マウスピース矯正は、目立たない・取り外しができるなど多くのメリットがある矯正方法です。しかし、「痛みが心配…」と治療をためらっている方も多いようです。実際のところ、マウスピース矯正にも痛みはあります。ただし、どの程度痛むのか、どう対処すればいいのかを知っておけば、安心して治療を続けられます。
本記事ではマウスピース矯正の痛みについて、いつ痛くなるのか、どうすれば痛みを抑えられるのかを説明します。
マウスピース矯正で痛みが生じる原因
まず、マウスピース矯正で痛みが生じる主な原因について理解しておきましょう。なぜ痛みを感じるのか知ることで、不安も軽減されます。
歯を動かす過程で生じる痛み
マウスピース矯正は、歯を少しずつ動かしていく治療です。この過程では、以下のようなメカニズムで痛みが生じます。
- マウスピースで歯に圧力をかけて動かす
- 圧力がかかった側の歯根周囲の骨が吸収される
- 反対側では新しい骨が形成される
- 周囲組織に炎症が起き、痛みを感じる
痛みは歯が正しい位置に移動している証拠であり、矯正治療が効果的に進んでいるサインでもあります。ただし、過度な痛みが続く場合は担当医に相談することが大切です。
新しいマウスピースへの交換時
マウスピース矯正では、通常1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。この際に特に痛みを感じやすくなります。
- 新しいマウスピースは次の段階の歯の位置に合わせて作られている
- 現在の歯の位置と新しいマウスピースとの間にずれが生じる
- このずれによって歯に強い力がかかり、装着直後は特に痛みを感じる
新しいマウスピースへの交換直後は最も痛みを感じやすく、多くの患者さまが「締め付けられるような痛み」や「圧迫感」を報告しています。
物理的な刺激による不快感
マウスピース自体による物理的な刺激も、不快感の原因となります。
- マウスピースの縁が口腔内の粘膜に当たる
- 装置のわずかな凹凸が舌や頬の内側を刺激する
- 取り外しの際に歯や歯茎が引っ張られる
これらは痛みというより違和感として感じることが多く、特に始めたばかりの時期に気になります。
マウスピース矯正の痛みはいつがピーク?どのくらい続くのか?
マウスピース矯正における痛みには一定のパターンがあります。あらかじめ知っておくと安心して治療を受けられます。
痛みの経過
期間 | 痛みの状態 | 特徴 |
---|---|---|
装着直後〜24時間 | 痛みが出始める | 圧迫感や違和感を感じ始める時期 |
装着後2〜3日 | 痛みのピーク | 最も強く痛みを感じる時期 |
装着後4〜5日 | 痛みが徐々に和らぐ | 体が慣れ始め、不快感が減る |
装着後1週間〜 | ほぼ慣れる | 違和感はあっても痛みはかなり軽減 |
新しいマウスピースに替えてから2~3日が最も痛みを感じやすく、この時期を過ぎると徐々に痛みが和らいでいくことが多いようです。
個人差がある痛みの感じ方
痛みの感じ方には大きな個人差があります。痛みの感じ方に影響する主な要因には、次のようなものがあります。
- 痛みに対する敏感さ
- 歯をどれだけ、どのくらいの速さで動かすか
- 治療前の歯並びの状態
- 年齢(若い方が歯が動きやすい)
特に歯の動きが大きい治療初期や、大きな移動が必要な時期には痛みを強く感じる傾向があります。
マウスピース矯正の痛みを軽くするための工夫
痛みがあるとはいえ、様々な方法で緩和することができます。ここでは、実際に効果のある対処法をご紹介します。
鎮痛剤の適切な使用
新しいマウスピースに交換した直後など、痛みが強い時期には市販の鎮痛剤が役立ちます。
- アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど)の使用を検討
- 用法・用量を守って一時的に使用する
- 長期間連続して使用することは避ける
- 胃腸への負担が少ない種類を選ぶ
鎮痛剤は痛みのピークを乗り切るための一時的な手段として活用し、習慣的な使用は避けましょう。使用前に歯科医師に相談するのが理想的です。
柔らかい食べ物を選ぶ
痛みがある期間は、咀嚼による刺激を最小限にする食事を心がけましょう。
- おかゆ、豆腐、ヨーグルトなどの柔らかい食品
- スープやシチューなど液状の食事
- 極端に冷たいものや熱いものは避ける
- 食べやすい大きさに切り分ける
痛みが強いときは、食べ物を工夫するだけでもかなり楽になることがあります。
冷却療法(アイシング)
冷やすことで、痛みや腫れを抑えることができます。
- 氷嚢や冷えたタオルを頬に当てる
- 冷やしたスプーンで頬を押さえる
- 冷たい水で軽くうがいする
冷却療法は特に新しいマウスピースに交換した直後の炎症や痛みを軽減するのに効果的で、腫れや不快感を和らげる即効性があります。
歯茎マッサージ
指や専用の道具で優しくマッサージすると、血行が良くなり痛みが和らぐことがあります。
- 指やガーゼで歯茎を優しく円を描くようにマッサージ
- 電動歯ブラシを低速モードで歯茎に軽く当てる
- 強い刺激は避け、痛みを感じない程度の力加減で行う
歯茎マッサージは血行を促進することで、治りが早くなって痛みも減る可能性があります。特に就寝前のリラックスした時間に行うと効果的です。
装着タイミングの工夫
痛みへの対応として、マウスピースを付けるタイミングを工夫することもできます。
- 新しいマウスピースは就寝前に交換する
- 睡眠中は痛みを強く意識しにくい
- 痛みのピークを睡眠時間と重ねることができる
多くの矯正歯科医が推奨するこの方法で、痛みを感じにくくすることができます。
痛みを前向きに捉えるために知っておきたいこと
マウスピース矯正に伴う痛みは、多くの患者さまが経験する自然な現象です。しかし、それを「不安材料」としてではなく「矯正が進んでいるサイン」として捉えることで、気持ちが前向きになり、治療へのストレスも軽減されます。
痛みを過剰に恐れないための考え方
マウスピース矯正の痛みを過剰に恐れると、治療自体に対してネガティブなイメージを持ってしまいがちです。しかし、矯正中に感じる痛みは一時的であり、多くの場合は2〜3日以内に落ち着いていきます。むしろ、痛みがあるということは、歯がしっかりと動いている証拠ともいえます。
美しい歯並びを手に入れるための過程と考え、痛みを「変化のサイン」として前向きに受け止めることが大切です。また、少しの違和感や不安でも、遠慮せずに歯科医院に相談することで、精神的な負担を大きく減らすことができます。
歯科医院との連携で不安を最小限に
マウスピース矯正を安心して進めるためには、歯科医院との連携が欠かせません。痛みが出た際には、自己判断で我慢せず、すぐに担当医に相談することが重要です。痛みの原因が治療過程の一環なのか、別の問題が潜んでいるのかを的確に見極めてもらうことで、早期に適切な対応が可能になります。
また、治療計画や今後の流れについてあらかじめ詳しく説明を受けておくことで、心構えができ、痛みに対する不安も軽減されます。次のマウスピース交換時に再び痛みが出る可能性がある場合も、事前に対処法を確認しておくことで、冷静に対応できるようになります。このように、歯科医院としっかり連携しながら治療を進めることで、痛みに対する不安やストレスを最小限に抑えることができるのです。
まとめ
マウスピース矯正において痛みは避けられない部分ですが、その程度は個人差があり、多くの場合は軽度で一時的なものです。新しいマウスピースへの交換後2〜3日がピークとなり、その後は徐々に和らいでいきます。
過度な痛みや長期間続く痛みは正常ではないため、そのような場合は担当医に相談することが重要です。また、痛みがあっても決められた時間はしっかり付けましょう。そうすることで治療期間が短くなり、痛みの期間も減らすことができます。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのマウスピース矯正を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。