子供の歯列矯正は医療費控除でいくら戻る?目安と仕組みを解説
お子さまの歯並びが気になるけれど、矯正費用がどれくらいかかるか心配、そして少しでも家計の負担を減らしたい――そんな方も多いのではないでしょうか。実は、お子さまのマウスピース矯正は医療費控除の対象となるケースが多く、かかった費用の一部が税金の還付という形で戻ってくる可能性があります。
本記事では、子供のマウスピース矯正にかかる費用の医療費控除について、実際にどのくらい還付されるかという疑問を解消できるよう、医療費控除の基本的な仕組みや手続き方法についてわかりやすく解説します。医療費控除で家計の負担を減らす方法をご紹介します。
お子さまのマウスピース矯正と医療費控除
お子さまのマウスピース矯正は、噛む力や歯の噛み合わせを改善する医療目的であれば、医療費控除の対象となることが一般的です。お子さまのマウスピース矯正は医療目的と認められるため、医療費控除の対象になります。大人の矯正でも、噛み合わせの改善など医療目的である場合は控除対象となることがあります。
実際には、歯科医の診断書が必要な場合や、税務署による判断が求められる場合もあります。しかし、お子さまの場合は発達段階にある歯や顎の機能を改善するための医療行為と判断されやすく、医療費控除が適用されます。
医療費控除の基本的な仕組み
医療費控除とは、1年間(1月〜12月)に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告で税金の一部が戻ってくる制度です。医療費が高額になりがちなマウスピース矯正治療にとって、家計の負担を大きく軽減できるのがこの医療費控除です。
医療費控除の対象となる金額
医療費控除の適用を受けるには、1年間に支払った医療費が10万円を超える、もしくは所得が200万円未満の場合は「所得の5%」を超えるかどうかがポイントです。具体的には以下の計算式になります。
医療費控除額は、1年間の医療費から保険金などを引き、さらに10万円を引いた金額です
(年間所得が200万円未満の場合は、10万円ではなく「所得金額×5%」の金額を差し引く)
例えば、年収500万円の田中さん(会社員)がお子さまのマウスピース矯正で50万円支払った場合、控除額は「50万円−10万円=40万円」となります。この金額に対して所得税率や住民税率がかかり、結果として税金が還付される仕組みです。
マウスピース矯正で医療費控除の対象になる費用
お子さまのマウスピース矯正では、矯正器具にかかる費用や定期的な通院費用など、さまざまな費用がかかります。何が控除対象になるかを知っておくと、確定申告時の手続きがスムーズになります。
医療費控除の対象となる費用
- 歯科医院で行う検査費用(レントゲンや口腔内検査など)
- マウスピース矯正装置の作製・調整費用
- 処置料や診察料
- 通院のための公共交通機関の利用費(電車代・バス代など)
- 歯科医から処方された痛み止めや消炎剤などの薬剤
これらは基本的に「医療目的の診療行為」と考えられるため、医療費控除の対象となります。お子さまの場合、噛み合わせや骨格形成を目的としたマウスピース矯正であることがほとんどですので、高額な治療費の一部を還付金という形で受け取れる可能性が高まります。
医療費控除の対象外となる費用
- 車での送迎に関するガソリン代や駐車料は一般的に控除対象外となります
- 歯ブラシやマウスウォッシュなどの口腔ケア用品
- タクシー代(公共交通機関が利用できない特別な事情がある場合を除く)
- 矯正治療と関係のないホワイトニングなどの美容目的の治療費
確定申告の際には、対象外となるものを誤って計上しないよう注意しましょう。
還付金額の計算方法
実際にどのくらいの金額が還付されるのかイメージするために、簡単な計算例を挙げてみます。還付金の額は所得税・住民税などの課税状況によって人それぞれ異なりますが、計算方法を知っておくだけでも家計の見通しが立てやすくなります。
還付金の計算例
仮に、1年間でマウスピース矯正などの医療費として合計60万円かかったケースを想定してみましょう。保険金などの補てん金は受け取っていないものとします。所得は400万円の会社員Aさんとします。
計算手順 | 計算方法 | 金額 |
---|---|---|
1.医療費控除額 | 60万円−10万円 | 50万円 |
2.所得税率 | 課税所得金額に応じて決定 | 例:20% |
3.還付金 | 医療費控除額×所得税率 | 50万円×20%=10万円 |
この例では、最大で10万円程度の還付が見込めます。住民税も含めると、さらに2〜3万円程度の負担軽減が期待できます。個人の状況によって変わりますので、詳しくは税理士や歯科医院にご相談ください。
医療費控除の確定申告手続き
医療費控除を受けるためには、確定申告時に必要書類を提出し、正しい手続きを行う必要があります。会社員の方も年末調整だけでは控除を受けられません。忘れずに確定申告をすることが重要です。
必要書類
- 領収書やレシート(整理して保管しておくことが非常に重要です)
- 確定申告書(会社員は源泉徴収票を添付)
- 医療費控除の明細書
- 場合によっては歯科医師の診断書
- マイナンバーカードまたは通知カードと本人確認書類
- 還付金の振込先口座情報がわかるもの(通帳など)
- 印鑑またはサイン
必要書類は状況によって異なりますので、事前に税務署に確認することをおすすめします。お子さまの矯正費用以外の家族の医療費も合算できるため、家族全員の医療費をまとめて保管しておきましょう。
申告の方法
確定申告は毎年2月16日から3月15日までの間に行われます。申告方法は主に次の3つです。
- 直接、税務署へ出向いて申告
- 申告書類一式を郵送して申告
- e-Tax(電子申告)を利用してオンライン申告
申告内容に不備がなければ、提出後1~2か月程度で指定口座に振り込まれます。もし申告期限を過ぎてしまったとしても、過去5年以内であればさかのぼって還付の手続きを行うことが可能です。
マウスピース矯正のローン払いと控除適用
マウスピース矯正の費用は一括払いだけでなく、デンタルローン(月々1万円×36回払いなど)やクレジットカードの分割払いに対応している歯科医院も珍しくありません。これらの支払い方法を選んだ場合でも、医療費控除の対象になります。ただし、ローンの金利(年率3〜5%程度)や手数料は控除対象外ですので、実質負担額を計算する際は注意しましょう。
ローン契約やクレジットカードの支払いに関する契約書・領収書は、確定申告の際に証拠書類として必要になることがありますので、大切に保管しておきましょう。
マウスピース矯正を始める最適な時期
マウスピース矯正はお子さまから大人まで幅広い年齢で可能ですが、お子さまのうちに始めると、治療期間の短縮や自然な骨格形成といった大きなメリットがあります。さらに、医療費控除を活用して経済的な負担を抑えやすい点も見逃せません。
歯並びが悪いと、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、顎の成長にも影響を与えることがあります。しっかり噛めるようにしておくことで、健康的な口腔内環境が維持しやすくなるでしょう。
マウスピース矯正の開始時期の目安
マウスピース矯正の開始時期は、お子さまの永久歯が生え始める6〜9歳頃が理想的ですが、お子さまの歯並びや発育状況によって異なります。骨格の成長を利用できるため、成人矯正に比べて治療期間を短縮できることも多いのです。
まとめ
お子さまのマウスピース矯正は、噛み合わせや成長をサポートする医療目的として認められることが多いため、医療費控除の対象として還付金を受け取れる可能性が高まります。所得や家族構成によって変動はあるものの、高額になりがちな治療費の負担を減らせる点は大きな魅力です。また、通院費やマウスピース矯正装置費用など、何が対象になり何が対象外になるのか、あらかじめ把握しておくと申告作業がスムーズになります。お子さまの口元に不安がある方は、早めに歯科医へ相談し、適切な治療計画と経済面のサポートを考えることがおすすめです。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのマウスピース矯正を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。