結論:50代は歯を失う方や歯周病の方が増え、歯を補う治療が身近になる年代です。インプラントが怖いと感じる場合は、検査で骨の状態やリスクを確認し、入れ歯・ブリッジ・インプラント、少ない本数のインプラントで入れ歯を支える「オーバーデンチャー」などを比べて選ぶことが大切です。どの方法が合うかは、診察と検査をもとに歯科医師と相談して決めます。
50代で増える歯の喪失と入れ歯の利用
50代になると、歯を失う本数や入れ歯を使う方の割合が増えていきます。厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査では、一人あたりの平均喪失歯数は45〜54歳で1.4本、55〜64歳で3.0本でした[1]。
| 年齢 | 部分入れ歯の使用 | 総入れ歯の使用 |
|---|---|---|
| 50〜54歳 | 5.2% | 0.6% |
| 55〜59歳 | 8.8% | 0.7% |
(出典:令和4年歯科疾患実態調査[1])
入れ歯は手術がいらない一方、隣の歯にバネをかけるため、取り外しが面倒、噛む力が弱い、バネをかけた歯に負担がかかるといった点が挙げられます[2]。そのため、インプラントを検討する方もいらっしゃいます。
歯を失う大きな原因:歯周病
50代で歯を失う大きな原因の一つが歯周病です。同じ調査では、4mm以上の歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝が深くなった状態)がある方は、50〜54歳で43.9%、55〜59歳で49.6%でした[1]。
歯周病の一番の原因は歯に付くプラーク(細菌のかたまり)です[3]。喫煙は歯周病にかかりやすく治りにくくし、糖尿病は歯周病を悪化させる大きな原因の一つとされています[3]。歯ぐきの腫れや出血を「年のせい」と放置せず、早めに歯科医院で相談しましょう。
また、歯を失ったまま放置すると、その部分の骨や歯ぐきがやせて、歯を補う治療がだんだん難しくなります[4]。隣の歯が傾いたり、噛み合っていた歯が伸びてきたりすることもあります[4]。
入れ歯・ブリッジ・インプラントの違い
歯を補う方法は主に3つあり、それぞれに長所と短所があります。
| 方法 | しくみ | 主な長所 | 主な短所 |
|---|---|---|---|
| 入れ歯 | 隣の歯にバネをかけて人工の歯を補う | 手術が不要 | 取り外しが面倒、噛む力が弱い、バネをかけた歯に負担 |
| ブリッジ | 両隣の歯を削り、つながった歯を入れる | 固定式で取り外し不要 | 隣の歯を多く削る、支える歯の負担が大きい |
| インプラント | 顎の骨に人工の歯根を埋め、その上に歯をつくる | 隣の歯を削らない、取り外しの手間がない | 手術が必要、保険適用外で費用が比較的高額、治療期間が長め |
(出典:日本口腔インプラント学会[2])
インプラントの特徴とメリット
インプラントは、顎の骨に埋めた人工歯根で人工歯をしっかり固定できる治療です。日本口腔インプラント学会は、主なメリットとして次の点を挙げています[5]。
- 人工歯をしっかり固定でき、強く噛める
- 取り外しの手間がない
- 隣の歯を削る必要がなく、残っている歯の負担が少ない
- 発音が安定しやすく、見た目も自然に仕上げられる
10年間機能したものが95%あったという報告もありますが、すべての治療がうまくいくわけではありません[5]。長く使うには、毎日のお手入れと定期メンテナンスが欠かせません。
インプラントのデメリットとリスク
インプラントは自由診療で、外科手術を伴う治療です。主なデメリットとリスクは次のとおりです[5]。
- 手術が必要で、痛み・腫れ・出血や合併症が起こることがある
- 全身状態がよくないと、うまくいかない場合がある
- 骨が不足していると治療が難しくなる
- 治療期間が比較的長く、治療費が比較的高額
- 天然の歯より感染に弱く、メンテナンスを怠ると長持ちしない
標準的な流れは、相談・検査、必要な歯周病治療など、埋入手術、骨と結合するまでの治癒期間、仮歯、最終的な人工歯の装着です[6]。期間は骨の状態などで異なります。日本歯科グループのインプラント費用は1本あたり150,000円〜450,000円(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)で、レントゲン・CTスキャン・手術代が含まれます。詳しくは日本歯科グループのインプラント治療ページをご覧ください。
「インプラントが怖い」と感じる方への対策
不安を減らすには、検査でリスクを把握し、納得できるまで説明を受けることが大切です。
1. 検査で骨やお体の状態を確認する
エックス線やCTで骨の形や量、神経の位置を確認し、血液検査などで治療に影響する病気がないかを調べます[6]。事前に状態を把握することで、無理のない治療計画を立てやすくなります。
2. 気になることは納得できるまで相談する
「自分に合った治療法か」「費用はどのくらいか」「どんなリスクがあるか」など、疑問は遠慮なく質問しましょう。日本口腔インプラント学会は、治療費と治療法を文書で残しておくことを勧めています[7]。日本歯科グループでは、インプラントの初回相談は0円で、その場で費用のお見積もりをお出しし、治療を受けるかどうかはご自宅でご検討いただけます。また、手術への不安や恐怖心が強い方は、静脈内鎮静法(静脈麻酔90,000円(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり))を選択することもできます。
3. 必要に応じてセカンドオピニオンを利用する
「骨が足りない」と言われた場合でも、骨を増やす治療(骨造成)などで選択肢が見つかることがあります[6]。他の歯科医師の意見を聞きたいときは、セカンドオピニオンを利用する方法もあります[7]。
入れ歯の悩みを減らす選択肢:インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーとは、少ない本数のインプラントを土台にして、取り外し式の入れ歯を固定する方法です。歯を多く失っている方で、入れ歯のずれや噛みにくさに悩む場合に検討されます。下顎の歯がない方には、2本のインプラントと磁石の装置で入れ歯を支え、噛む機能が改善した報告もあります[8]。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| インプラントの本数が少なく済む/取り外してお手入れできる/入れ歯が安定し噛みやすくなる | インプラントを埋める手術が必要/定期的なメンテナンスが欠かせない/感染のリスクはなくならない |
埋めるインプラントの本数を減らせるため、すべての歯をインプラントで補う場合より費用負担を抑えられることがあります。自由診療です。オーバーデンチャーの取り扱いや費用については、詳しくは各院にお問い合わせください。
インプラントを長持ちさせるメンテナンス
インプラントは埋めて終わりではなく、毎日のお手入れと定期メンテナンスで長持ちさせます。
- 定期メンテナンス:一般に3か月〜半年ごとが目安。歯科衛生士が自分では届かない部分を清掃します[9]
- 毎日のお手入れ:歯ぐきとの境目を細かく磨き、フロスや歯間ブラシを使い分けます[9]
- 生活習慣:禁煙や糖尿病など持病の管理も大切です[3]
まとめ
50代は歯の喪失や歯周病が増え、歯を補う治療を考える機会が増える年代です。インプラント、ブリッジ、入れ歯、オーバーデンチャーにはそれぞれ長所と短所があります。怖さや不安がある場合も、まずは検査と説明を受け、納得できる方法を選びましょう。
静岡歯科では、検査結果をもとに治療の選択肢とリスク、期間を説明し、患者さまのご希望をうかがいながら治療計画を一緒に考えています。インプラントや入れ歯でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
50代からインプラントを始めても大丈夫ですか?
年齢だけで治療ができないということはなく、骨の状態や全身の健康状態が重要です。持病がある方は治療に影響することがあるため、事前に歯科医師へ伝えてください。検査をもとに治療が可能かを判断します。
インプラント手術が怖いです。どうすればいいですか?
まずは検査で骨や体の状態を確認し、手術の流れやリスクについて説明を受けましょう。不安な点は納得できるまで質問してかまいません。手術を伴わない入れ歯やブリッジと比べて選ぶこともできます。
オーバーデンチャーと普通の入れ歯は何が違いますか?
オーバーデンチャーは、顎の骨に埋めたインプラントで入れ歯を固定するため、ずれにくく噛みやすくなることが期待できます。一方、インプラントを埋める手術が必要で、定期的なメンテナンスも欠かせません。
インプラントに保険は使えますか?
一般的なインプラント治療は保険適用外の自由診療です。日本歯科グループのインプラント費用は1本あたり150,000円〜450,000円(税込・公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)です。
参考情報
- 厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「他の治療法との違い」
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会「歯周病の原因は?」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「歯を失ったまま放置していませんか?」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのメリット・デメリット」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「相談から治療の流れ」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「治療中の方へ(治療中・術後のトラブル)」
- 日本口腔インプラント学会誌「新たなOHIP解析方法を用いた即時荷重インプラントオーバーデンチャーのアウトカム評価」(2015)
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのお手入れ」