結論:ストローマンは、スイスのインプラントメーカーです。チタンにジルコニウムを配合した素材「Roxolid(ロキソリッド)」や、骨との結合を目的とした表面処理「SLA」「SLActive」などの特徴があります[3][4]。ただし、治療の安全性や期間は製品だけで決まるものではなく、検査・診断、手術計画、治療後のメンテナンスを含めた治療全体で考えることが大切です[1]。
この記事では、ストローマンのインプラントの特徴、ガイド手術などの術式、治療の流れと期間、メリット・注意点を、日本歯科札幌の院長が解説します。
ストローマンのインプラントの基本的な特徴
ストローマンのインプラントは、素材と表面処理の工夫、症例に応じて選べる製品の種類が特徴です。
インプラントは、顎の骨に埋める「インプラント体」、人工歯との間をつなぐ「アバットメント」、人工歯である「上部構造」から成ります[1]。メーカーによって、インプラント体の素材や形、表面の加工などが異なります。
日本歯科札幌を含む日本歯科グループでは、ストローマン社製のインプラントを主に採用しています(公式サイト記載)。
素材:チタンと「Roxolid」
歯科インプラントには、主にチタンまたはチタン合金が使われています[1]。
ストローマンでは、チタンに15%のジルコニウムを配合した独自素材「Roxolid」も用いられており、メーカーは従来のグレード4チタンと比べて高い機械的強度を持つと説明しています[3]。強度が増したことで細いインプラントを選べる場面が広がり、骨造成などの処置を避けられる場合があるとされています[3]。
表面処理:SLA・SLActive
多くのインプラントでは、骨との結合を促すために表面が加工されています[1]。
ストローマンのインプラントには「SLA」と呼ばれる表面加工が施されており、さらに「SLActive」表面と組み合わせた製品は早期の治癒を促すとメーカーは説明しています[3][4]。実際に治癒にかかる期間は、骨の状態などによって個人差があります。
症例に応じた製品の種類
ストローマンには、形状や長さ・太さが異なる複数のインプラントがあり、骨の量や埋入する部位に応じて選択します。
どの製品が適しているかは、CTなどの検査で骨の状態を確認したうえで歯科医師が判断します。
ストローマンのインプラントで用いられる術式
ストローマンのインプラントでは、症例に応じてガイド手術、フラップレス手術、即時荷重などの術式が検討されます。
これらはストローマンに限った方法ではなく、適応できるかどうかは骨や歯ぐきの状態によって異なります。
コンピューターを用いたガイド手術
ガイド手術とは、CTの画像をもとにコンピューター上でインプラントの位置を計画し、その計画どおりに埋入するための型(サージカルガイド)を使う方法です。
- 下あごの神経の通り道(下顎管)などの重要な構造までの距離を、三次元画像で測定することが重要とされています[5]。
- ガイド手術は、フリーハンドに比べて埋入位置の精度が高いとされています[5]。
- 一方で、ガイドの作製と適合が精度に関わり、追加費用がかかることもあります[5]。
日本歯科グループでは、コンピューターガイドをオプション(6万円)として用意しています(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。
CT撮影は骨の立体構造や神経・血管の位置を把握でき、より安全な治療につながるとされていますが、すべての症例で必須というわけではありません[1]。
フラップレス手術(歯ぐきを大きく切開しない方法)
フラップレス手術とは、歯ぐきを大きく切り開かずに、小さな穴からインプラントを埋入する方法です。
出血や術後の痛みが少なく、手術時間の短縮が期待できる低侵襲な方法とされています[5]。ただし、骨の量や歯ぐきの状態によっては、通常どおり歯ぐきを切開して骨を確認しながら行う方が適している場合もあります。
即時荷重(手術直後に仮歯を付ける方法)
即時荷重とは、インプラントを埋め込んだ直後に仮の歯を装着する方法です[1]。
日本口腔インプラント学会は、即時荷重は症例の選択が難しく、術者の技術が必要であるとして、リスクについて説明を受けるよう勧めています[1]。骨の硬さやインプラントの初期の固定の強さなどを確認し、慎重に判断します。
インプラント治療の安全性を高めるためのポイント
インプラント治療の安全性は、製品の特徴だけでなく、術前の診断、適切な術式の選択、全身状態の管理、治療後のメンテナンスの積み重ねで高めていきます。
術前の検査と全身状態の確認
インプラント手術では、全身の健康状態の確認が欠かせません[1]。
- 高血圧、心疾患、喘息、糖尿病、骨粗しょう症、腎臓・肝臓の病気、服用中の薬に注意が必要とされています[1]。
- 歯周病や喫煙はインプラントの残存率を下げることが知られており、歯周病は先に治療し、喫煙される方には禁煙または減煙が勧められています[1]。
- 骨が不足する場合は骨造成で対応できることがありますが、患者さんの負担は増えます[1]。
主なリスク・副作用
どのメーカーのインプラントでも、手術や長期使用にともなうリスクがあります。
- 術後の痛み・腫れ・内出血[1]
- 周囲の歯や組織、神経の損傷による、しびれなどの症状[6]
- ネジのゆるみ、人工歯の破損や脱離[1][6]
- インプラント周囲炎(インプラントの周りの歯ぐきや骨が炎症で壊れる病気)。進行するとインプラントを失うおそれがある[1]
治療後のメンテナンス
インプラントを長く使うためには、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスが欠かせません[2]。
日本口腔インプラント学会は、インプラントは自分の歯よりさらに入念なお手入れが必要だとしており、歯科医院でのメンテナンスは一般的に3か月から半年ごとが目安とされています[2]。
ストローマンのインプラント治療の流れと期間
治療は、検査・診断、前処置、埋入手術、治癒期間、人工歯の装着、メンテナンスの順に進みます[7]。
| ステップ | 主な内容 |
|---|---|
| 1. 相談・検査 | お悩みや全身状態の確認、口の中の検査、レントゲン・CT撮影、必要に応じて血液検査[1][7] |
| 2. 診断・治療計画 | 骨の量・質、神経や血管の位置、噛み合わせを評価し、インプラントの種類・サイズ・位置を決定 |
| 3. 前処置 | 必要に応じて抜歯、歯周病治療、虫歯治療、骨を補う処置[7] |
| 4. 埋入手術 | 局所麻酔をしてインプラント体を埋入。不安が強い方は静脈内鎮静法を併用する場合も[1] |
| 5. 治癒期間 | インプラントと骨の結合を待つ[7] |
| 6. 人工歯の装着 | 仮歯で見た目や噛み心地を確認・調整し、最終的な人工歯を装着[7] |
| 7. メンテナンス | 毎日のセルフケアと定期的な歯科医院でのチェック・清掃[2][7] |
治癒期間と全体の期間の目安
骨とインプラントが結合するまでの待機期間は、一般的に下あごで2〜3か月、上あごで4〜6か月程度が目安とされています[1]。
この期間は、もとの骨の強さやインプラントの種類によって異なります[7]。表面処理の工夫により早期の治癒が期待できる製品もありますが[4]、骨造成が必要な場合などは、全体で1年以上かかることもあります。具体的な期間は、検査結果をもとにご説明します。
通院回数と費用
検査、手術、経過観察、型取り、人工歯の装着など、複数回の通院が必要です。
インプラント治療は通常、保険適用外の自由診療です[1]。費用は、診査・診断、手術、骨造成などの付随手術、上部構造、メンテナンスなどの項目で構成されます[8]。日本歯科札幌を含む日本歯科グループでは、ストローマンインプラントは1本あたり35万円(上部構造が銀・プラスチック)、40万円(ジルコニア)、45万円(セラミック)で、レントゲン・CTスキャン・手術代を含み、保証期間は10年です(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。骨造成(サイナスリフト15万円、GBR10万円)や静脈内鎮静法(9万円)は必要に応じて別途かかります(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。
ストローマンのインプラントのメリットと注意点
ストローマンのインプラントには素材や表面処理の工夫がある一方、どの製品を選んでも、適応の判断や治療後のケアが重要である点は変わりません。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 高い機械的強度をもつ素材「Roxolid」を選べる[3] | 自由診療のため費用が高額になりやすい[1] |
| 表面処理により早期治癒が期待できる製品がある[4] | 治癒期間は骨の状態などで個人差がある[7] |
| 症例に応じて形状や太さを選択できる | ガイド手術・フラップレス・即時荷重は適応が限られる[1][5] |
| 細いインプラントの選択肢により、骨造成を避けられる場合がある[3] | 手術にともなうリスクや、インプラント周囲炎のリスクはある[1] |
インプラントのメーカー選びの考え方
国内外にはさまざまなインプラントメーカーがあり、それぞれに特徴があります。
大切なのは、メーカー名だけで判断するのではなく、ご自身の骨の状態に合った製品と術式が選ばれているか、リスクや費用、他の治療法(ブリッジや入れ歯など)との違いについて十分な説明を受けて納得できるかどうかです[1]。使用したインプラントのメーカーや種類は記録として保管しておくと、将来の点検や修理の際に役立ちます[6]。
まとめ
- ストローマンは、チタン・ジルコニウム素材「Roxolid」やSLA・SLActive表面処理などの特徴をもつインプラントメーカーです[3][4]。
- ガイド手術・フラップレス手術・即時荷重は、骨や歯ぐきの状態に応じて適応を判断します[1][5]。
- 治癒期間の目安は下あご2〜3か月、上あご4〜6か月程度で、骨の状態により変わります[1]。
- 製品にかかわらず、術前の診断と治療後のメンテナンスが長期的な経過を左右します[1][2]。
日本歯科札幌では、インプラントの初回相談を0円で行っており、検査結果をもとに治療計画・保証内容・見積もりをご説明しています。インプラントは主にストローマン社製を採用しており、治療中の緊張や不安が強い方は静脈内鎮静法を選ぶこともできます。使用するインプラントや術式、期間についても、検査結果をもとにご説明します。費用や治療の流れは日本歯科グループのインプラント治療のページでもご確認いただけます。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
ストローマンのインプラントなら、治療期間は必ず短くなりますか?
治療期間は製品だけで決まるものではなく、骨の状態や骨造成の有無などによって大きく変わります[1]。表面処理の工夫で早期治癒が期待できる製品もありますが[4]、実際の期間は検査結果をもとに歯科医師が判断します。
ガイド手術やフラップレス手術は誰でも受けられますか?
すべての方に適しているわけではありません。骨の量や形、歯ぐきの状態などを三次元画像で確認したうえで、適した方法を選びます[5]。ガイド手術には追加の費用がかかる場合もあります[5]。
手術当日に仮歯を入れることはできますか?
埋入直後に仮の歯を付ける「即時荷重」という方法もありますが、適応できる症例の選択が難しく、術者の技術も必要とされます[1]。リスクについて十分な説明を受けたうえで検討しましょう[1]。
使用したインプラントのメーカーは教えてもらえますか?
当院では使用するインプラントについてご説明します。米国食品医薬品局(FDA)も、使用したインプラントのメーカーや種類を確認し、記録として保管しておくよう勧めています[6]。将来の点検や修理の際に役立ちます。
ストローマンのインプラントは保険適用になりますか?
インプラント治療は通常、メーカーを問わず保険適用外の自由診療です。外傷や腫瘍による顎の骨の欠損など、一部のケースでは保険が適用されます[1]。日本歯科グループでのストローマンインプラントの費用は、1本あたり35万〜45万円(上部構造の素材により異なる)です(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。
参考情報
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのお手入れ」
- ストローマン「Straumann® Roxolid®」(メーカー情報)
- ストローマン「インプラントマテリアル」(メーカー情報)
- Foundation for Oral Rehabilitation「フラップ / フラップレス」(治療ガイドライン 単独歯)
- U.S. Food and Drug Administration「Dental Implants: What You Should Know」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「相談から治療の流れ」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントの費用は?」