結論:インプラントがあっても入れ歯は作れます。インプラントを支えにして入れ歯を固定する「インプラントオーバーデンチャー」という方法もあります。インプラントと入れ歯を留め具(アタッチメント)でつなぐことで、入れ歯の安定を助ける仕組みです[1]。ただし、手術や定期的なメンテナンスが必要で、お口や全身の状態によって適さない場合もあります。
この記事では、インプラントに入れ歯をかける治療の仕組み、通常の入れ歯との違い、注意点、治療の流れ、費用とケアについて、静岡歯科が解説します。
インプラントに入れ歯をかける治療(オーバーデンチャー)とは
インプラントオーバーデンチャーは、あごの骨に埋めたインプラントを土台にし、その上に取り外し式の入れ歯を留め具で固定する治療法です。
2000年ごろから研究が大きく進み、下あごに2本のインプラントを使うオーバーデンチャーは確立された方法とされています[1]。このほか、本数や留め具の種類によってさまざまな方法があり、上あごのオーバーデンチャーや、部分入れ歯にインプラントを組み合わせる方法も広がっています[1]。
こんな方が検討できます
- すでにインプラントがあり、ほかの歯を失って入れ歯が必要になった方
- 通常の入れ歯がずれやすく、安定感に不満がある方
- 固定式のインプラントの清掃が難しくなり、取り外せる形を検討したい方
すでにあるインプラントを支えに使えるかどうかは、本数・位置・周りの組織の状態などを検査して判断します。
オーバーデンチャーの仕組み
インプラント側の留め具と入れ歯側の受け手をつなぐことで、入れ歯が動きにくくなります。
留め具(アタッチメント)の種類
留め具には、ボール型、ロケーター型、磁石を使う型、バー型などがあります[1][2]。種類によって、インプラントや歯ぐきへの力のかかり方が異なることが研究で示されています[2]。どれが適しているかは、お口の状態をもとに歯科医師が選びます。
通常の入れ歯との違い
| 項目 | 通常の入れ歯 | インプラントオーバーデンチャー |
|---|---|---|
| 支え | 歯ぐき(と残っている歯) | インプラントと歯ぐき |
| 安定 | ずれやすいことがある | 留め具で固定され、安定を助ける[1] |
| 手術 | 原則不要 | インプラントを埋める手術が必要(既存のものを使える場合を除く) |
| 取り外し | できる | できる |
| 手入れ | 入れ歯の清掃 | 入れ歯に加え、インプラントと留め具の清掃 |
期待できること
入れ歯が安定することで、食事や会話のときのずれや外れへの不安が軽くなることが期待できます。
- 入れ歯が動きにくくなり、噛みやすさの改善が期待できる
- 話すときに入れ歯が浮きにくくなる
- 取り外して清掃できる
- 固定式のインプラントより、少ない本数で計画できる場合がある[1]
効果の感じ方には個人差があり、お口の状態によって結果は異なります。
治療前に知っておきたい注意点
オーバーデンチャーには外科手術と定期的なメンテナンスが必要で、すべての方に適しているわけではありません。
- 手術が必要:新たにインプラントを埋める場合は手術を行います。持病や服用中のお薬、喫煙などの状況によっては、慎重な検討が必要です。
- 治療期間がかかる:インプラントが骨と結合するまで待つ期間が必要です。その間は仮の入れ歯を使うことがあります。
- インプラント周囲炎のリスク:インプラントの周りに炎症が起こることがあり、歯周病の既往、喫煙、糖尿病、清掃不良がリスク因子として検討されています[4]。
- 部品の調整・交換が必要:使ううちに留め具がゆるんだり、入れ歯が合わなくなったりします。学会の見解でも、入れ歯の調整や裏打ち(裏装)、人工歯の交換、留め具の調整などがメンテナンスの内容として挙げられています[3]。
治療の流れ
治療は、検査・計画、手術、治癒期間、入れ歯の製作、装着、メンテナンスの順に進みます。
- 検査・治療計画:お口の検査、レントゲンやCTで骨の状態を確認し、インプラントの本数・位置、留め具の種類を決めます。骨が足りない場合は、骨を補う処置が必要になることもあります。
- インプラントの手術:局所麻酔でインプラントを埋めます。手術後に一時的な腫れや痛みが出ることがあります。
- 治癒期間:インプラントが骨と結合するのを待ちます。期間は骨の状態などで異なります。
- 型取り・製作:型取りをして入れ歯を作り、試しに入れて噛み合わせや装着感を確認します。
- 装着・指導:入れ歯を装着し、着脱の方法や清掃方法をお伝えします。
- 定期メンテナンス:インプラントの周り、留め具、入れ歯の状態を定期的に確認します[3]。
費用について
インプラントオーバーデンチャーは自由診療(保険適用外)です。費用は、インプラントの本数、留め具の種類、骨を補う処置の有無などで変わるため、医院にお問い合わせください。
見積もりを受けるときは、検査、手術、留め具、入れ歯の製作、仮の入れ歯、将来の部品交換や調整の費用を分けて確認しましょう。
なお、保険がきかない治療でも、一般的な水準を著しく超えるものでなければ医療費控除の対象になるとされています[5]。デンタルローンなどを利用した場合の扱いも国税庁のページで案内されています[5]。詳しくは税務署などにご確認ください。
治療後のケアとメンテナンス
オーバーデンチャーを長く使うには、入れ歯・留め具・インプラントの周りの3つを毎日清掃し、定期的に歯科医院で確認を受けることが大切です。
毎日のケア
- 入れ歯を外して、ブラシで清掃する
- 入れ歯側の留め具の部分も、汚れを残さないように洗う
- インプラントの周りの歯ぐきは、やわらかい歯ブラシでやさしく磨く
定期メンテナンス
メンテナンスでは、インプラントの周りの炎症、骨の状態、留め具のゆるみ、入れ歯の合い具合や噛み合わせなどを確認します[3]。間隔の目安は、問題のない方で4〜6か月ごと、リスクが高い方で1〜3か月ごととされています[3]。留め具の部品は、すり減りに応じて交換が必要になります。
インプラント治療について知っておきたいこと
- 標準的な治療内容:検査・診断、インプラントを埋める手術、骨との結合を待つ期間、入れ歯の製作・装着、定期メンテナンス。
- 期間・回数の目安:一般に数か月から1年程度、通院は複数回です。骨の量や治療計画により異なります。
- 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・内出血、インプラント周囲炎、骨と結合しない、留め具のゆるみや部品の破損、入れ歯の不適合などがあります。
- 費用:自由診療(全額自己負担)です。参考として、日本歯科グループのインプラントは1本あたりバイオテム15万円〜、ネオデント25万円〜、ストローマン35万円〜(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)で、レントゲン・CTスキャン・手術代を含みます。入れ歯部分を含むオーバーデンチャーの総額は本数や設計により異なるため、詳しくは各院にお問い合わせください。
よくある質問
すでにあるインプラントを、入れ歯の支えに使えますか?
使える場合があります。ただし、インプラントの本数や位置、周りの歯ぐきや骨の状態、部品が合うかどうかを検査して判断します。インプラントの製品名や治療の記録があれば、受診時にお持ちください。
オーバーデンチャーには何本のインプラントが必要ですか?
お口の状態や留め具の種類によって異なります。下あごでは2本のインプラントを使う方法が確立された方法とされていますが、本数は検査結果とご希望をふまえて歯科医師が提案します。
オーバーデンチャーは自分で取り外せますか?
はい、取り外し式の入れ歯なので、ご自身で外して清掃できます。入れ歯に加えて、インプラントの周りと留め具の部分も毎日清掃することが大切です。
留め具は交換が必要ですか?
使ううちにすり減ったりゆるんだりするため、状態に応じて調整や交換が必要です。定期メンテナンスで留め具と入れ歯の合い具合を確認します。
まとめ
インプラントがあっても入れ歯は作れます。インプラントを支えにして入れ歯を留め具で固定するオーバーデンチャーは、入れ歯の安定を助ける方法の一つで、下あごに2本のインプラントを使う方法は確立された方法とされています。
一方で、手術や治療期間、インプラント周囲炎のリスク、留め具の調整・交換といった注意点もあります。お口の状態やご希望に合わせて、ほかの方法とも比べながら歯科医師とご相談ください。
静岡歯科では、インプラント治療の初回相談を0円で行っています。治療内容・期間・費用・リスクをご説明し、ご納得いただいてから治療を進めます。詳しくは日本歯科グループのインプラント治療のページをご覧のうえ、お気軽にご相談ください。