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マウスピース矯正中の歯ぎしり対策|装置の破損・歯の動きへの影響と相談

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結論:歯ぎしりがあってもマウスピース矯正を検討できる場合はありますが、受けられるかどうかは検査と診断で判断します[1][5]。歯ぎしりや食いしばりの強い力は装置のすり減りや破損、顎の痛みなどにつながることがあるため、相談時に伝え、治療中は装置の状態をこまめに確認してもらうことが大切です[6]。装置が割れたり合わなくなったりしたら、自己判断せず担当の歯科医院に連絡しましょう[4]。

この記事では、マウスピース矯正の基本、歯ぎしりが治療に与えうる影響、装置が破損したときの対応、相談時に伝えたいことを解説します。

マウスピース矯正の基本と歯ぎしりとの関係

マウスピース矯正(アライナー矯正)は、透明なマウスピース状の装置を段階的に交換して歯を少しずつ動かす矯正治療で、歯ぎしりから歯を守るナイトガードとは目的が異なります[1][2]。

標準的な治療内容

  • 歯型やデジタルデータをもとに作った、厚さ0.5mm程度の透明な装置を使う[1]
  • 1日20時間以上装着する(英国矯正歯科学会は食事・水以外の飲み物・歯みがき以外の時間、1日22時間以上としています)[1][3]
  • 一連の装置を順番に交換し、歯を段階的に動かす[2]
  • 各装置の使用期間は歯科医師の指示によるが、通常1〜2週間程度[4]
  • 治療後は、歯並びを保つための保定装置(リテーナー)が必要[2][3]

治療期間や通院回数は、歯並びの状態や治療計画によって異なります。マウスピース矯正は公的医療保険が適用されない自由診療で、費用は医院によって異なります。日本歯科グループのマウスピース矯正は、治療完了までの通院費込みのパッケージ料金で、4回コース107,800円〜30回コース880,000円です(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。公式サイトでは、マウスピースの紛失・破損による再作成や追加の装置が必要な場合は別途費用がかかる場合があるとされています。

歯ぎしりとはどんな状態か

歯ぎしり(ブラキシズム)は、睡眠中と起きているときの両方に起こり、睡眠中は無意識のうちに強く噛みしめることがあります[6]。睡眠中でも最大で約110kgの力がかかることがあり、歯のすり減りや被せ物の破損、頭痛や顎の痛みにつながることがあるとされています[6]。歯ぎしりの代表的な原因には、ストレスや飲酒・喫煙が挙げられています[7]。

歯ぎしりがあってもマウスピース矯正はできる?

歯ぎしりがあるかどうかだけでなく、歯並びや噛み合わせ、顎の状態を総合的に診てから、マウスピース矯正が向いているかを判断します[1][5]。

そもそもマウスピース矯正は、歯の移動量が少ない症例(軽度のすき間、軽度の乱ぐい歯、矯正後の軽度の後戻りなど)に向くとされ、骨格の問題を含む症例には適さないとされています[5]。日本臨床矯正歯科医会は、治療前のセファロ(頭部のエックス線写真)を含む検査診断は必須としています[1]。

歯ぎしりのある方は、こうした検査に加えて、歯のすり減りや顎の症状なども確認したうえで、装置の選択や治療中の注意点を決めていきます。不適応な症例にマウスピース矯正を行った結果、噛み合わせが悪化した例も報告されているため[1]、事前の診断が重要です。

歯ぎしりがマウスピース矯正に与えうる影響

歯ぎしりによる強い力は、装置そのものや、顎・歯の状態に影響する可能性があります[6]。

影響の例 内容
装置のすり減り・破損 強い噛みしめの力が装置にかかり、すり減りや穴あき、割れが起こることがある[6]
装置の適合の変化 装置が変形したり合わなくなったりすると、計画どおりに歯が動きにくくなるおそれがある[1][4]
顎や筋肉の痛み 歯ぎしりによる筋肉の緊張で、頭痛や首・顎の痛みが出ることがある[6]
歯や被せ物への負担 歯のすり減りや欠け、被せ物の破損につながることがある[6][7]

マウスピース矯正は、装着時間が短いと歯が動かず、効果が上がらないとされています[1]。装置が割れたまま使わない時間が増えると、治療計画に影響することがあります。破損や違和感に早めに気づき、歯科医院に相談することが大切です。

装置が破損した・合わなくなったときの対応

装置が割れたり合わなくなったりしたときは、まず担当の歯科医院に連絡し、指示を受けるのが基本です[4]。

英国矯正歯科学会の資料では、次のような対応が紹介されています[4]。

  • 今の装置が割れたり失くしたりした場合は、一つ前の装置に戻すことができる
  • 新しい装置が合わない場合は、数日間一つ前の装置に戻してから、もう一度新しい装置を試す
  • それでも合わない場合や、すべての装置を失くした場合は、担当の歯科医師に連絡する

ただし、どの装置に戻すか、どのくらい使うかは治療計画によって異なります。使い終わった装置を保管しておくよう指示されることもあるため、担当医の説明に従いましょう。割れた装置は捨てずに持参すると、すり減り方から歯ぎしりの状態を確認する手がかりにもなります。

マウスピース矯正の主なリスク・副作用

マウスピース矯正には、歯ぎしりの有無にかかわらず、一般的な矯正治療と同様のリスクがあります[3]。

  • 歯の痛み、歯ぐきへの刺激[3]
  • 歯の根がわずかに短くなる(歯根吸収)ことがある[3]
  • 清掃が不十分だと虫歯のリスクが高まる[3]
  • 保定装置を使わないと歯が元の位置に戻る(後戻り)ことがある[3]
  • 適応が軽度の症例に限られ、精密な歯の移動は原則として難しく、満足のいく結果が得られない可能性がある[5]

日本矯正歯科学会は、歯科医師が関与しないインターネット販売のマウスピース製品を自己判断で使って歯を動かすことは非常に危険だとしています[5]。治療は、検査・診断に基づき、経過を確認しながら進めることが大切です。

マウスピース矯正中にできる歯ぎしり対策

治療中の歯ぎしり対策は、装置の状態を確認してもらうことと、歯ぎしりにつながる生活習慣を見直すことが中心です[6][7]。

  • 装置を毎日チェックする:穴やひび、すり減り、浮きがないか鏡で確認する
  • 日中の食いしばりに気づく:起きているときは、意識して歯を噛みしめないようにする[6]
  • 生活習慣を見直す:飲酒量を減らす、禁煙する、運動やストレッチ、趣味の時間をつくる[7]
  • 体の不調も相談する:胃食道逆流症や睡眠時無呼吸症候群があると歯ぎしりが悪化しやすいとされている[6]
  • 自己判断で装置を加工しない:削る、別のマウスピースを重ねるなどはせず、担当医に相談する

ナイトガードとの併用や使い分けが必要かどうかは、治療の段階や歯ぎしりの程度によって異なるため、担当の歯科医師の判断に従ってください。

相談するときに伝えたいこと

歯ぎしりがある方は、マウスピース矯正の相談時に、自覚している症状や過去の経験を具体的に伝えると、診断や治療計画に役立ちます[1]。

  • 家族などから歯ぎしりを指摘されたことがある
  • 朝起きたときに歯や顎が痛い、疲れた感じがする[7]
  • 歯が欠けたり割れたりしたことがある[7]
  • ナイトガードを使っている、または使っていた
  • 顎の痛みや口の開けにくさがある

日本矯正歯科学会は、治療法の利点・欠点や代替の治療法について十分な説明を受け、同意したうえで治療を受けることを求めています[8]。マウスピース矯正以外の装置も含めて、自分に合った方法を相談しましょう。歯ぎしりと矯正治療について不安がある場合は、詳しくは歯科医師にご相談ください。

よくある質問

歯ぎしりがあるとマウスピース矯正は受けられませんか?

歯ぎしりがあるだけで一律に受けられないとは言えませんが、適応かどうかは検査と診断で判断します。マウスピース矯正はもともと軽度の不正咬合に向く方法とされ、治療前の検査診断は必須とされています[1][5]。歯ぎしりの自覚がある方は、相談の段階で伝えてください。

マウスピース矯正の装置をナイトガード代わりにできますか?

矯正用のマウスピースは歯を少しずつ動かすための装置で、歯ぎしりから歯を守るナイトガードとは目的が異なります[2][6]。装置で歯ぎしりを防げるかどうかや、ナイトガードとの使い分けは、担当の歯科医師の判断に従ってください。自己判断で別の装置を重ねて使うことは避けましょう。

歯ぎしりで装置に穴があいたり割れたりしたらどうすればよいですか?

英国矯正歯科学会の資料では、今のアライナーが割れたり失くしたりした場合は一つ前のアライナーに戻すことができるとされています[4]。ただし対応は治療計画によって異なるため、まず担当の歯科医院に連絡し、指示を受けてください。割れた装置は捨てずに持参しましょう。

矯正中に顎が痛くなったら歯ぎしりのせいですか?

歯ぎしりによる筋肉の緊張で顎の痛みや頭痛が出ることがあります[6]。一方で、矯正治療では歯の痛みや歯ぐきの刺激などが起こることもあります[3]。原因はさまざまなので、痛みが続く場合は担当の歯科医師に相談してください。

歯ぎしりがあると矯正後に後戻りしやすくなりますか?

歯ぎしりと後戻りの関係について、今回確認した公的資料に明確な記載はありませんでした。後戻りについては、保定装置(リテーナー)を使わないと歯が元の位置に戻ることがあるとされています[3]。治療後も保定装置の使い方を守り、定期的に確認を受けましょう。

参考情報

  1. 日本臨床矯正歯科医会「歯と歯並びのニューズレター Vol.8(アライナー矯正とは?)」
  2. British Orthodontic Society「Clear aligners」
  3. British Orthodontic Society「Aligners」(2024年)
  4. British Orthodontic Society「Advice if you are being treated with Clear Aligners but unable to attend」
  5. 日本矯正歯科学会「マウスピース型矯正装置による治療に関する見解」(第2版、2022年)
  6. MSDマニュアル家庭版「歯ぎしり」
  7. 日本歯科医師会「お口のなんでも相談:歯ぎしり」
  8. 日本矯正歯科学会「アライナー型矯正装置による治療指針 一般公開にあたって」