部分矯正で叶える短期間の歯並び改善!適応条件と注意点を解説
歯並びが少し気になるけれど、本格的な矯正までは考えていない。そんな方にとって魅力的なのが「部分矯正」です。必要な部位にだけアプローチして、短期間・低コストで理想の歯並びを目指せるため、幅広い世代から注目を集めています。とはいえ、部分矯正には適応できる症例・できない症例があり、費用や治療期間もさまざまです。
部分矯正とはどんな治療?
「部分矯正」とは、歯列の中でも特に気になる部分に的を絞って行う矯正治療です。前歯のみや上下それぞれの一部だけを治療範囲とすることで、全体矯正に比べて治療期間を短縮しやすく、費用も抑えやすいという特徴があります。一般的には数本~前歯約6本程度の範囲で施術する場合が多く、見た目に直結する前歯の改善に向いている方法です。
一方で、大掛かりな噛み合わせの修正や抜歯を伴うような症例には対応しにくい場合があるため、患者さまそれぞれの口腔内の状態や要望を踏まえた検討が必要です。
部分矯正と全体矯正の違い
従来の歯列矯正といえば、上下すべての歯を動かして噛み合わせまで包括的に整える全体矯正が主流でした。これに対して部分矯正は、前歯など気になる箇所に集中して行うため、治療規模が小さく負担も軽減しやすいです。
項目 | 部分矯正 | 全体矯正 |
---|---|---|
適応範囲 | 前歯や上下各6本程度まで | 歯列全体(前歯~奥歯) |
治療期間 | 3か月~1年程度 | 1年半~3年程度 |
費用 | 数十万円程度 | 80万円~100万円以上も |
対応症例 | 軽度の歯並び不正 (すきっ歯、軽度の出っ歯など) |
抜歯を伴う症例や重度の不正咬合まで対応 |
部分矯正は「比較的軽度な歯並びの乱れを、ピンポイントで素早く整えたい」方に適した方法です。逆に、噛み合わせ全体や歯列全体を大きく改善したい場合は全体矯正が選択肢となります。
部分矯正が向いている人の特徴
以下のような悩みをお持ちの方には、部分矯正が向いています。
- 出っ歯が気になるが、奥歯や噛み合わせは問題なさそう
- 前歯が凸凹(叢生)で、見た目だけを早く整えたい
- 歯と歯の間がほんの少しすき間がある(すきっ歯)
- 軽度の開咬(奥歯は噛み合うが、前歯だけが噛み合わない)
- 過去に矯正した歯がわずかに後戻りしてきた
「歯列全体というよりは前歯数本の乱れが気になる」という患者さまの希望に合致しやすいのが部分矯正です。ただし、歯科医師の診断で「抜歯が必要」「奥歯との噛み合わせに問題がある」などが判明した場合は、残念ながら部分矯正だけでは改善できないこともあります。
実際に多い例
例えば、前歯2~3本が少しだけねじれて生えていたり、歯の角度が前側に傾斜して出っ歯のように見えている、あるいは前歯の間にすき間が開いているといったご相談が多く寄せられます。いずれも重症度が高くなく、骨格レベルの問題がない場合は、部分矯正が効果的です。
部分矯正のメリット・デメリット
部分矯正は、負担が小さく気軽に始めやすいイメージがある一方で、全ての症例に向いているわけではありません。
メリット
- 治療範囲が少ないため、短い期間で歯並びの変化を実感しやすい
- 全体矯正に比べて費用面の負担が軽減される
- 特に前歯の見た目を早く整えられるので、審美的効果が大きい
部分矯正の一番の強みは「速さ」と「費用」。わずかな乱れを修正するならば、数か月から1年程度で仕上がることが多く、全体矯正の半額以下で対応できる場合も少なくありません。
デメリット
- 重度の不正咬合や抜歯を伴う症例には対応しにくい
- 奥歯を動かさないため、噛み合わせの大幅な改善は期待しにくい
- 部分矯正後に、残っている歯列全体の問題が気になる可能性がある
もし噛み合わせまで含めてしっかり治療したい場合や、顎の骨格自体に問題があるような場合は、全体矯正や外科的処置を組み合わせた大規模な治療計画が必要です。よって「自分は部分矯正で良いのか、それとも全体矯正をすべきか」を判断するためにも、まずは歯科医院で精密検査とカウンセリングを受けることが大切です。
部分矯正ができない場合
部分矯正は軽度の不正を素早く改善できる反面、以下のような場合には適応しない、あるいは不向きなことがあります。
- 抜歯が前提となるほど歯の重なりやガタつきが大きい
- 奥歯の噛み合わせに大きなずれや問題がある
- 顎の骨格レベルで出っ歯・受け口になっている
- 過度な開咬や、骨格性の歯列不正が見られる
こうした症例では、前歯だけを動かしてもかえって噛み合わせが乱れてしまう可能性があるため、全体矯正や外科矯正を検討したほうが良いでしょう。骨格が原因の不正咬合は、顎の骨自体を動かさないと根本的な解決にならないことが多いため、歯科矯正専門医に診断を仰ぎましょう。
抜歯が必要な場合は全体矯正へ
歯のずれや出っ歯が重度の場合は、歯を並べるスペースを確保するために抜歯が必要と判断され、ほとんどの場合で部分矯正の適応にはなりません。奥歯から前歯まで全体をしっかりコントロールしないと噛み合わせや見た目のバランスが崩れてしまうためです。
部分矯正で選ばれる方法
部分矯正の際に用いられる主な矯正方法には、大きく分けて「マウスピース矯正」と「ワイヤー矯正」の2つがあります。いずれも短期間での治療を目指しやすいですが、特徴や費用が異なるため、自分に合った方法を見極めることが大切です。
マウスピース矯正
透明のマウスピースを装着し、段階的に歯を移動させる矯正方法です。アライナーと呼ばれるマウスピースを1~2週間ごとに交換して、少しずつ歯並びを整えていきます。装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際に自由に取り外せるのが大きなメリットです。
マウスピースは1日20時間以上の装着が推奨されるため、自己管理が必要となりますが、軽度~中度の歯列不正には対応しやすい方法です。
ワイヤー矯正
歯の表面にブラケットという装置を付け、ワイヤーの力で歯を移動させる従来からある方法です。表側につけるか、裏側(舌側)につけるかで見た目や費用も変わってきます。
- 表側ワイヤー矯正:装置が見えやすいが費用は比較的抑えられる
- 裏側ワイヤー矯正:表から装置が見えづらいが費用が高額になりがち
ワイヤー矯正は歯の大きな移動や複雑な症例にも対応しやすいため、部分矯正としてはもちろん、全体矯正を含む幅広い場合に選択肢となります。
部分矯正の費用・治療期間
部分矯正を行う場合の費用や治療期間の目安は以下のようになります。
矯正方法 | 費用相場 | 治療期間 |
---|---|---|
マウスピース矯正 | 約10万~60万円 | 数か月~1年半 |
表側ワイヤー矯正 | 約30万~80万円 | 数か月~2年 |
裏側ワイヤー矯正 | 約50万~100万円 | 数か月~2年 |
実際の費用は「検査料」「装置料」「調整料」などの内訳によって変動します。医院によっては、分割払いやデンタルローンなどの支払い方法を選択できる場合もあるので、カウンセリングの際に相談すると良いでしょう。
部分矯正に関するQ&A
Q1:部分矯正は本当に短期間で終わるの?
個人差はあるものの、早い方であれば約3か月程度で完了する場合もあります。多くの場合、6か月~1年ほどで目立つ乱れを整えられるため、「結婚式や就職活動などのイベントに向けて早めに歯並びを整えたい」という方には検討しやすいでしょう。
Q2:噛み合わせまで改善したいけれど、部分矯正だけで可能?
奥歯や顎の骨格レベルで噛み合わせに問題がある場合、部分矯正では不十分です。歯列全体をコントロールする必要があるため、全体矯正や顎の手術を含めた治療が適しています。一方で、軽度の不正で「前歯同士がかみ合わない程度の開咬」などであれば、歯科医師の判断で部分矯正が可能な場合もあります。
Q3: 後戻りが気になる人でも大丈夫?
過去に矯正をしたけれど、リテーナーを使用せずに歯がずれてしまったという方も少なくありません。もし後戻りが軽度であれば部分矯正の対象になります。早めに修正するほど費用と期間を抑えられることが多いので、まずは歯科医院で相談してみましょう。
まとめ
部分矯正は、前歯のちょっとした乱れやすきっ歯、軽度の出っ歯などを短期間かつ負担を抑えて整えられる治療方法です。特に「噛み合わせに大きな問題はないけど、見た目が気になる部分だけをなんとかしたい」といった方には最適といえます。一方で、骨格レベルの不正や抜歯が必要なほどの重度の症例には対応できないこともあるため、まずは歯科医師の診断を受けましょう。しっかりとしたカウンセリング・検査のもと、自分に合った矯正プランを見極めることが大切です。
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