口呼吸が歯並びに与える悪影響と矯正治療での改善策を詳しく解説

「口呼吸」は、見た目だけでなく健康面にも多くの悪影響をもたらすといわれています。特に歯並びの乱れとの関連が深く、放置していると歯並びの悪化や症状の長期化につながることもあります。本記事では、口呼吸が歯並びに及ぼす影響や矯正治療での改善策を詳しく解説します。口呼吸を鼻呼吸に切り替えたい方や、歯並びが気になる方はぜひご覧ください。

口呼吸がもたらす悪影響とは

口呼吸と鼻呼吸の違い

人は鼻と口の両方で呼吸できますが、本来の「呼吸器官」は鼻です。鼻呼吸には空気中のゴミやウイルスを取り除く機能がありますが、口呼吸を続けるとこの機能を通さず外気が体内に入ってしまいます。そのため、免疫力が低下し、風邪やインフルエンザにかかりやすくなるともいわれています。

さらに長期間の口呼吸は歯列や顎の成長を妨げ、歯並びが乱れる要因になります。歯並びや健康を守るためにも、正しい鼻呼吸を意識することが大切です。

口呼吸のデメリット

口呼吸が続くと、以下のようなデメリットが考えられます。

• ウイルスや細菌を直接吸い込むため、風邪やアレルギー疾患になりやすい
• 口内が乾燥し、むし歯や歯周病などのリスクが高まる
• いびきや睡眠時無呼吸症候群につながる恐れがある
• 慢性的に唇が開きやすく、口周りの筋力が低下しやすい
• 顎や歯列の成長に影響して、不正咬合（歯並びの乱れ）を招く場合がある

歯並びが乱れると噛み合わせや顎の機能に影響し、健康面だけでなく見た目にも支障が出る恐れがあります。口呼吸の悪影響は全身に及ぶこともあるため、早期の対策が必要です。

口呼吸になる主な原因

慢性的な鼻づまり

花粉症や風邪などで鼻炎になると鼻が詰まり、「やむを得ず」口呼吸になる場合があります。こうした一時的な鼻づまりが続くことで口呼吸の癖がついてしまい、鼻づまりが治っても無意識に口呼吸をしてしまうことがあります。

さらに、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などで慢性的に鼻がつまる場合、常に口呼吸をせざるを得ないことがあります。こうした鼻づまりが原因の場合は、耳鼻科などでの検査や治療を行うことで改善が見込めるケースも多いです。

歯並びや咬み合わせの乱れ

歯並びが悪いと、唇をきちんと閉じられずに口呼吸になることがあります。たとえば「出っ歯（上顎前突）」や「受け口（下顎前突）」などの不正咬合があると唇が噛み合わず、口が開きやすくなります。そうした状態が続くと、口呼吸が習慣化してしまいます。

さらに、歯並びの乱れが口呼吸を招き、さらに口呼吸で筋肉バランスが崩れ歯並びが悪化するという悪循環に陥る場合も珍しくありません。口呼吸の原因が歯並びに起因している場合には、専門的な矯正治療が有効です。

口周りの筋力不足

口呼吸が習慣の人や子どもの中には、口周りの筋肉（口輪筋や舌筋など）が弱っている場合があります。唇をしっかり閉じるには口輪筋の力が不可欠で、これが弱ると唇が自然に開いてしまいます。さらに舌筋が弱いと舌を上顎に正しく置けず、結果的に口呼吸になってしまいます。

加齢や運動不足でも筋力は落ちますが、幼少期からの口呼吸が抜けないまま成長すると、舌や唇の使い方を習得できず筋力不足を起こしやすいと考えられています。

鼻呼吸への改善策

まずは口呼吸を鼻呼吸に変えるメリットを理解しましょう。次の表で両者を比較してみてください。

鼻呼吸への切り替えは健康効果が大きく、歯や歯ぐきだけでなく全身の免疫力向上にも役立ちます。まずはご自身が普段どのように呼吸をしているか客観的に確認し、問題があれば改善に取り組みましょう。

矯正治療で歯並びを正す

歯並びや咬み合わせが原因の口呼吸は、矯正治療で根本的に改善できます。ワイヤー矯正やマウスピース矯正などで歯列を整え、唇が閉じやすい状態にして鼻呼吸へ導きます。特に出っ歯や受け口の場合、矯正治療が有効な解決策となるケースが多いです。

矯正治療の期間や費用は、歯並びの状態や年齢、治療法によって大きく異なります。まずは歯科医院で相談し、口呼吸との関連も含めてカウンセリングを受けるとよいでしょう。歯並びが整うことで、見た目の改善だけでなく正しい呼吸が身につき、健康状態の向上にも繋がります。

舌の位置を正しく保つトレーニング

口呼吸が習慣の人は、舌が本来あるべき位置（スポットポジション）より下がっていることが多いです。舌先が上顎の硬い部分に触れているのが正しい位置で、これを「スポットポジション」と呼びます。

日常的に舌の正しい位置を意識・練習することで舌筋が鍛えられ、口が自然に閉じやすくなり、鼻呼吸に移行しやすくなります。たとえば「飲み込む前に舌先を上顎につける」「1日数回、舌先の位置を確認する」などの地道な練習を続けると、効果が期待できます。

あいうべ体操の実践

口呼吸の改善法として知られているのが「あいうべ体操」です。以下の手順で行いましょう。

1日30回程度を目安に継続すると、口周りや舌の筋肉が強化され、唇を自然に閉じる力が高まり、口呼吸の改善が期待できます。さらに、口周りの筋力アップで小顔効果やしわの軽減などの美容面でのメリットも得られます。あいうべ体操は道具いらずで隙間時間に行えるため、誰でも手軽に始められます。

まとめ

口呼吸は歯並びや咬み合わせ、免疫力や口腔内環境など、多方面に影響するといわれています。特に歯並びが原因で口が閉じにくい場合は、矯正治療を検討することも重要です。鼻づまりが続く場合は耳鼻科で診察を受け、舌の位置の練習やあいうべ体操などを併用すると効果的です。普段のクセや生活習慣を見直すだけでも改善することがあるため、まずは自分の呼吸状態を確かめてみましょう。

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