部分入れ歯を自費で作ると費用はいくら?保険との違いやメリットも解説
部分入れ歯は失った歯を補うための重要な治療法ですが、自費と保険では見た目や使用感、費用面で大きな違いがあります。この記事では、自費診療で部分入れ歯を作る場合の費用の目安や種類ごとの特徴、保険適用との違い、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。長期的な口腔の健康や快適さを考えた選択肢として、インプラント治療との比較も含めて解説していきます。
部分入れ歯の基本と種類について
部分入れ歯とは、数本の歯が失われた際に残っている歯に固定して使用する取り外し式の補綴物です。通常、残っている歯に装着する金属製のバネ(クラスプ)と、人工歯、そして人工歯を支える床部分から構成されています。
部分入れ歯には、材質や構造によってさまざまな種類があり、保険診療で作製できるものと、自費診療でしか作製できないものに分かれます。自費診療では希望や口腔内の状態に合わせて、より使い心地が良く見た目の良い部分入れ歯を選べることが特徴です
自費診療での部分入れ歯の種類と費用相場
自費診療で製作する部分入れ歯は、材質や製作方法によって価格が大きく異なります。主な種類と費用相場は以下の通りです。
ノンクラスプデンチャー(金属バネのない部分入れ歯)
金属のバネを使用せず、特殊な素材で作る見た目の良い部分入れ歯で、金属が見えないため多くの方に選ばれています。柔軟性のある素材を使うので付け心地が良く、それも人気の理由です。
- 費用相場:1〜3本あたり10万円〜30万円程度
- 特徴:審美性が高く、金属アレルギーの心配がない
- 耐久性:3〜5年程度
金属床義歯(チタン床・コバルトクロム床)
土台の部分に金属を使用することで、強度があり薄く作製できるため、違和感が少なくなります。特にチタンを使うと金属アレルギーのリスクが低く、軽量で耐久性に優れています。
- 費用相場:30万円〜60万円程度
- 特徴:熱伝導性が良く、薄くて丈夫、違和感が少ない
- 耐久性:7〜10年以上
特殊固定式部分入れ歯
残っている歯に特殊な金属の被せ物をし、そこに義歯を精密に固定する高度な技術で作製される部分入れ歯です。安定性と快適さに優れていますが、高度な技術が必要です。
- 費用相場:50万円〜80万円程度
- 特徴:高い安定性と自然な噛み心地、金属バネが見えない
- 耐久性:10年以上
マグネット義歯
残存歯や歯根に磁石を埋め込み、義歯側にも磁石を取り付けることで、磁力で固定する部分入れ歯です。着脱が容易で使いやすいのが特徴です。
- 費用相場:30万円〜50万円程度
- 特徴:着脱が簡単、金属バネが見えない
- 耐久性:5〜7年程度
保険適用の部分入れ歯について
保険診療で作製できる部分入れ歯は、材質や設計に制限があり、基本的には金属のバネを使ったプラスチック製の入れ歯になります。
保険適用の部分入れ歯の特徴
- 費用:5,000円〜15,000円程度(3割負担の場合)
- 材質:主にプラスチックの土台と金属バネ
- 耐久性:平均2〜3年程度
- 特徴:比較的厚みがあり、金属バネが目立つ
保険部分入れ歯の限界
保険の部分入れ歯は低コストである反面、設計や材質に制限があるため、見た目や装着感、使用感に課題があることも事実です。特に金属バネが目立つことや、床部分の厚みによる違和感が主な不満点として挙げられます。
自費診療と保険診療の違い
自費診療と保険診療では、使用できる材料や設計方法に大きな違いがあります。以下の表で主な違いを比較してみましょう。
比較項目 | 自費診療 | 保険診療 |
---|---|---|
費用 | 10万円〜80万円程度 | 5,000円〜15,000円程度(3割負担の場合) |
材質の選択肢 | 豊富(特殊樹脂、チタン、ゴールドなど) | 限定的(レジン、コバルトクロム) |
デザイン | 患者の希望や口腔内に合わせて自由に設計可能 | 保険規定内の限られた設計のみ |
審美性 | 高い(金属バネが見えない) | 低い(金属バネが見える) |
装着感 | 違和感が少ない(薄く作れる) | 違和感がある(ある程度の厚みが必要) |
耐久性 | 5〜10年以上 | 2〜3年程度 |
自費診療による部分入れ歯のメリット
自費診療で部分入れ歯を作製する場合、以下のようなメリットがあります。
審美性の高さ
金属バネを使用しないタイプや、バネが目立たない設計が可能なため、笑ったときや会話中に入れ歯が目立ちにくく、周囲の人に気づかれにくいという大きなメリットがあります。特に前歯部分の欠損がある場合、審美性の高い自費入れ歯は大きな安心感をもたらします。
快適な装着感
自費入れ歯は薄く作製できるため、口腔内での違和感が少なく、自然に舌を動かすことができます。また、金属の土台を使うと、温かさや冷たさも自然に感じられます。
優れた耐久性
高品質な材料を使用するため、保険を適用した入れ歯と比較して耐久性に優れています。長期的に見れば作り直す回数が少なくなるので、かえって費用が抑えられることもあります。
高い適合性と安定性
精密な技工技術と高度な設計により、口腔内への適合性が高く、食事中や会話中もずれにくくなっています。これにより食べ物が入れ歯の下に入りにくく、不快感を感じずに日常生活を送ることができます。
保険適用の部分入れ歯のメリット
保険診療による部分入れ歯にも、以下のようなメリットがあります。
費用が安い
保険診療であれば3割負担となるため、5,000円〜15,000円程度で作製できます。
製作期間が短い
設計や材料が標準化されているため、自費入れ歯と比較して製作期間が短点がメリットとして挙げられます。
修理やメンテナンスが保険適用
修理や調整にも保険が使えるので、維持費を抑えられます
部分入れ歯と他の治療法の比較
部分入れ歯の他にも、失った歯を補う方法には以下のような選択肢があります。
ブリッジとの比較
ブリッジは両隣の健康な歯を削って橋渡しのように人工歯を固定する方法です。
- メリット:取り外しの必要がなく、自分の歯のように使える
- デメリット:健康な歯を削る必要がある、清掃が難しい
- 費用:保険適用で1〜3万円程度、自費では5〜15万円/1歯
インプラントとの比較
インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法で、最も自然な歯の働きと見た目を取り戻せる治療法です。
- メリット:自分の歯とほぼ同じ感覚で使用できる、周囲の歯への負担がない、骨の吸収を防ぐ
- デメリット:治療に時間がかかる
- 費用:1本あたり30万円〜50万円程度
部分入れ歯を長持ちさせるためのケア方法
部分入れ歯を長く快適に使用するためには、適切なケアが不可欠です。
日常のお手入れ
- 毎食後に取り外して水洗いする
- 専用のブラシを使用して表面を優しく磨く
- 入れ歯洗浄剤を定期的に使用する
- 保管時は水を入れた専用ケースに保管する
定期的なメンテナンス
部分入れ歯は使っているうちに少しずつ形が変わってくるため、3〜6ヶ月に一度は歯科医院でチェックと調整を受けることが重要です。これにより快適な使用感を維持し、トラブルを未然に防ぐことができます。
部分入れ歯からインプラントへの移行を検討する理由
部分入れ歯を使用している方が、最終的にインプラント治療へ移行することを検討するケースが増えています。その主な理由は以下の通りです。
より自然な噛み心地と見た目を求めて
インプラントは顎の骨に直接固定されるため、自分の歯と同じような感覚で食事や会話を楽しむことができます。また、見た目も自然で、取り外す手間もありません。
残存歯への負担軽減
部分入れ歯は残っている歯にバネをかけて固定するため、その歯に負担がかかります。長く使っていると支えになっている歯がぐらついたり、最悪の場合は抜けてしまうこともあります。一方、インプラントは独立して機能するため、周囲の歯への負担がありません。
顎の骨を保護する効果
歯を失うと、その部分の顎の骨が徐々に痩せていきます。部分入れ歯ではこの現象を防ぐことができませんが、インプラントは人工歯根が骨に刺激を与えるため、骨吸収を防止する効果があります。
まとめ
部分入れ歯は失った歯を補う重要な治療法であり、保険診療と自費診療で大きく選択肢が分かれます。保険診療の部分入れ歯は経済的負担が少ないメリットがある一方、自費診療の部分入れ歯は審美性や装着感、耐久性に優れたメリットがあります。
長期的な口腔の健康や快適な生活を考えると、ご自身の状況や予算に合わせて最適な選択をすることが重要です。特に活発に過ごしたい方や、見た目を大切にしたい方は、自費診療の部分入れ歯やインプラント治療も視野に入れて検討される価値があります。
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