インプラントの治療期間はどのくらい?注意点と治療の流れを紹介
インプラント治療と聞くと、「長くかかりそう…」「複雑なのでは?」と不安を抱く方も多いでしょう。実際、インプラントの治療には複数の段階が存在し、それぞれの過程に要する期間が異なります。
本記事では、インプラント治療全体にかかる期間と、各工程で行われる内容、さらに治療期間を左右するポイントまで詳しく解説していきます。インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療の全体的な期間
インプラント治療は、一般的に治療完了までに半年から1年程度は見込まれると言われています。下あごは比較的骨がしっかりしているため、最短で6ヶ月ほどで治療が完了するケースもあります。一方、上あごは骨密度が低い場合が多く、骨とインプラント体がしっかり結合するまでに時間がかかりやすいため、およそ12ヶ月ほど必要になることもあります。
さらに、患者様のお口の状態によっては、歯周病やむし歯などの治療を先行して行う必要があったり、骨が不足している場合には骨造成など追加の外科処置が必要となったりします。その場合には、治療期間がさらに延びる可能性があります。
インプラント治療は1日の手術だけで終わるわけではなく、術前の検査や治療計画の立案、インプラント埋入後の治癒期間、人工歯(上部構造)の装着、そして術後の定期メンテナンスといった複数のプロセスを経てはじめて完成します。治療期間が長くなる理由は、インプラントと顎の骨がしっかりと結合するために十分な時間が必要なためです。
インプラント治療の流れと各段階の説明
インプラント治療は、大きく分けて以下の4つの主要なステップがあります。それぞれの工程での治療期間や内容を把握しておくことで、治療全体のイメージがつかみやすくなります。
1. 診断・術前検査・治療計画(2日~2週間)
インプラント治療をスタートするうえで、まずは術前の検査や診断、そして治療計画の作成を行います。主に次の検査・診断が行われます。
下記が、主な検査内容になっています。
- 問診(全身の健康状態のチェック、喫煙歴や生活習慣の確認など)
- 口腔内診査(むし歯、歯周病の有無、咬合状態など)
- レントゲン撮影
- CT撮影(3次元画像で顎骨の状態を把握、骨量の分析など)
必要に応じて下記の事前検査も行われます。
- むし歯・歯周病の治療
- 治療に適さない歯の抜歯
- 禁煙指導・歯磨き指導
- 骨造成(骨量が足りない場合)
この段階は、2回から3回程度の通院で行われることが多いです。CTによる検査では顎骨の厚みや高さを緻密に分析できるため、より安全にインプラントを埋入するために欠かせない工程となっています。検査結果を元に、担当の歯科医師が患者様に合った治療計画を立案し、同意が得られた段階でインプラント埋入手術へ進むことになります。
2. インプラント埋入手術(1~2日)
次のステップとして行われるのが、インプラント体(人工歯根)の埋入手術です。手術自体は1〜3時間程度で、局所麻酔下で行われます。身体への負担は比較的少ないとはいえ、緊張される方も多いでしょう。必要に応じて静脈内鎮静などを利用することもあります。主な方式は、以下の2種類になります。
- 1回法:1回の手術でインプラントの頭出し(アバットメント装着部分)を同時に行う方式
- 2回法:インプラントを顎骨に埋入し、いったん粘膜で覆ってから、後日改めて歯ぐきを開いてアバットメントを装着する方式
治癒期間は通常2~3ヶ月が目安ですが、骨量や体質、またインプラントの埋入箇所によっては6ヶ月以上かかる場合もあります。治癒期間中は、インプラントと顎骨がしっかりと結合するまで待機しなければならないため、焦らず時間をかけることが成功のカギです。
3. 人工歯の装着(1日)
インプラントと顎骨が安定して結合したことが確認されたら、いよいよ人工歯(上部構造)の装着段階に進みます。まず、土台となるアバットメントという部品をインプラント体に取り付け、その上にセラミックなどの素材で作製した人工歯を装着します。
この工程は、早ければ1~2日の通院で完了しますが、装着後の噛み合わせの調整や見た目の微調整などが必要な場合は、数回の通院に及ぶこともあります。装着が終わったら、治療のゴールはすぐそこですが、ここで気を抜かないことが大切です。噛み合わせの状態が合わないまま生活を続けると、インプラント周囲に負荷がかかり、トラブルを引き起こす可能性もあるため、しっかり調整を受けましょう。
4. 術後のメンテナンス(継続的)
インプラント治療が一通り終了した後も、定期的なメンテナンスは欠かせません。インプラントはむし歯にはなりませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」という炎症を起こすことがあります。
そのリスクを最小限に抑えるためには、日々のブラッシングやデンタルフロスの利用だけでなく、歯科医院での定期検診が欠かせません。必要とされるメンテナンスは主に下記の4点です。
- 噛み合わせのチェック
- インプラント周囲の汚れや歯石の除去
- ホームケアのアドバイス
インプラントを長期的に安定して使うためには、術後のメンテナンスを継続的に行うことが重要です。1年に数回の定期検診を怠らずに受診することが推奨されています。
治療が長期化する要因
インプラント治療が想定よりも長くかかる場合、多くは追加治療の必要性が原因となることが多いです。骨量や歯肉の状態が十分でない方、歯周病など別のトラブルを抱えている方は、次のような処置が行われる可能性があります。
1. 骨誘導再生(3~6ヶ月)
骨誘導再生(GBR:Guided Bone Regeneration)は、インプラントを埋入したい箇所に十分な骨量がない場合に行われる治療です。人工骨や膜を使って骨の再生を促し、インプラントがしっかりと固定される土台を作ります。この工程は3~6ヶ月ほどかかるため、通常のインプラント治療期間が延びる一因となります。
2. 顎の骨増量治療(4~7ヶ月)
大幅に顎骨が足りない場合は、骨移植手術を含む顎の骨増量治療を行うことがあります。これは患者様自身の顎の一部や骨盤の骨を移植して骨量を増やす方法です。大掛かりな処置になるため、治癒期間も長くなり、結果としてインプラント治療にかかる全体的な期間は4~7ヶ月ほど追加で要する場合があります。
3. 歯茎の移植手術(1~2ヶ月)
審美性の向上やインプラント周囲組織の安定を目的として、歯茎の移植手術を行うこともあります。歯肉がやせている場合や歯周病でダメージを受けている場合に行うことが多く、術後の経過観察にも1~2ヶ月ほどかかるため、トータルの治療期間にも影響します。
術後の注意事項
インプラント治療後は、以下のような注意事項を守って、治癒を妨げないようにしましょう。
注意点 | 説明 |
---|---|
飲酒・激しい運動 | 血行が促進され、出血や腫れが強まるおそれがあるため、手術後しばらくは控える |
手術当日のうがい | 傷口を刺激する可能性があるため、うがいは控え目に行う |
患部での咀嚼 | インプラント埋入部位の負担を減らすため、反対側の歯で噛む |
患部への接触 | 舌や指で触らないよう注意し、刺激を避ける |
禁煙 | 喫煙は血流を悪化させ、治癒を遅らせるだけでなく、インプラント失敗のリスクを高める |
特に喫煙はインプラントと骨の結合を妨げる大きな要因となり得るため、インプラント治療の成功率を高めるためにも禁煙が強く推奨されています。ます。
まとめ
インプラント治療では、治療前の検査から埋入手術、人工歯装着、そして定期メンテナンスに至るまで、半年から1年ほどを見込むことが一般的です。特に、骨量不足や歯茎の問題などに対して追加治療を行う場合は、さらに時間がかかります。治療期間を短縮するためにも、歯周病やむし歯の治療は早めに済ませ、また治療中は禁煙を心がけ、担当医の指示に従ってケアを徹底しましょう。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフによる充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。