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上の歯にインプラントができないと言われたら|原因・骨造成・他の選択肢

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結論:上の歯(上あご)にインプラントができないと言われる主な理由は、骨の量・質の不足、上顎洞(上あごの空洞)との距離、全身の健康状態です。骨を増やす処置や全身状態の改善で治療が可能になる場合もあり、ブリッジや入れ歯という選択肢もあります[2][3]。どの方法が合うかは、CTなどの検査をもとに歯科医師が判断します。

この記事では、上あごのインプラントが難しくなる理由、治療を可能にする方法、インプラント以外の治療法、相談するときのポイントを順に解説します。

上の歯にインプラントができないと言われる3つの理由

上あごの骨は下あごと性質が異なり、インプラントを支える条件がそろわないことがあります。

理由1:骨の量・質が足りない

上あごの骨は下あごに比べて柔らかい部分(海綿骨)の割合が多く、インプラントを固定しにくい傾向があります。上あごの奥歯の部分では、骨が薄く質も十分でないためにインプラントの埋入が難しい症例が報告されています[5]。

  • 歯を失ってからの期間が長いほど、骨がやせて(吸収して)いく
  • 前歯の部分では、骨の幅が狭くなりやすい
  • 奥歯の部分では、上顎洞があるため骨の高さを確保しにくい

あごの骨の状態によっては、インプラント治療ができない場合があります[2]。

理由2:上顎洞(上あごの空洞)との距離

上の奥歯の根の上には、上顎洞という空洞があります。歯を失うと骨がやせ、上顎洞までの骨の高さが足りなくなることがあります。

骨の高さが足りないままインプラントを入れると、上顎洞を傷つけるおそれがあります。上顎洞への穿孔(穴があくこと)は、インプラント手術で起こりうる合併症の一つです[1]。

理由3:全身の病気や生活習慣

全身の健康状態は、治療ができるかどうかや治り方に大きく関わります[1]。

  • 糖尿病:コントロールが不十分だと、感染やインプラントの失敗が起こりやすくなります[1]。
  • 心臓の病気:重い心疾患がある場合は、治療できないことがあります[2]。
  • 喫煙:治りを遅らせ、インプラントの長期的な安定を損なう可能性があります[1]。治療中とメンテナンス中は禁煙が必要です[2]。
  • 骨粗しょう症などのお薬:骨吸収抑制薬(ビスホスホネート製剤やデノスマブなど)を使っている方は、まれにあごの骨の壊死(薬剤関連顎骨壊死)が起こることがあります[4]。

骨粗しょう症のお薬については、以前は外科処置が大きなリスクとされていました。現在は、日ごろのお口の清潔が重要とされ、外科処置は禁忌(してはいけないこと)ではないという考えが主流です[4]。自己判断で薬をやめず、必ず主治医と歯科医師に相談してください。

上の歯のインプラントを可能にする方法

原因に応じた前処置を行うことで、インプラント治療ができるようになる場合があります。

骨造成(骨を増やす処置)

骨の量が足りない部分に、人工骨やご自身の骨を補って骨を増やす処置です。

  • GBR(骨誘導再生法):特殊な膜で骨の再生を促す方法。数か月後にインプラントを入れられるようになります。
  • リッジエキスパンジョン:骨の幅を広げる方法
  • ベニアグラフト:薄い板状の骨を移植して骨を補う方法

骨造成は、インプラント埋入の前段階として行われることがあります[6]。必要かどうかは検査で判断し、すべての方に必要なわけではありません[6]。

サイナスリフト・ソケットリフト

上顎洞の底の粘膜を持ち上げ、その下に骨を補う処置です。上あごの奥歯の部分で骨が薄い場合に、自分の骨の移植などを併用して行われます[5]。

方法 アプローチ 主な対象
サイナスリフト(ラテラルアプローチ) 上あごの側面から 残っている骨が少ない場合
ソケットリフト(クレスタルアプローチ) インプラントを入れる穴から ある程度骨が残っている場合

処置の後、3〜6か月程度の治癒期間を経てインプラントを入れるのが一般的な流れです。どちらの方法が適するかは、残っている骨の量によって歯科医師が判断します。

全身の状態を整える

全身の病気が理由の場合は、まず病気のコントロールを優先します。

  • 糖尿病の方は、主治医と連携して血糖をコントロールする
  • 骨粗しょう症などの薬を使っている方は、主治医と歯科医師で情報を共有する[4]
  • 喫煙している方は、治療の前後を通じて禁煙する[2]
  • 歯周病がある方は、先に歯周病の治療を行う

骨造成やインプラントの注意点

インプラントや骨造成は自由診療で、費用は全額自己負担になります[2]。日本歯科グループの骨造成の費用は、GBR(上顎や下顎の骨が少ない場合)10万円、サイナスリフト(上顎の骨が特に薄い場合)15万円です。インプラント本体は1本あたりバイオテム15万円〜、ネオデント25万円〜、ストローマン35万円〜(上部構造が銀・プラスチックの場合、レントゲン・CTスキャン・手術代込み)です(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。詳しくは日本歯科グループのインプラント治療ページをご覧ください。初回相談は0円です。

  • 標準的な期間:インプラントのみで数か月、骨造成を伴う場合はさらに数か月延びる
  • 主なリスク:腫れ・痛み、感染、上顎洞の損傷、神経の損傷によるしびれ、インプラントのゆるみ・脱落など[1]
  • インプラント部分の再治療は難しい[2]

インプラント以外の治療法

インプラントが難しい場合や希望しない場合は、ブリッジや入れ歯で歯を補えます。

ブリッジ

失った歯の両隣の歯にかぶせ物を付け、間に人工の歯をつなげて固定する方法です[3]。

  • 取り外しの必要がなく、比較的短い期間で治療できる
  • セラミックを使えば見た目を自然に近づけられる(自由診療)
  • 健康な歯を削る必要があり、支えの歯に負担がかかる

部分入れ歯・総入れ歯

取り外し式の人工の歯で失った歯を補う方法です。多くの歯を補う必要があり、ブリッジやインプラントが使えない場合にも選べます[3]。

  • 骨の量や全身の状態にかかわらず使いやすい
  • 上あごの総入れ歯は、上あご(口蓋)への吸着を利用して安定させる
  • 金属のバネを使わない部分入れ歯(ノンクラスプデンチャー)もある(自由診療)
  • 歯を失ったままにすると骨がやせ、入れ歯が合わなくなることがある[3]

治療法の比較

治療法 治療期間の目安 特徴 主な注意点
インプラント 3〜6か月程度(骨造成で延長) 周りの歯を削らない 手術が必要・自由診療・期間が長い[2]
ブリッジ 2〜4週間程度 固定式で取り外し不要[3] 両隣の歯を削る
入れ歯 4〜8週間程度 多くの歯を補える[3] 取り外して手入れが必要

どの治療にも長所と短所があります。年齢、生活スタイル、お口の状態、費用などを踏まえ、歯科医師と十分に相談して決めましょう。

診断に迷ったときの相談のポイント

診断の理由や説明に納得できないときは、セカンドオピニオン(別の歯科医師の意見)を聞くことも一つの方法です。

相談の前に確認しておきたいこと

  • どの部分の骨が、どの程度足りないと言われたか
  • CT撮影など、立体的な画像で検査を受けたか
  • 持病や服用中のお薬(お薬手帳)

医院を選ぶときのポイント

  • 検査結果をもとに、治療法ごとの利点とリスクを説明してくれるか
  • インプラント以外の選択肢も含めて提案してくれるか
  • 治療後のメンテナンスやトラブル時の対応体制があるか
  • 費用と期間の見通しを事前に示してくれるか

よくある質問

上の歯は下の歯よりインプラントが難しいのですか?

上あごの骨は柔らかい部分が多く、奥歯の上には上顎洞があるため、条件がそろわないことがあります。ただし、すべての方が難しいわけではありません。骨の状態はCTなどの検査で確認して判断します。

サイナスリフトをすれば必ずインプラントができますか?

サイナスリフトで骨の高さを補える場合もありますが、結果は骨の状態や全身状態によって異なります。処置後は3〜6か月程度の治癒期間が必要です。適応かどうかは検査をもとに歯科医師が判断します。

骨粗しょう症の薬を飲んでいてもインプラントはできますか?

お薬の種類や使用期間、全身の状態によって判断が異なります。現在は、外科処置は禁忌ではないという考えが主流ですが、まれに顎骨壊死が起こることがあります。自己判断で休薬せず、主治医と歯科医師にご相談ください。

インプラントができない場合、何を選べばよいですか?

主な選択肢はブリッジと入れ歯です。ブリッジは固定式ですが両隣の歯を削ります。入れ歯は多くの歯を補えますが、取り外して手入れが必要です。お口の状態とご希望をもとに一緒に検討します。

まとめ

上の歯にインプラントができないと言われる主な理由は、骨の量・質、上顎洞との距離、全身の状態です。骨造成やサイナスリフト、全身状態の改善で可能になる場合もあり、ブリッジや入れ歯という選択肢もあります。

日本歯科グループでは、検査結果をもとに、インプラント以外の方法も含めて患者さまのご希望に沿った治療計画をご提案しています。診断に迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。

参考情報

  1. U.S. Food and Drug Administration「Dental Implants: What You Should Know」
  2. 山形県口腔保健支援センター「入れ歯・ブリッジ・インプラントの違い(青年期・壮年期シリーズvol.5)」
  3. MSDマニュアル プロフェッショナル版「歯科補綴物」
  4. 全国健康保険協会 佐賀支部「歯科コラム 第15回:薬剤関連顎骨壊死について」
  5. 日本口腔インプラント学会誌 10巻1号「上顎洞底挙上術(サイナスリフト)を行った3症例」(1997年)
  6. Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust「Dental implants service」