大人になってから矯正を始める場合、まず気になるのは「どのくらいの費用がかかるのか?」という点ではないでしょうか。健康的な口腔環境を保つためにも噛み合わせ矯正は重要で、見た目の美しさだけでなく、食事や発音などの日常生活にも深く関わってきます。しかし矯正治療は自由診療が多く、費用はクリニックによって異なるため、「自分の場合だと総額がどれほどになるのか想像しづらい」と悩む方も少なくありません。
大人の噛み合わせ矯正が求められる理由
大人の歯科矯正と聞くと、「見た目のため」というイメージが強いかもしれません。しかし、実は噛み合わせの乱れによって起こるトラブルは、見た目の問題以上に身体のさまざまな不調を招く可能性があります。歯並びや噛み合わせが悪いことでしっかり咀嚼できないと、消化器官に負担がかかりやすくなったり、歯周病リスクが上がったりする場合もあるのです。
また、大人になってから本格的に噛み合わせや歯並びを整えることで、将来的な歯の健康を長く維持しやすくなるメリットがあります。最近では透明なマウスピースを用いた治療法なども普及し、目立ちにくい矯正も可能となっているため、年齢問わず多くの方が矯正を始めています。
矯正方法別の費用相場
大人の噛み合わせ矯正には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などさまざまな方法があります。矯正の種類によってかかる費用は大きく異なり、全体矯正か部分矯正かによっても相場に差があります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は透明で薄いマウスピースを装着し、段階的に歯を動かしていく治療です。装置が目立ちにくく、比較的取り外しがしやすいので、食事や歯磨きがスムーズに行える点が特徴となります。最近は大人の矯正でもマウスピース矯正を選ぶ方が増加傾向です。
部分矯正の相場 | 約10万~40万円 |
全体矯正の相場 | 約60万~100万円 |
透明な装置を使う分、見た目が気になりにくいメリットがあります。一方で、歯並びの状態や噛み合わせの複雑さによって適応が限られる場合もあり、「ワイヤー矯正や併用が必要」と診断される場合もあります。症例数の多いクリニックや矯正治療の専門知識を有する歯科医師に相談すると安心です。
表側ワイヤー矯正
歯の表面にブラケット(歯とワイヤーをつなぐ装置)を装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす治療方法です。ほとんどの場合に対応できるため、重度の噛み合わせ不良などにも広く用いられています。
部分矯正の相場 | 約30万~60万円 |
全体矯正の相場 | 約60万~130万円 |
歴史の長い矯正方式なので、技術や材料が確立されている点は大きなメリットです。しかし装置が歯の表面に取り付けられるため、治療期間中は見た目が気になるというデメリットがあります。ブラケットやワイヤーを目立ちにくい素材で作るオプションを提供しているクリニックもあるため、気になる方は検討してみると良いでしょう。
裏側ワイヤー矯正(舌側矯正)
歯の裏側にワイヤーやブラケットを装着するのが裏側矯正です。装置が表から見えないため、他の人に矯正治療をしていると気づかれにくいのが最大のポイントですが、その分高度な技術力が必要で費用も高額になる傾向があります。
部分矯正の相場 | 約40万~70万円 |
全体矯正の相場 | 約100万~170万円 |
裏側に装置を装着するため、舌がワイヤーに当たり違和感を覚えやすい点や、発音時に慣れるまで時間がかかる点も注意が必要です。費用の高さや、扱いに長けた歯科医師が少ないこともデメリットですが、矯正中の見た目を最優先に考える方には非常に有効な選択肢です。
ハーフリンガル矯正
上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正というように、上下で装置を変える矯正方法です。上の歯はあまり見えないようにしたいものの、裏側矯正すべてを採用すると予算が厳しいという方に選ばれることがあります。
部分矯正の相場 | 約35万~65万円 |
全体矯正の相場 | 約65万~135万円 |
費用は裏側矯正より安価になる可能性もあり、かつ表側矯正だけよりは見た目が目立ちにくいという点が魅力です。ただし、カスタマイズ性が高い治療になるため、歯科医院によって大きく料金体系が異なります。必ず事前にカウンセリングや見積もりを受け、適切な治療法かどうかを確認しましょう。
治療ステップごとの費用
噛み合わせを改善する矯正治療は、大まかに「矯正前」「矯正中」「保定期間」といったステップで進んでいきます。各ステップでどのような費用がかかるのかを紹介します。
矯正前の費用
矯正治療を始める前には、カウンセリングやレントゲン撮影、歯の型取りなどの検査費用がかかります。クリニックによっては初回相談無料、検査費用のみ数万円など、料金設定が異なるため要チェックです。
虫歯や歯周病が見つかった場合、矯正に入る前に先に治療する必要があります。虫歯や歯周病の治療は保険診療で行える場合が多いですが、抜歯が必要な場合で「矯正上の抜歯」と見なされると自費になることがあります。最初の検査や診断時に、虫歯や抜歯の有無も含めて総額を確認しておくと良いでしょう。
矯正中の費用
矯正装置を装着する際の費用が最も大きな支出となります。表側ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正などどの方式を選ぶかで金額の幅は大きく変動します。また、月に1回~2ヶ月に1回程度の通院も必要となり、通院・調整費がかかります。装置費用を一括支払いする場合もあれば、調整費を都度払いする場合もあるため、事前にクリニックの支払い体系を確認しましょう。
矯正治療をする際には治療前・治療中・保定期間中それぞれで費用が発生するため、最終的な総額をしっかり把握することが大切です。途中で追加費用がかからない「トータルフィー制」なのか、処置のたびに支払う「処置別払い制」なのかによっても、負担の仕方が変わってきます。
保定期間の費用
矯正治療後は、歯の位置が安定するまで「保定装置(リテーナー)」を使いながら歯並びを固定する時期があります。保定期間は一般的に1~2年程度とされており、その間も定期的に通院し、歯並びや装置に問題がないかを観察します。リテーナー代や保定観察費用が必要なクリニックも多いので、総額に含まれているかどうかを事前に確認しておくのがおすすめです。
費用を抑えるポイント
大人の噛み合わせ矯正は高額になる場合もありますが、いくつか費用を抑えるコツがあります。また、噛み合わせ矯正の場合、医療費控除の対象になる場合もあるので覚えておきましょう。
費用を抑えるための工夫
- 複数の歯科医院でカウンセリングを受け、費用と治療方針を比較する
- デンタルローンや分割払い、医療費分割対応のクリニックを選ぶ
- 部分矯正で対応できる症例かどうかを確認する
- 保定装置の料金や追加費用の有無をしっかり確認する
治療費用はクリニックごとに異なるため、まずはいくつかのクリニックで相談することで自分に合った価格帯や治療方針を把握しやすくなります。矯正は長期にわたる治療なので、料金だけでなく歯科医師の説明やサポート体制、通いやすさなどもあわせて検討すると安心です。
まとめ
大人の噛み合わせ矯正は、見た目のコンプレックスを解消するだけでなく、咀嚼機能の向上や歯周病リスク低減など、長期的な口腔健康を維持する上でもメリットがあります。治療方法や費用相場はさまざまで、自由診療が基本となるため総額も大きく変動しやすいのが現状です。まずは自分の歯並びや噛み合わせの状態を正確に把握し、どの治療法が合っているかを専門医に相談するところから始めましょう。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのマウスピース矯正を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。