中学生と高校生の歯列矯正の違いは?時期別メリットと注意点
中学・高校に通うお子さまの歯並びが気になっても、「いつ始めるべきか」「成長期でも大丈夫か」などで悩む保護者は少なくありません。とくに中学生と高校生では、歯の生え変わりや顎の成長に大きな差があることも多く、一概に同じ対応ができない難しさがあります。本記事では、中学生と高校生で異なる歯列矯正の特徴や、時期別のメリット・注意点を整理して解説します。お子さまの成長や部活動・受験などの忙しいスケジュールを考慮しつつ、どのように治療を進めるのがよいか、ぜひ参考にしてください。
中学生と高校生の歯列矯正はどう違う?
中学生・高校生ともに「永久歯が生え揃ってから始める矯正」が一般的とされますが、身体的成長や生活リズムの違いにより、治療計画や装置の選択肢も変わります。以下では、その具体的な違いを詳しくみていきましょう。
中学生は「顎が成長途中」であることが多い
中学生は顎の成長が続いていることが多く、顎の骨の成長を利用した矯正が可能な場合があります。そのため、取り外し式や顎拡大装置など、骨格にアプローチしやすい装置を使えるのが特徴です。
顎の骨が柔軟だと歯の移動も早く、骨格的な不正咬合にも積極的にアプローチできます。ただし、顎の成長には個人差があるため、思春期後半まで待ったほうがよい場合もあり、専門医の診断が重要です。
高校生は「永久歯が生え揃っている」ことが多い
高校生の多くは永久歯が生え揃い、顎の成長も落ち着いてくるため、成人矯正と同様(ブラケットやマウスピースなど)に歯を動かす治療がメインとなります。骨が完全に固まった成人ほどではありませんが、中学生に比べると成長が限られるため、顎の拡大が必要な場合は抜歯を検討することもあります。
また、高校生は部活や受験などで多忙なことが多いため治療前に通院スケジュールをよく確認する必要があります。
成長期の矯正には早期治療と本格治療がある
子どもの歯列矯正は通常、「1期治療(早期治療)」と「2期治療(本格治療)」に分かれます。中学生や高校生では、後者の2期治療がメインになるケースが多いですが、状況によっては1期治療から始めている可能性もあります。ここでは、それぞれの治療の特徴を見ていきましょう。
1期治療(早期治療)
1期治療は、乳歯や乳歯と永久歯が混在している「混合歯列期」に行われる治療です。対象年齢の目安は6~11歳程度で、顎の成長をコントロールしたり、不正咬合の原因を軽減したりすることを主目的とします。顎を広げる装置や取り外し可能な装置などを使い、将来の歯列不正を予防・軽減できる点が特徴です。
1期治療を行っても、永久歯が揃った時点で問題があれば2期治療に移行します。その結果、1期と2期を合わせると治療期間が長くなることも珍しくありません。
2期治療(本格治療)
2期治療は中高生から成人までを対象とする、「永久歯列での矯正治療」です。ブラケットやマウスピース型の装置を用い、不正咬合や歯並びを本格的に整えます。骨の成長を積極的に利用するのは難しい反面、永久歯列が確定しているため、抜歯の要否や歯の移動範囲を明確に計画できる利点があります。
歯並びを整えることが与える心理的影響
思春期にあたる中高生は、自己肯定感や見た目に対する意識が高まる時期です。歯並びが悪いと、必要以上に自分を卑下し、いじめやコンプレックスの原因になる可能性もあります。
特に、思春期の歯列不正は発音や滑舌に影響することがあり人前で話す機会が減って社交性が低下する場合もあります。こうした口腔環境の悪化は、自己肯定感をさらに損なうおそれがあります。
成長期に矯正治療をするメリット
多感な中高生の時期に矯正を始めるメリットは多岐にわたります。保護者にとっては費用や通院の負担が気になるところですが、長期的に見るとお子さまの歯の健康や心理面を大きくサポートできる可能性があります。
歯の動きが早く、結果が出やすい
成長期は骨や歯を支える組織の代謝が活発で、成人矯正に比べ歯が動きやすく、治療期間が短くなることがあります。
中学生や高校生になってからの矯正でも、まだ骨が柔らかく歯が動きやすいため、高い治療効果が期待できます。
心理的な負担やコンプレックスを早めに解消できる
思春期に歯並びのストレスを軽減することは、学校生活や部活動、将来の進路選択などにも好影響を与えます。たとえば、歯並びを気にして笑顔を控えたり会話を避けたりするお子さまもいますが、矯正でコンプレックスが解消されれば、積極性が高まることも多いです。
将来の口腔トラブルを予防しやすい
乱れた歯列は歯周病や虫歯のリスクを高める原因になります。若いうちに歯並びを整えておくことで、将来のトラブル予防や治療費の節約にも繋がります。歯並びが整えばブラッシングがしやすくなり、長期的な口腔ケアが向上する点もメリットです。
成長期に矯正治療をする際の注意点
一方、中学生・高校生が矯正治療を受ける場合には、いくつかの注意点もあります。メリットだけでなく、以下の点も考慮して治療を検討しましょう。
学校生活や部活動への影響
装置を付け始めは痛みや違和感が出やすく、慣れるまで時間がかかることがあります。吹奏楽やスポーツに取り組んでいると、装置の影響で口内炎ができやすくなり、パフォーマンスに支障が出ることもあります。
ただし、慣れるにつれて痛みは軽くなり、部活や習い事も続けられるようになります。通院のスケジュールや装置の種類を担当医とよく相談することが大切です。
治療期間が長期にわたりやすい
中高生はイベントや行事が多く、進学や受験とも重なるため、治療中の通院スケジュールが取りにくい場合があります。矯正治療は通常2~3年ほどかかりますが、症状や装置によっては4年以上かかる場合もあります。保護者・お子さま・担当医の三者でしっかり方針を共有しましょう。
費用が高額になりやすい
ほとんどの矯正治療は保険が適用されず、自費診療となります。中学・高校生の時期は学費や習い事など出費が重なり、矯正費用が家計に大きな影響を与えることがあります。一括払いが難しい場合でも、分割払いやデンタルローンに対応する医院もあるので、事前に確認しておくと安心です。
中高生の矯正治療で気になる「抜歯」の有無
永久歯が生え揃った中高生は、歯並びや顎のスペースによっては抜歯が必要になることがあります。特に顎が小さいのに歯が大きく並びきらないなど、歯列のアーチが収まりきらない場合は抜歯矯正を検討します。抜歯する歯は主に小臼歯や親知らずですが、どの歯を抜くかは歯並びや顎の状態によるため、専門医と十分に相談しましょう。
抜歯を避けたい場合でも、顎拡大装置やワイヤー矯正の工夫で対応できることもあります。抜歯の要否は患者さん個々の骨格や歯列状況に左右されるため、一概に「抜歯矯正がいい」「非抜歯がいい」とは言い切れません。
矯正歯科の選び方と通院時のポイント
お子さまの歯列矯正は「どこで治療するのか」という歯科医院の選び方がとても重要です。治療技術や経験だけでなく、費用、通院のしやすさ、医師とのコミュニケーションなど多角的に判断しましょう。
チェックポイント | 具体例 |
---|---|
専門性 | 矯正歯科専門医が在籍、または専任の矯正担当医がいるか |
治療実績 | 過去の症例や患者数、口コミ評価など |
カウンセリング | 丁寧な説明があるか、疑問点にしっかり答えてくれるか |
料金体系 | 費用が明確か、分割払いの可否 |
通院アクセス | 学校や自宅から通いやすい立地、診療時間の柔軟性 |
また、通院のポイントとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 部活動や塾の予定を考慮し、通院しやすい歯科医院を選ぶ
- 1~2ヶ月おきの定期検診をしっかり守る
- 痛みやトラブルを感じたら自己判断せず、歯科医に相談する
「治療したい」と言いづらい子もいる?保護者のサポートが大切
中には、高額な矯正費用を心配して親に言い出せない中高生もいます。歯並びを気にしながらも、言い出せず悩んでいるケースは少なくありません。歯並びや噛み合わせを気にしているようであれば、一度じっくり話し合う機会を作りましょう。もし治療の意思があるなら、まずは検査やカウンセリングだけでも受けてみると、具体的な治療計画や費用を把握できます。
矯正に前向きになれないお子さまには、メリットだけでなくデメリットも丁寧に伝え、本人が治療の意義を理解できるようサポートしましょう。
まとめ
中学・高校生という成長期に矯正を行うと、短期的なストレスや費用負担などのデメリットはあるものの、適切な時期に正しいアプローチを取れば大きなメリットが期待できます。将来的には歯並びの悩みから解放され、自信を持って笑顔になれるお子さまの姿をイメージしてみてください。
治療の開始を迷う場合は、まず矯正歯科専門医のカウンセリングや検査を受け、治療方針や費用、期間を把握しておきましょう。部活や勉強が忙しい時期だからこそ、早めに動き出し、無理なく続けられる治療スケジュールを考えましょう。お子さまの大切な成長期を支えるためにも、口元のケアを意識してみてはいかがでしょうか。
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