インプラントが難しいなら入れ歯?治療法の違いと費用の目安
「インプラントが気になるけれど骨が足りないと言われた」「手術が難しいと言われて諦めるしかないの?」──歯を失った場合の治療法として、インプラントと入れ歯は多くの方が検討する選択肢です。しかし、インプラント治療は骨量不足や健康状態によっては手術が難しいこともあります。そんな時、「入れ歯なら本当に安く済むのか?」「インプラントに比べて機能性はどのくらい違うのか?」といった疑問を持たれる方も多いでしょう。
インプラントと入れ歯の基本的な違い
歯を失った際の代表的な補綴治療(歯が欠けたりなくなった場合にかぶせものや入れ歯などの人工物で補う治療)として、インプラントと入れ歯があります。まずは両者の特徴や基本的な違いを押さえましょう。
インプラントの概要
インプラントとは、顎の骨に人工歯根(チタン製など)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。骨と人工歯根が結合することで非常に高い安定感と咀嚼力を得られる点が最大のメリットです。
- 1本あたりの費用は30〜50万円が目安
- 十分な骨量と健康状態が必要
- 手術が必要で治療期間は3ヶ月〜1年ほど
- 入念なメンテナンスによって長期的な使用が可能
入れ歯の概要
入れ歯は外科的な手術の必要がなく、失った歯の部分に合わせて人工歯を取り外し可能な装置として装着する治療法です。保険適用のものから自費診療のものまで種類は多岐にわたります。
手術が不要で比較的短期間かつ低コストで治療できる点が魅力ですが、インプラントと比べると咀嚼力や装着感で劣る面もあります。
- 保険適用であれば総入れ歯はおおよそ1万円、部分入れ歯は数千円〜数千円台も可能
- 自費診療の高機能な入れ歯は総入れ歯で40〜80万円程度
- 調整や交換が定期的に必要
- 装着感や噛み心地に不満を抱く方もいる
インプラントが難しいと言われる理由
インプラント治療には高い技術と十分な骨量が求められます。特に顎の骨が痩せていたり、重度の糖尿病を患っている方などにはインプラント治療が適さない場合があります。主な理由として以下のような点が挙げられます。
- 骨量不足で人工歯根が安定しない
- 重度の歯周病や持病によるリスク
- 外科的手術に対する身体的・精神的な負担
- 治療費用の面で負担が大きい
それでもインプラント治療を希望する場合は、骨造成による骨量の補強、既存の歯科治療による歯周環境の改善などが検討されることもあります。このような場合には、時間や追加費用が発生するため、最終的にインプラント治療を断念するケースも少なくありません。
インプラントが難しいなら入れ歯?そのメリットとデメリット
もしインプラント治療が適さない場合、最も一般的な選択肢として入れ歯が挙げられます。入れ歯のメリット・デメリットを踏まえたうえで、選択肢の一つとして考えてみましょう。
入れ歯のメリット
- 外科手術が不要で身体的負担が軽い
- 保険適用なら費用負担が少ない
- 短期間で治療できる(1〜2ヶ月程度)
- 残った歯に合わせて自由に設計できる
入れ歯のデメリット
- 咀嚼力やフィット感はインプラントに劣る
- 噛む力が弱いため、硬い食材は食べにくい場合がある
- 定期的な調整・交換が必要
- 装着感や異物感を感じやすい
インプラントオーバーデンチャーとは?併用治療で得られる安定感
インプラントが難しいと言われても、実は数本のインプラントを利用して入れ歯を安定させる「インプラントオーバーデンチャー」という方法があります。この治療法は少ない本数のインプラントを土台に、入れ歯をしっかり固定することで快適さと安定性を高める方法です。
インプラントオーバーデンチャーの特徴
- 数本のインプラントを顎骨に埋入し、入れ歯をアタッチメントで固定
- 総入れ歯・部分入れ歯どちらにも対応可能
- アタッチメントによって入れ歯の着脱が容易
- 骨が大幅に不足していなければ手術本数を抑えられる
- 通常のインプラントより費用面の負担を抑えることも可能
インプラントオーバーデンチャーは、従来の入れ歯治療の不満を改善できる点が魅力です。単に入れ歯を装着するよりも安定性が高く、硬いものでも比較的しっかり噛めるようになることが期待できます。
アタッチメントの種類
インプラントオーバーデンチャーを固定するためには、以下のようなアタッチメントを用います。
- ロケータータイプ:ボタン状のパーツで受けと噛み合わせ、着脱が容易
- ボールタイプ:球状のパーツとソケットで固定
- バータイプ:インプラントをつなぐバーを入れ歯内部のクリップで固定
患者さんの口腔内の状態や好みに合わせてアタッチメントを選択し、最適なフィット感を目指します。
費用の目安比較:インプラント vs 入れ歯 vs インプラントオーバーデンチャー
治療法を選ぶ際には、費用面も重要な要素となります。以下の比較表をご覧ください。
治療法 | 費用目安 | 主な特徴 |
---|---|---|
通常のインプラント | 1本30〜50万円 | 骨量・健康状態次第で高い安定感を得られる |
保険適用の入れ歯 | 総入れ歯:1万円前後 部分入れ歯:5,000〜12,000円程度 |
低コストで短期間に治療可能 |
自費診療の入れ歯(金属床など) | 総入れ歯:40〜80万円 部分入れ歯:15〜50万円 |
フィット感や強度に優れ、長持ちしやすい |
インプラント オーバーデンチャー |
総額50〜150万円程度 | 少数のインプラントで入れ歯を安定化できる |
保険適用の入れ歯は非常に安価ですが、定期的な交換や調整が必要になります。一方、インプラントオーバーデンチャーはインプラント本数を抑えられるため、フルでインプラントを埋め込むよりは費用が下がるケースもあります。目安としては総額50〜150万円程度の負担を想定しておきましょう。
治療期間とメンテナンス
治療法によって必要となる期間やメンテナンス方法が異なります。
入れ歯の治療期間とメンテナンス
- 治療期間:1〜2ヶ月程度で製作・装着が可能
- 取り外して洗浄し、専用ブラシや洗浄剤で清潔を保つ
- 経年変化により床(入れ歯本体)の変形や歯ぐきのやせに合わせた調整が必要
インプラントの治療期間とメンテナンス
- 治療期間:3ヶ月〜1年程度(骨量や治癒力に左右される)
- 通常の歯と同様にブラッシングや歯間ブラシを使ったケアが必要
- 定期的な専門クリーニングやメンテナンスを怠るとインプラント周囲炎のリスクが高まる
インプラントオーバーデンチャーの治療期間とメンテナンス
- インプラント埋め込み手術の後、骨とインプラントが結合するのを待つ期間が必要(約3ヶ月〜)
- その後、アタッチメント付きの入れ歯を製作・装着
- インプラント部分・入れ歯双方のメンテナンスが必要
どんな人に向いている?それぞれの適応条件
歯科医師の診断を受けた上で総合的に判断する必要がありますが、一般的な適応条件の目安は次の通りです。
入れ歯が向いている人
- 外科手術に抵抗がある、もしくは健康状態に不安がある
- 比較的短期間・低コストで治療を済ませたい
- 少ない歯の欠損から全部欠損まで幅広く対応可能
- 自宅での簡単なお手入れに抵抗がない
インプラントが向いている人
- 顎の骨量が十分あり、手術が可能な健康状態
- 費用負担に余裕があり、長期的な安定を求める
- 装着感や咀嚼力を最大限に近い形で取り戻したい
- 定期的なメンテナンスや歯科受診が苦にならない
インプラントオーバーデンチャーが向いている人
- インプラントフル埋入は難しいが、安定感を高めたい
- 顎の骨の状況によっては数本なら埋め込みが可能
- 入れ歯のズレや外れ、咀嚼力の低下に強い不満がある
- 一定の費用負担は可能で、快適さを重視したい
まとめ
インプラントが難しいと言われても、入れ歯という選択肢が残されています。また、インプラントと入れ歯を併用するインプラントオーバーデンチャーも含めて比較検討することで、より満足度の高い口腔環境を得られる可能性が高まります。
- 骨量や健康状態を考慮してインプラントの可否を判断
- 治療費だけでなく、手術のリスクや治療期間も検討
- 入れ歯は低コスト・短期間で対応できるが調整が必要
- インプラントオーバーデンチャーは安定性とコストのバランスを取りたい方におすすめ
最終的には歯科医師の診断とカウンセリングを受け、ご自身のライフスタイルや経済的な状況、今後の健康状態などを総合的に考慮することが大切です。しっかりと情報を集め、納得のいく治療法を選びましょう。
治療後も定期的なメンテナンスやクリーニングを欠かさず行うことで、快適な口腔環境を長く維持できます。一度歯を失った場合でも、適切な方法で治療することで、自分の歯と同じような感覚と自信を取り戻すことが期待できます。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。