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歯の痛みが急になくなった!痛みが消える原因と歯の中で起こっていること【日本歯科名古屋院長が解説!】

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歯の痛みが突然消えたとき、「治ったのかもしれない」と安心してしまうケースが少なくありません。しかし、歯の痛みが急になくなるということは、実は歯の中で重大な変化が起きている可能性があります。特に虫歯がある状態で痛みがなくなった場合、それは神経が死んでいる兆候かもしれません。神経が死ぬと痛みを感じなくなりますが、問題そのものは解決していないばかりか、さらに悪化して取り返しのつかない状態に進行することもあります。

この記事では、歯の痛みが急になくなる原因と対処法、そして最終的に歯を失った場合のインプラント治療について解説します。

歯の痛みが急になくなる原因

歯の痛みが突然がなくなると、「自然に治った」と思いたくなるものです。しかし、そのほとんどは問題が解決したわけではなく、むしろ状況が悪化している可能性があります。

歯の痛みが急に消える現象は、実はさまざまな理由で起こります。その中には一時的なものから、より深刻な問題を示すものまであります。正しい対応をするためには、まず原因を理解することが大切です。痛みがなくなる原因にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。

神経(歯髄)の死滅

歯の痛みが急になくなる最も一般的な原因が神経の死滅です。虫歯が進行して神経まで達すると、最初は強い痛みを感じます。しかし、やがて神経が完全に死んでしまうと痛みを感じなくなります。これは痛みを感じる神経組織そのものが死滅するためです。神経が死ぬと痛みは一時的になくなりますが、これは治ったのではなく、むしろ症状が進行している証拠であり、早急な歯科治療が必要です。

神経が死滅する過程は次のようになります。初期の虫歯では、歯の表面に穴が開いて冷たいものや甘いものがしみる知覚過敏の症状が現れます。虫歯がさらに進行して神経に近づくと、自然に痛みだしたり(自発痛)、何かの刺激で痛む(誘発痛)ようになります。そして最終的に細菌感染が神経まで達すると、神経組織が壊死して痛みがなくなります。

一時的に痛みが和らぐ場合

歯の痛みは常に一定ではなく、体調や環境によって変動することがあります。例えば、免疫力が高まったり、口内環境が一時的に改善したりすると、歯の痛みが和らぐことがあります。また、気温の変化や食事内容によっても歯の痛みの感じ方は変わります。

特に睡眠や休息をとることで一時的に痛みが和らぐケースも多いです。しかし、これは根本的な問題が解決したわけではありません。多くの場合、再び痛みが戻ってくることになります。このような痛みの強弱は、虫歯が進行する過程でよく見られます。

痛みの閾値の変化

同じ刺激でも、それを痛みとして感じる度合いは人によって異なります。これを「痛みの閾値(しきいち)」と呼びます。この感じ方は精神状態やストレス、疲れ具合などで変化します。仕事や家事で忙しい時は痛みをあまり感じなくても、リラックスしている時に痛みを強く感じることがあるのはこのためです。

また、長く同じ痛みが続くと、脳がその痛みに「慣れて」感じにくくなることがあります。これは歯の痛みに限らず、慢性的な痛みでよく見られる反応です。歯の痛みを感じなくなったからといって、問題が解決したわけではないことを理解しておく必要があります。

歯の自然な修復による一時的な改善

歯には限定的ですが自己修復能力があります。初期の虫歯であれば、唾液に含まれるミネラル成分によって再石灰化が起こり、一時的に症状が改善することがあります。また、象牙質には「第二象牙質」と呼ばれる防御機構があり、軽度の刺激に対しては保護層を形成して痛みを和らげることができます。

しかし、この自然な修復力には限界があります。大きな虫歯や深い損傷に対しては効果がなく、一時的な改善の後に症状が悪化することがほとんどです。特に神経に近い深い虫歯の場合、自然に治るのを待つのは危険です。

歯の痛みが急になくなる際に起こること

歯の痛みが急になくなる場合でも安心はできません。特に神経が死滅した場合、その後さまざまな問題が発生する可能性があります。歯の痛みが急になくなるときに歯の中で実際に起きていることを理解しましょう。

痛みという体からの警告がなくなることで、多くの人が問題が解決したと誤解してしまいます。しかし、歯の中では静かに、しかし確実に状態が悪化していることがあります。その進行過程を詳しく見ていきましょう。

根尖病巣(こんせんびょうそう)の形成

神経が死滅した後、細菌は根管(歯の根の中の空洞部分)に残り続けます。そして徐々に根の先端(根尖)から顎の骨の中へと感染が広がります。このとき根の先に炎症を起こした部分が形成されます。初期の根尖病巣は無症状のことが多く、レントゲン検査でしか発見できないケースも少なくありません。放置すると骨の吸収が進み、最終的には歯を支えられなくなることもあります。

根尖病巣の形成過程は次のようになります。まず神経が死滅した根管内で細菌が増殖します。これらの細菌や毒素が根の先から周囲の骨組織に漏れ出すと、歯の痛みが急になくなるときでも体は防御反応として炎症を起こします。炎症によって骨が溶かされ、歯の痛みが急になくなる状態のままその部分に柔らかい組織が形成されます。これが根尖病巣です。

膿瘍(のうよう)の形成と急性症状

根尖病巣が進行すると、感染部位に膿が溜まり、歯根膿瘍を形成することがあります。膿瘍が形成されると、それまで痛みがなかったのに突然強い痛みや腫れ、発熱などの症状が現れます。これは症状が「急性化」した状態で、痛みがなかった時期から一転して強い症状が出ることが特徴です。

膿瘍ができると、体はその膿を排出しようとします。その結果、頬の内側や歯茎に小さな穴(瘻孔/ろうこう)ができて膿が出てくることがあります。これによって一時的に症状が緩和することもありますが、根本的な治療にはなりません。また、まれに膿が顔面や首の組織に広がって重症化することもあります。(蜂窩織炎、ほうかしきえん)

歯の変色と脆弱化

神経が死んだ歯は、時間の経過とともに変色することがあります。通常は灰色や茶色、黒っぽく変化していきます。これは神経が死ぬ過程で出る物質や、血液の成分が歯に染み込むためです。

また、生きた歯と比べて栄養供給がなくなるため、歯が徐々に脆くなります。その結果、健康な歯に比べて割れやすい状態になってしまいます。特に大きな虫歯があった歯や、神経を取った後に適切な処置(根管治療と被せ物)をしていない歯は、普段の食事での噛む力でも割れてしまうことがあります。

顎骨への影響と全身への波及

歯の痛みが急になくなるときに根尖病巣による感染が長期間続くと、顎の骨が徐々に吸収されていきます。骨の吸収が進むと、将来的に歯を失った場合のインプラント治療が難しくなる可能性もあります。さらに、このような慢性的な感染は、全身の健康状態にも悪影響を及ぼすことがあります。

歯科感染症と全身疾患の関連性については、近年多くの研究が行われています。口の中の慢性的な感染は、心臓病や糖尿病、肺炎、認知症などを引き起こす要因になる可能性が指摘されています。特に免疫力が低下している方は、口腔内の感染が全身に波及するリスクが高まります。

歯の痛みが急になくなる状態への対応

歯の痛みが消えたからといって放置するのは危険です。適切な診断と治療が必要です。ここでは、痛みがなくなった歯に対する正しい対応と治療法について解説します。

歯の痛みが急になくなる状態は「治った」のではなく「症状が次の段階に進んだ」と考えるべきです。適切な治療を受けることで、歯の寿命を延ばし、より深刻な問題を予防することができます。それぞれの状況に応じた対応法を見ていきましょう。

早期の歯科受診の重要性

歯の痛みが突然消えた場合、安心せずにできるだけ早く歯科医院を受診することが重要です。特に、以前強い痛みがあったのに歯の痛みが急になくなる場合は要注意です。早期に適切な治療を受けることで、歯を保存できる可能性が高まります。また、感染が広がる前に対処することで、治療の負担や費用も軽減できます。

歯科医院では、視診や触診だけでなく、レントゲン検査や電気診断(歯に微弱な電流を流して神経の状態を確認する検査)などを行い、歯の状態を正確に診断します。これらの検査によって、神経の状態や感染の広がり、骨の吸収状況などを把握することができます。

根管治療(神経を取る治療)

神経が死滅または重度の炎症を起こしている場合、根管治療(神経を取る治療)が必要になります。この治療では、歯の中の感染した神経組織や細菌を除去し、根管内を清掃・消毒した後、密閉性の高い材料で充填します。

歯の痛みが急になくなる状態の後の根管治療の流れは次のようになります。はじめに局所麻酔で痛みを取り除き、虫歯や古い詰め物を除去して歯の内部が見えるようにします。専用の器具を使って根管内の神経組織や細菌を除去し、抗菌薬で根管内を洗浄します。その後、根管内を乾燥させ、ガッタパーチャという特殊なゴム状の材料と専用のシーラーで密閉します。最後に詰め物や被せ物で歯を修復します。

被せ物(クラウン)の必要性

根管治療を行った歯は、内部が空洞になるため脆くなります。そのため、特に奥歯の場合は被せ物(クラウン)による保護が推奨されます。被せ物は噛む力を歯全体に分散させることで、歯が割れるのを防いでくれます。

被せ物には様々な材料があります。金属製のものは強度に優れていますが、見た目が気になる方には、セラミックやジルコニアなどの白い素材もあります。前歯など見た目が重要な部位では、自然な白い被せ物が選ばれることが多くなっています。材料の選択は、歯の位置や患者さまの希望、予算などを考慮して決められます。

抜歯が必要になるケース

症状が重症化していたり、歯が深く割れていたりする場合、歯を抜く必要が出てくることがあります。抜歯の判断基準としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 虫歯や感染が広範囲に及び、歯の構造が保持できないほど破壊されている
  • 歯根が縦に割れている(歯根破折)
  • 歯周病が進行し、歯を支える骨が著しく失われている
  • 根管治療を繰り返しても症状が改善しない(難治性根尖性歯周炎)
  • 歯根の湾曲が強く、根管治療が難しい

抜歯は最終手段ですが、感染源を完全に除去できるという利点もあります。ただし抜歯後は、周りの歯が動いたり、反対側の歯が伸びてきたりするのを防ぐため、人工の歯を入れる治療が必要となります。(補綴(ほてつ)処置)

歯を失った場合のインプラント治療

歯を抜かざるを得ない状況になった場合、その後の選択肢の一つとしてインプラント治療があります。インプラントは失った歯の機能と見た目を最も自然に回復できる方法です。ここではインプラント治療について詳しく解説します。

インプラント治療は、失った歯の代わりに人工的な歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。歯の痛みが急になくなる際に歯を失った場合でも、従来の治療法と比べて自然な見た目と快適な噛み心地が特長です。

インプラント治療とは

インプラントは、チタンなどの生体親和性の高い材料でできた人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を取り付ける治療法です。インプラントの最大の特徴は、他の歯に負担をかけることなく、失った歯の機能を回復できる点にあります。また、顎の骨に直接固定されるため、入れ歯のようなガタつきもなく、自分の歯のような感覚で食事ができます。

インプラント治療の流れは一般的に次のようになります。まず診査・診断を行い、CT撮影などで顎の骨の状態を確認します。次に局所麻酔下でインプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋入します。その後、骨とインプラントが結合するのを待ちます(オッセオインテグレーション)。十分な結合が確認できたら、土台となる部品(アバットメント)を取り付け、最後に人工の歯(クラウン)を装着して完成です。

インプラントと他の治療法の比較

失った歯の補綴方法には、インプラントの他にブリッジや入れ歯があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

治療法 メリット デメリット
インプラント 自然な噛み心地、見た目が良い、周りの歯を削らない、骨の吸収を防ぐ 治療期間が長い、外科手術が必要、費用が高い
ブリッジ 1〜2週間程度で治療完了、取れにくく安定している 健康な隣在歯を削る必要がある、歯磨きが難しい、長期的に見ると歯への負担が大きい
部分入れ歯 侵襲性が低い、費用が比較的安い、短期間で製作可能 装着感や違和感がある、噛む力や話しづらさに影響、金属のバネが見えることがある

歯の痛みが急になくなる際にどの治療法を選択するかは、患者さまの口腔内の状態、全身の健康状態、生活習慣、予算、希望などを考慮して決定します。インプラントは初期費用は高いものの、長く使えてメンテナンスもしやすいため、長期的には経済的な選択肢となることもあります。

インプラントのメンテナンスについて

インプラントを長持ちさせるためには、適切なメンテナンスが不可欠です。天然歯と同様、インプラントも毎日の丁寧なブラッシングと定期的な歯科検診が重要です。特に、インプラントの周りで起こる歯周病に似た感染症(インプラント周囲炎)を防ぐことが、長く使い続けるための重要なポイントとなります。

  • インプラント専用のブラシや歯間ブラシを使用する
  • 3〜6ヶ月ごとに定期検診を受ける
  • 専門的なクリーニングを受ける
  • 噛み合わせの異常がないか定期的にチェックする
  • タバコや過度のお酒は控える

適切なケアとメンテナンスを行えば、インプラントは10年以上、場合によっては一生使用できる可能性があります。一方で定期的なメンテナンスを怠ると、歯の痛みが急になくなる原因と同様に、インプラント周囲の感染症などのトラブルが起きやすくなります。

まとめ

歯の痛みが急になくなることは、多くの場合、歯の神経が死んでしまったサインです。これは問題が解決したのではなく、むしろ症状が悪化している証拠かもしれません。放置すると歯の根元に膿がたまったり、歯が変色したり、さらには全身に影響を及ぼす感染症を引き起こしたりする可能性があります。早期に歯科医院を受診し、根管治療や被せ物による修復、必要に応じてインプラントなどの処置を受けることが重要です。自己判断せず専門家に相談することで、口腔の健康とQOLを維持できます。

日本歯科名古屋では、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

稲津副院長

日本歯科名古屋 院長 稲津 由美子

大手歯科グループの院長として長年活躍。
その後静岡歯科の副院長として8年間研鑽を積み、日本歯科名古屋の院長に就任。
女性歯科医師として全国でトップクラスのインプラント実績を持つ。
マウスピース矯正と審美治療を得意とする。