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インプラントのISQとは?治療成功を左右するISQ値の基準と重要性を解説

Implant dental model in dental care concept.

インプラント治療の成功を左右する重要な指標「ISQ値」。この数値を知ることで、治療の確実性が飛躍的に向上します。

この記事では、ISQ値の基準や測定方法、治療成功との関連性について詳しく解説します。インプラント治療をご検討中の方や、すでに治療を受けている方にとって、有益な情報となるでしょう。

インプラントのISQとは?

インプラント治療において、治療の成功を判断するための重要な指標が「ISQ(Implant Stability Quotient)」です。日本語では「インプラント安定指数」と呼ばれ、インプラントが顎の骨にどれだけしっかりと固定されているかを数値化したものです。

ISQ値は0〜100の範囲で表され、数値が高いほどインプラントの安定性が高いことを示します。この値は特殊な測定器を用いて非侵襲的に(口腔内を傷つけずに)測定することができ、治療の各段階でインプラントの安定性を客観的に評価することが可能です。

ISQ値の測定方法

ISQ値の測定には、一般的に「オステルIDx」などの専用測定器が使用されます。この装置は以下のような特徴を持っています。

  • 非侵襲的測定が可能(患者の負担が少ない)
  • 数秒で測定完了
  • 高い信頼性と再現性
  • デジタル記録による経過観察が容易

測定の仕組みは、インプラントに取り付けた小さなスマートペグと呼ばれる金属棒に微弱な磁気パルスを送り、その振動周波数からISQ値を算出します。この方法により、患者に痛みを与えることなく、インプラントの骨結合(オッセオインテグレーション)の状態を正確に評価することができます

ISQ値の基準と評価方法

ISQ値は一般的に以下の基準に基づいて評価されます。

ISQ値 評価 臨床的意味
70以上 高い安定性 即時荷重(すぐに人工歯を装着)可能
60〜69 良好な安定性 早期荷重を検討できる
50〜59 中程度の安定性 標準的な治療プロトコルで対応可能
49以下 安定性は低い 荷重を遅らせる必要あり、慎重な経過観察が必要

これらの基準値は一般的な目安であり、個々の患者の状態や使用するインプラントシステムによって変動することがあります。重要なのは、単一の測定値だけでなく、治療期間中のISQ値の推移を把握することです

ISQ値の経時的変化

インプラント治療における典型的なISQ値の変化パターンは以下のようになります:

  • 埋入直後:初期固定の状態を反映(通常60〜75程度)
  • 埋入後2〜4週間:骨のリモデリング過程で一時的に低下することがある
  • 埋入後4〜8週間:二次安定性が確立され、値が上昇
  • 長期安定期:概ね70前後の安定した値を示す

この経時的変化を理解することで、インプラント治療の各段階で適切な判断を下すことができます。例えば、埋入直後から高いISQ値が維持される場合は、通常より早期に最終補綴物の装着が可能となるケースがあります。

ISQ値が治療成功に与える影響

ISQ値はインプラント治療の成功率と密接に関連しています。複数の研究によると、以下のような関連性が示されています。

  • ISQ値70以上のインプラントは長期成功率が95%以上
  • ISQ値60未満のインプラントは失敗リスクが高まる
  • 経時的なISQ値の上昇は良好な骨結合の証拠

特に重要なのは、ISQ値を継続的にモニタリングすることで、問題が深刻化する前に早期発見・対応が可能になる点です。例えば、順調に上昇していたISQ値が突然低下した場合、インプラント周囲炎などの合併症の初期サインかもしれません。

ISQ値を左右する主な要因

ISQ値は様々な要因によって影響を受けます。

要因 ISQ値への影響
骨質 緻密な骨(D1、D2)では高値、海綿骨主体(D3、D4)では低値になりやすい
インプラントの形状・サイズ 太く長いインプラントは、より高いISQ値が得られる傾向にある
埋入トルク(歯に回転力をかける力) 高い埋入トルクは、より高いISQ値と相関する
埋入部位 下顎は上顎に比べ、一般的に高いISQ値を示す
骨増生の有無 骨造成を行った部位では、初期のISQ値が低めになる傾向がある

これらの要因を正確に把握することで、より精度の高い治療計画の立案や予後予測が可能となります。

ISQ値向上戦略と測定メリット

低いISQ値や望ましくない変化パターンが見られる場合、次のような治療戦略が検討されます。

  • 治癒期間の延長(通常の2〜3倍の期間を設ける)
  • インプラントの直径および長さの再評価
  • 骨質改善のための治療(骨誘導再生法など)
  • 荷重をかける計画の見直し(段階的荷重の導入)
  • 定期的なISQ値モニタリングの頻度を上げる

患者自身が日々の口腔ケアを徹底することで、インプラントの安定性維持に大きく寄与できます。具体的には、適切な口腔清掃、定期検診の遵守、禁煙などが挙げられます。

ISQ値測定のメリット

ISQ値測定が導入されているインプラント治療をすることで、以下のようなメリットが得られます。

  • 治療の進捗を客観的に評価できる
  • 説明が、データに基づいてより明確に行える
  • 荷重時期の最適化により治療期間の短縮が可能
  • 合併症の早期発見・対応につながる
  • 長期的な治療成績の向上

特に、治療計画の個別最適化が可能になる点は大きなメリットです。従来の「一定期間待つ」という画一的なアプローチから、一人ひとりの骨の状態に合わせた治療へと進化させることができます。

専門医療機関におけるISQ値測定の活用

先進的なインプラント治療を提供する歯科医院では、ISQ値測定を標準的なプロトコルとして導入しています。具体的には以下のようなタイミングで測定が行われることが一般的です。

  • インプラント埋入直後
  • 埋入から2週間後
  • 埋入から4週間後
  • アバットメント連結時
  • 最終補綴物装着時
  • 定期メンテナンス時(必要に応じて追加測定)

これらの測定結果は詳細に記録され、治療経過の評価や今後の治療計画の策定に活用されます。定期的な測定によって、目に見えない骨とインプラントの結合状態を「見える化」することができるのです

まとめ

インプラント治療におけるISQ値は、治療の成功を左右する重要な指標です。数値として客観的に評価できるため、医師の経験だけに頼らない科学的なアプローチが可能になります。高いISQ値(70以上)は良好な予後を示し、治療の確実性向上に大きく寄与します。

治療の進捗が数値で把握できることは大きな安心材料となります。インプラント治療をご検討の際は、ISQ値を測定している専門医療機関を選ぶことで、より安全で予測可能な治療を受けることができるでしょう。

日本歯科グループのクリニックでは、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

今本院長

日本歯科札幌 院長 今本 芳彦

北海道出身。
卒後、自由診療専門のクリニックで研鑽を積む。
10年間、自由診療専門のクリニックで院長として活躍。
北海道でトップクラスのインプラント実績を誇る。
他にもマウスピース矯正、審美治療を得意とする。

この記事の監修

日本歯科静岡 院長 戸田 紀章

静岡県出身。
卒後、埼玉医科大学口腔外科で研鑽を積む。
その後、静岡歯科で10年間研鑽を積んだ後、日本歯科静岡の院長に就任。
静岡県トップクラスのインプラント治療実績を持つ。
審美治療やマウスピース矯正も得意とする。

この記事の監修

早川理事長

日本歯科グループ 代表 早川 好昭

東京都出身。
静岡県で静岡歯科を開業。
高度先進歯科医療クリニックとして日本歯科グループを開設。
同グループとして静岡歯科、日本歯科札幌、日本歯科静岡、日本歯科名古屋などがある。
日本歯科グループの代表として全てのクリニックを統括。

この記事の監修

稲津副院長

日本歯科名古屋 院長 稲津 由美子

大手歯科グループの院長として長年活躍。
その後静岡歯科の副院長として8年間研鑽を積み、日本歯科名古屋の院長に就任。
女性歯科医師として全国でトップクラスのインプラント実績を持つ。
マウスピース矯正と審美治療を得意とする。