インプラントがぐらついたら要注意!早めに知りたい対処ポイント
インプラント治療は失った歯を補う有効な方法です。しかし、治療後にインプラントがぐらついてしまうと、噛む力が十分に伝わらなかったり、さらに大きなトラブルに発展したりする恐れがあります。インプラントのぐらつきは軽視できません。この記事では、インプラントのぐらつきの原因、リスク、対処法、予防策を解説します。違和感を覚えたら、早めに歯科医院に相談しましょう。
インプラントの基本構造
まず、インプラントがぐらつく原因を理解するために、インプラント自体の構造を把握しておきましょう。インプラントは「インプラント体」「アバットメント」「人工歯」の3つのパーツから成り立ちます。
インプラント体(フィクスチャー)
歯の土台で、あごの骨に埋め込まれるパーツです。インプラント体はチタンなどの生体親和性が高い金属でできており、骨と結合して固定されます。天然歯の歯根を代用するため、インプラント治療の要です。
アバットメント
ネジでインプラント体と連結されているため、ゆるみや破損でぐらつきの原因になります。
人工歯(上部構造)
アバットメントの上に装着される人工の歯です。セラミックやレジンなどで、天然歯に近づけて設計されています。噛み合わせの調整はこの人工歯の段階で行われることが多いです。
インプラント体をあごの骨に埋入し、骨と結合するまで3〜6ヶ月待ちます。その後、アバットメントを装着してから人工歯を固定し、噛み合わせなどを微調整します。この結合プロセスがうまくいかないと、インプラントが揺れやすくなります。
インプラントがぐらつく主な原因
インプラントがぐらつく要因は複数あります。多くの場合、ネジのゆるみや骨との結合不良、歯周組織の炎症が関係しています。具体的にどのような原因が考えられるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
1. アバットメントのネジがゆるんでいる
アバットメントのネジがゆるむと、インプラント全体がぐらつきます。インプラントは天然歯に比べてクッション機能を担う歯根膜がないため、噛む力が直接パーツに伝わります。そのため、過剰な咬合力が加わると、ネジがゆるみ破損します。放置するとネジやインプラント体にダメージを受けます。
2. インプラント体と骨が十分に結合しない
インプラント治療では、骨とインプラント体の結合が重要です。しかし、手術時のドリル操作が不適切で「オーバーヒート」(摩擦熱で顎の骨が壊死・損傷すること)を起こすと、骨が熱ダメージを受け、インプラント体と十分に結合できなくなるリスクがあります。また、インプラントの位置や角度、骨量が不十分だと、ぐらつきが生じやすくなります。
3. インプラント周囲炎の発生
歯周病菌がインプラント周辺に感染する「インプラント周囲炎」は、歯周病に似た症状です。初期段階では腫れや出血程度ですが、進行すると骨が溶け、インプラントがぐらつきます。インプラント自体は虫歯になりませんが、歯ぐきや周囲の骨が侵されると抜け落ちる恐れがあります。
4. かみ合わせ・かみ癖の乱れ
歯ぎしりや食いしばりなどのかみ癖は、インプラントに負担を与えます。また、かみ合わせがずれている場合、特定の歯やインプラントにばかり負荷が集中することも少なくありません。そうした局所的な強い力が継続的にかかることで、ネジのゆるみ・パーツの破損・骨との結合不良などを引き起こし、最終的にぐらつきが起こります。
インプラントがぐらつくと感じたときの注意点
インプラントに違和感や揺れを感じたら、自己判断せずに対応してください。間違った処置を行うと、かえって症状が悪化する可能性があります。主な注意点をまとめます。
むやみに触らない
ぐらつきが気になっても、舌や手で触らないでください。過度な刺激で歯ぐきが傷つき、ぐらつきが進む恐れがあります。気になっても触れずに、速やかに歯科医院で診察を受けましょう。
自分で接着しようとしない
人工歯などが外れても、市販の接着剤で無理に固定するのは危険です。これによりかみ合わせが崩れ、ネジ山が損傷し、感染リスクが高まります。必ずそのままの状態で歯科医師の判断を仰いでください。
硬いものは避けて柔らかい食事を心がける
硬い食事はインプラントに強い負担をかけます。うどん、スープ、おかゆ、ヨーグルトなど柔らかい食事を選び、症状の悪化を防ぎましょう。
歯磨きを怠らない
ぐらつきを恐れて歯磨きをやめてしまうと、インプラント周囲炎のリスクがさらに高まります。強くこすらず、優しくケアして清潔な口腔環境を保ちましょう。
外れたパーツは保管する
外れたパーツは捨てず保管し、歯科医院に持参してください。再利用でき、治療費が軽減される場合があります。
歯科医院での主な対処法
インプラントがぐらついたら、できるだけ早くインプラント治療を行った歯科医院、もしくはインプラント治療に実績のある歯科医院で診察を受けましょう。原因を特定し、状況に応じて以下のような対応を行います。
ネジの増し締め・交換
アバットメントや人工歯を固定するネジがゆるんでいる場合は、ネジを取り外して増し締め・交換を行います。ゆるみの原因となる噛み合わせのチェックも重要です。咬合調整で力の偏りを防ぎます。
再手術によるインプラントの埋め直し
不適切な位置・角度で埋入されたことによる骨との結合不良が疑われる場合は、一度インプラント体を抜去し、一定期間後に再手術します。骨補填や骨造成を併用し、再度インプラントを埋入して結合させます。
インプラント周囲炎の治療
インプラント周囲炎を発症している場合、クリーニングや殺菌で感染源を除去します。症状が軽度なら、専門の清掃や口腔ケアで炎症を抑えます。骨が大きく溶けている場合は、手術が必要になることもあります。
かみ合わせの調整・マウスピースの活用
歯ぎしりや食いしばりで負荷がかかる場合、かみ合わせを微調整して噛む力のバランスを整えます。また、就寝時にナイトガード(マウスピース)で歯ぎしりを軽減するのも効果的です。
インプラントのぐらつきを予防するポイント
インプラントのぐらつきは、適切な治療とアフターケアである程度防ぐことが可能です。以下のポイントを押さえれば、トラブルのリスクを最小限に抑えられます。
信頼できる歯科医院を選ぶ
インプラントと骨の結合不良は、診断や手術計画、技術の問題に起因します。CTやシミュレーションソフトを活用し、サージカルガイドを用いて正確に埋入できる歯科医院を選びましょう。また、インプラントの症例数が多い歯科医師は、豊富な経験を活かして難症例にも柔軟に対応できます。
選び方のポイント | メリット |
---|---|
CT撮影やシミュレーション | 骨量や神経の位置を正確に把握でき、安全性が高まる |
サージカルガイドの使用 | インプラントを正確な角度と位置に埋入可能 |
症例実績が豊富 | 多様なケースに対応でき、トラブル時の対処にも慣れている |
定期的にメンテナンスを受ける
治療が終わった後も、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが不可欠です。インプラントのゆるみやかみ合わせの微調整、クリーニングなどを通じて早期にトラブルを発見・対処できます。特にインプラント周囲炎は進行が早く、自覚症状が少ないまま悪化しやすいため、プロの目でチェックしてもらうことが大切です。
毎日の歯磨きを丁寧に行う
天然歯と同様に、インプラント周辺のケアを怠ると、歯垢や食べかすが溜まり、感染リスクが上がります。特に歯ぐきとの境目や隣の歯との隙間は汚れが残りやすいので、歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシでしっかり清掃しましょう。強くこすらず、優しく磨くことがポイントです。
まとめ
インプラントがぐらつく原因としては、アバットメントのネジゆるみや骨との結合不良、インプラント周囲炎、かみ合わせの乱れなどさまざまです。少しでも揺れや違和感を感じたら、自己流で対処せず早めに診てもらいましょう。適切な処置とメンテナンスで、インプラントを長期間快適に使用できます。
また、インプラントを長持ちさせるうえで重要なのは、丁寧な毎日のケアと定期的なメンテナンスです。信頼できる歯科医院で治療を受け、食生活、かみ合わせ、歯周環境に気を配って健康な口腔状態を維持しましょう。早期の対処と予防策の徹底によって、大切なインプラントを守り続けることが可能になります。
日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と最先端の技術力を活かし、患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療プランを提供しております。初診時のご相談からアフターケアまで、安心して治療に臨める体制が整っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。