矯正歯科を途中で変えると費用は?転院時の追加料金と注意点
歯列矯正は長期治療になるため、引っ越しなどで通院できなくなり、矯正歯科を途中で変えたいと考えるケースは少なくありません。とはいえ、すでに支払った費用はどうなるのか、引き継ぎ手続きはどのように進めればよいのかなど、不安なポイントが多くあります。
この記事では、矯正治療の転院に関する費用や手続き、そして転居を考慮した矯正方法を紹介します。
矯正歯科を途中で変えることは可能?
矯正治療は通常1~3年の期間が必要なため、その途中で引っ越しや転職などで通院が難しくなることがあります。また、医師とのコミュニケーション不足や治療方針への不信感など、通院の継続が難しくなることがあります。結論として、矯正歯科医院を治療途中で変える、いわゆる「転院」は可能です。
ただし、矯正治療を進めるうえで重要な情報や資料を新たな医院に引き継ぐ必要があります。場合によっては治療計画の調整が必要な場合があります。転院の検討には正確な情報が必要なため、まずは現在通っているクリニックで担当医に相談し、必要な手続きを踏みましょう。
矯正歯科を途中で変えると費用はどうなる?
矯正治療は相応の費用がかかります。転院する場合に、既に支払った費用がどうなるのかは気になるポイントです。一般的には、その時点まで進めていた治療の分だけ支払いが発生し、未施術分に相当する金額は返金されるケースが多いです。ただし、返金割合はクリニックや契約内容によって異なるため、明確な金額が知りたい場合は契約書や支払いの詳細を確認しましょう。
日本臨床矯正歯科医会のガイドラインによると、「約60〜70%が返金される」「保定期間ではほぼ返金がない」などの基準が提示されています。これらの基準は転院検討時の参考になります。
支払い方法の確認ポイント
支払い方法によって返金手続きが異なります:
- 一括払いの場合:クリニック側から進行していない治療費を返金してもらう流れが一般的です。
- ローン契約の場合:ローン会社へ直接相談して支払い残額をどのように処理するかを確認する必要があります。
また、契約内容によっては、解約手数料が発生する場合もありますので確認しましょう。
矯正歯科転院時の注意点
矯正歯科の転院は可能ですが、以下のようなリスクや注意点が伴います。転院前に以下のポイントを確認しましょう。
1. 転院先探しに時間や手間がかかる
現在の治療を引き継げるクリニックが理想ですが、同じ矯正装置に対応していないクリニックもあります。また、医院によっては「転院受け入れ患者」を積極的に受け付けていない場合もあるため、複数の候補を準備しておきましょう。
2. 治療期間が延びる可能性がある
転院先では新たな検査や資料作成が必要なことが多いです。そのため、同じ装置を使った治療を引き継げる場合でも、予定より治療が長引くリスクがあります。転居のタイミングによっては、装置の一時的な取り外しが必要な場合があります。
3. 追加費用について理解しておく
前医での返金を受けても、新たに転院先で検査やカウンセリングなどを受ける際には追加費用が必要になることがあります。クリニックによって料金が異なるため、追加費用が発生する場合があります。転院前に見積もりを取ることで、費用の内訳が明確になります。
矯正歯科転院時の推奨手順
転院を決めたら、スムーズに治療を再開するためには以下の流れを押さえましょう。
なるべく早く担当医に相談する
引っ越しが決まった時点、もしくはドクターへの不信感が強く治療継続が厳しいと感じた時点で、まず担当医に相談しましょう。担当医から転院先を紹介してもらえることもあるので、転院理由を説明し、必要資料を依頼しましょう。
新たな矯正歯科を探して比べる
担当医からの紹介以外にも、ネットや口コミで探すこともできます。その際は転院患者の受け入れ実績と使用中の矯正装置への対応状況を重視するとよいでしょう。公式サイトで転院対応の情報を確認しましょう。
必要な資料を入手・整理する
転院先で治療をスムーズに再開するには、以下の資料が重要となります。
- 初診時のレントゲン写真(パノラマとセファログラム)
- 口腔内写真・顔貌写真・歯型モデルなど
- 治療経過の記録(どのような治療を行ったか)
- 支払済みの費用と未施術分の契約内容
これらの資料を準備しておけば、重複検査や装置再製作の必要が減り、スムーズに治療を継続できます。
理想的な転院先の条件
引っ越し先の矯正歯科情報がわからない方も多いです。以下のような視点でクリニックを選ぶと、治療をスムーズに続けられます。
転院患者の受け入れ実績と相談サポート体制
クリニックによっては、過去に転院してきた患者を数多く受け入れている場合があります。そのような医院は、必要資料の取り扱いや治療計画の再構築についてもノウハウを持っているため転院後の治療が円滑に進みやすいでしょう。また、充実したカウンセリング体制がある医院を選ぶと安心です。
矯正装置の互換性確認
ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、装置の種類によって治療計画も変わります。特にインビザラインなどのマウスピース矯正は使用するブランドが複数あり、対応していないクリニックでは再度型取りや装置製作が必要になるかもしれません。事前に現在の矯正装置情報を伝えることで、治療を継続しやすくなります。
引っ越しを考慮した矯正治療の計画ポイント
矯正治療開始前に「近いうちに引っ越しになるかもしれない」という状況なら、最初から転院リスクを軽減するための対策を講じるのがおすすめです。
引っ越しの可能性を医師に伝えてから治療計画を相談
カウンセリングのときに「1~2年以内に転勤や進学の可能性がある」などとあらかじめ伝えておくと、医師はそれを踏まえた治療期間や矯正方法を提案してくれます。とくに一時的な転勤が決まっている場合は、短期間(約6ヶ月~1年)で歯並びを整える部分矯正も検討するとよいでしょう。
マウスピース矯正で通院負担を軽減
矯正方法にはワイヤー矯正やマウスピース矯正などさまざまな種類があります。一般的に、ワイヤー矯正は月1回ほどの通院が必要ですが、マウスピース矯正は通院頻度が少なく、1~3か月に1回程度のメンテナンスで済むため、忙しい方や遠方に住む方にも最適です。通院頻度を抑えられる方法を選べば、30km程度離れた場所に引っ越しても通院負担を減らせるでしょう。
矯正方法 | 特徴 | 通院頻度(目安) | 費用の目安 |
---|---|---|---|
ワイヤー矯正 | 歯の表側or裏側にブラケットとワイヤーを装着 | 月1回程度 | 約60万~130万円(全体矯正) |
マウスピース矯正 | 透明なマウスピースを交換しながら歯並びを動かす、目立ちにくく、取り外し可能で生活への影響が少ない | 1~3か月に1回程度 | 約60万~100万円(全体矯正) |
部分矯正 | 気になる部分だけを集中して矯正 | 医院や症例により異なる | 約10万~60万円 |
まとめ
矯正歯科治療を途中で変える場合、未施術分の費用が返金されるケースが多い一方で、転院先での追加費用や治療期間の延長といったリスクが伴います。もし引っ越しやドクターへの不信感などが理由で転院を考えているなら、できるだけ早めに担当医に伝えて、必要な資料を整えましょう。
正しい歯並びは見た目だけでなく、お口の健康維持にも重要です。引っ越しの可能性がある方は、治療開始前にドクターに状況を相談しておくことで、通院頻度の少ない矯正方法を選んだり、引っ越し後に矯正を始めるタイミングを検討したりといった対策が可能です。特にマウスピース矯正は通院頻度が少なく、転院の際も継続しやすい選択肢です。
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