インプラント

無料相談

Menu

インプラント治療で使われる器具ってどんなもの?治療に使う道具とその役割

219

インプラント治療を検討する際、「どんな器具を使うの?」「痛くないの?」といった疑問や不安を抱える方は少なくありません。実際、インプラント治療では様々な専用器具が使用されますが、これらの道具についての知識があれば治療への理解が深まり、不安も軽減されるでしょう。

この記事では、インプラント治療で使用される主な器具とその役割、それぞれの特徴について詳しく解説します。インプラントの基本構造から治療段階ごとに使われる器具まで、わかりやすくお伝えしていきます。

インプラント治療の基本

まずはインプラントの基本構造と主要なパーツについて理解しましょう。インプラントは単なる人工歯ではなく、複数のパーツから構成される精密な人工歯根システムです。

それぞれのパーツは特定の役割を果たし、これらが連携することで自然な歯のような機能と見た目を実現しています。基本構造を理解することで、治療で使用される器具の必要性も明確になります。

インプラント体(フィクスチャー)

インプラント体は、チタン製のネジ状の部品で、顎の骨に直接埋め込まれる人工歯根の役割を果たします。この部分が骨と結合することで、天然の歯根のように強固な土台となります。表面には微細な凹凸加工が施されており、骨との結合を促進する設計になっています。

インプラント体の形状は主にスクリュー(ネジ)型が一般的ですが、メーカーやケースによって太さや長さ、ネジ山のデザインなどが異なります。患者さまの骨の状態や埋入部位に合わせて最適なものが選択されます。

アバットメント

アバットメントは、インプラント体と人工歯をつなぐ連結部分です。インプラント体に直接ネジで固定され、その上に人工歯(上部構造)を装着するための土台となります。チタンやジルコニアなど様々な素材があり、それぞれ特性が異なります。

アバットメントには様々な形状があり、前歯用や奥歯用、角度付きのものなど、患者さまの口腔内の状況や審美性に合わせて選択されます。近年では、CAD/CAMシステムを用いて一人ひとりに合わせたカスタムアバットメントも普及しています。

上部構造(人工歯)

上部構造は、見た目の歯の部分にあたり、クラウンやブリッジとして機能します。セラミックやジルコニアなどの素材で作られ、天然歯と見分けがつかないほど精巧に作製されます。これがアバットメントの上に装着されて、インプラント治療が完了します。

上部構造は、噛み合わせや隣接歯との調和、見た目の自然さなどを考慮して作られます。セメントで固定するタイプとスクリューで固定するタイプがあり、メンテナンス性や審美性などを考慮して選択されます。

インプラント治療の各段階で使われる器具

インプラント治療は複数の段階に分かれており、各段階で専用の器具が使用されます。ここでは治療の流れに沿って、使用される主な器具とその役割について詳しく解説します。

これらの器具は、患者さまの安全を確保しながら、精密な手術を可能にするために設計されています。最新のテクノロジーを取り入れた器具も増えており、より精度の高い治療が実現しています。

診断・治療計画時に使用する器具

インプラント治療の第一段階である診断と治療計画では、様々な検査器具が使用されます。特に重要なのが、口腔内の精密な情報を得るためのプローブや画像診断装置です。これらにより、顎の骨の状態や神経・血管の位置を正確に把握します。

歯周プローブは、歯周ポケットの深さを測定する器具で、インプラント治療前の歯周状態を確認するために使用します。

近年では、歯科用CTやデジタルスキャナーを用いた3D診断が一般的になっており、より精密な診断と治療計画が可能になっています。これらの器具を用いて得られたデータを基に、手術用ガイドが作成されることもあります。

インプラント埋入手術で使用する器具

インプラント体を骨に埋入する手術でも、様々な専用器具が使用されます。主に使用されるのがインプラントドリルで、これは顎の骨に適切な大きさと深さの穴を形成するための重要な器具です。患者さまの骨質や埋入部位に合わせて、複数の太さのドリルを段階的に使用します。

手術の際には、口腔内を明るく照らすためのライト、切開に使用するメス、粘膜を剥離するための粘膜剥離子(ラスパトリー)なども使用されます。また、骨を採取するための骨ノミや骨鉗子、切開した粘膜を縫合するための縫合針なども重要な器具です。

インプラント体を埋入する際には、専用のドライバーやレンチが使用され、適切なトルク(回転力)でインプラント体を埋入します。精密な作業を行うためのトルクレンチは、過剰な力がかからないように設計されています。

二次手術・アバットメント装着時の器具

骨結合の期間を経た後に行われる二次手術では、インプラント体の上部を露出させるための器具が使用されます。ティッシュパンチと呼ばれる円形の刃物で、インプラント体上の粘膜を円形に切除することもあります。その後、ヒーリングアバットメントと呼ばれる治癒用のキャップを取り付けます。

アバットメント装着時には、インプラント体内部の清掃・消毒を行うための器具や、アバットメントを適切なトルクで固定するためのトルクレンチが使用されます。アバットメントの高さや角度を調整するための研磨器具も重要です。

また、最終的な上部構造の型取りを行うための印象用コーピングや、口腔内でのアバットメントの位置関係を記録するためのジグなども使用されます。これらの器具により、精密な上部構造の製作が可能になります。

上部構造装着・調整時の器具

上部構造を装着する際には、セメント固定用またはスクリュー固定用の専用器具が使用されます。スクリュー固定の場合は、専用のドライバーで適切なトルクをかけながら固定し、セメント固定の場合は専用のセメントと接着器具を使用します。どちらの方法も、上部構造がしっかりと固定され、かつ必要に応じて取り外しができるように考慮されています。

装着後は、噛み合わせを確認・調整するための咬合紙やバイトチェッカーが使用されます。上部構造の表面研磨には、研磨バーやポリッシングペーストなどが用いられ、滑らかな表面に仕上げられます。

また、最終的な調整後には、清掃指導のためのデンタルフロスや歯間ブラシなども重要な器具となります。患者さまに適切な清掃方法を指導することで、インプラントの長期的な成功率が高まります。

インプラント器具の材質

インプラント治療で使用される器具の材質は、治療の成功に大きく影響します。ここでは、主要な材質とその特性について解説します。安全性や耐久性、生体親和性などの観点から、様々な材質が選択されています。

チタンとチタン合金の特性

チタンは、インプラント体やアバットメントなど、多くのインプラント器具の主要材料として使用されています。その最大の特徴は優れた生体親和性で、生体内で拒絶反応を起こしにくく、骨と直接結合する性質を持っています。また、軽量でありながら強度が高く、耐食性にも優れています。

純チタンは生体親和性に優れていますが、強度面で劣る場合があるため、インプラント体などの強度が特に求められる部分には、チタン合金が使用されることもあります。チタン合金は純チタンよりも強度と耐久性に優れていますが、生体親和性はやや劣ります。

ジルコニアのメリットと用途

ジルコニアは、主に上部構造やアバットメントに使用される白色のセラミック素材です。最大の特徴は優れた審美性で、天然歯に近い色調と半透明感を持ち、前歯部など見た目が重要な部位に適しています。また、高い強度と耐久性、生体親和性も備えています。

ジルコニアは金属アレルギーのリスクがほとんどなく、金属アレルギーを持つ患者さまにも安心して使用できる材料です。近年では、フルジルコニア製のインプラントシステムも開発されており、「メタルフリー」を希望する患者さまの選択肢となっています。

ただし、ジルコニアはチタンに比べて加工が難しく、CAD/CAMシステムを用いた精密な製作が必要です。また、修正が困難なため、設計段階での精度が特に重要となります。価格面でもチタンより高くなる傾向があります。

ステンレススチールと他の金属材料

ステンレススチールは、主に手術器具(ドリル、粘膜剥離子など)や仮設用の器具に使用されます。耐食性と強度に優れ、滅菌処理にも耐えられるため、繰り返し使用する手術器具に適しています。ただし、永久的に体内に埋入する部品としては、チタンやジルコニアに比べて生体親和性が劣ります。

その他の金属材料としては、コバルトクロム合金や金合金なども、特定のインプラント部品に使用されることがあります。コバルトクロム合金は強度と耐久性に優れ、主に上部構造のフレームワークに使用されます。金合金は生体親和性に優れていますが、高価なため使用頻度は減少しています。

近年では、より生体親和性の高い新素材や、チタンとセラミックのハイブリッド材料なども研究・開発されています。材料科学の進歩により、インプラント器具の性能と安全性は継続的に向上しています。

プラスチック・シリコン製器具の用途

プラスチックやシリコン製の器具は、主に補助的な役割を果たす部品や使い捨て器具として使用されます。例えば、サージカルガイドの一部、印象用コーピング、プロテクションキャップなどに用いられ、軽量で扱いやすいという特徴があります。

シリコン製の器具は、柔軟性があり、バイトブロック(開口保持器)や印象材として使用されます。患者さまの口腔内形状を正確に再現できる特性を持っています。また、サージカルガイドの材料としても使用され、適度な柔軟性と強度のバランスが求められます。

ただし、プラスチック製器具は耐久性や強度において金属製に劣るため、高い強度が求められる部分や長期間使用する部品には不向きです。また、滅菌処理によって変形する可能性があるため、使い捨てタイプが一般的です。

インプラントのメンテナンスで使用する器具

インプラント治療の成功は、適切なメンテナンスによって大きく左右されます。ここでは、インプラント治療後のメンテナンスに使用される器具について解説します。これらの器具は、インプラントの周囲組織を健康に保ち、長期的な成功を支える役割を果たします。

メンテナンス用器具は、患者さま自身が使用するホームケア用と、歯科医院で使用するプロフェッショナルケア用に分けられます。どちらも適切に使用することで、インプラントの寿命を延ばすことができます。

プロフェッショナルケア用器具

歯科医院でのメンテナンス時に使用される器具は、インプラント周囲の専門的なクリーニングと検査に特化しています。チタン製やプラスチック製、カーボン製など、インプラントに優しい素材のスケーラーが使用されます。これらは、インプラント周囲のプラークや歯石を効果的に除去します。

また、超音波スケーラーを使用する場合も、インプラント専用のチップが用いられます。通常の金属チップではなく、プラスチックチップや特殊コーティングされたチップが選択されます。これにより、インプラント表面を保護しながら効果的な清掃が可能になります。

インプラント周囲炎の検査には、専用のプローブが使用されます。これは通常の金属製プローブよりも柔らかい素材で作られており、インプラント周囲組織を傷つけることなく、ポケットの深さや出血の有無を確認することができます。

患者さま用ホームケア器具

インプラントのホームケアには、特別に設計された清掃器具が推奨されます。インプラント専用の歯ブラシは、インプラント周囲の繊細な組織を傷つけないよう、柔らかい毛と適切な形状を持っています。電動歯ブラシも、適切な使用方法であればインプラントのクリーニングに効果的です。

デンタルフロスは、インプラント周囲の清掃に不可欠なツールです。特にインプラントブリッジの下部や、インプラントと天然歯の間を清掃するために重要です。インプラント専用のフロスは、通常のフロスよりも丈夫で、フロス中央部が太くなっているスポンジ状のものが多いです。

歯間ブラシやワンタフトブラシも、インプラント周囲の清掃に有効です。特に、複雑な形状をした上部構造の周りや、アクセスが難しい部分の清掃に適しています。ウォーターフロッサーも、インプラント周囲の汚れを効果的に洗い流すことができます。

インプラント専用洗浄剤と消毒剤

インプラントのメンテナンスには、専用の洗浄剤や消毒剤も重要な役割を果たします。インプラント用洗浄剤は、インプラント表面を傷つけることなく、バイオフィルムを効果的に除去できるよう設計されています。研磨剤が含まれていないものや、低研磨性のものが選ばれます。

抗菌剤を含むマウスウォッシュは、インプラント周囲炎の予防や治療に効果的です。ただし、長期間の使用は歯の着色や味覚障害などの副作用を引き起こす可能性があるため、歯科医師の指示に従って使用することが重要です。

また、インプラント上部構造の素材に応じた適切な洗浄方法も重要です。例えば、レジン製の上部構造は特定の化学物質によって劣化する可能性があるため、適切な洗浄剤の選択が必要です。歯科医師や歯科衛生士からの指導に従い、適切な製品を選択することが推奨されます。

まとめ

インプラント治療では、様々な専用器具が使用され、それぞれが重要な役割を果たしています。インプラントの基本構造であるインプラント体、アバットメント、上部構造を支えるための精密な器具が、治療の成功を左右します。

診断・治療計画から始まり、インプラント埋入手術、二次手術、上部構造装着、そしてメンテナンスまで、各段階で最適な器具が選択されます。特にインプラントドリル、トルクレンチ、サージカルガイドなどの主要器具は、安全で精度の高い治療を実現するために不可欠です。

また、器具の材質も重要な要素であり、チタン、ジルコニア、ステンレススチールなど、それぞれの特性を活かした材料選択が行われています。治療後のメンテナンスにも専用の器具があり、プロフェッショナルケアとホームケアの両面から、インプラントの長期的な成功をサポートしています。

インプラント治療で使用される器具について理解を深めることで、治療への不安が軽減され、より安心して治療に臨むことができるでしょう。歯科医師との十分なコミュニケーションを通じて、あなたに最適なインプラント治療を受けることが大切です。

日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

今本院長

日本歯科札幌 院長 今本 芳彦

北海道出身。
卒後、自由診療専門のクリニックで研鑽を積む。
10年間、自由診療専門のクリニックで院長として活躍。
北海道でトップクラスのインプラント実績を誇る。
他にもマウスピース矯正、審美治療を得意とする。

この記事の監修

日本歯科静岡 院長 戸田 紀章

静岡県出身。
卒後、埼玉医科大学口腔外科で研鑽を積む。
その後、静岡歯科で10年間研鑽を積んだ後、日本歯科静岡の院長に就任。
静岡県トップクラスのインプラント治療実績を持つ。
審美治療やマウスピース矯正も得意とする。

この記事の監修

早川理事長

日本歯科グループ 代表 早川 好昭

東京都出身。
静岡県で静岡歯科を開業。
高度先進歯科医療クリニックとして日本歯科グループを開設。
同グループとして静岡歯科、日本歯科札幌、日本歯科静岡、日本歯科名古屋などがある。
日本歯科グループの代表として全てのクリニックを統括。

この記事の監修

稲津副院長

日本歯科名古屋 院長 稲津 由美子

大手歯科グループの院長として長年活躍。
その後静岡歯科の副院長として8年間研鑽を積み、日本歯科名古屋の院長に就任。
女性歯科医師として全国でトップクラスのインプラント実績を持つ。
マウスピース矯正と審美治療を得意とする。