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奥歯がインプラントできない?できない理由と諦める前に知っておきたい治療法

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「奥歯はインプラントができない」と言われてしまった経験はありませんか?確かに、奥歯のインプラント治療は前歯に比べて難しい側面があります。しかし、「絶対にできない」わけではなく、適切な診断と治療計画によって多くの場合で実現可能です。

本記事では、奥歯のインプラント治療が難しいとされる理由や、インプラントができないと言われた場合の代替治療法、そして諦める前に知っておきたい選択肢について詳しく解説します。

奥歯のインプラントが「できない」と言われる4つの主な理由

「奥歯にインプラントはできない」と歯科医師から告げられると、大きなショックを受ける方も少なくありません。しかし、多くの場合は「絶対にできない」というわけではなく、「条件が整わないと難しい」という意味合いであることが多いのです。

まずは、奥歯のインプラント治療が難しいとされる主な理由について詳しく見ていきましょう。これらの理由を理解することで、ご自身のケースでどのような対策が必要なのかが見えてきます。

1. 手術スペースの制約

奥歯は口の奥に位置しているため、手術器具を操作するスペースが限られています。前歯のインプラント手術と比較すると、奥歯の治療では開口量(口を開ける大きさ)が制限され、術者の視野も確保しにくいという技術的な難しさがあります。特に口を大きく開けられない方や顎関節に問題がある患者さんでは、この制約がより顕著になります。

また、奥歯は頬の筋肉や舌に近い位置にあるため、これらの軟組織が手術の邪魔になることもあります。そのため、技術的に高度な手術手技が求められ、経験豊富な歯科医師による治療が重要になります。

2. 骨量・骨質の不足

インプラント治療には十分な骨の量と質が必要です。しかし、奥歯の上顎部分には上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる空洞があり、下顎奥歯部分には下歯槽神経管という重要な神経が通っています。歯を失ってからの期間が長いと、骨が徐々に痩せていき、これらの解剖学的構造物との距離が近くなり、インプラントを埋入するのに十分な骨量が確保できないことがあります

また、骨質についても、上顎の奥歯部分は他の部位と比べて骨密度が低く柔らかい傾向があります。これにより、インプラントの初期固定が得られにくいという問題が生じることもあります。

3. 噛む力が強いことによる負担

奥歯は前歯に比べて何倍もの咬合圧(噛む力)がかかる部位です。一般的に、奥歯は食べ物を砕く主な役割を担っており、インプラントに対して強い側方力や垂直方向の力が継続的にかかります。この強い力に耐えられるよう、インプラントの設計や埋入方向を慎重に計画する必要があります。

また、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方では、通常よりもさらに強い力がインプラントにかかるため、長期的な予後に影響を与える可能性があります。このような場合は、ナイトガードの装着など追加の対策が必要になることもあります。

4. 細菌感染のリスク

奥歯の周囲は清掃が難しく、歯垢や食べかすが溜まりやすい部位です。インプラント周囲炎と呼ばれる細菌感染は、インプラントの長期的な成功を脅かす大きな要因となります。特に奥歯は目視での確認も難しく、毎日の清掃が行き届きにくいため、感染リスクが高まる傾向があります。

また、喫煙習慣のある方や糖尿病などの全身疾患がある場合も、インプラント周囲の感染リスクが高まり、治療の難易度が上がることがあります。このようなリスク要因がある場合は、治療計画の段階で十分な検討が必要です。

奥歯のインプラントができないと言われたケースでも可能性がある対処法

奥歯のインプラント治療が難しいと言われても、現代の歯科医療技術では様々な対処法があります。ここでは、一般的に「インプラントができない」と言われるケースでも、条件次第で治療の可能性を広げる方法をご紹介します。

適切な対処法を選択することで、多くの場合、安全かつ効果的なインプラント治療を受けることができるようになります。ご自身のケースに最適な方法を歯科医師と相談しながら検討してみましょう。

骨造成(骨移植)術による骨量の増加

骨量不足はインプラント治療の大きな障壁ですが、骨造成術によって解決できることがあります。骨造成術とは、不足している骨を人工的に増やす手術で、自家骨(患者さん自身の骨)や人工骨などの材料を用いて行います。特に上顎奥歯部では「サイナスリフト」と呼ばれる上顎洞底挙上術が一般的です。

この手術では、上顎洞の底部を持ち上げ、その空間に骨補填材を入れることで、インプラントを支えるのに十分な骨量を確保します。下顎では、GBR法(骨誘導再生法)と呼ばれる方法で骨幅を増やすことも可能です。

ショートインプラントの活用

従来のインプラントよりも短い「ショートインプラント」を用いることで、骨量が少ない部位でもインプラント治療が可能になるケースがあります。ショートインプラントは長さが6〜8mm程度と通常より短いため、上顎洞や下歯槽神経管などの解剖学的構造物を避けて埋入することができます

ただし、ショートインプラントは表面積が小さいため、噛む力による負担を分散させるための工夫が必要です。例えば、複数のインプラントを連結することで力の分散を図ったり、咬合調整を慎重に行うことが重要になります。

傾斜埋入技術(オールオン4など)

骨量が少ない場合に有効な方法として、インプラントを傾斜させて埋入する技術があります。特に「オールオン4」と呼ばれる治療法は、4本のインプラントで片顎全体の歯を支えることができ、奥歯部でのインプラント埋入が難しい場合に選択肢となります。

オールオン4では、前方の2本のインプラントは垂直に、後方の2本のインプラントは最大45度まで傾斜させて埋入します。この傾斜埋入により、上顎洞や下歯槽神経管を避けながら、より長いインプラントを使用することが可能になります。また、インプラントの本数を減らせるため、治療費や手術侵襲の軽減にもつながります。

CTガイド下のコンピューター支援手術

最新の3D CTスキャン技術とコンピューターシミュレーションを組み合わせることで、より安全で正確なインプラント埋入が可能になっています。CTガイド下手術では、術前に詳細な解剖学的構造を把握し、理想的なインプラントの位置や角度を正確に計画することができます

この技術により、限られた骨量を最大限に活用し、重要な神経や血管を傷つけるリスクを最小限に抑えた手術が可能になります。また、手術時間の短縮や患者さんの負担軽減にもつながるため、奥歯のインプラント治療における有効な選択肢となっています。

奥歯のインプラントができない場合の代替治療法

様々な理由から奥歯のインプラント治療が困難な場合でも、噛む機能を回復するための代替治療法があります。それぞれの治療法には特徴があり、患者さんの状態や希望に合わせて最適な選択をすることが大切です。

ここでは、インプラント以外の代表的な治療法とその特徴について詳しく解説します。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身に最適な治療法を見つける参考にしてください。

ブリッジ治療

ブリッジは、失った歯の両隣の健康な歯を削って土台とし、人工歯を橋渡しするように固定する治療法です。インプラントと違って骨に埋め込む必要がないため、骨量が少ない場合でも適用できる大きなメリットがあります。また、比較的短期間で治療が完了し、保険適用の場合は費用面でもインプラントより負担が少なくなります。

一方で、ブリッジのデメリットとしては、健康な隣の歯を削る必要があることや、支える歯に負担がかかるため長期的な耐久性がインプラントより劣る点が挙げられます。また、ブリッジの下の歯茎は清掃が難しく、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。

ブリッジのメリット ブリッジのデメリット
骨量が少なくても治療可能 健康な隣在歯を削る必要がある
治療期間が比較的短い 支える歯への負担が大きい
保険適用の場合は費用が抑えられる 清掃性が悪く二次的なトラブルのリスクがある

部分入れ歯

部分入れ歯は、失った歯だけを補う取り外し可能な義歯です。残っている歯に金属のバネをかけて固定するため、歯を削る量が最小限で済むか、場合によっては全く削らずに済むことがメリットです。また、保険適用の場合は費用面でも負担が少なく、幅広い症例に対応できる汎用性の高さも特徴です。

しかし、毎日の着脱や洗浄が必要であり、装着感や違和感を感じる方も少なくありません。また、バネによる固定のため、噛む力がインプラントやブリッジに比べて弱く、発音にも影響が出ることがあります。さらに、長期間使用することで顎の骨が徐々に痩せていき、定期的な調整が必要になります。

部分入れ歯のメリット 部分入れ歯のデメリット
健康な歯を削る量が最小限 着脱の手間と清掃の必要性
保険適用で費用が抑えられる 装着感や違和感がある
幅広い症例に対応可能 噛む力や発音に制限がある

奥歯を失ったままにするリスク

何らかの理由で奥歯の治療を見送り、失ったままにしておくという選択肢もあります。特に見た目に影響がない場合や、他の奥歯でしっかり噛めるような場合には、治療を先延ばしにする方もいらっしゃいます。

しかし、奥歯を失ったままにすると、残っている歯に過度な負担がかかり、歯の寿命を縮める原因になります。また、失った部分の骨が徐々に痩せていき、将来インプラント治療を検討する際により複雑な処置が必要になることもあります。さらに、噛み合わせのバランスが崩れることで、顎関節症などの問題が生じるリスクも高まります。

奥歯は前歯に比べて目立たないため放置されがちですが、咀嚼機能の維持や全身の健康のためにも、適切な治療を検討することをお勧めします。

金属床義歯やノンクラスプデンチャー

従来の部分入れ歯の欠点を改善した選択肢として、金属床義歯やノンクラスプデンチャー(バネのない入れ歯)があります。金属床義歯は、床(歯茎の部分)にチタンやコバルトクロムなどの金属を使用することで、強度を保ちながら薄く作ることができます。

金属床義歯は熱伝導性が良いため、食べ物の温度を感じやすく、違和感が少ないという特徴があります。一方、ノンクラスプデンチャーは、金属のバネの代わりに弾力性のある樹脂を使用するため、見た目が自然で装着感も良好です。どちらも従来の部分入れ歯よりも快適性が高いですが、保険適用外となるため費用面での負担が大きくなります。

義歯のタイプ 特徴 適応
金属床義歯 薄くて強度が高い、熱伝導性が良い 違和感を少なく、長期使用したい場合
ノンクラスプデンチャー 見た目が自然、装着感が良好 審美性を重視する場合
従来の部分入れ歯 費用が抑えられる、調整が容易 費用面を重視する場合

奥歯のインプラント治療を成功させるポイント

奥歯のインプラント治療には様々な難しさがありますが、適切な準備と対応により、成功率を高めることが可能です。ここでは、奥歯のインプラント治療を成功させるための重要なポイントについて解説します。

治療前の準備段階から治療後のメンテナンスまで、成功のカギとなる要素を理解し、より良い治療結果を目指しましょう。

経験豊富な歯科医師の選択

奥歯のインプラント治療は技術的に難易度が高いため、経験豊富な歯科医師を選ぶことが何よりも重要です。インプラント治療の実績数や成功率、専門的な研修や資格の有無などを確認し、信頼できる歯科医師を選びましょう。また、3D CTスキャンなどの先進的な診断機器を備えているクリニックであれば、より精密な治療計画を立てることができます。

初診時のカウンセリングで、医師がどれだけ丁寧に説明してくれるか、患者の疑問や不安に対してどのように対応してくれるかも、医師選びの重要な判断材料となります。複数のクリニックを比較検討することで、自分に合った歯科医師を見つけることができるでしょう。

詳細な検査と適切な治療計画

成功するインプラント治療の基盤となるのが、詳細な検査と適切な治療計画です。CTスキャンによる骨量や骨質の評価、顎関節の状態、噛み合わせの分析など、多角的な検査を行うことで、潜在的なリスクを事前に把握し、対策を講じることができます

また、治療計画では、インプラントの本数や埋入位置、角度、上部構造(人工の歯)のデザインなど、細部まで検討する必要があります。特に奥歯は強い咬合力がかかるため、力学的な観点からも慎重な計画が求められます。計画段階で十分な時間をかけることが、結果的に治療の成功につながります。

術前の口腔内環境の改善

インプラント治療の成功率を高めるためには、術前の口腔内環境を整えることが重要です。歯周病や虫歯などの感染症は、インプラント周囲炎のリスク要因となるため、事前に治療しておく必要があります。また、喫煙習慣がある方は、できれば禁煙することが望ましいでしょう。

歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合は、ナイトガードの使用や、場合によっては咬合治療を行うことで、インプラントへの過度な負担を防ぐことができます。全身疾患がある方は、主治医との連携も重要です。特に糖尿病がある場合は、血糖コントロールを良好に保つことが治癒過程に大きく影響します。

徹底したメンテナンスと定期検診

インプラント治療の成功は、手術で終わるわけではありません。長期的な成功のためには、日々のセルフケアと定期的な専門的メンテナンスが不可欠です。インプラント周囲炎は天然歯の歯周病よりも進行が早く、一度発症すると治療が難しいため、予防が何よりも重要です

毎日の丁寧な歯磨きに加え、歯間ブラシやフロスなどの補助用具を使用して、インプラント周囲を清潔に保ちましょう。また、3〜6ヶ月ごとの定期検診を受け、プロフェッショナルクリーニングやレントゲン検査を通じて、早期にトラブルを発見・対処することが大切です。

まとめ

奥歯のインプラント治療は、手術スペースの制約や骨量不足、強い噛む力、細菌感染リスクなどの理由から、前歯に比べて難しい側面があります。しかし、「インプラントができない」と言われた場合でも、骨造成術やショートインプラント、傾斜埋入技術などの対処法により、多くのケースで治療が可能になっています。

もし奥歯のインプラントが難しい場合は、ブリッジや部分入れ歯、金属床義歯などの代替治療法も選択肢として検討できます。それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあるため、ご自身の状態や希望に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

今本院長

日本歯科札幌 院長 今本 芳彦

北海道出身。
卒後、自由診療専門のクリニックで研鑽を積む。
10年間、自由診療専門のクリニックで院長として活躍。
北海道でトップクラスのインプラント実績を誇る。
他にもマウスピース矯正、審美治療を得意とする。

この記事の監修

日本歯科静岡 院長 戸田 紀章

静岡県出身。
卒後、埼玉医科大学口腔外科で研鑽を積む。
その後、静岡歯科で10年間研鑽を積んだ後、日本歯科静岡の院長に就任。
静岡県トップクラスのインプラント治療実績を持つ。
審美治療やマウスピース矯正も得意とする。

この記事の監修

早川理事長

日本歯科グループ 代表 早川 好昭

東京都出身。
静岡県で静岡歯科を開業。
高度先進歯科医療クリニックとして日本歯科グループを開設。
同グループとして静岡歯科、日本歯科札幌、日本歯科静岡、日本歯科名古屋などがある。
日本歯科グループの代表として全てのクリニックを統括。

この記事の監修

稲津副院長

日本歯科名古屋 院長 稲津 由美子

大手歯科グループの院長として長年活躍。
その後静岡歯科の副院長として8年間研鑽を積み、日本歯科名古屋の院長に就任。
女性歯科医師として全国でトップクラスのインプラント実績を持つ。
マウスピース矯正と審美治療を得意とする。