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歯周病で抜歯と言われたら?判断基準と抜歯後の治療法【日本歯科札幌院長が解説】

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結論:歯周病で抜歯が検討されるのは、歯を支える骨が大きく失われ、治療しても歯の機能を保つのが難しいと判断された場合です。抜歯後はブリッジ・入れ歯・インプラントなどで歯を補えますが、どの方法でも、残っている歯の歯周病治療と継続的なメンテナンスが欠かせません。

この記事では、抜歯が検討される基準、抜歯後の過ごし方と合併症の予防、歯を補う治療法の選び方、再発を防ぐケアについて、日本歯科札幌の院長が解説します。

歯周病で抜歯が検討されるのはどんなとき?

歯周病で抜歯が検討されるのは、歯を支える骨(歯槽骨)の破壊が進み、歯の保存が難しいと判断されたときです。

歯周病は、歯ぐき・歯根膜・歯槽骨など歯を支える組織に起こる病気の総称です。主な原因は歯垢(プラーク)で、炎症が歯ぐきだけにとどまる「歯肉炎」から、深い組織まで広がる「歯周炎」へと進行します。[1]

歯周炎が進むと、歯と歯ぐきの間のすき間(歯周ポケット)が深くなり、歯を支える骨が失われていきます。かむと痛む、歯がぐらつく、口臭が続くなどの症状が出て、重い場合は抜歯が必要になることがあります。[2]

抜歯が検討される主な状態

  • 歯のぐらつきが大きく、治療をしても機能の回復が見込めない
  • 歯を支える骨の吸収が大きく進んでいる
  • 深い歯周ポケットがあり、治療しても改善が見込めない
  • 膿が出続け、周りの歯や骨に悪影響を及ぼすおそれがある

こうした状態の歯を無理に残すと、かみにくさが続いたり、周りの骨まで失われたりすることがあります。抜歯するかどうかは、エックス線写真や歯周ポケットの検査などをもとに、歯科医師が総合的に判断します。ご自身の判断で「もう抜くしかない」「まだ大丈夫」と決めず、まず診察を受けてください。

納得できないときはセカンドオピニオンも選択肢

「抜歯しかない」と言われても、その場ですぐ決める必要はありません。特に前歯や複数の歯の抜歯をすすめられた場合は、別の歯科医師の意見を聞くことも検討しましょう。

確認したいポイント 内容
診断の根拠 エックス線写真や検査結果にもとづいた説明があるか
保存の可能性 歯周外科治療などで残せる可能性はあるか
抜歯後の計画 歯を補う方法の選択肢が示されているか
費用の見通し 抜歯から歯を補うまでの全体の費用

ただし、腫れや膿が続いているときは、放置すると状態が悪化するおそれがあります。セカンドオピニオンを受ける場合も、早めに行動することが大切です。

抜歯直後の過ごし方と注意点

抜歯後の数日間は、傷口にできる血のかたまり(血餅:けっぺい)を守ることが、治りを良くするための一番のポイントです。

抜歯当日の注意点

  • ガーゼ:指示された時間、ガーゼを軽くかんで出血を抑えます。再び出血したら、清潔なガーゼを当てて30分ほどしっかりかみます。[5]
  • うがい:最初の24時間は強いうがいや、つばを強く吐き出すことを控えます。[5]
  • 飲酒・喫煙:24〜48時間は控えましょう。喫煙はドライソケットの、飲酒は傷の感染のリスクを高めるとされています。[5]
  • 安静:当日は激しい運動や重い物を持つこと、前かがみの姿勢を避け、ゆっくり過ごします。[5]
  • 傷口に触れない:舌や指で触ったり、吸うような動作をしたりすると、血のかたまりが取れやすくなります。[5]

唾液に血が少し混じるのはよくあることで、実際より多く見えがちです。それでも出血が止まらない、強い痛みが出たといった場合は、抜歯を受けた歯科医院に連絡してください。

腫れと痛みへの対処

腫れや痛みは抜歯後によく見られる症状です。処方された痛み止めや抗菌薬は、指示どおりに服用しましょう。冷やし方や入浴については、抜歯の内容によって指示が異なるため、歯科医院の説明に従ってください。

腫れが日を追うごとに強くなる、熱が出る、膿が出るといった場合は、感染の可能性があるため早めに受診してください。

ドライソケットに注意

ドライソケットとは、抜歯した穴に血のかたまりができない、または取れてしまい、骨がむき出しになって強い痛みが出る状態です。[4]

  • 時期:抜歯後3〜5日ごろに、ズキズキした痛みが出ることが多いとされています。[4]
  • 症状:歯痛のような強い痛み、口臭、嫌な味、穴の中に血のかたまりが見えない状態など。[4]
  • リスク:喫煙、術後の注意を守らないこと、過去にドライソケットになったこと、難しい抜歯などが挙げられています。[4]

このような症状に気づいたら、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。

抜歯後の食事の目安

時期 おすすめの食事 控えたい食事
抜歯当日 ぬるめのスープ、ヨーグルト、ゼリーなど 熱いもの、辛いもの、硬いもの、アルコール
翌日〜数日 茶わん蒸し、おかゆ、やわらかい麺など 硬いもの、細かい種のあるもの
その後 抜いた場所を避けながら、普段の食事に戻す せんべいや硬いナッツなど、特に硬いもの

麻酔が効いている間は、頬や唇をかまないように注意しましょう。食事の回復は個人差があるため、気になる点は歯科医院に相談してください。

抜歯後に歯を補う治療法

抜歯後に歯を補う主な方法は、ブリッジ・入れ歯・インプラントの3つで、それぞれに利点と欠点があります。[6]

治療法 主な利点 主な注意点
入れ歯 保険の範囲なら費用を抑えやすい。治療期間が比較的短い 取り外しの手間がある。バネをかける歯に負担がかかる
ブリッジ 固定式で取り外しが不要。保険の範囲なら費用を抑えやすい 両隣の歯を削る。支える歯の負担が大きい
インプラント 隣の歯を削らずに済む。残っている歯への負担が少ない 自由診療で費用が高め。手術が必要で治療期間が長め

歯周病で歯を失った場合は、支えになる歯も歯周病の影響を受けていることがあります。どの方法が合うかは、残っている歯の状態、骨の量、全身の健康状態、ご希望を踏まえて歯科医師と相談して決めます。

歯周病の方がインプラントを検討するときの注意点

歯周病のある方がインプラントを検討する場合は、先に歯周病の治療を行うことが推奨されています。[7]

日本口腔インプラント学会は、歯周病にかかっている方や喫煙者では、インプラントが長く残る割合が低いと報告されていることを紹介しています。インプラントのまわりの骨が失われる「インプラント周囲炎」は、インプラントを失う原因になるため注意が必要です。[7]

インプラント治療の内容・期間・リスク(自由診療)

  • 標準的な治療内容:検査(エックス線・CTなど)→治療計画→局所麻酔での埋入手術→骨と結合するまでの待機→人工の歯の装着→定期的なメンテナンス
  • 期間の目安:人工の歯を入れるまでの待機期間は、下あごで2〜3か月程度、上あごで4〜6か月程度が目安とされています。骨を補う処置が必要な場合は、さらに長くなります。[7]
  • 主なリスク・副作用:手術に伴う腫れ・痛み・出血、インプラント周囲炎、部品の緩みや人工の歯の破損など。循環器の病気、糖尿病、骨粗しょう症、服用中の薬によっては注意が必要、または適さない場合があります。[7][8]
  • 費用:健康保険が適用されない自由診療です。日本歯科グループの公式サイトでは、インプラント1本あたりの費用は、ストローマン(10年保証)35万〜45万円、ネオデント(5年保証)25万〜35万円、バイオテム(1年保証)15万〜25万円(上部構造の材質により異なり、レントゲン・CTスキャン・手術代を含む)と掲載されています(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。詳しくは日本歯科グループのインプラント治療ページをご覧ください。

持病のある方やお薬を飲んでいる方は、検査の際に必ず歯科医師に伝えてください。

抜歯後の口腔ケアと再発予防

歯周病で抜歯した場合、残っている歯を守るためには、毎日の手入れと定期的なメンテナンスを続けることが最も大切です。

抜歯後の歯みがき

  • 抜歯直後は、傷口を避けて歯をみがきます
  • やわらかめの歯ブラシを使い、傷口のまわりはやさしく清掃します
  • フロスや歯間ブラシは、歯科医師の指示に従って再開します
  • 洗口液が処方された場合は、指示どおりに使います

歯周病は再発しやすい病気

歯周病は再発しやすいため、治療で良くなった状態を長く保つための「メンテナンス」が欠かせません。日本歯周病学会会誌の解説では、一般的に3か月ごとの来院が望ましく、リスクに応じて間隔を調整するとされています。[3]

喫煙は歯周病の最も大きなリスク因子とされ、治りを遅くし、治療の効果も下げるとされています。フッ化物配合の歯みがき剤での1日2回の歯みがきと、フロスや歯間ブラシの使用も予防の基本です。[2]

定期検診で確認すること

  • 残っている歯の歯周ポケットや歯ぐきの出血
  • 入れ歯・ブリッジ・インプラントの適合や緩み
  • かみ合わせ
  • 歯石や汚れの除去(専門的なクリーニング)
  • 必要に応じたエックス線検査

インプラントの場合、日本口腔インプラント学会と日本歯周病学会の見解では、状態が安定している方で4〜6か月、リスクが高い方では1〜3か月ごとのメンテナンスがすすめられています。[8]

日本歯科札幌でのご相談について

歯周病で抜歯が必要と言われ不安な方、抜歯後の治療法に迷っている方は、日本歯科札幌(札幌市中央区北3西1-1-1 ブリックキューブ2階、地下鉄さっぽろ駅から徒歩1分・JR札幌駅から徒歩5分)にご相談ください。歯周病治療は保険診療で行っており、インプラントの初回相談は0円です。検査結果をもとに、歯を残せる可能性や、抜歯後の治療法それぞれの特徴・費用・期間についてご説明し、患者さまのご希望を伺いながら治療計画を一緒に考えます。詳しくは日本歯科札幌のクリニック紹介をご覧ください。

よくある質問

歯周病で抜歯と言われたら、すぐに決めなければいけませんか?

急いで抜く必要がある状態かどうかは、症状によって異なります。まずは抜歯をすすめる理由と、残した場合のリスクを説明してもらいましょう。迷う場合はセカンドオピニオンを受けることもできますが、腫れや膿が続くときは早めに行動することが大切です。

抜歯した後、すぐにインプラントにできますか?

歯周病で歯を失った場合は、先に残っている歯の歯周病治療を行うことが推奨されています。骨の量が足りない場合は骨を補う処置が必要になることもあります。治療の時期は、検査で骨や歯ぐきの状態を確認してから決めます。

抜歯後、うがいはいつからしてよいですか?

一般的には、抜歯後24時間は強いうがいを控えるよう案内されます。傷口をふさぐ血のかたまりが取れるのを防ぐためです。具体的な再開時期は、抜歯を受けた歯科医院の指示に従ってください。

歯周病で歯を抜いたら、ほかの歯も抜けやすくなりますか?

歯周病の原因となる歯垢や生活習慣が変わらなければ、残っている歯も同じように進行するおそれがあります。歯周病は再発しやすい病気のため、治療後も毎日の手入れと定期的なメンテナンスを続けることが大切です。

インプラントとブリッジ、入れ歯はどれが良いですか?

どの治療にも利点と欠点があり、一律に優れた方法はありません。残っている歯の状態、骨の量、全身の健康状態、費用や通院の希望などを踏まえて、歯科医師と相談して選びます。

参考情報

  1. 厚生労働省「歯周病検診について」
  2. 米国国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)「Periodontal (Gum) Disease」
  3. 茂木美保「メインテナンス・SPTにおける3つのポイント」日本歯周病学会会誌 57巻3号(2015)
  4. East Sussex Healthcare NHS Trust「Dry Socket (Alveolar Osteitis)」
  5. Kent Community Health NHS Foundation Trust「Tooth extraction after care」
  6. 日本口腔インプラント学会「入れ歯やブリッジとの違いは」
  7. 日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」
  8. 日本口腔インプラント学会・日本歯周病学会「インプラントのメインテナンスに関する学会見解」