歯列矯正で面長は治る？噛み合わせ改善による顔型変化を検証

歯列矯正で、歯並びだけでなく「面長も一緒に改善できたらいいのに」と考える方は多いのではないでしょうか。歯列矯正は歯並びや噛み合わせを整える治療ですが、人によっては顔全体の印象を変化させる可能性もあります。特に面長の原因が歯並びや噛み合わせにある場合、矯正治療によってフェイスラインが整い、見た目のバランスが良くなることもあります。ただし、治療内容や症例によっては逆に面長が強調されてしまうこともあるため、慎重に計画を立てることが大切です。

歯列矯正と面長

顔の長さや輪郭は、骨格だけでなく歯並びや噛み合わせの状態によっても変わります。例えば、口元が前に突出していると人中や顎のラインが強調され、顔が縦に長く見えることがあります。逆に噛み合わせが悪く、口が閉じづらい場合は常に口が開きがちになり、下顎が下がったように見えることで面長が際立つ場合もあります。

そのため歯列矯正で噛み合わせを改善し口元の突出を緩和すれば、顔の縦長の印象が和らぐ可能性があるのです。一方、骨格に大きな原因がある場合や、上顎・下顎の大きさそのものに問題がある場合は、矯正だけでは十分な改善が難しい場合もあります。外科手術や他の治療方法が必要になることもあるため、まずは歯科医師による診断を受けることが重要です。

面長の改善が期待できる場合

歯列矯正によって面長が改善されやすいのは、歯並びの乱れや噛み合わせの異常が原因で顔が縦に長く見えている場合です。

出っ歯・口元の突出

上の前歯が大きく前に出ている「出っ歯」は、視線が口元に集中しやすく、顔の縦のラインが強調されやすい状態です。矯正治療で上前歯の位置や角度を適切に調整すると、口元の突出感が抑えられ、人中や顎とのバランスが整って面長の印象が緩和されることがあります。

開咬（オープンバイト）

開咬とは、奥歯を噛み合わせても前歯がかみ合わず、隙間ができてしまう状態のことです。開咬の方は、自然に口を閉じるのが難しく、常に口が開き気味になってしまうため、顔全体が縦方向に長く見える場合があります。矯正によって開咬を改善すると、口がしっかり閉じられるようになり、面長の原因となる余計な縦方向の強調が軽減されるでしょう。

乱ぐい歯（叢生・八重歯）

乱ぐい歯は、歯と歯が重なり合って生えている凸凹な歯並びを指します。叢生（そうせい）や八重歯とも呼ばれますが、歯が凸凹していると歯の存在感が大きく見えてしまい、顎や口元との比率が崩れることで面長に見えることがあります。矯正治療で歯並びを整えると、歯一本一本の位置や向きが適正化され、口元と頬や顎のバランスが取りやすくなります。

受け口・下顎前突

受け口や下顎前突は、下顎あるいは下前歯が上顎よりも前方に位置している状態を指します。顎の突出が強いと、下顎が強調される分だけ顔が縦長に見えることがあります。舌の位置や飲み込み方などの習慣が原因であれば、矯正治療によって改善し、下顎の突出を和らげることが可能です。ただし、骨格自体に原因がある場合は外科的な治療が必要になる場合もあるため、医師との相談が欠かせません。

ガミースマイル

笑ったときに上唇が大きく上がり、歯茎が露出してしまう状態を「ガミースマイル」と呼びます。歯茎が長い、あるいは上唇が短いなどの原因で起こりますが、笑うと上唇が引き上げられて人中が強調され、面長に見えることがあります。矯正治療で歯の位置や歯茎のラインを調整すると、ガミースマイルが軽減され顔の縦長感が目立ちにくくなるでしょう。

面長が悪化する原因

歯並びや噛み合わせが原因でない場合、あるいは矯正の方法次第では、逆に面長が悪化してしまうこともあります。主な原因として以下が挙げられます。

不適切な抜歯治療

もともと抜歯が必要ない状態なのに誤った診断で抜歯を行うと、歯が減った分だけ口元のボリュームが下がり、頬がこけて見えたりほうれい線が深く見えたりすることがあります。そうなると強調されるパーツが変わり、結果として顔が長く見える、あるいは老けた印象になるリスクが高まります。抜歯の必要性は歯科医師による綿密な検査・診断が重要です。

矯正器具による見た目の変化

ワイヤー矯正などでブラケットやワイヤーを装着すると、どうしても口元に厚みが出ます。その見た目によって一時的に唇が前に出て見え、顔のバランスが崩れて面長感が増すと感じる人もいるかもしれません。しかし、これはあくまでも矯正期間中だけの現象であり、治療が終わって装置を外せば口元の厚みは解消されます。マウスピース矯正を選べば、このような一時的な見た目の変化を最小限に抑えることができます。

筋力低下による影響

矯正中は痛みや違和感から食事量が減り、噛む回数が減少することがあります。噛む回数が減ると口周りの筋力が低下し、頬や口角がたるんでしまい顔が縦に長く見える場合もあるでしょう。そのため矯正中であっても適切な食事や口周りの筋肉のエクササイズを意識することが大切です。

顔のバランスの崩れ

歯列矯正は歯を動かして噛み合わせや歯並びを調整するため、誤った計画で治療を進めると、かえって顔のバランスが崩れることがあります。例えば、非抜歯矯正で無理やり歯を並べると口元が突出し、人中部分が伸びたように見えることもあります。適切な検査と診断を基にした治療計画がないまま矯正を進めると、面長が強調されるリスクが高まります。

面長を避けるための対策方法

歯列矯正で面長を改善したい、あるいは面長になってしまうのを避けたい場合には、以下のようなポイントを抑えておきましょう。

丁寧な検査を行う矯正歯科を選ぶ

レントゲンやCT、口腔内写真、顔貌写真などを使った精密な検査を行うことで、骨格と歯並びの特徴をしっかり把握してくれる矯正歯科を選ぶことが大切です。顔全体のバランスを考えた治療計画を立てるため、事前の診断は入念に行う必要があります。何か疑問があれば遠慮せず質問し、納得できるまでカウンセリングを受けましょう。

経験豊富な歯科医師に相談する

症例数が多く、さまざまな症例に対応した実績がある歯科医師であれば、あなたの悩みに寄り添いつつ的確なアドバイスを行ってくれます。面長の改善に力を入れている矯正歯科や、顔のバランスを考慮した治療を得意とする歯科医師を探すのも一つの方法です。口コミや紹介、実際のカウンセリングなどを通じて、信頼できる医院を選びましょう。

指示通りに矯正装置を使用する

マウスピース矯正など取り外しが可能な装置を使う場合、指定された装着時間を守らなければ、治療計画通りに歯が動かず、治療期間が長引くだけでなく、仕上がりに影響が出ることがあります。医師から提示された使用ルールを守ることが、きれいな歯並びとバランスの良いフェイスラインを手に入れる近道となるのです。

口周りの筋肉を鍛えるエクササイズ

矯正中はどうしても口周りの筋肉を使いづらい状況が続く場合があります。口笛を吹く、リップロール（唇を振動させる発声法）をする、「あいうえお」と大きく口を動かすなど、簡単なエクササイズを生活に取り入れてみましょう。口周りの筋力を保ち、頬がたるまないようにすることが、面長の悪化を予防する鍵です。

まとめ

歯列矯正は歯並びや噛み合わせの乱れを改善し、歯の健康だけでなく、顔全体の印象にも大きく影響を与える治療です。噛み合わせや歯並びが原因の面長であれば、矯正による改善が十分に期待できるでしょう。しかし、不適切な抜歯や誤った治療計画によっては、逆に面長が悪化してしまうリスクもあります。

理想のフェイスラインを手に入れるためには、丁寧な検査を行う矯正歯科を選び、医師の指示に従いながらしっかりと装置を使用することが重要です。さらに、口周りの筋肉を衰えさせないエクササイズを取り入れるなど、自己管理も欠かせません。まずは信頼できる矯正歯科でカウンセリングを受け、あなたの骨格や歯並びの状態を正確に把握し、最適な治療方針を立ててもらいましょう。

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