セレック(CAD/CAM)でつくるインプラントの人工歯|特徴・流れ・注意点
結論:セレック(CEREC)は、口の中をカメラでスキャンし、コンピュータで設計したセラミックの歯を機械で削り出して作るCAD/CAMシステムです。インプラントでは、骨と結合した後に装着する人工歯(上部構造)の製作に使われます。型取りの負担軽減や製作期間の短縮が期待できる一方[1]、インプラントの手術や骨と結合するまでの期間が短くなるわけではありません。適しているかどうかは、お口の状態をもとに歯科医師が判断します。
セレック(CEREC)とは
セレックとは、CAD/CAM技術を使って歯の詰め物やかぶせ物を設計・製作するシステムです。名称は「CEramic REConstruction(セラミック修復)」に由来します。
- CAD:コンピュータで歯の形を設計すること
- CAM:設計データをもとに、機械でセラミックのブロックを削り出すこと
- 光学印象:型取りの材料を使わず、カメラ(口腔内スキャナー)で歯並びをデジタルデータとして取り込むこと
日本補綴歯科学会の学会誌に掲載された論文では、インプラントの人工歯はCAD/CAMによる製作が広く普及していると述べられています[1]。工業生産されたブロックを削り出すため、品質の均一化が向上するとされています[1]。
インプラント治療のどこでセレックを使うのか
セレックが関わるのは、インプラントが骨と結合した後の「人工歯をつくる工程」です。
| 工程 | 内容 | セレックとの関係 |
|---|---|---|
| 検査・診断 | エックス線・CTで骨の形や神経の位置を確認[2] | 直接は関わらない |
| 埋入手術 | 顎の骨にインプラントを埋め込む[2] | 直接は関わらない |
| 骨との結合期間 | 下顎2〜3か月、上顎4〜6か月程度が目安[3] | 期間は変わらない |
| 人工歯の製作 | 仮歯で確認後、最終的な人工歯を作る[2] | スキャン・設計・削り出しに使う |
| メンテナンス | 毎日の清掃と定期的なチェック[2] | 直接は関わらない |
セレックで人工歯をつくるメリット
主なメリットは、型取りの負担軽減、製作期間の短縮、品質の均一化です[1]。
型取りの不快感が少ない
光学印象では、粘土のような型取りの材料を口に入れる必要がありません。奥歯のインプラントの型取りで患者さんが感じる不快感を軽減できるとされています[1]。
治療期間の短縮が期待できる
デジタルデータで設計・製作するため、治療期間の短縮や身体的な負担の軽減が期待されています[1]。院内で削り出す場合は、外部の技工所とのやり取りにかかる時間を省けることもあります。
品質が均一で、データを保存できる
工業生産されたブロックを削り出すため、品質の均一化が向上するとされています[1]。データの精度や再現性の高さも期待されています[1]。
金属を使わない人工歯を選べる
セラミックの人工歯は歯に近い色を再現しやすく、見た目が自然です。セラミックの冠は、見える位置で噛む力が強すぎない部位に使われることが多いとされています[4]。
セレック・光学印象の限界と注意点
セレックはすべてのケースに向くわけではなく、いくつかの限界があります。
- デジタルの流れは、従来の方法に比べて柔軟性に劣るとされています[1]
- 装置の精度に影響されるため、従来法で得られる最高レベルの適合が担保されているわけではないとされています[1]
- 多くの歯を失った場合のネジ固定式の人工歯では、精度の面から臨床応用は推奨されていないとされています[1]
- 歯ぎしり・食いしばりが強い方や、噛む力が強くかかる部位では、材料の選び方に注意が必要です[4]
そのため、お口の状態によっては、従来の型取りや技工所での製作を選ぶ場合もあります。どの方法が適しているかは、歯科医師が診察で判断します。
セレックを使ったインプラント治療の流れ
インプラントの治療の流れは、従来の方法と大きくは変わりません。
- カウンセリング・検査:口の中の検査とエックス線・CT検査で、骨の形や神経の位置、全身の状態を確認します[2]。
- 埋入手術:局所麻酔をして、顎の骨にインプラントを埋め込みます[2]。
- 骨との結合期間:インプラントが骨と結合するのを待ちます。期間は骨の状態に大きく左右されます[3]。
- スキャン・設計:口腔内スキャナーで歯並びやインプラントの位置を取り込み、人工歯を設計します。
- 削り出し・装着:セラミックのブロックを削り出して人工歯を作り、噛み合わせを確認・調整して装着します。
- メンテナンス:治療後も毎日の清掃と定期的なチェックを続けます[2]。
インプラントを長持ちさせるために
人工歯をどの方法で作っても、インプラントを長く使うには毎日の清掃と定期メンテナンスが欠かせません[3]。
インプラントはむし歯にはなりませんが、周りの骨が溶ける「インプラント周囲炎」になることがあり、インプラントを失う原因になります[3]。状態が良好な場合のメンテナンス間隔は、一般的に4〜6か月ごとが適切とされています[5]。メンテナンスでは、人工歯の欠けや噛み合わせもチェックします[5]。
インプラント治療の概要(自由診療)
インプラントとセラミックの人工歯は、原則として健康保険が適用されない自由診療です[3]。
- 標準的な流れ:検査 → 前処置 → 必要に応じて骨造成 → 埋入手術 → 骨との結合を待つ期間 → 仮歯 → 最終的な人工歯 → 定期メンテナンス[2]
- 期間の目安:骨との結合に下顎で2〜3か月、上顎で4〜6か月程度[3]
- 主なリスク・副作用:術後の腫れ・内出血、神経の損傷によるしびれ、感染、インプラントのゆるみ・脱落、インプラント周囲炎、人工歯の欠け・破損[3][5]
- 費用:自由診療です。日本歯科グループの公式サイトでは、インプラント1本あたりの費用を人工歯の素材(銀・プラスチック、ジルコニア、セラミック)とインプラントの種類により15万〜45万円(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)としています。詳しくはインプラント治療のページをご覧ください
まとめ
セレックは、光学スキャンとCAD/CAMでセラミックの人工歯を作るシステムです。型取りの負担軽減や製作期間の短縮が期待できる一方、精度や適応には限界もあります。インプラントの手術や骨との結合期間は変わらないため、治療全体の流れを理解したうえで検討しましょう。
日本歯科静岡では、検査結果をもとに、人工歯の素材も含めた治療計画をご説明しています。セレックによる人工歯の製作に対応しているかは、詳しくは各院にお問い合わせください。初回相談は0円です。
よくある質問
セレックを使えばインプラントが1日で終わりますか?
いいえ。セレックは人工歯を作る工程に使うもので、インプラントが骨と結合するまでの期間(下顎2〜3か月、上顎4〜6か月程度)は短くなりません[3]。人工歯の製作期間の短縮が期待できる、という位置づけです[1]。
セレックの型取りは苦しくないですか?
カメラでスキャンする光学印象のため、型取りの材料を口に入れる必要がありません。奥歯の型取りの不快感を軽減できるとされています[1]。
セラミックの人工歯は割れることはありますか?
人工歯の表面の欠けや破損が起こることはあります[5]。歯ぎしりがある方は、ナイトガードの使用などで対応することがあります[5]。定期メンテナンスで状態を確認しましょう。
すべてのインプラントでセレックを使えますか?
多くの歯を失った場合のネジ固定式の人工歯など、デジタルの方法が推奨されないケースもあります[1]。お口の状態に合わせて、歯科医師が適した方法を判断します。