結論:インプラントの保証期間が切れた後のトラブルは、原則として再治療費が自己負担になります。インプラント治療は通常保険適用外の自由診療だからです[1]。保証の内容は医院ごとに異なるため、治療前に書面で条件を確認し、治療後は定期メンテナンスでトラブルを防ぐことが大切です[3]。
この記事では、インプラントの保証の一般的な仕組み、保証期間終了後に起こりうるトラブルと再治療の内容、費用の考え方と備え方を、日本歯科札幌の院長が解説します。
インプラントの保証期間とは
インプラントの保証とは、治療後一定期間内に起きた特定のトラブルについて、医院が再治療費の全部または一部を負担する仕組みです。
保証は法律で決められたものではなく、医院やメーカーごとに内容が異なります。
保証期間と対象の決まり方
保証の期間や対象は医院ごとに異なり、インプラント体と上部構造で期間を分けているケースもあります。
- インプラント体:顎の骨に埋め込む人工歯根の部分
- 上部構造:人工歯として見える部分
- アバットメント:インプラント体と上部構造をつなぐ部品
どの部分に、何年、どのような条件で保証がつくのかを、治療前に確認しておきましょう。
日本歯科札幌を含む日本歯科グループでは、インプラントの種類ごとに保証期間を設けており、ストローマン10年、ネオデント5年、バイオテム1年です(公式サイト記載)。保証の対象や適用条件の詳細は、治療計画をご説明する際にお伝えしていますので、詳しくは各院にお問い合わせください。
保証の対象になりやすいトラブル・対象外になりやすいケース
一般的に、通常の使用で起きたインプラント体の脱落や人工歯の破損などが保証の対象とされることが多いです。
一方で、次のようなケースは対象外とされることがあります。
- 定期メンテナンスを受けていなかった
- 事故や外傷など、通常の使用以外の原因による破損
- 喫煙や清掃不足など、医院の指示が守られていなかった
- 他院で処置や調整を受けた
条件は医院ごとに異なるため、「何が・どこまで・どんな条件で」保証されるのかを具体的に確認することが大切です。
保証の条件として多い「定期メンテナンス」
多くの医院で、保証を受ける条件として定期メンテナンスへの通院が設けられています。
日本口腔インプラント学会は、インプラント治療後の定期的なメンテナンスを一般的に3か月から半年ごとが目安としています[3]。保証のためだけでなく、インプラントを長持ちさせるために欠かせないケアです。
保証期間内にトラブルが起きたときの対応
保証期間内のトラブルは、保証の条件を満たしていれば、医院の規定に沿って再治療費の全部または一部が負担されます。
- 保証が適用されても、検査料や薬代、追加の処置(骨造成など)は対象外となる場合があります。
- 人工歯のトラブルでは、費用の一部を患者さんが負担する規定の医院もあります。
トラブルに気づいたら、まず治療を受けた医院に連絡し、保証の適用範囲を確認しましょう。
保証期間が終わった後のトラブル対応
保証期間が終わった後の再治療は、原則として自由診療の自己負担になります[1]。
インプラントは人工物で、治療後に起こりうる問題として、人工歯の破損や脱離、ネジのゆるみ、インプラント周囲の炎症が挙げられています[1]。長く使うほど、こうしたメンテナンスや修理が必要になる可能性があることを、治療前から知っておきましょう。
起こりうるトラブルと主な対応
トラブルの内容によって、必要な処置と負担の大きさは大きく変わります。
| トラブル | 主な対応 | 負担の大きさ |
|---|---|---|
| ネジのゆるみ | 締め直し、部品の交換 | 比較的小さい |
| 人工歯(上部構造)の破損・脱離 | 修理、作り直し | 中程度 |
| インプラント周囲粘膜炎 | 清掃などの非外科的な処置 | 比較的小さい |
| インプラント周囲炎 | 汚染の除去、外科的処置、状態により再生治療[6] | 中〜大 |
| インプラント体の脱落・除去が必要な場合 | 除去、骨の回復を待って再埋入、必要に応じて骨造成 | 大きい |
インプラント周囲炎は早期発見が鍵
インプラント周囲炎は、インプラントの周りに炎症が起き、骨が吸収されていく病気で、進行するとインプラントを失うおそれがあります[1]。
早い段階なら比較的負担の小さい処置で対応できることがありますが、進行すると外科的な処置や再埋入が必要になることもあります。歯ぐきの腫れ・出血・膿、ぐらつきなどに気づいたら、早めに受診してください。
再治療の費用の考え方
再治療の費用は、どの部分に問題があり、どんな処置が必要かによって大きく異なります。
日本口腔インプラント学会は、インプラントの費用を次の6つの項目で説明しています[2]。
- 診査・診断
- インプラント手術
- 骨量が足りない場合の付随手術(骨造成など)
- 手術関連処置
- 上部構造
- メンテナンス
人工歯だけの問題なら上部構造の費用が中心になりますが、インプラント体の除去と再埋入が必要な場合は、手術や骨造成などの費用も加わります。再治療を提案されたら、どの項目にいくらかかるのか、内訳を含めた見積もりで確認しましょう。参考として、日本歯科グループの新規のインプラント治療費(1本あたり)は、ストローマン35万〜45万円、ネオデント25万〜35万円、バイオテム15万〜25万円で、レントゲン・CTスキャン・手術代を含みます(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。再治療の費用は必要な処置によって異なるため、詳しくは各院にお問い合わせください。
保険が適用されるケース
インプラント治療は通常保険適用外ですが、外傷や腫瘍による顎の骨の欠損、先天的な欠損など、一部のケースでは保険が適用されます[1]。
ご自身が該当するかどうかは、診察で確認します。
保証内容を確認するときのチェックポイント
治療前に保証内容を書面で受け取り、不明点を解消しておくことが、将来の思わぬ出費を防ぐ第一歩です。
- 保証期間(インプラント体・上部構造・アバットメントそれぞれ)
- 保証の対象となるトラブルと対象外のケース
- 保証を受けるための条件(メンテナンスの頻度など)
- 保証適用時の自己負担の有無
- 保証期間終了後の対応方針
- 使用するインプラントのメーカー・種類(記録として保管することが勧められています)[7]
国民生活センターは、治療前に口の中と全身の状態、治療方法、費用、リスクについて歯科医師に説明を求めるよう呼びかけています[8]。
再治療を防ぐためにできること
再治療の負担を避ける最も確かな方法は、トラブルを起こさない・早く見つけることです。
定期メンテナンスを続ける
定期検診(メンテナンス)を受けていない人は、受けている人に比べてインプラントの残存率が低く、トラブルの発生頻度が高いとされています[6]。
メンテナンスでは、ご自身では気づきにくい変化の確認と、歯科衛生士による専門的な清掃を行います[3]。
毎日のセルフケアと生活習慣
インプラントは自分の歯よりさらに入念なお手入れが必要だとされています[3]。
- 歯ブラシで、インプラントと歯ぐきの境目をていねいに磨く[3]
- デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシで隙間を清掃する[3]
- 喫煙している方は禁煙または減煙に取り組む(喫煙は残存率を下げることが知られています)[1]
- 歯ぎしり・食いしばりがある方は、ナイトガード(マウスピース)の使用を相談する
- 硬いものを無理に噛まない
再治療費用への備え方
万が一の再治療に備えて、費用の支払い方法や制度を知っておくと安心です。
- 医療費控除:1年間に支払った医療費が一定額を超えると、確定申告で所得控除を受けられる制度です。原則として「支払った医療費−保険金などの補てん額−10万円(総所得金額等が200万円未満の方は所得の5%)」が控除額で、上限は200万円です[4]。インプラントが対象になるかは治療内容により異なるため、税務署などでご確認ください。
- 歯科ローン:信販会社が立て替えた金額は、ローン契約が成立した年の医療費控除の対象になり、金利や手数料は対象外です[5]。日本歯科グループでは、スルガ銀行、アプラス(SBI新生銀行グループ)、ジャックス(三菱UFJ銀行グループ)と提携したデンタルローンを利用できます(120回分割の場合で月々2,519円〜、別途分割手数料あり/公式サイト記載)。
- 医院独自の延長保証:医院によっては、メンテナンスの継続などを条件に保証を延長する制度があります。条件と内容をよく確認しましょう。
セカンドオピニオンも選択肢に
治療後に不具合が生じた場合、他の医療機関に相談することも検討するよう、国民生活センターは呼びかけています[8]。
治療方針に迷うときは、まずは担当の歯科医師に詳しく説明を求めたうえで、必要に応じてセカンドオピニオンを活用しましょう。
まとめ
- インプラントの保証内容は医院ごとに異なるため、治療前に書面で確認しましょう。
- 保証期間が終わった後の再治療は、原則として自由診療の自己負担です[1]。
- 再治療の費用は、必要な処置の内容によって大きく変わります。内訳を含めた見積もりで確認しましょう[2]。
- 定期メンテナンスと毎日のセルフケアが、トラブルと再治療を防ぐ最も確かな方法です[3][6]。
日本歯科札幌では、インプラントの初回相談を0円で行っており、検査結果をもとに治療計画・保証内容・見積もりをご説明しています。インプラントは主にストローマン社製を採用しており、治療中の緊張や不安が強い方は静脈内鎮静法を選ぶこともできます。費用や治療の流れは日本歯科グループのインプラント治療のページでもご確認いただけます。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
インプラントの保証期間は何年くらいですか?
保証の有無や期間、対象範囲は医院ごとに異なり、決まった基準はありません。インプラント体と人工歯で期間を分けている医院もあります。治療前に、保証内容を書面で確認しておくことをおすすめします。日本歯科札幌を含む日本歯科グループの保証期間は、ストローマン10年、ネオデント5年、バイオテム1年です(公式サイト記載)。
保証期間が切れた後のトラブルは、すべて自己負担ですか?
保証期間が終わった後の再治療は、原則として自由診療の自己負担になると考えておきましょう。インプラント治療は通常保険適用外のためです[1]。具体的な対応や費用は、医院にご相談ください。
再治療になった場合、何にお金がかかりますか?
日本口腔インプラント学会は、インプラントの費用を「診査・診断」「手術」「骨を補う付随手術」「手術関連処置」「上部構造」「メンテナンス」の項目に分けて説明しています[2]。再治療でも、必要な処置によってこれらの項目がかかります。
再治療の費用は医療費控除の対象になりますか?
医療費控除は、その年に実際に支払った治療費が対象で、歯科ローンで支払った場合はローン契約が成立した年の対象になります[4][5]。インプラントが対象になるかは治療内容により異なるため、税務署や税理士にご確認ください。
トラブルを防ぐために一番大切なことは何ですか?
毎日のていねいな清掃と、定期的なメンテナンスを続けることです[3]。定期検診を受けていない人は、受けている人に比べてインプラントの残存率が低く、トラブルが多いと報告されています[6]。
参考情報
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントの費用は?」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのお手入れ」
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
- 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
- 日本歯科医学会(厚生労働省委託事業 歯科保健医療情報収集等事業)「歯科インプラント治療のためのQ&A」(2014)
- U.S. Food and Drug Administration「Dental Implants: What You Should Know」
- 独立行政法人国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか-なくならない歯科インプラントにかかわる相談-」(2019)