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歯の根元の虫歯(根面う蝕)とは?原因・治療・予防をわかりやすく解説

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結論:歯の根元の虫歯は「根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼ばれ、歯ぐきが下がって露出した歯の根の表面にできる虫歯です[1][4]。根の表面は歯の頭の部分より酸に弱く、進みやすいため、ごく初期ならフッ化物などで進行を抑え、深くなれば詰める治療を行います[4]。予防には、高濃度のフッ化物配合歯磨剤と歯間清掃、定期的な歯科でのチェックが有効です[2][4]。

この記事では、歯の根元や側面にできる虫歯の原因、見つかりにくい理由、歯科での治療の考え方、自宅でできる予防法を、公的機関や学会の資料をもとに解説します。

歯の根元の虫歯(根面う蝕)とは

根面う蝕とは、歯周病や加齢で歯ぐきが下がり、むき出しになった歯の根の部分にできる虫歯のことです[1]。日本歯科医学会の資料では「加齢や歯周病に伴い露出した歯根面に生じる」と説明されています[4]。

歯は、口の中に見えている「歯冠(しかん)」と、歯ぐきの中に埋まっている「歯根(しこん)」に分かれます。歯冠は硬いエナメル質に覆われていますが、歯根の表面はエナメル質がなく、それより軟らかい象牙質などでできています[1]。そのため、根が露出すると虫歯になりやすくなります。

「歯の側面の虫歯」「歯と歯ぐきの境目の虫歯」と表現されるものの中にも、この根面う蝕が含まれます。歯ぐきに近い部分は、もともと歯ブラシが届きにくく、虫歯ができやすい場所の一つです[5]。

歯の根元に虫歯ができやすい原因

根元の虫歯ができやすい最大の理由は、歯の根の表面が酸に弱いことと、歯ぐきが下がって根が露出することの2つが重なるためです[4]。

根の表面は酸に弱い

虫歯は、歯垢(プラーク)の中の細菌が糖分から酸をつくり、その酸で歯の成分が溶け出すことで起こります[5]。歯根の表面はエナメル質より耐酸性が低いため、同じ条件でも溶けやすいとされています[4]。

歯ぐきが下がる理由

歯ぐきが下がる(歯肉退縮)原因には、次のようなものがあります[6]。

  • 歯周病による歯を支える骨の減少
  • 加齢による自然な変化
  • 強すぎる歯磨きや、粒子の粗い歯磨き剤による刺激
  • もともと歯ぐきが薄く傷つきやすい

根面う蝕のリスクが高くなる条件

日本歯科医学会の資料では、初期根面う蝕のリスク因子として以下が挙げられています[4]。

リスク因子 理由の目安
根面う蝕になったことがある 同じ条件が続いている可能性がある
歯肉退縮がある 酸に弱い根の表面が口の中に出ている
部分入れ歯を使っている 留め金の周りなどに汚れがたまりやすい
プラークがたまっている 酸をつくる細菌が多い
唾液の量が少ない 酸を中和し、歯を修復する働きが弱まる

唾液には酸を中和し、溶けた歯を修復(再石灰化)する働きがあります[5]。e-ヘルスネットでも、体の活動能力の低下や薬の服用で唾液が減った高齢者では、根面の虫歯が多発することがあると説明されています[1]。

根元の虫歯が見つかりにくい理由と症状

根元の虫歯は、特に奥歯では見つかりにくく、気づくのが遅れがちです[1]。歯ぐきとの境目や歯と歯の間にできると、鏡で見ても分かりにくいためです。

次のような変化がある場合は、歯科医院での確認をおすすめします。

  • 歯ぐきが下がり、歯が長くなったように見える
  • 歯と歯ぐきの境目が茶色や黒っぽく見える
  • 冷たいものや甘いものがしみる
  • 歯の根元に食べ物が詰まりやすくなった

ただし、冷たいものがしみる症状は、歯ぐきが下がったことによる知覚過敏でも起こります[6]。見た目や症状だけで虫歯かどうかを決めることはできないため、歯科医師の診察で判断します。

根面う蝕はどのくらい多いのか

根面う蝕は高齢になるほど多く見られる虫歯で、国の歯科口腔保健の目標づくりでも重要なテーマとされています[3]。

厚生労働省の専門委員会資料によると、2016年度に診療所の受診者を対象にした調査では、対象者の約半数に根面う蝕がみられました。年齢調整後の有病率は、30〜80歳代で41.8%、60歳以上で59.9%と報告されています[3]。一方、健診会場での調査では70歳の未処置の根面う蝕の割合は男性21.7%、女性19.8%で、調査方法によって数値に差があることも指摘されています[3]。

こうした背景から、令和4年の歯科疾患実態調査では根面う蝕の診査項目が追加され、「60歳以上における未処置の根面う蝕を有する者の割合」を指標とする案が示されています[3]。歯を失う原因としても、虫歯は歯周病に次いで多いとされています[1]。

歯の根元の虫歯の治療方法

根面う蝕の治療は、虫歯の深さと活動性(進んでいるかどうか)によって、削らずに管理するか、削って詰めるかが分かれます[4]。

初期の場合:削らずに進行を抑える

日本歯科医学会は、実質欠損の深さが0.5mm未満の根面う蝕を「初期根面う蝕」と定義しています[4]。この段階では、再石灰化を促して進行を抑え、硬く止まった状態を保つ「非切削での管理」が目標とされています[4]。

  • 歯科医師または歯科衛生士による高濃度フッ化物の歯面塗布(おおむね3か月ごと、リスクに応じて設定)[4]
  • 自宅でのフッ化物配合歯磨剤・洗口剤の使用と、清掃方法の見直し[4]

塗布に使う薬剤の一つであるフッ化ジアンミン銀は、塗った部分が黒く変色します。そのため、事前に説明を受け、同意したうえで使用します[4]。日本歯科保存学会も、フッ化物を用いた削らない管理を扱う『根面う蝕の診療ガイドライン』を公開しています[7]。

進行している場合:削って詰める

欠損の深さが0.5mm以上ある場合は、虫歯を削って詰める修復治療の対象となります[4]。虫歯がさらに進んで神経に達すると、神経を取る治療が必要になり、根の先に病巣ができると抜歯になることもあります[5]。早い段階で見つけるほど、歯への負担が少ない方法を選びやすくなります。

歯の根元の虫歯を防ぐ方法

根面う蝕の予防の基本は、フッ化物の活用、歯と歯の間までの清掃、糖分のとり方の工夫です[2][4][5]。

フッ化物配合歯磨剤を正しく使う

e-ヘルスネットでは、6歳以上から高齢者までは1,400〜1,500ppmFのフッ化物配合歯磨剤を、歯ブラシ全体(1.5〜2cm)程度使うよう示されています[2]。成人・高齢者の根面むし歯に対しても予防効果があるとの報告が紹介されています[2]。

  • 就寝前を含めて1日2回磨く[2]
  • 磨いた後は軽く吐き出し、うがいは少量の水で1回にする[2]
  • フッ化物配合洗口剤の併用も勧められている[4]

歯間ブラシ・フロスで根元の汚れを落とす

歯ぐきが下がると、歯と歯の間の根元に隙間ができ、汚れが残りやすくなります。日本歯科医学会の資料でも、歯間ブラシとデンタルフロスの指導が予防策に挙げられています[4]。サイズや使い方は、歯科医院で口に合ったものを確認すると安心です。

やさしく磨いて歯ぐきを守る

強すぎる歯磨きは歯ぐきが下がる原因になります[6]。やわらかめの歯ブラシを使い、力を入れすぎずに細かく動かすことが大切です。研磨性の高い歯磨き剤の使いすぎにも注意しましょう[6]。

糖分をとる回数を減らす

糖分を頻繁にとると、唾液による中和や修復が追いつかず、虫歯が進みやすくなります[5]。間食やだらだら飲みを控え、口の中が酸性になる時間を短くしましょう。

歯科医院で定期的にチェックを受ける

根元の虫歯は自分では気づきにくいため、定期的に歯科医院で診てもらうことが早期発見につながります[1]。

歯科医院では、虫歯の有無だけでなく、歯ぐきの下がり具合、歯周病の状態、入れ歯の適合、唾液の量なども含めてリスクを確認します。リスクに応じて、フッ化物塗布の間隔やセルフケアの方法を一人ひとりに合わせて提案します[4]。お薬の影響で口が乾きやすい方や、入れ歯を使っている方は、受診時に伝えておくとよいでしょう。

日本歯科豊平を含む日本歯科グループでは、初期の虫歯に対してフッ素を使ったクリーニングや塗布で再石灰化を助ける方法を案内しており、保険診療のクリーニング(PMTC)の仕上げにもフッ素塗布を行っています(虫歯治療)。塗布の間隔や使用する薬剤は、詳しくは各院にお問い合わせください。歯の根元がしみる、歯が長くなった気がするなど、気になる変化があれば歯科医師にご相談ください。

よくある質問

歯の根元の虫歯は自然に治りますか?

穴が空いて崩れた虫歯は、自然には元に戻りません[1]。ごく初期の根面う蝕は、フッ化物の利用と丁寧な清掃で進行を抑え、硬い状態で管理できることがあります[4]。初期かどうかは歯科医師の診察で判断します。

根元の虫歯と知覚過敏はどう見分けますか?

どちらも歯ぐきが下がった部分で冷たいものがしみることがあり、自分で見分けるのは難しいです[6]。色の変化や表面のやわらかさ、深さなどを歯科医師が確認して判断します。しみる症状が続く場合は早めに受診してください。

フッ化物を塗ると歯が黒くなると聞きました。

根面う蝕の進行抑制に使うフッ化ジアンミン銀という薬剤は、塗った部分が黒く変色します[4]。そのため使用前に説明と同意が必要とされています。見た目が気になる部位では、別の方法も含めて歯科医師と相談しましょう。

入れ歯を使っていると根元の虫歯になりやすいですか?

部分入れ歯の使用は、初期根面う蝕のリスク因子の一つに挙げられています[4]。留め金がかかる歯の周りは汚れがたまりやすいため、入れ歯を外して歯と入れ歯の両方を清掃することが大切です。定期的に歯科医院で状態を確認してもらいましょう。

何歳くらいから注意すればよいですか?

根面う蝕は歯ぐきが下がって根が出た部分にできるため、年齢だけでなく歯ぐきの状態が関係します[3][4]。診療所の受診者を対象にした調査では、60歳以上で有病率が高いと報告されています[3]。歯周病がある方や根が見えてきた方は、年齢にかかわらず注意しましょう。

参考情報

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ライフステージ別にみたむし歯の特徴」
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」
  3. 厚生労働省 歯科口腔保健の推進に関する専門委員会「根面う蝕に関する指標について」(資料)
  4. 日本歯科医学会「初期根面う蝕の管理に関する基本的な考え方」(令和6年3月)
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット(歯・口腔の健康:むし歯に関する解説ページ)
  6. MSDマニュアル家庭版「歯ぐきの退縮」
  7. Mindsガイドラインライブラリ「根面う蝕の診療ガイドライン-非切削でのマネジメント-」(日本歯科保存学会)