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根管治療はしないほうがいい?放置するリスクとメリット・デメリット

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結論:「根管治療はしないほうがいい」は正確ではありません。虫歯が歯の神経(歯髄)まで進んで感染した場合、根管治療は自分の歯を残すための基本的な治療で、放置すると根の先に膿がたまり、最終的に抜歯が必要になることがあります[1][2]。一方で、神経を残せる可能性がある場合や、歯の保存が難しい場合など、根管治療以外を検討するケースもあります。

この記事では、根管治療の仕組み、メリット・デメリット、放置した場合のリスク、根管治療以外を検討するケースを解説します。

根管治療とは:感染した神経を取り除き、歯を残す治療

根管治療は、感染したり炎症を起こしたりした歯髄を取り除き、歯の根の中(根管)を清掃・消毒して密閉する治療です[2][3]。

歯は外側から「エナメル質」「象牙質」「歯髄(神経・血管)」の順に重なっています。虫歯がエナメル質から象牙質へ進み、歯髄に達すると、強い痛みが出ることがあります。歯髄が感染する原因には、深い虫歯のほか、歯の割れやひび、同じ歯への処置の繰り返しなどがあります[3]。

根管治療の種類 主な対象
抜髄(ばつずい) 虫歯などで炎症を起こした神経を初めて取り除く場合
感染根管治療(再根管治療を含む) 神経が死んで根管内が感染している場合や、過去に治療した歯が再び感染した場合

根管治療をしないで放置した場合のリスク

感染した歯髄を放置すると、根の先に膿がたまる「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」や膿瘍に進み、歯を失う原因になります[1][3]。

  • 膿がたまる:歯や歯ぐきが感染し、痛みを伴う膿のたまりができることがあります[5]。
  • 自然には治らない:膿瘍は自然に治らず、早めの歯科治療が必要とされています[1]。
  • 抜歯が必要になる:治療しないままでは、歯を抜かなければならなくなることがあります[2]。
  • 腫れが広がる:顔や首が腫れる、口が開きにくい、飲み込みにくい、息が苦しいといった場合は救急対応が必要です[1]。

痛みが一時的に治まっても、神経が死んで痛みを感じなくなっただけで、感染が進んでいることがあります[3]。症状の有無にかかわらず、歯科医師の診察を受けて判断してもらいましょう。

根管治療のメリット

根管治療の最大のメリットは、抜歯せずに自分の歯を残せることです[3]。

自分の歯を残せる

アメリカ歯内療法学会の資料では、多くの根管治療を受けた歯は、天然の歯と同じくらい長く使えるとされています[3]。抜歯した場合はブリッジ・入れ歯・インプラントなどで補う必要があり、外科処置や隣の歯を削ることを伴う場合が多く、費用や時間もかかりやすいと説明されています[3]。

痛みや腫れの原因を取り除ける

根管治療は、痛みや腫れの原因となっている感染した組織を取り除く治療です。痛み止めや抗菌薬だけでは、歯の中の感染源は取り除けません。コクランのレビューでも、治療の基本は感染した歯髄や細菌を取り除くことで、抗菌薬は感染が周囲に強く広がっている場合などに限って使うべきとされています[4]。

根の先の病気(根尖性歯周炎)を治療できる

根の先に膿がたまった状態では、感染根管治療が行われます[6]。治療がうまくいけば、その歯を引き続き使うことができます。

根管治療のデメリットと注意点

根管治療には、歯が割れやすくなる、通院回数が多いといったデメリットもあり、治療後のケアが大切です。

治療後の歯は割れやすくなる

根管治療後の歯は割れやすくなるため、できるだけ早く被せ物(クラウン)などで補強することが勧められています[3]。根管にアクセスするために歯を削る必要もあり、残る歯の量が少ないほど割れるリスクは高まります。硬い物を噛むときや歯ぎしりにも注意しましょう。

通院が複数回になる

根管治療は、2回以上の通院が必要になるのが一般的です[2]。感染の程度や根の形によっては回数が増えます。痛みが消えた段階で通院をやめてしまうと、仮のふたのまま再感染するおそれがあります。被せ物が入るまで、最後まで通院することが大切です。

虫歯の再発に気づきにくい

神経を取った歯は痛みを感じにくいため、被せ物の下で虫歯が再発しても気づきにくくなります。根管治療を受けた歯も、虫歯になる部分は残っています。毎日の歯磨きと定期検診で、早めに見つけることが大切です[5]。

治療後も症状が残ったり再発したりすることがある

根管治療をしても、痛みが残ったり、後になって再発したりすることがあります。その場合は再根管治療や、根の先を外科的に処置する方法が検討されることがあります[3][6]。

根管治療以外を検討するケース

神経を残せる可能性がある場合や、歯を残すのが難しい場合は、根管治療以外の方法を検討することがあります。

神経を残せる可能性がある場合:歯髄保護・覆髄

深い虫歯でも、神経がまだ健康な反応を示している場合は、神経を残す処置(覆髄・断髄など)を検討することがあります。日本歯科保存学会と日本歯内療法学会は2024年に「歯髄保護の診療ガイドライン」を公表し、深い虫歯への対応や、MTAセメントと水酸化カルシウムを用いた覆髄・断髄について検討しています[7]。

ただし、神経を残せるかどうかは、虫歯を取り除いたときの神経の状態や症状によって決まり、すべての歯に適用できるわけではありません。使う材料によっては自由診療になることもあるため、治療前に内容と費用、リスクの説明を受けてください。日本歯科グループでの神経を残す処置(MTAセメントなど)の実施の有無や、保険・自費の扱いは公式サイトに記載がないため、詳しくは各院にお問い合わせください。

歯を残すのが難しい場合

歯が大きく割れている、骨の支えが足りない、根管にアクセスできないなどの場合は、根管治療で歯を残すことが難しいことがあります[3]。歯周病が進んで歯がぐらついている場合も同様です。このような場合は、抜歯してブリッジ・入れ歯・インプラントで補う方法を検討します。

インプラントを検討する場合

インプラントは自由診療で、手術を伴う治療です。一般的には、検査、インプラントを埋める手術、骨と結合するまでの治癒期間、人工歯の装着という流れで進み、治療期間は比較的長めです[8]。主なリスクには、手術に伴う痛み・腫れ・出血・合併症、インプラント周囲の感染、人工歯の破損などがあり、治療後のメインテナンスも欠かせません[8]。日本歯科グループの公式サイトでは、インプラント1本あたりの費用を、インプラントの種類(バイオテム・ネオデント・ストローマン)と上部構造の材質に応じて15万〜45万円(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)と案内しています。この料金にはレントゲン・CTスキャン・手術代が含まれ、骨造成などが必要な場合は別途費用がかかります。保証期間はインプラントの種類により1年・5年・10年です。初回相談は0円です。詳しくは日本歯科グループのインプラント治療のページをご覧ください。

治療した歯を長持ちさせるためにできること

根管治療を受けた歯を長く使うには、毎日のケアと定期検診が欠かせません。

  • フッ素入り歯磨き剤で1日2回以上歯を磨き、フロスや歯間ブラシで歯の間も清掃する[5]
  • 甘い食べ物や飲み物をとりすぎない[5]
  • 症状がなくても定期的に歯科検診を受ける[5]
  • 根管治療後は早めに被せ物などで補強する[3]
  • 歯ぎしりがある場合は、マウスピース(ナイトガード)について歯科医師に相談する

日本歯科グループでは、虫歯治療の一つとして根管治療を行っており、根管治療で歯を残せるかどうかを含めて診察し、それぞれの治療法のメリットとリスクをご説明しています。歯の痛みや根管治療への不安があれば、お気軽にご相談ください。

よくある質問

根管治療を途中でやめるとどうなりますか?

仮のふたのまま放置すると、すき間から細菌が入り再感染するおそれがあります。痛みが治まっても治療は終わっていません。被せ物が入るまで通院を続けてください。

神経を抜くと歯はすぐにだめになりますか?

すぐにだめになるわけではありません。根管治療を受けた歯の多くは、長く使えるとされています。ただし割れやすくなるため、被せ物での補強と定期的なチェックが大切です。

痛みが治まったので、治療しなくても大丈夫ですか?

神経が死んで痛みを感じなくなっただけで、感染が進んでいる場合があります。痛みの有無だけで判断せず、歯科医師の診察を受けてください。

根管治療と抜歯してインプラント、どちらがよいですか?

歯を残せる場合は、根管治療が検討されるのが一般的です。歯の割れや骨の状態などで保存が難しい場合は、抜歯して補う方法を考えます。歯の状態とご希望をふまえて、歯科医師と相談して決めましょう。

神経を残す治療はどんな歯でもできますか?

できるとは限りません。神経が健康な反応を示していることなど、条件が合う場合に検討します。材料によっては自由診療になることもあるため、事前に説明を受けてください。

参考情報

  1. NHS「Dental abscess」
  2. NHS「Root canal treatment」
  3. アメリカ歯内療法学会(AAE)「根管治療のガイド」
  4. コクラン「成人の症候性根尖性歯周炎および急性根尖膿瘍による痛みと腫れに対する全身性抗菌薬の効果」2024年
  5. NHS「Tooth decay」
  6. 東京医科歯科大学 大学院特別講義「根尖性歯周炎の病因と Epstein-Barr ウイルス感染」(講義抄録)2022年
  7. 日本歯科保存学会・日本歯内療法学会「歯髄保護の診療ガイドライン」(Minds掲載)2024年
  8. 日本口腔インプラント学会「インプラントのメリット・デメリット」