Menu

タバコを吸っていてもインプラントは可能?喫煙・加熱式たばこの影響と注意点

48

結論:タバコを吸っている方でも、お口や全身の状態によってはインプラント治療を検討できる場合があります。ただし、喫煙は傷の治りを遅らせ、インプラントの長期的な経過を悪くする要因で、加熱式たばこも影響がないとはいえません。治療を考えるなら、喫煙状況を正直に伝え、減煙・禁煙を含めて歯科医師と相談することが大切です。

この記事では、喫煙がインプラントに与える影響、加熱式たばこの考え方、治療前後に気をつけたいことを、日本歯科グループの歯科医師が解説します。

タバコを吸っていてもインプラントは可能?

喫煙していることだけで一律に治療ができないわけではありませんが、喫煙は治療の経過に悪影響を与えるため、減煙や禁煙が勧められます。日本口腔インプラント学会は、歯周病や喫煙がインプラントの残存率(長く残る割合)を下げることが知られており、喫煙者には減煙や禁煙を勧めているとしています。[1]

治療ができるかどうかは、喫煙の量だけでなく、骨や歯ぐきの状態、歯周病の有無、全身の健康状態などを総合的にみて歯科医師が判断します。喫煙状況を隠さず伝えたうえで、検査と説明を受けましょう。

喫煙がインプラントに与える主な影響

喫煙は、手術後の治りと、治療後の長期的な安定の両方に影響します。

傷の治りが遅れる

米国食品医薬品局(FDA)は、喫煙は治癒を妨げ、インプラントの長期的な成功を低下させる可能性があると説明しています。[2] 治癒の遅れは、インプラントがうまくいかない原因の一つとして挙げられています。[2]

歯ぐきの血流が減り、炎症に気づきにくくなる

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、たばこの成分によって歯ぐきの血管が収縮して血流が減り、細菌が増えやすくなります。一方で炎症が抑えられるため、歯ぐきの出血や腫れといったサインが出にくいのが特徴です。[3] インプラントの周りの炎症も見逃しやすくなるおそれがあります。

インプラント周囲炎のリスク

喫煙は、インプラントの周りの歯ぐきや骨に炎症が起こる「インプラント周囲炎」のリスク因子の一つとして検討されています。[4] 周囲炎が進むと骨が吸収され、インプラントを失う原因になります。[1]

時期 喫煙による主な影響
手術後〜治癒期間 傷の治りが遅れる、インプラントと骨の結合がうまくいかない可能性[2]
治療後(長期) インプラントの残存率が下がる、インプラント周囲炎のリスク[1][4]
お口全体 歯周病にかかりやすく悪化しやすい、出血や腫れが出にくく気づきにくい[3]

加熱式たばこなら影響は少ない?

加熱式たばこにもニコチンが含まれており、インプラントへの影響がないとはいえません。加熱式たばこは、たばこ葉を燃やさずに電気で加熱し、ニコチンを含むエアロゾル(霧状の成分)を吸い込む製品です。[5]

e-ヘルスネットでは、ニコチン以外の有害物質の量は紙巻たばこより少なかったと報告されている一方、紙巻たばこより健康影響が少ないかどうかは、まだ明らかになっていないとされています。[5] 販売期間が短く、長期使用による健康影響も分かっていません。[5] 「加熱式だから大丈夫」と考えず、インプラントを検討する際は加熱式たばこの使用も歯科医師に伝えましょう。

なお、加熱式たばこを使用している方も、健康保険による禁煙治療の対象になっています。[5]

インプラント治療の前後に気をつけたいこと

喫煙している方がインプラントを検討するときは、治療前・治療中・治療後の各段階で次の点を意識しましょう。

治療前:喫煙状況を伝え、お口の環境を整える

  • 1日の本数、喫煙年数、紙巻か加熱式かを正直に伝える
  • 歯周病がある場合は、インプラントの前に治療しておく[1]
  • 禁煙の時期や方法について、歯科医師と相談する
  • 一度にやめるのが難しい場合は、禁煙外来などの支援の利用も検討する

治療中:治癒期間の過ごし方

インプラントは骨と結合するまで一定の期間が必要です。埋入後に人工歯を付けるまでの目安は、下顎で2〜3か月、上顎で4〜6か月程度とされています。[1] この期間の喫煙は治りに影響するため、指示された期間は喫煙を控え、毎日の口腔ケアを丁寧に行いましょう。

治療後:定期メインテナンスを続ける

治療が終わった後も、定期的なメインテナンスが良好な状態を保つために重要です。[1] 喫煙している方は炎症のサインが出にくいため、自覚症状がなくても定期検診で歯ぐきや骨の状態を確認してもらうことが大切です。メインテナンスの間隔は一般に4〜6か月が適切とされ、リスクに応じて1〜3か月に短くすることが望ましいとされています。[6]

禁煙はいつからでも効果がある

禁煙すると歯ぐきの状態が回復し、歯周病のリスクが下がって治療の効果も上がるとされています。[3] e-ヘルスネットでは、歯周病がある程度進んでいても禁煙は有効で、「禁煙に遅すぎることはない」と説明されています。[3] インプラント治療をきっかけに、禁煙に取り組むことを検討してみましょう。

インプラント治療の概要とリスク

インプラント治療は、通常は健康保険の対象外の自由診療です。[1] 標準的には、検査・診断、インプラントの埋入手術、骨と結合するまでの治癒期間、人工歯の装着、定期メインテナンスの順に進みます。主なリスクとして、手術に伴う痛み・腫れ・内出血、人工歯の破損や脱離、ねじの緩み、インプラント周囲炎などがあります。[1] 費用は本数や処置の内容で異なります。日本歯科グループの公式サイトでは、インプラント1本あたりの費用(レントゲン・CTスキャン・手術代を含む、上部構造が銀・プラスチックの場合)を、ストローマンインプラント35万円、ネオデントインプラント25万円、バイオテムインプラント15万円と掲載しています(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。検査から人工歯の装着までの総額を事前に確認しておくことが勧められています。[1]

喫煙とインプラントについてよくある質問

タバコを吸っているとインプラントはできませんか?

喫煙だけで一律に治療ができないわけではありません。ただし、喫煙はインプラントの残存率を下げることが知られており、減煙や禁煙が勧められます。治療ができるかどうかは、検査をもとに歯科医師が判断します。

加熱式たばこなら吸っても問題ありませんか?

加熱式たばこにもニコチンが含まれており、紙巻たばこより健康影響が少ないかどうかは明らかになっていません。インプラントを検討する際は、加熱式たばこの使用も歯科医師に伝えて相談してください。

手術の前後だけ禁煙すれば大丈夫ですか?

手術前後の禁煙は治りのために大切ですが、喫煙はインプラント周囲炎などの長期的なリスクにも関わります。治療後も含めて減煙・禁煙を続けることが望ましく、禁煙の期間や方法は歯科医師と相談しましょう。

喫煙者はなぜ定期検診が特に大切なのですか?

喫煙すると歯ぐきの血流が減り、出血や腫れなどの炎症のサインが出にくくなります。自覚症状がないまま炎症が進むおそれがあるため、定期検診で歯ぐきや骨の状態を確認してもらうことが大切です。

まとめ

タバコを吸っている方でも、状態によってはインプラント治療を検討できる場合があります。ただし、喫煙は傷の治りやインプラントの長期的な経過に悪影響を与え、加熱式たばこも影響がないとはいえません。喫煙状況を正直に伝え、減煙・禁煙と定期メインテナンスを含めて、歯科医師と一緒に治療計画を考えましょう。

日本歯科グループでは、検査結果や生活習慣を伺ったうえで、インプラント治療の方法や期間、リスク、費用についてご説明しています。初回相談は0円です。喫煙習慣があってインプラントを迷っている方も、お気軽にご相談ください。料金や治療の流れは日本歯科グループのインプラント治療のページでご案内しています。

参考情報

  1. 日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」
  2. FDA(米国食品医薬品局)「Dental Implants: What You Should Know」
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「喫煙と歯周病の関係」
  4. 日本歯周病学会会誌 蓮池聡ほか「インプラント周囲炎の診断・リスク因子・治療に関するエビデンスと今後の課題」(2023年)
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット「加熱式たばこの健康影響」
  6. 日本口腔インプラント学会・日本歯周病学会「インプラントのメインテナンスに関する学会見解」