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マウスピース矯正の仕組みとは?目立たない矯正ができる理由と治療の流れ【日本歯科札幌院長が解説!】

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マウスピース矯正は、透明な樹脂製のアライナーを用いて歯並びを改善する矯正治療法です。従来のワイヤー矯正と比較して目立ちにくく、取り外しが可能な点から、多くの患者さまに選ばれています。しかし「なぜ薄い透明なマウスピースで歯が動くのか?」という仕組みへの疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、マウスピース矯正の科学的な原理から治療の流れまで、専門的な視点で詳しく解説いたします。

マウスピース矯正で歯が動く科学的な仕組み

マウスピース矯正の効果を理解するには、まず歯がどのような構造で支えられているかを知る必要があります。歯は歯槽骨という顎の骨に埋まっており、歯根膜と呼ばれる薄い膜が歯根と歯槽骨の間に存在しています。

歯根膜の役割

歯根膜は歯と骨をつなぐクッションの役割を果たすとともに、外部からの力を感知して骨の代謝を調整する重要な組織です。マウスピース矯正では、アライナーが歯に対して持続的で適切な矯正力を加えることで、歯根膜に圧迫や牽引の刺激を与えます。この刺激が歯の移動を促すシグナルとなるのです。

矯正力が歯根膜に加わると、圧迫を受けた側では破骨細胞が活性化し、既存の骨を溶かす骨吸収が起こります。一方、引っ張られた側では骨芽細胞が活性化し、新しい骨を作る骨形成が促進されます。このリモデリングこそが、マウスピース矯正で歯が徐々に移動する仕組みの核心部分です。

透明なマウスピースの材質と設計原理

現在主流のマウスピース矯正システムでは、熱可塑性プラスチックを使用した透明なアライナーが用いられています。この素材は適切な弾性を保持し、歯への密着性と必要な矯正力を両立させる仕組みを実現しています。

各アライナーは、現在の歯の位置から理想的な位置までの移動を細かく分割し、段階的に歯を動かすように設計されています。一般的に、1枚のアライナーで約0.25~0.35mm程度の歯の移動が可能とされており、これは歯根膜に過度な負担をかけることなく、生理的な範囲内での歯の移動を実現します。

デジタル技術による精密な治療計画

マウスピース矯正の精度を支えているのが、最新のデジタル技術です。3Dスキャナーによって患者さまの歯型を正確に読み取り、コンピューターシミュレーションで理想的な歯の移動経路を計算します。

この革新的な仕組みにより、従来では困難とされた複雑な歯の移動パターンも実現可能となり、効果的なマウスピース矯正プランが策定できます。また、治療開始前に最終的な歯並びの予測画像を確認できるため、患者さまにとっても治療のゴールが明確になります。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い

マウスピース矯正とワイヤー矯正は、どちらも歯を動かす基本原理は同じですが、力の加わり方や治療の進め方に大きな違いがあります。ここでは両者の特徴を詳しく比較してみましょう。

日常生活への影響

マウスピース矯正の最大の特徴は、透明で目立たない点にあります。従来のワイヤー矯正では金属製のブラケットとワイヤーが歯の表面に固定されるため、口を開けた際に装置が目立ってしまいます。一方、マウスピース矯正では薄い透明な材質を使用しているため、装着していることがほとんど分かりません。

また、マウスピース矯正は取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際には装置を外すことができます。これにより、食べ物の制限が少なく、口腔衛生管理も従来通り行えるという利点があります。対してワイヤー矯正では固定式のため、食事制限や特別な清掃用具が必要となることが多いのです。

痛みや違和感の程度

痛みや違和感の面でも、両者には明確な違いが見られます。ワイヤー矯正では調整時に比較的強い力が加わるため、調整後数日間は痛みを感じることが一般的です。

マウスピース矯正では、各アライナーが与える力が段階的で穏やかなため、痛みや違和感が軽減される傾向があります。新しいアライナーに交換した最初の数日間は締め付け感を覚えることがありますが、多くの患者さまは日常生活に大きな支障を感じることなく治療を継続できています。

通院頻度と調整回数

治療中の通院頻度についても、両者で大きな違いがあります。ワイヤー矯正では月1回程度の頻繁な調整が必要ですが、マウスピース矯正では2~3か月に1回程度の通院で済むことが多いです。

これは、マウスピース矯正では患者さま自身が定期的にアライナーを交換することで治療が進行するためです。多忙な社会人や通院困難な方にとって、マウスピース矯正の通院回数の少なさは重要なメリットとなります。

マウスピース矯正治療の流れ

マウスピース矯正の治療は、初診から保定期間まで複数の段階に分かれています。各段階での具体的な内容と注意点について、詳しく説明いたします。

初診時の相談

治療の第一歩は、初診相談から始まります。患者さまの歯並びの現状を把握し、希望する治療結果について詳しくお聞きします。この段階で、マウスピース矯正に対して効果的な症例かどうかを判断することが重要です。

軽度から中等度の歯列不正であれば、マウスピース矯正での改善が十分期待できます。具体的には、軽度の叢生(歯の重なり)、すきっ歯、軽度の出っ歯や受け口などが適応症例となります。ただし、重度の骨格性不正咬合や、抜歯を伴う大幅な歯の移動が必要な場合は、ワイヤー矯正の方が適している場合もあります。

精密検査とデジタル印象採得

治療方針が決定されたら、精密検査を行います。従来の印象材を使用した歯型取りに代わり、現在では3Dスキャナーによるデジタル印象採得が主流となっています。この技術により、より正確で快適な歯型取りが可能になりました。

併せてパノラマ撮影、セファロ分析等の画像診断も実施し、歯の根の状態や顎の骨の構造を詳しく調べます。これらの情報を総合して、最適な治療計画を立案します。

治療計画の作成とシミュレーション

収集したデータを基に、専用ソフトウェアを使用して詳細な治療計画を作成します。この計画では、治療開始から終了までの歯の移動過程を3Dシミュレーションで視覚化できます。

患者さまには治療前後の歯並びの変化を画像で確認していただき、治療期間や必要なアライナーの枚数についても詳しく説明いたします。治療内容にご了承いただければ、アライナー製作に移行します。

アライナーの交換スケジュール

アライナーが完成したら、初回の装着指導を行います。正しい装着方法や取り外し方法、日常的なお手入れ方法について詳しく説明し、実際に練習していただきます。

治療開始後は、通常1~2週間ごとに新しいアライナーに交換していきます。マウスピース交換頻度は治療計画によって異なりますが、患者さまご自身でスケジュール管理を行っていただくことが重要です。装着時間は1日20~22時間以上を目安とし、食事と歯磨き時以外は基本的に装着し続けます。

マウスピース矯正のメリット・デメリット

マウスピース矯正を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも十分に理解しておくことが大切です。客観的な視点から、両面について詳しく解説いたします。

マウスピース矯正の主なメリット

マウスピース矯正の最大のメリットは、審美性の高さと日常生活への影響の少なさです。透明マウスピースは装着していることがほとんど分からないため、接客業や営業職など、人前に出る機会の多い方でも安心して治療を受けられます。

また、取り外し可能という特徴により、食事制限がほとんどありません。硬いものや粘着性の高い食べ物も、アライナーを外せば通常通り摂取できます。口腔の衛生管理についても、従来通りの歯磨きやフロスが可能なため、虫歯や歯周病のリスクを抑えることができます。

さらに、通院頻度が少ないことも大きなメリットです。ワイヤー矯正では月1回の調整が必要ですが、マウスピース矯正では2~3か月に1回程度の通院で済むため、多忙な方でもマウスピース矯正治療を継続しやすい環境が整います。

マウスピース矯正のデメリットと注意点

一方で、マウスピース矯正には患者さまの協力度が治療成功の鍵となるというデメリットがあります。装着時間を守らなかったり、アライナーの交換を忘れたりすると、マウスピース矯正で期待した効果が現れない恐れがあります。

また、すべての歯並びの問題に対応できるわけではなく、重度の不正咬合や抜歯を伴う大幅な歯の移動には限界があります。特に、垂直的な歯の移動や歯根の移動を伴う複雑な症例では、ワイヤー矯正の方が適している場合があります。

費用面においても、マウスピース矯正はワイヤー矯正と比較して高額になることがあります。どのマウスピース矯正システムを選ぶかで料金が変わるため、治療を始める前にしっかりと費用を確認することが大切です。

対応できる症例の限界

マウスピース矯正で治せる歯並びには限りがあります。骨格性の不正咬合や、大幅な抜歯空隙の閉鎖が必要な症例では、十分な治療効果が期待できない場合があります。

このような場合には、部分的にワイヤー矯正を併用したり、外科的矯正治療を検討したりする必要があります。初診時の詳しい検査と診断により、マウスピース矯正が適しているかどうかを見極めることが重要です。

治療期間と費用相場

マウスピース矯正を検討する際に、多くの患者さまが気になるのが治療期間目安と費用相場です。これらは歯並びの状態や選ぶシステムによって大きく変わるため、具体的な数字とともに詳しくご説明します。

症例別の治療期間目安

マウスピース矯正の治療期間は、歯並びの状態や治療の複雑さによって大きく変わります。軽度の歯列不正であれば6か月から1年程度、中等度の場合は1年から2年程度が一般的な目安となります。

これらは歯並びの状態や選ぶシステムによって大きく変わるため、具体的な数字とともに詳しくご説明します。ただし、噛み合わせ改善を含む全体的な治療となると、より長期間の治療が必要となることがあります。

治療期間は、患者さまの装着時間の遵守やアライナーの交換頻度にも左右されます。指示通りに治療を進めることで、予定通りの期間での治療完了が期待できます。

費用相場と料金体系

マウスピース矯正の費用は、使用するシステムや治療範囲によって大きく異なります。一般的な相場として、部分矯正では30万円から50万円程度、全体矯正では70万円から120万円程度が目安となります。

インビザラインなどの世界的なブランドシステムを使用する場合、高い技術力と豊富な実績に基づいた治療が可能ですが、費用は高めになります。一方、国内メーカーのシステムを使用する場合、コストを抑えながらも十分な治療効果が期待できる場合があります。

追加費用について

治療費用を検討する際は、基本的な治療費以外にも追加費用について確認することが重要です。治療中のアライナーの紛失や破損による再製作費用、治療計画の変更に伴う追加費用などが発生する可能性があります。

まとめ

マウスピース矯正は、透明な樹脂製アライナーによる持続的な矯正力で歯根膜に適切な刺激を与え、骨のリモデリングを促進することで歯を移動させる科学的に確立された治療法です。従来のワイヤー矯正と比較して審美性に優れ、取り外し可能という特徴により、日常生活への影響を最小限に抑えながらマウスピース矯正で歯並びの改善が期待できます。

治療の成功には患者さまの協力度が重要であり、指示された装着時間の遵守や定期的なアライナーの交換が不可欠です。また、すべての症例に適応できるわけではなく、重度の不正咬合や複雑な歯の移動が必要な場合は、他の治療法を検討する必要があります。治療期間や費用については症例により大きく異なるため、初診時の詳しい説明と十分な検討が重要です。

日本歯科札幌では、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったマウスピース矯正を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

今本院長

日本歯科札幌 院長 今本 芳彦

北海道出身。
卒後、自由診療専門のクリニックで研鑽を積む。
10年間、自由診療専門のクリニックで院長として活躍。
北海道でトップクラスのインプラント実績を誇る。
他にもマウスピース矯正、審美治療を得意とする。