インプラントと総入れ歯を検討する際の費用相場と治療法選びのポイント
歯を失ってしまったとき、総入れ歯にするかインプラントにするかは人生の質を左右する大きな選択です。特に総入れ歯を検討している方の中には、「インプラント治療で快適な食生活を取り戻せるかも」と興味を持つ方も多いでしょう。
一方で、インプラントは高額な治療費や外科手術の必要性など、総入れ歯とは大きく異なる点が多いです。どちらが自分に合っているかを見極めるには、それぞれのメリット・デメリットや費用、治療期間などを総合的に把握しておくことが大切です。
この記事では、総入れ歯とインプラント(特にオールオン4)の違いや費用、選ぶ際の注意点を分かりやすく解説します。あなたに合う治療法を見つける一助となれば幸いです。
インプラントと総入れ歯の大きな違いとは?
総入れ歯とインプラントでは、歯を支えるしくみや治療の性質が大きく異なります。総入れ歯は歯茎や顎の骨、または、その上の粘膜に義歯を乗せて支える仕組みです。素材や製作工程がシンプルで、保険適用の範囲内で作製可能なものもあり、初期費用を抑えられる点が魅力です。
取り外しができて日常のお手入れが手軽なため、昔から広く普及してきたのです。
インプラントは顎の骨に人工歯根(インプラント体)を直接埋め込み、その上に人工歯を固定する治療法です。人工歯根が骨と結合することで、硬い食べ物もしっかり噛め、自然に近い見た目を実現しやすい点が注目されています。
しかし、外科手術が必要になるため、健康状態や骨の状態を慎重に確認する必要があります。また、治療費が保険適用外となるケースが多く、総入れ歯より高額になりがちです。
総入れ歯とインプラント、どちらも歯を失った際の有力な選択肢ではあるものの、根本的なメカニズムの違いによってかかるコストやメンテナンス、耐久性なども大きく変わってきます。実際に治療を受けるときは、こうした違いをしっかり理解し、自分の希望や生活にあった方法を選ぶことが大切です。
総入れ歯の特徴と費用相場
総入れ歯は歯を広範囲に失った方、あるいはすでに歯が一本もない方が最も頻繁に選択する補綴方法のひとつです。歯科医院で型をとり、そのデータをもとに人工歯を製作し、装着します。粘膜や歯茎の上に直接乗せるため、安定性にやや不安を抱える場合はありますが、外科的処置をほとんど必要としないので、インプラント手術が不安な方には大きな利点となります。
まずは総入れ歯のメリットやデメリット、費用相場を詳しく見てみましょう。
総入れ歯のメリット
総入れ歯の第一のメリットは、保険を適用できる点です。保険診療で作製すると、自己負担額は数千円から数万円程度となり、初期費用が抑えられます。
また、顎の骨を削るなどの大がかりな外科手術は必要ないため、身体面での負担が比較的軽いという点も特徴です。手術に対する恐怖心が強い方や全身疾患がある方など、インプラントに踏み切れない状況の方でも受けやすい治療と言えます。
作製期間も基本的にはインプラントほど長くかかりません。型取りから装着完了まで数回の通院で済む場合が多く、取り外しできるのでお手入れも比較的ラクです。調整が必要になっても大きな手術をする必要はなく、義歯の形を変えたり作り直したりすることで対応できるため、通院や治療のリスクが最小限に抑えられます。
総入れ歯のデメリット
総入れ歯最大の難点は、どうしても噛む力が弱くなりがちなことです。粘膜の上に義歯を浮かせるように乗せているため、義歯がずれたり外れたりしやすく、硬い物を噛むときに困難を覚える方も少なくありません。
接着剤やリテーナーの工夫によってある程度は安定させられますが、インプラントのように骨に固定するわけではないので、安定性には限界があります。
もう一つの難点は、定期的に作り直しや調整をしなければならないことです。歯がない状態だと、顎の骨が少しずつ痩せていく傾向があり、長年使用しているうちに義歯と口腔内の形状が合わなくなります。
そのため、入れ歯がゆるんで痛みが出たり、噛み合わせがずれて食事がしにくくなることもあります。また、見た目の点でも保険診療の総入れ歯は素材が限られるため、審美面で不満を抱える方もいます。
総入れ歯の費用相場については、保険適用の場合なら片顎数千円から数万円、自費診療の場合は素材や製作技術により大幅に異なり、数十万円ほどかかることも珍しくありません。自費診療の入れ歯では審美性やフィット感を高められますが、そのぶん費用がかさむため、予算に合わせて検討することが大切です。
インプラント治療「オールオン4」とは
総入れ歯だけでは噛みやすさや見た目に不安を感じる方にとって、インプラントはより自然な噛み心地や高い審美性を得る手段として魅力的な選択肢です。なかでも注目されているのが「オールオン4」という手法で、これは歯を失った箇所が多い方、もしくは歯が一本もない方でも片顎4本のインプラントで人工歯列を支える画期的な方法として知られています。
一般的に、単歯欠損や部分欠損がある場合には失った歯の本数分のインプラントを埋入するというプランを立てますが、オールオン4は4本のみで全ての歯を支えるため、インプラントの本数を抑えられるという大きな利点があります。その結果、骨との結合を待つ期間をはじめとした治療期間が短縮されやすく、手術の回数や負担を減らせる可能性が高まります。
オールオン4のメリット
オールオン4のメリットとしてまず挙げられるのは、限られた本数のインプラントで全体の歯列をサポートできる点です。通常、総入れ歯に比べるとインプラントは費用がかかりますが、オールオン4では本数を減らせる分、従来の「歯の本数分のインプラント」を埋め込む場合よりも高額になりにくくなることがあります。
また、4本のインプラントによる固定力は非常に高く、硬い食べ物もしっかり噛めるようになることが期待できます。
見た目の自然さを追求できる点も大きなメリットです。人工歯根を骨に埋め込んでいるため、歯ぐきから歯が生えているような仕上がりに近づけられます。
また、骨が痩せるのを抑えるのを抑える効果もあり、長期的にみて顎の骨が大きく減少してしまうリスクを下げられます。総入れ歯のように歯茎が痩せてくることで入れ歯の位置が合わなくなる心配が軽減されるので、再作製の頻度も少なく済む可能性が高いです。
オールオン4のデメリット
ただし、オールオン4にもリスクやデメリットは存在します。まず、片顎で200万~400万円ほどかかるケースが多いとされています。この範囲内にはインプラント体の費用だけでなく、手術費や上部構造、診断料、レントゲン・CTなどの検査費用が含まれますが、歯科医院ごとに費用体系や使用するインプラントメーカー、保証期間の長さなどが異なるので、実際にはさらにばらつきがあるのが現状です。
さらに、インプラントを顎の骨に埋め込むための外科手術が必要です。全身状態や骨の厚み、骨密度などが十分でないとインプラントがうまく埋入できなかったり、骨造成やサイナスリフトなどの追加手術が必要になったりする場合もあります。
加えて、インプラントは埋入後にしばらく骨と結合する時間(治癒期間)が必要となり、総入れ歯のように短期間で噛める状態にならないケースが多いです。
また、メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎という炎症を起こし、最悪の場合はインプラントを失うリスクが高まります。歯磨きや定期的なクリーニングなどを適切に行う習慣を継続することが成功への大前提となります。
総入れ歯とオールオン4の費用相場を詳しく比較
総入れ歯とオールオン4は治療手順や素材が違うため、費用も大きく変わります。初期費用だけでなく、メンテナンスや作り直しの手間なども含めて考えることが重要です。
総入れ歯の費用相場
総入れ歯の費用は保険適用か自費診療かによって大きく異なります。保険が適用される総入れ歯なら、片顎で数千円から数万円程度の負担となるケースが多く、素材や製作工程が国の規定内で行われるのでコストが明確です。
しかし、その分使える素材が限られ、見た目や装着感に不満を抱えがちな点は否めません。保険適用の総入れ歯では樹脂系の素材が中心となり、耐久性やフィット感においても制約があります。
一方、自費診療の総入れ歯は数十万円ほどの費用がかかる場合もありますが、精密な型取りや高級な素材を選択できることが特徴です。金属床やシリコン系の素材、特殊な加工技術を取り入れることで装着感や咀嚼力、審美性を大幅に改善できます。
長期にわたって快適に使えるように作られるため、保険の総入れ歯よりも作り直しの頻度を下げられる可能性があります。
オールオン4の費用相場
オールオン4は基本的に保険適用外となり、片顎で200万~400万円ほどかかるケースが多いとされています。この範囲内にはインプラント体の費用だけでなく、手術費や上部構造、診断料、レントゲン・CTなどの検査費用が含まれますが、歯科医院ごとに費用体系や使用するインプラントメーカー、保証期間の長さなどが異なるので、実際にはさらにばらつきがあるのが現状です。
また、骨が足りないと診断された場合には、骨造成やサイナスリフトといった追加手術が必要になります。その費用が加算されることでトータルコストがさらに高くなる場合があり、インプラント治療の総額には個人差があります。
オールオン4が通常のインプラント治療より本数が少なく済むとはいえ、単純に格安でできるわけではない点に注意が必要です。
費用以外にも注目したいポイント
総入れ歯やインプラントを検討するとき、多くの方が真っ先に気にするのはやはり費用面でしょう。しかし、実際に長い年月をかけて使っていくことを考えると、費用以外の要素も重要です。ここでは特にメンテナンスのしやすさと治療期間・通院回数の観点から解説します。
メンテナンスのしやすさ
総入れ歯は口から簡単に取り外せるため、食事のたびに外して洗浄しやすく、お手入れの手順が明確です。ただし、取り外してから洗浄液に浸けたり、専用ブラシで磨いたりする時間が必要となり、毎日欠かさず行うのは人によっては手間に感じるかもしれません。
義歯洗浄を怠ると雑菌の繁殖や口臭、歯ぐきの炎症などを引き起こすリスクが高まるので注意が必要です。
オールオン4を含むインプラントの場合は、基本的には天然の歯と同じように歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどでお手入れを行います。もちろん、自分の歯以上に念入りなケアが求められますが、取り外しをせずに歯ブラシで毎日磨くことになるので、ある意味で習慣化しやすいともいえます。
インプラントの場合は歯科医院での定期的なメンテナンスが不可欠で、インプラント周囲炎などの早期発見・早期治療を徹底する必要があります。
治療期間と通院回数
総入れ歯の作製は型取り、噛み合わせの調整、完成という流れが中心で、複数回の通院を要しますが、大きな外科手術は伴わないため、通院期間は比較的短く済む傾向にあります。特殊な症例でなければ数週間から数か月のうちに新しい入れ歯を手に入れられる場合が多いです。
インプラント治療は外科手術を経て、インプラント体と骨がしっかり結合するのを待たなければなりません。結合期間は個人差もありますが、おおむね数か月ほどの時間を要します。
オールオン4では従来のインプラントより本数が少ない分、若干短縮されることがありますが、それでも手術後の経過観察や上部構造の装着など、いくつかのステップがあるため総入れ歯ほど短期間では完結しません。
治療法選びのポイント
総入れ歯とオールオン4には、それぞれ明確な利点と欠点があります。治療を選択する際の判断基準は人によって異なり、経済的事情や健康状態、ライフスタイル、そして患者本人の価値観が大きく関わってきます。
第一に考えるべきは費用面です。初期費用が安い方法を選ぶのか、長期的に見たトータルのコストを最優先するのかで選択肢は変わります。総入れ歯は繰り返し作り直しが必要になる場合が多い一方で、オールオン4は高額ながら長く使える可能性が高いという特徴があります。
次に、自分が手術を受けられる健康状態かどうかを確認することも大切です。特定の持病や骨の状態によっては、インプラント手術が難しい場合があります。持病のある方や高齢の方などは、担当医との相談を密に行い、安全性を十分確保したうえで判断しましょう。
さらに、噛む力の優先度や審美性、そして日常のお手入れの負担なども無視できません。毎日のケアを億劫に感じる方にとっては、取り外しを伴う総入れ歯よりもインプラントのほうが合っているかもしれませんが、逆に外科手術が怖い方やメンテナンス費用を抑えたい方は総入れ歯のほうが安心できる場合があります。
最終的には、自分がこれからどう過ごしたいのかをよく考え、歯科医師とじっくり相談したうえで決めることが重要です。
まとめ
歯を失った際の治療法として代表的な総入れ歯とインプラント(オールオン4)は、その費用や治療の内容、メンテナンスの方法などに大きな差があります。総入れ歯は初期費用が安く治療期間も短めですが、噛む力や見た目の面で物足りなさを感じることもあります。
オールオン4を含むインプラント治療は外科手術が必要で費用も高額になりますが、しっかりメンテナンスを行うことで長期間にわたり自然な噛み心地や美しい口元を保ちやすいという利点があります。どちらを選ぶにしても、自分の口腔内や全身の健康状態、そして生活の質を向上させたいという希望を軸に、歯科医師と十分にカウンセリングを重ねることが大切です。
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