開咬(オープンバイト)の矯正治療法と期間を詳しく解説します
近年、前歯がかみ合わない「開咬(オープンバイト)」に悩む方が増えています。食事のしやすさや発音、見た目の問題など、日常生活にも大きな影響をもたらすため、早期に対処したいと考える方が多いかもしれません。開咬の原因は複数あり、治療法にも多彩な選択肢があります。
開咬(オープンバイト)とは
開咬(オープンバイト)とは、奥歯を咬み合わせた際に上下の前歯や一部の歯がかみ合わず、歯と歯の間に空間(隙間)ができるかみ合わせの状態を指します。通常であれば、咬合時に上下の前歯もある程度接触して食物をしっかり咬み切れるはずですが、開咬の場合は前歯を使ってうまくかみ切ることが難しくなり、食事の際に不便を感じやすくなります。
また、開咬は前歯部に限らず、臼歯部で生じる場合もあり、症状の程度や原因はさまざまです。大きく分けると、歯の位置異常に起因する「歯性開咬」と、下顎骨や上顎骨など骨格そのものに問題がある「骨格性開咬」に分類できます。
開咬は単に見た目だけでなく発音や咀嚼機能などにも深く影響を及ぼします。そのため、早めの矯正治療により開咬を改善し、機能面と審美面の両方を整えることが望ましいと言えます。
開咬が引き起こす問題
開咬は見た目の問題だけでなく、以下のような機能面でも影響を及ぼすことがあります。
影響 | 説明 |
---|---|
食事のしづらさ | 前歯で噛み切りにくいため、食材をうまく口に取り込みづらくなる |
発音障害 | 特にサ行やタ行、ラ行などで、舌先が前歯の隙間から漏れやすくなる |
顎関節への負担 | 正常咬合が崩れることで、顎関節へ偏った力がかかりやすくなる |
審美面のコンプレックス | 歯並びや口元に違和感があるため、心理面での負担がかかる可能性がある |
このような要素が複合的にからみ合い、本人が自覚する以上に生活の質を下げてしまうことがあります。そのため、開咬が疑われる場合は専門医に相談することが大切です。
開咬の原因
「開咬」といっても、その原因は多岐にわたります。大きく分けると以下のような原因が挙げられます。
歯性開咬
歯の生え方や位置の異常によって起こる開咬です。具体的には、前歯が十分に伸びずに咬合平面から外れてしまう場合や、指しゃぶり・舌突出癖などの習慣によって前歯が動かされ、咬み合わなくなる場合が典型的です。特に幼少期の習慣が長引くと、歯列への影響が大きくなり、永久歯になってからも開咬が残りやすくなります。
骨格性開咬
上下顎骨(上顎骨と下顎骨)の成長バランスが崩れることで生じる開咬です。遺伝的要因や成長期の姿勢・呼吸習慣、筋力のアンバランスなどが影響し、下顎骨が後ろ下方へ成長してしまう「ロングフェイス」傾向の骨格タイプに多く見られます。骨格に起因する場合は、単に歯の移動だけで改善が難しい場合もあるため、外科的治療が検討されることもあります。
開咬の矯正治療法
開咬の矯正治療では、患者さんの年齢や骨格、口腔内の状態、開咬の原因などによってアプローチが異なります。以下に代表的な治療法を紹介します。
マウスピース型矯正装置(アライナー矯正)
近年一般的になっているマウスピース型矯正装置は、透明なアライナーを装着して歯を徐々に移動させる治療です。歯性開咬(歯が十分に萌出しない、あるいは舌癖が原因で前歯が開いているなど)の場合であれば、マウスピース矯正が有効なことがあります。
マウスピース型矯正の大きなメリットは、装置が目立ちにくいことと取り外し可能な点です。しかし、骨格的要因が大きい開咬の場合は対応が難しく、ワイヤー矯正や外科的治療との併用が必要な場合もあります。
ワイヤー矯正(ブラケット装置)
従来から行われているブラケットとワイヤーを用いた矯正治療は、幅広い症例に対応できるのが特徴です。歯をコントロールしやすく、骨格性開咬においても噛み合わせを改善できる可能性があります。
また、近年ではTAD(一時的に骨に固定する小型スクリュー)の応用によって大臼歯を効果的に圧下できる技術が確立されてきました。大臼歯を圧下して下顎を前上方に回転させることで、開咬の咬合改善を図る手法が注目されています。
外科的矯正
重度の骨格性開咬で、顎骨の位置異常が顕著な場合には、顎変形症の治療として外科的アプローチが検討されます。上下顎骨の骨切り手術を行い、骨格レベルで適切な位置関係を再構築した上で矯正治療を進めることで、機能面と審美面の大幅な改善を目指します。ただし、手術にはリスクが伴うため、担当医と十分に相談することが必要です。
治療期間の目安
開咬の矯正治療期間は、症例の難易度や使用する矯正装置の種類によって大きく変動します。一般的には1~3年程度かかる場合が多いですが、骨格性開咬で外科手術を併用する場合には、術前矯正と術後矯正を含め2~3年以上かかることも珍しくありません。
また、舌癖や口唇閉鎖力の弱さなど機能的要素が関連している場合は、その改善トレーニングも並行して行う必要があり、治療期間が延長する場合があります。特に成長期の子どもは、習癖改善の指導や筋機能療法(MFT)を取り入れながら、顎の成長をコントロールするような装置を使うこともあります。
開咬矯正の流れ
開咬の矯正治療は、以下のような流れで進めるのが一般的です。
治療の流れ | 説明 |
---|---|
初診・カウンセリング | レントゲン検査や口腔内診査を行い、開咬の原因や骨格的特徴を把握する |
治療計画の立案 | 患者さんの希望や骨格・歯列の状態に合わせ、ワイヤー矯正・マウスピース矯正など最適なプランを決める |
装置装着・アクティブな歯の移動 | 実際に矯正装置を装着し、定期的な調整を行いながら開咬の改善を図る |
保定期間 | 歯列が整ったあと、リテーナーなど保定装置を使って歯並びが後戻りしないように管理する |
開咬矯正で特に注意したいのが、口腔習癖(指しゃぶり、舌突出、口呼吸など)の改善と舌・口唇筋のトレーニングです。せっかく矯正で隙間を閉じても、長年の癖が残っていると再び開咬に戻ってしまうリスクが高まります。そのため、矯正治療と並行して専門的な指導を受けることが望ましいでしょう。
開咬矯正における注意点
開咬は複合的要因が絡むため、治療計画を立てる場合は以下のような点にも注意しましょう。
注意点 | 説明 |
---|---|
年齢 | 成長期であれば顎骨の成長をコントロールしながら矯正を行うことができる場合が多い |
骨格的要因の見極め | 顎骨の位置異常が大きいと、外科手術が必要な場合がある |
口腔周囲筋の働き | 舌や頬、口唇の筋力バランスが乱れている場合、矯正だけでは不十分で筋機能療法が併用される |
保定とメインテナンス | 開咬は後戻りのリスクが比較的高いため、保定期間の装置使用や口腔習癖の改善指導が重要 |
歯性開咬と骨格性開咬の違い
分類 | 主な原因 | 治療アプローチ |
---|---|---|
歯性開咬 | 舌癖、指しゃぶり、歯の萌出異常など | 矯正装置や筋機能療法(MFT)など |
骨格性開咬 | 遺伝、下顎の成長パターンの偏り、ロングフェイス型骨格など | 矯正+外科手術(必要に応じて) |
開咬の原因や状態を正確に診断したうえで、最適な矯正手法を選択することが大切です。特に骨格性開咬は手術が必要になる場合もあるため、歯科矯正専門医や口腔外科専門医を含めた多職種連携で治療を進めることが望ましいでしょう。
まとめ
開咬は前歯がかみ合わないことで、発音や咀嚼、見た目などに大きな影響を及ぼします。原因や症状に応じてマウスピース矯正やワイヤー矯正、外科的矯正などさまざまな方法で治療します。治療期間は1~3年程度が一般的ですが、骨格性要因が強い場合や外科手術を併用する場合はさらに長期化することもあります。症例の難易度や個々の口腔内状況によって最適な治療は異なるため、専門医のもとでしっかりとした診断と計画を立てることが大切です。開咬が気になる方は、早めに歯科矯正専門医へ相談し、自身に合った治療を検討してみてはいかがでしょうか。
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