Menu

骨が足りなくてもインプラントはできる?骨造成など治療法を解説

Dental tooth implant

結論:顎の骨が足りないと言われた場合でも、骨を増やす「骨造成」や、骨の少ない部分を避けて埋める方法により、インプラント治療ができる場合があります。どの方法が合うかは、CTなどの検査と全身状態をふまえて歯科医師が判断します。この記事では、主な方法の特徴と、選ぶときのポイントを解説します。

インプラント治療で「骨が足りない」とはどういう状態?

骨不足とは、人工歯根(インプラント体)をしっかり支えるだけの骨の幅や高さがない状態です。インプラントは顎の骨に埋め込み、骨と結合させて人工の歯を支えます。そのため、骨が細すぎたり低すぎたりすると、そのままでは埋め込めません[1]。

骨が痩せる主な原因は次のとおりです。

  • 歯周病による骨の吸収
  • 歯を失ったまま長期間過ごしたこと
  • 加齢や、抜歯後の治り方

日本口腔インプラント学会も、骨が不足していると治療が難しくなることをデメリットの一つに挙げています[2]。以前は入れ歯やブリッジに切り替えることが多かったものの、現在は骨を補う方法などの選択肢が広がっています。

骨不足を補う「骨造成」の主な方法

骨造成とは、骨が足りない部分に自分の骨や人工の骨補填材を入れて、骨を増やす治療です。骨の移植には、下あごの奥などから自分の骨を採る方法と、人工的な材料を使う方法があります[1]。代表的な術式を紹介します。

GBR法(骨誘導再生法)

GBR法は、骨補填材と「メンブレン」と呼ばれる膜を使い、骨が再生しやすい環境をつくる方法です。膜で歯ぐきの組織が入り込むのを防ぎ、その下で骨の再生を促します。骨の幅や高さが不足している場合に用いられ、状態によってはインプラントの埋入と同時に行います。治癒期間は一般に3〜6か月程度が目安です。

ソケットリフト法

ソケットリフト法は、上顎の奥歯で、上顎洞(鼻の横にある空洞)までの骨の高さが少し足りない場合に用いる方法です。インプラントを埋める穴から上顎洞の粘膜を少しずつ押し上げ、できた空間に骨補填材を入れます。骨の高さが一定程度(一般に3〜5mm程度が目安)残っている場合に検討され、治癒期間は3〜4か月程度が目安です。切開の範囲が比較的小さい一方、骨不足が大きい場合には対応できないことがあります。

サイナスリフト法

サイナスリフト法は、上顎の骨の高さが大きく不足している場合に用いる方法です。頬側の歯ぐきを開いて上顎洞の側面に窓をあけ、粘膜を持ち上げて広い範囲に骨補填材を入れます。上顎の奥歯は骨が薄く質も低いことが多く、この方法で十分な骨を確保できる場合があると報告されています[7]。治癒期間は10〜12か月程度と長めで、腫れなど術後の負担も大きくなる傾向があります。

自家骨移植・CGF(血液由来の材料)

骨造成の材料には、人工の骨補填材のほか、自分の骨(自家骨)や、自分の血液から作るCGFなどがあります。

  • 自家骨:自分の骨なのでなじみやすいとされますが、骨を採る部位にも手術が必要です。
  • CGF:血液を遠心分離して作る材料で、成長因子を含み、傷の治りを助けると考えられています。

どの材料が合うかは、骨の状態や手術の範囲によって歯科医師が判断します。

骨造成を最小限にする治療法

骨の多い部分を選んでインプラントを埋めることで、骨造成を省いたり減らしたりできる方法もあります。

オールオン4

オールオン4は、片顎に4本のインプラントを埋め、その上に連結した人工歯を固定する方法です。歯がほとんど残っていない方が主な対象です。後方のインプラントを斜めに埋めることで、骨の少ない部分を避ける設計が特徴です。

日本歯科グループでも、オールオン4・オールオン6(片顎に4本または6本のインプラントを埋める方法)を取り扱っています。症例やインプラントの種類によっては適用できない場合があります。

一方で、噛み合わせや全身状態によっては適応にならないことがあります。また、少ない本数で全体を支えるため、1本あたりの負担が大きくなる点に注意が必要です。

ザイゴマインプラント

ザイゴマインプラントは、上顎の骨が大きく失われている場合に、頬骨(ザイゴマ)まで届く長いインプラントを使う方法です。サイナスリフトや骨移植が難しい症例で検討されることがあります。ただし手術の規模が大きく、術後の腫れや痛みなど体への負担も大きい傾向があります。実施できる医療機関も限られるため、十分な説明を受けて検討することが大切です。

治療法別の比較表

各方法の目安をまとめると次のとおりです。期間は一般的に紹介される目安で、実際は検査結果によって異なります。

治療法 主な対象 治癒期間の目安 特徴
GBR法 骨の幅・高さの不足 3〜6か月 状態により埋入と同時に可能
ソケットリフト法 上顎奥歯で骨の高さがやや不足 3〜4か月 切開が比較的小さい
サイナスリフト法 上顎奥歯で骨の高さが大きく不足 10〜12か月 広い範囲で骨を増やせる
オールオン4 歯がほとんどない顎 個別の診断による 4本で片顎の歯を支える
ザイゴマインプラント 上顎の重度の骨不足 個別の診断による 頬骨を利用し骨造成を避ける

インプラントの費用は、検査・診断、埋入手術、骨不足を補う手術、上部構造(見える歯の部分)、メンテナンスなどの項目から算出されます[4]。見積もりでは、どの項目が含まれているかを確認しましょう。

日本歯科グループの骨造成の費用は、GBRが100,000円、サイナスリフトが150,000円(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)です。その他の方法の費用は、詳しくは各院にお問い合わせください。

治療法を選ぶときの3つのポイント

治療法は、骨の状態・治療期間・費用と体の負担を総合して選びます。

1. 骨の量と全身状態を検査で確認する

まずはエックス線やCTで骨の形や量を確認し、血液検査などで治療に影響する病気がないかを調べます[1]。全身状態がよくないと治療がうまくいかない場合があります[2]。糖尿病や喫煙は歯周病を悪化させる要因とされ[6]、インプラント周りの状態にも影響しうるため、事前に歯科医師へ伝えてください。

2. 治療期間と流れを把握する

骨造成を行う場合、インプラントを埋める前後に数か月〜1年程度の治癒期間が必要になることがあります。骨とインプラントが結合するまでの期間も、元の骨の状態などで異なります[1]。仮歯の期間や、いつ最終的な歯が入るかを事前に確認しておくと安心です。

3. 費用・保険適用とリスクを理解する

インプラント治療は原則として自由診療です。日本歯科グループのインプラント費用は1本あたり150,000円〜450,000円(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)で、レントゲン・CTスキャン・手術代が含まれます。詳しくは日本歯科グループのインプラント治療ページをご覧ください。ただし、腫瘍や外傷、先天的な疾患などで顎の骨が広く失われた場合に、条件を満たした医療機関で保険適用となることがあります。適用の可否は個別に判断されるため、医療機関で確認が必要です。

また、インプラントや骨造成は外科処置のため、次のようなリスクがあります[2]。

  • 痛み・腫れ・出血などが起こることがある
  • 合併症が起こる可能性がある
  • 治療期間が比較的長く、費用が比較的高額
  • メンテナンスを怠ると長持ちしない

術後の過ごし方とメンテナンス

手術後の経過とインプラントを長持ちさせるには、生活上の注意と丁寧な清掃が欠かせません。

手術後の生活上の注意

  • 食事:柔らかいものを選び、刺激物や硬い食品は避けます。
  • 飲酒・喫煙:控えるよう指示されることが多いです。
  • 運動・入浴:しばらくは激しい運動や長時間の入浴を避け、安静に過ごします。

毎日のお手入れと定期メンテナンス

インプラントの根元に汚れがたまると、周りの歯ぐきに炎症が起こり、進むと支える骨が失われる「インプラント周囲炎」につながります[5]。インプラントは天然の歯より感染に弱いとされ[2]、自分の歯以上に入念なお手入れが必要です[3]。

  • 歯ブラシを細かく動かし、歯ぐきとの境目を重点的に磨く[3]
  • 隙間の大きさに応じてデンタルフロスや歯間ブラシを使い分ける[3]
  • 定期メンテナンスは一般に3か月〜半年ごとが目安[3]

まとめ

骨が足りないと言われても、GBR法・ソケットリフト・サイナスリフトなどの骨造成や、オールオン4・ザイゴマインプラントにより、インプラントが選択肢になる場合があります。ただし、方法ごとに治療期間や費用、体への負担、リスクが異なります。

まずは歯科医院で精密検査を受け、自分の骨の状態に合った方法について説明を受けることが大切です。日本歯科グループでは、検査結果をもとに治療法の選択肢やリスク、期間を説明し、患者さまのご希望をうかがいながら治療計画を一緒に考えています。インプラントの初回相談は0円です。骨不足でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

骨が足りないと言われたら、インプラントはあきらめるしかありませんか?

必ずしもそうとは限りません。骨造成で骨を増やしたり、骨の多い部分を選んで埋めたりする方法があります。どの方法が可能かは、CTなどの検査と全身状態をもとに歯科医師が判断します。

骨造成をすると治療期間はどのくらい延びますか?

方法によって異なり、一般的な目安はGBR法で3〜6か月、ソケットリフト法で3〜4か月、サイナスリフト法で10〜12か月程度です。骨の状態によって前後するため、検査後に具体的な見通しを確認してください。

骨造成の手術にリスクはありますか?

外科処置のため、痛みや腫れ、出血、合併症が起こる可能性があります。手術の範囲が大きいほど体への負担も大きくなる傾向があります。事前にリスクと術後の注意点について説明を受けましょう。

骨造成やインプラントに保険は使えますか?

インプラント治療は原則として自由診療です。腫瘍や外傷、先天的な疾患などで顎の骨が広く失われた場合には、条件を満たす医療機関で保険適用となることがあります。適用されるかどうかは個別に判断されます。

インプラントを長持ちさせるには何が大切ですか?

毎日の丁寧な清掃と、歯科医院での定期的なメンテナンスが大切です。清掃が不十分だとインプラント周囲炎につながることがあります。メンテナンスの間隔は一般に3か月〜半年ごとが目安です。

参考情報

  1. 公益社団法人日本口腔インプラント学会「相談から治療の流れ」
  2. 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのメリット・デメリット」
  3. 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのお手入れ」
  4. 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントの費用は?」
  5. MSDマニュアル家庭版「歯科インプラント関連疾患」
  6. 特定非営利活動法人日本歯周病学会「歯周病の原因は?」
  7. 日本口腔インプラント学会誌「上顎洞底挙上術(サイナスリフト)を行った3症例 ―歯周病学的観察とCTによる観察―」(1997)