インプラント治療を受けた後、「高さが合わない」「噛み合わせに違和感がある」といった症状を感じる方は珍しくありません。せっかく治療を受けたのに、インプラントの高さが合わないと不安になるものです。インプラントの高さが合わない原因はさまざまですが、多くの場合は適切な処置で改善できます。
この記事では、インプラントの高さが合わない原因から、具体的な対処法、再調整の流れまで詳しく解説していきます。正しい知識を身につけて適切な対応を取りましょう。
インプラントの高さが合わない原因
インプラント治療後に高さの違和感が生じる原因は複数考えられます。まずは、どのような要因が関係しているのか理解することが重要です。
補綴物装着時のズレや位置不良
最も多い原因は、上部構造(クラウンやブリッジ)装着時の微細なズレです。インプラント体と補綴物の接続部分であるアバットメントの角度や高さが適切でない場合、最終的な歯の高さが周囲の天然歯と合わなくなってしまいます。
特に奥歯では咬合力が強いため、わずかにインプラントの高さが合わないだけでも大きな違和感を生じます。また、複数本のインプラントを同時に行った場合、それぞれの高さを正確に調整することは技術的に難しく、微調整が必要になるケースもよくあります。
型取り時のエラーや技工作業の精度
インプラント治療では、最終的な補綴物を作製するために精密な型取りが必要です。この工程で不正確な型が採得されると、高さが合わない補綴物が完成してしまいます。
歯科技工所での作業精度も重要な要素で、設計・製作過程での微細な誤差がインプラントの高さが合わない原因となります。デジタル技術が普及した現在でも、完全に誤差をなくすことは困難で、臨床での微調整が必要な場合があります。
骨結合不足や歯肉の変化による影響
インプラント体と顎骨の結合が不十分な場合、インプラント自体が微動してインプラントの高さが合わない状態になる可能性があります。また、治療後の歯肉の治癒過程で腫れが引いたり、歯肉のラインが変化したりすることで、相対的にインプラントの高さが合わないと感じることもあります。
さらに、隣接する天然歯の状態変化も影響します。歯周病の進行や虫歯治療による歯の形態変化により、インプラントとの高さの関係が変わることで違和感が生じる場合があります。
インプラントの高さが合わないことで現れる症状
インプラントの高さが合わない場合、さまざまな症状や問題が現れます。これらの症状を放置すると、より深刻な問題に発展する可能性があります。
噛み合わせの違和感と咀嚼機能の低下
インプラントの高さが合わない場合、まず噛み合わせ時の違和感として現れます。特定の部位だけが先に当たったり、逆に浮いた感じがしたりすることで、自然な咀嚼動作が困難になります。
この状態が続くと、無意識のうちに異常な噛み方をするようになり、咀嚼効率が大幅に低下します。食事の際に痛みを感じたり硬いものが噛めなくなることで、食生活の質に影響を与える可能性があります。また、片側だけで噛む習慣がつくと、顎や筋肉のバランスが崩れる原因となります。
顎関節症や全身への影響
インプラントの高さが合わない状態が長期間続くと、顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクが高まります。顎関節症になると、口の開閉時の痛みや音、開口制限などの症状が現れます。
さらに深刻なケースでは、頭痛や肩こり、耳鳴り、めまいなどの全身症状を引き起こすことも報告されています。これは、顎の筋肉の緊張が首や肩の筋肉に波及したり、三叉神経や内耳へも影響するためです。特に耳鳴りは、顎関節と内耳が近いために生じやすい症状として知られています。
心理的ストレスと生活の質への影響
インプラントの高さが合わないことは物理的な問題だけでなく、心理的なストレスも引き起こします。常に口の中に異物感があることで集中力が低下したり、食事を楽しめなくなったりします。
また、人前で食事をすることに抵抗を感じるようになったり、笑顔を作ることに不安を覚えたりするなど、社会生活にも影響を与える可能性があります。高額な費用をかけて行ったインプラント治療が期待通りでないことへの失望感や不信感も、精神的な負担となります。
高さが合わないと感じた時の適切な対処法
インプラントの高さに違和感を感じた場合、自己判断せずに速やかに担当医に相談することが最も重要です。ここでは、具体的な対処法と治療の流れについて説明します。
早期受診の重要性と初期対応
インプラントの高さが合わないという問題は、時間が経過しても自然に改善することはありません。むしろ、インプラントの高さが合わない状態を続けることで、周囲の歯や顎関節への悪影響が拡大する可能性があります。
補綴物の微調整による改善方法
多くの場合、補綴物の研磨や削合による微調整でインプラントの高さが合わない問題を解決できます。高すぎる部分を少しずつ削って調整したり、低い部分にレジンを足す処置が行われます。
この微調整は比較的簡単な処置で、多くの場合1回の通院でインプラントの高さが合わない問題の改善が可能です。ただし、削りすぎると元に戻せないため、慎重に少しずつ調整していきます。調整後は数日から1週間程度経過を観察し、必要に応じて再調整を行います。
根本的な問題の場合の治療選択肢
補補綴物の調整だけではインプラントの高さが合わない問題を解決できない場合、より本格的な治療が必要になります。アバットメントの交換や角度の修正、場合によっては補綴物の作り直しが必要になることもあります。
最も深刻なケースは、インプラント体の位置や角度に問題がある場合です。この場合、インプラントの除去と再埋入を検討する必要があります。再手術の場合、骨の治癒期間を含めて数ヶ月から半年程度の治療期間が必要になることがあります。
再調整にかかる費用と治療期間の目安
インプラントの高さが合わない場合の調整にかかる費用と期間は、問題の程度や必要な処置によって大きく異なります。事前に概算を把握しておくことで、治療計画を立てやすくなります。
調整の程度別費用相場
補綴物の微調整による場合、一般的に数千円から1万円程度の費用で済むことが多いです。これは保険適用外のインプラント治療の一環として扱われることが多く、初期治療費に含まれている場合もあります。
アバットメントの交換や補綴物の作り直しが必要な場合、5万円から15万円程度の追加費用が発生する可能性があります。インプラント体の再埋入が必要な場合は、初回治療と同程度の費用がかかることもあります。
調整内容 | 費用目安 | 治療期間 |
---|---|---|
補綴物の微調整 | 数千円~1万円 | 1回~数回の通院 |
アバットメント交換 | 3万円~8万円 | 2週間~1ヶ月 |
補綴物作り直し | 5万円~15万円 | 1ヶ月~2ヶ月 |
インプラント再埋入 | 20万円~40万円 | 3ヶ月~6ヶ月 |
インプラント治療の保証制度
多くの歯科医院では、インプラント治療に対して一定期間の保証制度を設けています。インプラントの高さが合わない場合の調整や不具合への対応も保証に含まれることが多いため、治療前に保証内容を詳しく確認しておくことが重要です。
信頼できる歯科医院では、治療後のメンテナンスや調整についても責任を持って対応してくれます。セカンドオピニオンを求める場合も、元の医院での治療経過や使用材料の情報を提供してもらうことで、より適切な診断と治療が可能になります。
調整治療期間中の注意点
調整治療中は、硬い食べ物や粘着性の高い食品を避け、治療部位に負担をかけないようにしましょう。また、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、ナイトガードの使用を検討することもあります。
定期的な経過観察も重要で、調整後の違和感や痛みの変化を記録しておくことで、次回の診察時により正確な情報を伝えることができます。不明な点や心配事があれば、遠慮せずに担当医に相談することが大切です。
まとめ
インプラントの高さが合わない問題には、補綴物の微調整から根本的な再治療まで、原因に応じたさまざまな解決策があります。最も重要なことは、インプラントの高さが合わないと感じたらすぐに担当医に相談することです。
多くの場合、比較的簡単な調整で改善が可能ですが、放置すると顎関節症や全身症状のリスクが高まります。治療費用や期間についても事前に十分な説明を受け、納得した上で治療を進めることが大切です。
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