矯正の後戻りを再治療する費用は?リテーナー・再矯正の料金相場
矯正治療を終えたあと、しばらく経ってから歯並びが再び乱れてしまう「後戻り」。せっかく高い費用と時間をかけて矯正したのに、また歯が元に戻ってしまうのはとても残念なことです。もし後戻りしてしまった場合、どのような治療方法があり、どの程度の費用がかかるのかが気になる方も多いのではないでしょうか。また、「そもそもなぜ後戻りをするのか」「もう一度同じクリニックで再矯正すべきなのか」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
矯正治療後の後戻りとは?
矯正治療を行うと、歯は理想的な位置に移動し、見た目もかみ合わせも改善されます。しかし、矯正装置を外した後に矯正前に近い状態へ歯が動いてしまう現象を「後戻り」と呼びます。後戻りは、矯正した人のなかでも少なくない割合で見られるため、対策や正しい知識を得ておくことが重要です。
本来、矯正治療後には「リテーナー(保定装置)」という装置を一定期間装着して、動かした歯をその場にしっかりと固定する工程(保定期間)が必要となります。このリテーナー装着を怠ったり、装着時間が十分でなかったりすると、歯が元の位置に戻ろうとする力が働いてしまうのです。
後戻りが起こる原因
リテーナーの装着不足
もっとも多い原因の一つはリテーナーの装着を十分に行わなかったことです。矯正直後の歯は、歯根や周囲の組織がまだ安定していません。安定する前にリテーナー装着をやめたり、装着時間が短かったりすると、歯が自然な形で再度動いてしまいます。特に寝るときに装着必須となるリテーナーの場合、「今日は疲れているから」「忘れてしまったから」という小さなきっかけが蓄積し、気づいたら歯が移動していたということになりかねません。医師の指示どおりの保定期間を守ることが、後戻り防止には欠かせません。
歯並びを悪化させる癖やかみ合わせ
矯正後の歯並び維持には、日常の癖やかみ合わせの状態も大きく関わってきます。例えば、頬杖を頻繁にする癖や横向きで寝る習慣、あるいは舌で歯を押すクセなどがあると、長期的に歯に力がかかり続けることになります。矯正治療自体は歯を動かすものですが、日頃の習慣によって、弱い力が持続的に加わることでも歯が動いてしまう可能性があります。無意識のうちに歯並びに負担がかかる生活習慣を持っている人は、まずはその癖を見直してみることが重要です。さらに、かみ合わせが根本的に改善されていない場合にも、負担が偏って歯が移動しやすくなり、後戻りを引き起こしやすくなります。
加齢による骨や歯周組織の変化
年齢を重ねると顎の骨や歯周組織にも変化が生じやすくなり、歯並びの安定性が低下してくる場合があります。特に歯槽骨が減少すると歯の支えが弱くなるため、位置が動きやすくなるリスクが上がるのです。若いころはあまり気にならなかった小さな乱れが、加齢によって大きく目立つ形で後戻りしてしまう例も見受けられます。定期的に歯科検診を受けるだけでなく、食生活や口腔ケアの見直しを行い、歯周環境を健康に保つことが予防策となります。
再矯正が必要になる場合は?
矯正後に歯並びが少し乱れてきたとしても、必ずしも再矯正が必要になるわけではありません。再矯正に進むかどうかは、見た目の問題やかみ合わせの機能性をどれほど重視するかによって変わります。例えば、わずかな歯並びの乱れだけであれば、リテーナーを再度積極的に使用することである程度の修正が期待できる場合もあります。しかし、完全に歯並びが矯正前に近い状態に戻ってしまったような場合では、部分的な治療や本格的な再矯正が必要になることがあります。また、かみ合わせの不調和が原因であれば、根本的にかみ合わせを正す治療が欠かせません。患者自身が望むゴールと、医師の診断をすり合わせることが、再矯正を行うかどうかの大きな判断基準となるでしょう。
再矯正の費用相場
矯正の「やり直し」にあたる再矯正の費用は、後戻りの程度や治療方針によって異なります。一般的な相場としては、軽度な後戻りの場合で約20〜30万円、大きく歯列が乱れている場合は50万円以上かかることも珍しくありません。保険適用外となる自由診療がほとんどのため、クリニックごとの設定料金にも差があります。再矯正を検討する際には、数院でカウンセリングを受けたり、料金表や治療内容を比較検討したりすることがおすすめです。
再矯正費用の目安を表で確認
後戻りの度合い | 治療方法 | 費用相場 |
---|---|---|
軽度(部分矯正などで対処可能) | ワイヤー矯正(部分)、マウスピース矯正など | 約20〜30万円 |
中度(複数の歯が動いている) | マウスピース矯正、表側ワイヤー矯正など | 約30〜50万円 |
重度(ほぼ全体が後戻り) | 表側・裏側ワイヤー矯正 | 50万円以上 |
矯正を行ったクリニックによっては、再矯正の特別プランや割引を用意している場合もあります。通院中にアフターケアとして再矯正の必要が生じた場合などでは、追加料金が少なく済む場合もあるでしょう。一度治療計画書や契約内容を確認してみると安心です。
再矯正の治療方法
ワイヤー矯正
もっとも一般的なのがワイヤー矯正です。歯の表面にブラケットという装置を貼り付け、ワイヤーを通して歯を引っ張ることで移動させます。歯を比較的大きく動かせるのがメリットですが、装置が見えやすいため目立ちやすいというデメリットもあります。裏側矯正を選択すれば装置が歯の裏面に付くため、表側よりは目立ちにくい反面、費用や技術力は高くなることが多いです。もし「再矯正だから部分的に動かしたい」「目立つのが嫌だけど、大きな歯の移動が必要」という場合は、専門の歯科医師に相談し、あなたの希望やライフスタイルに合わせた矯正プランを立てることが大切です。
マウスピース矯正
透明なマウスピースを装着するタイプの矯正は、見た目に配慮したい方に特に人気が高いです。矯正装置を自由に着脱できるため、食事や歯みがきの際に取り外せる点もメリットでしょう。装着時間を守ることで治療がスムーズに進められるため、自己管理が得意な人には向いていると言えます。大きく歯を動かす場合ではワイヤー矯正が適していることもありますが、後戻りが比較的軽度な症例ならマウスピース矯正で再治療できる可能性が高いため、矯正器具を目立たせたくない方には魅力的な選択肢といえます。歯科医師と相談してベストな方法を選ぶのがよいでしょう。
同じクリニックで再矯正すべき?
「一度治療を受けたクリニックでの再矯正は割引があるかもしれない」「でも、後戻りしてしまったのは担当医のスキル不足なのでは……」と、悩む方も多いでしょう。確かにクリニックの技術力や矯正の専門性が低かったことが原因で後戻りしてしまう場合もあります。歯科医師免許があれば、専門知識や経験がなくとも矯正歯科治療を行うことができる、日本の自由標榜制もあり、医師によっては十分な矯正の経験を積んでいないこともあるのが事実です。
ただし、後戻りには患者自身の管理不足や癖、リテーナーの装着不足など、さまざまな要因が絡み合っているため、必ずしもクリニックだけが原因とも限りません。同じクリニックに再度相談し、原因究明や費用面、再発リスクを減らすためのプランを提示してもらえるなら、同じクリニックでの再治療も選択肢の一つです。一方で、納得のいくカウンセリングや説明が受けられない場合は、他のクリニックでセカンドオピニオンを求めることも大切です。自分が心から信頼できる医師と出会うことで、より安心して再矯正を進められるでしょう。
まとめ
矯正後に歯並びが乱れてきてしまった場合でも、必ずしも再矯正をしなければいけないとは限りません。しかし、明らかに歯の位置が大きく動いており、見た目やかみ合わせに支障が出ているのであれば、再矯正を前向きに検討することが大切です。再矯正の費用は軽度の後戻りであれば20〜30万円程度から、重度であれば50万円以上かかる場合もあり、治療方法によっても料金が異なります。
後戻りへの対応は担当医とよく相談し、あなたの希望や生活スタイルを踏まえて判断しましょう。また、同じクリニックで割引プランを利用したり、技術力の高い別のクリニックを探したりするなど、選択肢はさまざまです。原因をしっかり分析して根本的な問題を解消しない限り、後戻りは繰り返してしまいがちなので、保定の重要性や癖の見直しなどを怠らないようにしてください。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのマウスピース矯正を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。