歯の矯正はどんな種類がある?特徴と選ぶポイントをわかりやすく解説
歯並びを整える矯正治療には、さまざまな方法があります。しかし、「表側矯正」「裏側矯正」「マウスピース矯正」など、名前を聞いても、具体的な特徴やメリット・デメリット、さらに子供と大人でどう違うのかなど、気になる点は多いのではないでしょうか。どの矯正方法を選ぶかによって、治療費や期間、日常生活の過ごしやすさまで大きく変わるため、自分に合った方法を選びましょう。
歯科矯正とは?
歯科矯正は、歯並びやかみ合わせの乱れを専用の矯正装置で少しずつ改善していく治療です。歯並びが悪いことを「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼び、見た目の問題はもちろん、かみ合わせの不具合や歯磨きのしづらさ、発音への影響など、さまざまなデメリットをもたらします。矯正治療によって歯の位置を正しく整えることで、見た目はもちろん、噛む機能やブラッシングのしやすさの改善を目指すことができます。
歯並びの改善は美容面と機能面の両方で大きなメリットが得られるため、大人から子供まで多くの方が検討する治療の一つになっています。
歯科矯正の種類
矯正方法は、それぞれ装置の取り付け位置や素材が異なり、費用や治療期間、見た目の目立ちにくさにも差があります。
表側矯正(ワイヤー矯正)
表側矯正は、歯の表面にブラケットという小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす方法です。日本では昔から主流な矯正方法で、適応範囲が広く、軽度から重度の歯並びの乱れまで対応可能です。
素材が金属製のものだと目立ちやすいというデメリットがありますが、近年ではセラミックのブラケットや、歯の色に似たワイヤーも用いられ、比較的目立ちにくい表側矯正も選択できる時代になっています。
- メリット:幅広い症例に対応可能。歯を動かす力が強く、予定通りに歯が動きやすい。
- デメリット:装置が歯の表面に付くため見た目に気を使う必要がある。食事や歯磨きの際に装置に汚れがたまりやすい。
裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットやワイヤーを装着する矯正方法です。「リンガル矯正」とも呼ばれ、正面からほとんど装置が見えないため、矯正に気づかれにくいメリットがあります。芸能人や接客業など、職業上どうしても矯正装置を目立たせたくないという方によく選ばれる方法です。
ただし、歯の裏側は表側より形状が複雑なため、装置を作る技術や治療計画の組み立てには高い専門性が必要になります。そのため治療費がほかの方法に比べて高額になりやすく、また、舌に装置が当たりやすいので慣れるまで違和感が強いこともあります。
- メリット:目立ちにくい。表側矯正と同じく幅広い歯並びに対応可能。
- デメリット:装置が舌に干渉するため、発音や食事時の違和感を感じやすい。治療期間や費用が高くなる傾向がある。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、歯型をもとに透明のマウスピース型装置を作成し、それを一定期間ごとに新しいものに交換しながら歯を動かしていく方法です。装置が薄くて透明度が高いため、周囲からほとんど矯正装置が分からないという大きなメリットがあります。また、自分で取り外しができるため、食事や歯磨きの際には非常に便利です。
一方で、装着時間の自己管理が欠かせないため、常に意識して装置をはめ続けなければならないのが特徴です。重度の歯並びの乱れには対応しにくい場合もあり、ワイヤー矯正と比べると適応される症例が限定されることもあります。
- メリット:目立ちにくく取り外しが可能。金属を使わないため金属アレルギーのリスクが少ない。
- デメリット:着脱式のため、装着時間を守らないと計画どおりに歯が動かない。重度の症例には不向きな場合がある。
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は、上の歯を裏側矯正、下の歯を表側矯正する方法です。上の歯は笑ったときにもっとも目立ちやすい部位なので、そこを裏側矯正にすることで見た目の違和感を抑えます。一方、下の歯は比較的唇に隠れやすいため、表側矯正にすることで費用を抑えやすいというメリットがあります。
ただし、裏側矯正部分と表側矯正部分の両方に対応できるクリニックであることが条件となり、治療の煩雑さと技術力が必要になる場合が多いことを理解しておきましょう。
- メリット:完全な裏側矯正より費用を抑えつつ、目立ちにくさをある程度確保できる。
- デメリット:上と下で異なる装置を使うため、歯科医院選びが重要になる。慣れるまで違和感が出やすい。
子供の矯正と大人の矯正はどう違う?
子供の矯正は、成長段階のあごの骨がまだ柔軟であることを活かし、あごの骨の正しい発育を促しながら歯を並べるのが大きな特徴です。乳歯や永久歯が混在する時期に、取り外し式の装置やバンド型の装置などを使ってあごを拡大したり、悪い習慣を正したりします。これによって将来的に抜歯を回避できる場合もあり、早期に対策を始めることで重度の不正咬合を予防しやすいメリットがあります。
一方、大人の場合はあごの骨の成長が止まっているため、あご自体の形を大きく変えるのは難しいとされています。そのため、重度の不正咬合には外科手術が必要になる場合もあります。ただし、矯正技術の進歩により、あごの手術をしなくても矯正できる場合も増えてきました。まずは歯科医院で診断を受けることが大切です。
歯科矯正の費用と期間の目安
歯科矯正の費用と期間は、矯正方法や歯並びの状態、抜歯の有無などによって大きく変動します。例えば、歯を大きく動かす必要がある症例や、装置を複数回作り直す場合は、その分期間と費用がかかります。
矯正方法 | 全体矯正の費用目安 | 部分矯正の費用目安 | 治療期間目安 |
---|---|---|---|
表側矯正 | 約60~130万円 | 約30~60万円 | 全体:1~3年 部分:2か月~1年 |
裏側矯正 | 約100~170万円 | 約40~70万円 | 全体:2~3年 部分:5か月~1年 |
マウスピース矯正 | 約60~100万円 | 約10~40万円 | 全体:1~3年 部分:2か月~1年 |
ハーフリンガル矯正 | 約80~150万円 | 約35~65万円 | 全体:2~3年 部分:5か月~1年 |
表側矯正の費用・期間
表側矯正は、上下全体に装置をつける「全体矯正」と、一部のみを矯正する「部分矯正」があります。全体矯正は60万円台から100万円以上に及ぶこともありますが、子供のころから部分的にずれた歯を治すだけなら、30万円程度で済む場合もあります。治療期間は、症例や装置の種類によって異なりますが、平均で1~3年ほどかかることが多いです。
裏側矯正の費用・期間
裏側矯正は高度な装置製作や技術が必要になるため、表側矯正より高額になりがちです。全体で100万円以上かかることも珍しくありません。期間は表側矯正と比較すると若干長めになり、2~3年程度かかることが多いです。部分矯正なら費用も期間も少し抑えられますが、それでも装置が特殊なため高めの費用設定になる傾向があります。
マウスピース矯正の費用・期間
マウスピース矯正は、軽度の歯並び調整なら10万円台~の部分矯正が可能な場合もありますが、全体の歯をしっかりと動かす場合は60万円以上になることも多いです。治療期間は1~3年と幅広く、症例によって異なります。装着時間を守れないと治療が長引くリスクがあるので、自己管理をしっかり行うことが重要です。
ハーフリンガル矯正の費用・期間
ハーフリンガル矯正は上の歯を裏側、下の歯を表側で矯正するため、完全な裏側矯正ほどではありませんが、費用は全体矯正で80万円以上になる傾向があります。治療期間は2~3年程度が一般的です。上と下で装置が異なるため、歯科医師の技術力が必要になり、定期的な調整も欠かせません。
自分に合った矯正方法を選ぶポイント
歯科矯正を選ぶ際は、単に「目立ちにくいから」「費用が安いから」という理由だけで決めるのではなく、以下のようなポイントを総合的に考慮すると良いでしょう。
- 症例の適応範囲:軽度~中度の乱れなのか、抜歯が必要なほど重度なのかを歯科医師の診断で確認。
- 見た目や装着時の快適性:表側矯正のように固定式の場合は外して清掃ができない。マウスピース矯正は取り外しが可能。
- 費用と支払い方法:保険適用外の自費治療が中心なので、クリニックによる差が大きい。無理なく通える範囲の料金プランや分割払いなどのサポートも確認。
- 歯科医師との相性:メリットだけでなくデメリットも含め、わかりやすく説明してくれる歯科医師であることが重要。
- 通院のしやすさ:矯正治療は定期的な通院が必要。移動時間や診療時間などの利便性を考慮。
特に、大人になってからの矯正は通院回数や治療期間が長くなることもあるため、歯科医師とのコミュニケーションがとりやすく相談しやすい環境づくりが大切です。いくつかの歯科医院でカウンセリングを受け、治療計画を比較検討することをおすすめします。
まとめ
歯科矯正には、表側矯正・裏側矯正・マウスピース矯正・ハーフリンガル矯正など、さまざまな種類があります。子供の場合にはあごの成長を利用する小児矯正が選択肢に加わり、大人と比べて早い段階からの予防的アプローチが可能です。どの矯正方法が最適かは、歯並びの状態や優先したいポイントによって変わりますので、まずは歯科医院で詳しく診断を受けてみましょう。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのマウスピース矯正を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。