アメリカのインプラントは減少傾向?日米の普及率と背景を解説
結論:「アメリカでインプラントが減少している」とはっきり示す公的なデータは、現時点で確認できません。米国の全国健康栄養調査を分析した研究では、1999〜2016年にかけてインプラントの利用は増えていたと報告されています[1]。日本では、厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査でインプラントを装着している人は15歳以上の3.2%でした[2]。
この記事では、日米の普及状況の数字の読み方、違いが生まれる背景、そして普及率よりも大切な「自分に合う治療の選び方」を解説します。
アメリカのインプラントは本当に減少傾向なのか
確認できる研究データでは、アメリカのインプラント利用は減少ではなく増加傾向でした。
ハーバード大学の研究者らが2018年に発表した研究は、米国の全国健康栄養調査(NHANES)のデータを分析しています[1]。報道によると、主な結果は次のとおりです[1]。
- 歯を1本以上失った成人のうち、インプラントがある人の割合は0.7%(1999〜2000年)から5.7%(2015〜2016年)に増加
- 増加幅が最も大きかったのは65〜74歳の層
- 民間保険がある人や教育歴の長い人ほど利用が伸び、無保険の人では伸びが緩やかだった
つまり、課題として指摘されたのは「減少」ではなく、保険の有無などによる利用の差です。インターネット上で見かける「アメリカで減少」という話は、出典や対象期間を確認してから受け止めることをおすすめします。
日本のインプラント普及率:15歳以上で3.2%
日本でインプラントを装着している人は、15歳以上の調査対象者のうち3.2%です[2]。
これは厚生労働省が実施した令和4年歯科疾患実態調査の結果です。年齢別では70〜74歳が5.9%で最も多くなっています[2]。
| 項目 | 日本 | アメリカ |
|---|---|---|
| データ | 令和4年歯科疾患実態調査[2] | NHANES 2015〜2016年の分析[1] |
| 対象 | 15歳以上の調査対象者 | 歯を1本以上失った成人 |
| インプラントがある人の割合 | 3.2% | 5.7% |
| 多い年代 | 70〜74歳(5.9%) | 65〜74歳で増加が最大 |
なお、両国の数字は対象の取り方が違うため、そのまま比べることはできません。日本の数字は「15歳以上の全員」、アメリカの数字は「歯を失った成人」が分母です。
日本とアメリカで違いが生まれる背景
普及状況の違いには、医療保険の仕組みと、ほかの治療法の選びやすさが関係していると考えられます。
日本:インプラントは基本的に自由診療
日本歯科医師会は、一般的なインプラント治療は基本的に保険適用外の自由診療で、費用は医療機関ごとに異なると説明しています[3]。一方、入れ歯やブリッジには保険診療の選択肢があります[4]。費用面で比べやすいことが、選択に影響している可能性があります。
アメリカ:保険の有無で利用に差
先の研究では、民間保険がある人で利用が大きく伸びた一方、無保険の人では伸びが緩やかでした[1]。費用負担の仕組みが、治療を受けられるかどうかに影響していることがうかがえます。
普及率より大切な、自分に合う治療の選び方
他国でどれだけ使われているかより、ご自身のお口と体の状態に合うかどうかが大切です。
歯を失ったときの主な選択肢は、インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つです[4]。
| 治療法 | 主な特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| インプラント | 周りの歯を削らず、噛む感覚が自分の歯に近いとされる | 手術が必要。治療期間が長く、定期的なメンテナンスが必要[4] |
| ブリッジ | 固定式で違和感が少ない | 両隣の歯を削って土台にするため、その歯の負担が増える[4] |
| 入れ歯 | 取り外し式で、多くの歯を失った場合にも対応しやすい | 違和感が出やすく、硬い物が食べにくい場合がある[4] |
インプラントを検討するときに知っておきたいこと
インプラントは自由診療です。一般的な内容・期間・リスクは次のとおりです。
- 治療内容:顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付けます[3]。
- 期間:骨とインプラントがなじむまで数か月以上かかることが一般的です[5]。骨の状態によって変わります。
- 主なリスク:術後の痛み・腫れ・感染、神経の損傷、隣の歯の損傷、ネジの緩みなどがあります[3][5]。
- 受けられない場合:重い心臓病や糖尿病がある場合、治療できないことがあります[4]。喫煙は治癒を妨げるため、禁煙が必要です[4][5]。
- 治療後:毎日の手入れと歯科医院での定期健診が必要です[3]。
- 費用:自由診療のため、費用は医療機関ごとに異なります。日本歯科グループの公式サイトでは、インプラント1本あたりの費用(レントゲン・CTスキャン・手術代を含む、上部構造が銀・プラスチックの場合)を、ストローマンインプラント35万円、ネオデントインプラント25万円、バイオテムインプラント15万円と掲載しています(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。
よくある質問
アメリカではインプラントをやめる人が増えているのですか?
確認できる研究では、1999〜2016年にアメリカのインプラント利用は増加していました[1]。減少を示す公的データは確認できていません。ただし、保険の有無などによる利用の差が課題として指摘されています。
日本のインプラント普及率が低いのは、治療に問題があるからですか?
普及率の数字だけで治療の良し悪しは判断できません。日本ではインプラントが基本的に自由診療である一方、入れ歯やブリッジには保険診療があるなど、制度の違いも関係していると考えられます[3][4]。
インプラントは何歳でも受けられますか?
骨の成長が止まる成人期以降が対象です[4]。年齢の上限で決まるのではなく、全身の健康状態や顎の骨の状態などを診察して判断します。
インプラントが合うかどうかは、どうやって分かりますか?
歯科医師の診察と検査で判断します。持病や服用中の薬、喫煙の有無も伝えてください[5]。インプラント以外の選択肢と比べながら相談するのがおすすめです。
まとめ
「アメリカでインプラントが減少」という話は、確認できるデータとは一致しません。研究ではむしろ増加傾向で、保険による利用の差が課題とされていました[1]。日本の装着率は15歳以上で3.2%です[2]。大切なのは普及率ではなく、ご自身に合う治療かどうかです。
日本歯科グループでは、インプラント・ブリッジ・入れ歯それぞれの特徴やリスクをご説明し、患者さまのご希望を伺いながら治療方針を一緒に考えます。インプラントの初回相談は0円です。治療前の疑問や不安があれば、お気軽にご相談ください。料金や治療の流れは日本歯科グループのインプラント治療のページでご案内しています。
参考情報
- DrBicuspid.com「Implant access remains low, uneven despite growth in use」(Elani HWら, Journal of Dental Research 2018「Trends in Dental Implant Use in the U.S., 1999–2016, and Projections to 2026」の紹介記事)
- 厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」
- 日本歯科医師会「お口のなんでも相談 インプラント」
- 山形県口腔保健支援センター「青年期・壮年期シリーズ vol.5(入れ歯・ブリッジ・インプラント)」
- 米国食品医薬品局「Dental Implants: What You Should Know」