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サイナスリフトとソケットリフトの違いとは?それぞれの特徴と選ぶポイントを解説【静岡歯科院長が解説!】

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インプラント治療を検討する際、上顎の奥歯部分は骨が薄いため、骨造成が必要になるケースも少なくありません。サイナスリフトとソケットリフトはそんな状況で行われる代表的な骨造成法ですが、どちらを選ぶべきか迷われる方も多いでしょう。

この記事では、両者の違いや特徴、適した症例について詳しく解説します。骨量が不足していてもインプラント治療を諦める必要はありません。最適な方法を知って、安心して治療に臨みましょう。

サイナスリフトとソケットリフトとはそもそも何か

上顎の骨、特に奥歯部分は元々骨が薄く、さらに歯を失うと徐々に骨が痩せていきます。そのままではインプラントを支える十分な骨量が確保できないため、骨造成手術が必要になります。サイナスリフトとソケットリフトは、上顎洞(副鼻腔の一部)の下に骨を増やすための手術法です。

両方とも上顎の骨量を増やす手術ですが、アプローチ方法や適応症例、治療期間などが大きく異なるため、患者さんの状態に合わせて適切な方法を選ぶ必要があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った治療法を見つけましょう。

サイナスリフトとは

サイナスリフトは、上顎洞(サイナス)の底を持ち上げ、その空間に人工骨や自家骨などの骨補填材を充填することで、骨量を増やす手術です。主に上顎の奥歯部分の骨が著しく不足している場合に行われます。

サイナスリフトの特徴

サイナスリフトには以下のような特徴があります。

  • 骨の高さが5mm以下の重度の骨不足に対応可能
  • 広範囲の骨造成が行える
  • 複数本のインプラント埋入に対応できる
  • 手術の侵襲性が比較的大きい
  • 治癒期間は約6〜12ヶ月と長め

サイナスリフトは歯茎の側面から切開を入れ、上顎洞の側壁に窓を開けて直接アプローチする「ラテラルウィンドウテクニック」と呼ばれる方法が一般的です。これにより、大きく洞底を持ち上げることができ、十分な骨量を確保できます。

サイナスリフトのメリット

  • 大幅な骨量増加が可能
  • 広範囲の骨造成ができるため、複数のインプラント埋入に対応
  • 長期的な安定性が期待できる
  • 重度の骨吸収症例にも対応可能

サイナスリフトのデメリット

  • 手術侵襲が大きく、術後の腫れや痛みが出やすい
  • 治癒期間が長い(通常6〜12ヶ月)
  • 手術時間が長く、費用も高めになりがち
  • 上顎洞炎などの合併症リスクがある

サイナスリフトは技術的に高度な手術のため、経験豊富な専門医による施術が望ましいでしょう。また、術後のケアも重要で、喫煙者や全身疾患がある方は治癒が遅れる可能性があります

ソケットリフトとは

ソケットリフト(別名:クレスタルアプローチ)は、インプラント埋入予定部位から上顎洞底の粘膜を持ち上げ、その下に骨補填材を注入する比較的低侵襲な骨造成法です。

ソケットリフトの特徴

ソケットリフトの主な特徴は以下の通りです。

  • 骨の高さが5mm以上ある中等度の骨不足に適している
  • インプラント埋入予定部位から直接アプローチする
  • 手術侵襲が小さく、術後の不快感が少ない
  • 回復期間が短い(約3ヶ月程度)
  • 場合によってはインプラント埋入と同時に行える

ソケットリフトはインプラント埋入孔から特殊な器具を用いて上顎洞底の粘膜を慎重に持ち上げ、その空間に骨補填材を充填します。サイナスリフトに比べて低侵襲で、患者さんの身体的・精神的負担を軽減できる方法です

ソケットリフトのメリット

  • 手術侵襲が小さく、術後の痛みや腫れが少ない
  • 治癒期間が短い(約3ヶ月程度)
  • 場合によってはインプラント同時埋入が可能
  • 通院回数を減らせる可能性がある
  • 患者さんの負担が総合的に少ない

ソケットリフトのデメリット

  • 増加できる骨量に限界がある(通常2〜4mm程度)
  • 大幅な骨不足には対応できない
  • 1〜2本程度のインプラントに適した局所的な処置
  • 上顎洞底の粘膜が破れるリスクがある

ソケットリフトは比較的安全な手術ですが、上顎洞底の粘膜が薄い場合や癒着がある場合は、粘膜を穿孔してしまうリスクがあります。事前の精密検査で適応を慎重に判断することが重要です

どちらを選ぶべき?選択のポイント

どちらの手術法が適しているかは、以下のポイントを考慮して決定されます

残存骨量で選ぶ

最も重要な判断基準は、上顎洞底までの残存骨量(垂直的骨量)です。

  • 骨高さが4mm以下 → サイナスリフト推奨
  • 骨高さが5〜8mm → ソケットリフト検討可能
  • 骨高さが8mm以上 → 場合によっては骨造成不要

残存骨量が5mm未満の場合、ソケットリフトだけでは十分な骨量確保が難しく、サイナスリフトが必要になるケースが多いです。一方、5mm以上の骨量がある場合は、ソケットリフトで対応できる可能性が高まります

治療範囲で選ぶ

  • 複数本のインプラントが必要な広範囲の治療 → サイナスリフト
  • 1〜2本の局所的なインプラント治療 → ソケットリフト

治療期間で選ぶ

  • 時間的余裕があり、確実な骨造成を優先 → サイナスリフト
  • できるだけ早くインプラント治療を完了したい → ソケットリフト

ソケットリフトは治癒期間が短く、場合によっては即時インプラント埋入も可能なため、全体の治療期間を短縮できるメリットがあります。急いでいる方や、治療期間をなるべく短くしたい方に向いています

体への負担で選ぶ

  • 術後の不快感をなるべく避けたい → ソケットリフト
  • 広範囲の確実な骨造成が必要で、ある程度の負担は許容できる → サイナスリフト

費用面で選ぶ

一般的に、サイナスリフトはソケットリフトよりも手術の規模が大きく、費用も高くなる傾向があります。予算を考慮しながら最適な治療法を選ぶことも大切です。

両術式の注意点とリスク

サイナスリフトのリスク

  • 上顎洞粘膜の穿孔
  • 上顎洞炎(副鼻腔炎)の発症
  • 術後の出血や感染
  • 骨補填材の移動や吸収
  • 神経損傷(稀)

サイナスリフト後は、くしゃみや鼻をかむ際に強い圧力がかからないよう注意が必要です。また、喫煙は治癒を妨げるため、手術前後は禁煙することが強く推奨されます

ソケットリフトのリスク

  • 上顎洞粘膜の穿孔
  • 骨補填材の上顎洞内への流入
  • 十分な骨量が得られない
  • 骨補填材の吸収

どちらの手術も専門医による適切な施術と術前・術後のケアにより、リスクを最小限に抑えることができます。

術前の検査の重要性

サイナスリフトやソケットリフトを行う前には、以下のような精密検査が必要です

  • CTスキャン:上顎骨の3次元的な骨量評価
  • パノラマレントゲン:上顎洞の状態確認
  • 歯科用コーンビームCT:詳細な骨質・骨量評価
  • 全身状態の確認:手術に影響する全身疾患の有無

特にCT検査は上顎洞の状態や残存骨量を詳細に把握できるため必須です。上顎洞内に骨の隔壁がある場合や炎症がある場合は、治療計画が変更になることもあります

術後のケアと注意点

両術式とも術後のケアが治療成功の鍵となります。

サイナスリフト後のケア

  • 術後3〜4日間は安静に過ごす
  • 腫れや痛みに対しては、処方された鎮痛剤を服用
  • 鼻をかむ動作は2週間程度控える
  • 飛行機搭乗は1ヶ月程度避ける
  • 処方された抗菌薬を指示通りに服用
  • 喫煙は絶対に避ける

ソケットリフト後のケア

  • 術当日は安静にする
  • 処方された薬を指示通りに服用
  • 強い鼻かみは1週間程度控える
  • 手術部位を刺激しないよう注意
  • 毎食後の丁寧な歯磨き

どちらの手術でも、術後の定期的な経過観察が重要です。術後のトラブルの多くは早期発見・早期対応で軽減できますので、違和感や異常を感じたら、すぐに担当医に相談しましょう

まとめ

サイナスリフトとソケットリフトは、上顎の骨量が不足している場合のインプラント治療に欠かせない骨造成法です。サイナスリフトは広範囲で大幅な骨量増加が必要な場合に、ソケットリフトは比較的軽度の骨不足で低侵襲な治療を希望する場合に適しています。

どちらの術式を選ぶかは、残存骨量、治療範囲、希望する治療期間などを総合的に判断して決定されます。重要なのは、経験豊富な専門医による適切な診断と治療計画です。どちらの手術も適切に行われれば、安定したインプラント治療結果が期待できます。

静岡歯科では、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

早川理事長

日本歯科グループ 代表 早川 好昭

東京都出身。
静岡県で静岡歯科を開業。
高度先進歯科医療クリニックとして日本歯科グループを開設。
同グループとして静岡歯科、日本歯科札幌、日本歯科静岡、日本歯科名古屋などがある。
日本歯科グループの代表として全てのクリニックを統括。