたりする可能性があります。医師と相談の上、定期的に通院しましょう。

全身管理との連携

高血圧や糖尿病などの全身疾患、骨粗鬆症などの骨代謝に関わる病気がある場合、骨造成の成功率に影響を及ぼす可能性があります。主治医や内科医との連携を行い、血液検査や薬剤コントロールなどを適切に実施することが重要です。

一度断られた方にこそ検討してほしい骨造成

歯科医院によっては、骨造成の設備や経験が十分でないため、インプラント治療を断られる場合があります。しかし、骨造成の実績が豊富な歯科医院であれば、難しい症例にも対応できる可能性があります。治療の選択肢を広げたい方は、骨造成に力を入れている歯科医院へセカンドオピニオンを求めるのも良いでしょう。

また、近年はショートインプラントや傾斜埋入といった、骨造成を最小限に抑える技術も登場しています。患者さんごとに最適な治療法は異なりますので、一度断られたからといってあきらめるのではなく、複数の歯科医院を比較検討することをおすすめします。

まとめ

インプラント治療を成功へ導くためには、顎の骨量が十分であることが前提となります。骨が足りないと診断された場合や、不安がある方にとって、骨造成は非常に重要な選択肢となるでしょう。「骨造成=大規模な手術」というイメージで敬遠しがちですが、正しく行えばインプラントの長期安定性と審美性を高めるメリットが大きいと言えます。

もちろん、すべての患者さんに骨造成が必要というわけではありません。治療方法や適応範囲は、個々の口腔内環境や全身状態によって異なります。まずは信頼できる歯科医師とのカウンセリングで、自分に最も合った方法を検討してみるとよいでしょう。

日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

今本院長

日本歯科札幌 院長 今本 芳彦

北海道出身。
卒後、自由診療専門のクリニックで研鑽を積む。
10年間、自由診療専門のクリニックで院長として活躍。
北海道でトップクラスのインプラント実績を誇る。
他にもマウスピース矯正、審美治療を得意とする。

この記事の監修

日本歯科静岡 院長 戸田 紀章

静岡県出身。
卒後、埼玉医科大学口腔外科で研鑽を積む。
その後、静岡歯科で10年間研鑽を積んだ後、日本歯科静岡の院長に就任。
静岡県トップクラスのインプラント治療実績を持つ。
審美治療やマウスピース矯正も得意とする。

この記事の監修

早川理事長

日本歯科グループ 代表 早川 好昭

東京都出身。
静岡県で静岡歯科を開業。
高度先進歯科医療クリニックとして日本歯科グループを開設。
同グループとして静岡歯科、日本歯科札幌、日本歯科静岡、日本歯科名古屋などがある。
日本歯科グループの代表として全てのクリニックを統括。

この記事の監修

稲津副院長

日本歯科名古屋 院長 稲津 由美子

大手歯科グループの院長として長年活躍。
その後静岡歯科の副院長として8年間研鑽を積み、日本歯科名古屋の院長に就任。
女性歯科医師として全国でトップクラスのインプラント実績を持つ。
マウスピース矯正と審美治療を得意とする。