結論:事故で歯が折れたら、折れた破片や抜けた歯を探し、根の部分に触れず乾燥させないよう保存して、できるだけ早く歯科医院を受診してください[1][2]。抜けた永久歯は、30分〜1時間以内に元の位置に戻せると生着する確率が高くなるとされています[1]。意識を失った、頭を強く打ったなど全身のけががある場合は、歯よりも先に医療機関での確認を優先します[3]。
この記事では、歯が折れた・抜けたときの応急処置、損傷の程度による違い、歯科医院での治療、歯を残せない場合の選択肢を解説します。
事故で歯が折れた!まず何をすべき?
まず全身の状態を確認し、そのうえで歯の破片を保存して歯科医院に連絡します。
すぐに行う応急処置の手順
- 全身の状態を確認する:意識を失った、頭や顔を強く打った、吐き気があるといった場合は、救急医療機関の受診を優先します[3]。
- 折れた破片や抜けた歯を探す:歯の頭(歯冠)の部分を持ち、根には触れないようにします[1][3]。
- 乾燥させずに保存する:次の「正しい保存方法」を参考にします。
- 出血を抑える:清潔なガーゼやハンカチで傷口を押さえます。
- 歯科医院に連絡する:できるだけ早く受診します[1][2][3]。
折れた歯・抜けた歯の正しい保存方法
歯の根の表面には、歯と骨をつなぐ「歯根膜」という組織があり、この細胞が生きていることが歯を元に戻せるかどうかの鍵になります[3]。そのため、乾燥させないことと、根をこすらないことが大切です。
| 保存方法 | ポイント |
|---|---|
| 歯の保存液 | 専用の保存液があれば最も適しています[3] |
| 牛乳 | 歯に適した環境とされ、保存液がないときに使えます[1][2] |
| 生理食塩水 | 保存液がない場合の代わりになります[3] |
| 唾液・口の中 | 折れた破片は唾液に入れて持参できます[2]。抜けた歯を口の中に入れて運ぶ方法もありますが、飲み込むおそれがあるため、意識がはっきりした大人に限ります[1] |
| 湿らせたペーパータオル | 他に方法がないときは、湿らせたペーパータオルで包みます[1] |
汚れている場合も、根をこすって洗うのは避けてください。歯根膜が失われ、再び根付く可能性が下がります[1]。洗う場合は、保存液で軽く流す程度にとどめます[3]。
抜けた永久歯は元に戻せることがある
抜けた永久歯は、できればすぐに元の穴に戻し、そのまま歯科医院を受診する方法もあります[1]。戻すのが難しい場合は、無理をせず保存して持参しましょう。
なお、乳歯が抜けた場合は、元に戻すと感染や永久歯の生え方に影響するおそれがあるため、再植は行いません[1]。
出血と痛みへの対処
- 清潔なガーゼやハンカチで出血している部分を押さえる
- 腫れがある場合は、頬の外側から冷やす
- 痛み止めを使う場合は、持病や服用中の薬を踏まえて薬剤師などに相談する
歯がぐらつき、歯ぐきから多量に出血している場合は、歯の根や周りの骨が折れている可能性があり、すぐに受診が必要です[1]。
歯が折れた程度による対処法の違い
歯の表面だけの欠けか、内側の象牙質や神経まで達しているかで、緊急度と治療が変わります。
| 損傷の程度 | 主な症状 | 受診の目安[1] |
|---|---|---|
| エナメル質(歯の表面)だけの欠け | しみる症状がないことが多い | 冷たいものにしみなければ急ぐ必要はないが、早めに受診 |
| 象牙質まで達する破折 | 空気や食べ物が触れると痛む | すぐに受診 |
| 神経(歯髄)まで達する破折 | 赤い点や出血が見えることがある | すぐに受診 |
| 歯のぐらつき・歯が抜けた | 出血、歯の位置のずれ | 直ちに受診 |
噛んだときや冷たいものに短く鋭い痛みが出る場合は、見えないひび(不完全破折)のサインのこともあります[1]。症状からの自己判断は難しいため、気になる場合は歯科医師の診察を受けましょう。
歯科医院での主な治療
治療は、損傷の程度や歯の神経の状態をレントゲンなどで確認したうえで決めます。
破片の接着・詰め物による修復
折れた破片が残っていれば、歯に接着できる場合があります[2]。小さな欠けは、歯科用の樹脂(レジン)などを詰めて形を整えます[1][2]。
クラウン(被せ物)
大きく折れた場合は、歯全体を覆うクラウンで修復します[1][2]。素材には保険で使えるものと自由診療のものがあり、見た目や強度、費用が異なります。
根管治療
神経まで達する破折では、神経を取り除いて歯の根の中を消毒する根管治療を行うことがあります[1][2]。その後、土台を作ってクラウンをかぶせます。
再植と固定
抜けた歯やずれた歯は元の位置に戻し、周りの歯と固定します。固定期間は通常7〜10日間で、骨も折れている場合は6〜10週間に及ぶことがあります[1]。再植した歯は、いずれ根管治療が必要になることが多いとされています[1]。泥などで汚れた場合は、破傷風の予防接種歴を確認することもあります[1]。
歯を残せない場合の選択肢
歯の根が深く割れているなどで保存が難しい場合は、抜歯後にインプラント、ブリッジ、部分入れ歯などで補います。
| 方法 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| インプラント | あごの骨に人工歯根を埋める固定式の歯。両隣の歯を削らない | 手術が必要で、治療期間が長い。通常は自由診療[4] |
| ブリッジ | 両隣の歯を支えにする固定式の歯。比較的短期間で治療できる | 両隣の健康な歯を削る必要がある |
| 部分入れ歯 | 取り外し式。歯を削る量が少ない | 取り外しの手間や違和感がある |
インプラントを検討する場合に知っておきたいこと
- 治療の流れ:相談・検査(エックス線・CTなど)→ 必要に応じて骨の移植 → インプラント埋入手術 → 骨との結合を待つ → 仮歯・最終的な歯の装着 → 定期メンテナンス[5]。
- 治療期間:骨との結合期間の目安は下顎で約2〜3か月、上顎で約4〜6か月。骨を増やす処置が必要な場合はさらに延びます[4]。
- 主なリスク:手術後の痛み・腫れ・内出血、インプラント周囲炎、部品の破損や緩みなど[4]。
- 費用:通常は健康保険が適用されない自由診療ですが、外傷などで顎の骨を失った場合などは保険が適用されることがあります[4]。日本歯科グループの公式サイトでは、インプラント1本あたりの費用は、ストローマン(10年保証)35万〜45万円、ネオデント(5年保証)25万〜35万円、バイオテム(1年保証)15万〜25万円(上部構造の材質により異なり、レントゲン・CTスキャン・手術代を含む)と掲載されています(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。詳しくは日本歯科グループのインプラント治療ページをご覧ください。
- 年齢:あごの骨の成長が終わってから行うのが一般的です。お子さんの場合は、成長に合わせた治療計画を相談します。
まとめ
事故で歯が折れたり抜けたりしたら、まず全身の状態を確認し、破片や歯を根に触れずに乾燥させないよう保存して、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。損傷の程度によって、接着や詰め物、クラウン、根管治療、再植などの治療を選びます。歯を残せない場合は、インプラントやブリッジ、入れ歯を比べて相談しましょう。
静岡歯科(静岡市葵区追手町2-15 MRKビル3階、JR静岡駅から徒歩5分・新静岡駅から徒歩1分)では、虫歯治療などの保険診療に加え、インプラントの初回相談(0円)も行っています。折れた歯の治療方法や費用は事前にご説明しますので、詳しくは静岡歯科のクリニック紹介をご覧ください。
よくある質問
折れた歯の破片は捨ててもよいですか?
捨てずに保存して持参してください。破片を歯に接着できる場合があります[2]。牛乳や唾液、歯の保存液などに入れ、乾燥させないようにしましょう[2][3]。
抜けた歯を水道水で洗ってもよいですか?
根の表面をこすって洗うのは避けてください。歯を元に戻すのに必要な組織が失われるためです[1]。洗う場合は保存液で軽く流す程度にとどめ、根には触れないようにします[3]。
抜けた歯は何分以内に歯科医院へ行けばよいですか?
できるだけ早く受診してください。永久歯は30分〜1時間以内に元の位置に戻せると生着する確率が高く、時間がたつほど長期的な生着率は下がるとされています[1]。
少し欠けただけで痛みがなければ、受診しなくてよいですか?
表面だけの欠けで冷たいものにしみなければ、急ぐ必要はないとされています[1]。ただし、見えないひびが入っていることもあるため、早めに歯科医師の診察を受けましょう。
子どもの乳歯が抜けた場合も元に戻せますか?
乳歯は、元に戻すと感染や永久歯の生え方に影響するおそれがあるため、再植は行いません[1]。ただし、周りの歯や歯ぐき、永久歯への影響を確認するため、歯科医院を受診してください。