結論:歯が欠けたら、破片があれば乾かさずに牛乳か唾液に入れて保管し、できるだけ早く歯科医院を受診してください[1]。治療法は欠け方によって変わり、小さな欠けは樹脂(レジン)で、大きな欠けは詰め物や被せ物で、神経まで達した欠けは根管治療で対応するのが一般的です[1][2]。
この記事では、歯が欠けたときの応急処置と受診の目安、欠ける主な原因、欠け方別の治療法と流れ、治療後の注意点と予防法を解説します。
歯が欠けたときにすべきこと
歯が欠けたら、まず口の中を清潔に保ち、破片を正しく保管して、早めに歯科医院へ連絡しましょう。
応急処置の基本
- ぬるま湯で口をやさしくすすぎ、清潔に保つ
- 欠けた側で噛まない
- 熱すぎる・冷たすぎる飲食物を控える
- 痛むときは市販の鎮痛薬を用法・用量を守って使う
- 唇や頬の腫れがあれば、外側から冷やす
欠けた部分がとがって舌や頬に当たる場合は、受診時に相談してください。表面をなめらかに整えるだけで楽になることもあります。
欠けた破片の保管方法
破片が見つかったら、乾かさずに牛乳か唾液に入れて、歯科医院に持参してください[1]。唾液は清潔な容器につばをためて使います[1]。状態によっては、破片を接着できる場合があります[1]。
破片をこすったり、乾いたティッシュに包んだりするのは避けましょう。
受診のタイミング
| 状態 | 受診の目安 |
|---|---|
| 強い痛み、欠けた部分に赤い点や出血がある | すぐに歯科医院へ連絡(神経まで及んでいる可能性)[3] |
| 歯がぐらつく、位置がずれた | すぐに歯科医院へ連絡 |
| 冷たいもの・空気でしみる | 早めに受診(象牙質まで欠けている可能性)[3] |
| 小さく欠けただけで、しみない・痛まない | 近日中に受診(エナメル質のみの可能性)[3] |
夜間や休日は、休日診療を行う歯科医院を探すか、翌診療日に連絡しましょう。顔が大きく腫れる、口が開きにくい、発熱があるといった場合は、早急に受診してください。
歯が欠ける主な原因
歯が欠ける主な原因は、外傷、硬いものを噛むこと、歯ぎしり・食いしばり、むし歯や古い詰め物の4つです。
外傷(ぶつけた・転んだ)
スポーツ中の接触や転倒、事故などで歯をぶつけて欠けることがあります。前に出ている前歯は、特に外傷を受けやすい歯です。
硬いものを噛んだ
氷や硬い飴、骨のある食品などを強く噛むと、ひびが入ったり欠けたりすることがあります。噛む力が集中する奥歯では、特に注意が必要です。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりが続くと、歯が欠ける・ひびが入る・すり減ることがあります[4]。眠っている間に起きることも多く、本人は気づかないことがあります[4]。
むし歯や古い詰め物
むし歯で歯の内側が弱くなると、ふだんの噛む力でも欠けることがあります。古い詰め物の下でむし歯が進んでいたり、詰め物が劣化していたりすると、その境目から欠けることもあります。
欠け方(破折の状態)と治療法
治療法は、欠けがどの層まで達しているかで大きく変わります。
| 欠け方 | よくみられる症状 | 主な治療法 |
|---|---|---|
| エナメル質のみ | しみない・痛まないことが多い[3] | 表面を整える、レジン修復 |
| 象牙質まで | 空気や食べ物が触れると痛む・しみる[3] | レジン修復、詰め物(インレー) |
| 神経(歯髄)まで | 赤い点や出血がみられる、強く痛む[3] | 根管治療のうえ、被せ物など[1] |
| 歯の根まで割れている | 噛むと痛い、ぐらつく | 状態により抜歯を検討 |
ご自身で欠け方を正確に見分けるのは難しいため、最終的な判断は歯科医師が検査をしたうえで行います。
小さな欠け:レジン修復
歯の色に近い樹脂(コンポジットレジン)を詰めて形を整える方法です。小さな穴の修復に多く使われ、一般に1回の治療で終わります[2]。
- 欠けた部分を清掃し、必要に応じて表面を整える
- 接着剤を塗り、レジンを盛って形を作る
- 光を当てて固め、磨いて仕上げる
歯を削る量が少なく済む一方、年月とともに変色やすり減りが起きることがあり、やり直しが必要になる場合があります。
中程度の欠け:詰め物(インレー)
欠けが大きく、直接詰めるのが難しい場合は、型を取って作った詰め物を装着します[2]。
- 欠けた部分やむし歯を取り除き、型を取る
- 仮の詰め物をして、技工所で詰め物を作製
- 次回の来院で詰め物を装着
通常2回以上の通院が必要です。保険診療では主に金属が使われ、自由診療ではセラミックなども選べます。
大きな欠け:被せ物(クラウン)
歯の大部分が欠けた場合は、歯全体を覆う被せ物で守ります[1]。
- 歯の形を整えて土台を作る
- 型を取り、仮歯を入れる
- 作製した被せ物を装着する
歯をしっかり守れる一方で、健康な部分も削る必要があります。通院回数は歯の状態によって異なります。
神経に達する欠け:根管治療
欠けが神経まで達している場合は、残った神経が強い痛みを起こす前に取り除くため、根管治療が必要になることがあります[1][3]。
- 麻酔をして、神経を取り除く
- 根の中を清掃・消毒する(複数回)
- 根の中を薬剤で封鎖する
- 土台を立て、被せ物で歯を守る[2]
根管治療は通常2回以上の通院が必要で、治療後しばらく腫れや痛みが出ることがあります[5]。前歯では、神経を取った後に歯の色が変わることもあるため、見た目も考えて治療計画を立てます。
歯の根まで割れている場合
割れが歯の根の深いところまで及んでいる場合は、歯を残すことが難しく、抜歯を検討することがあります。抜歯後は、ブリッジ・入れ歯・インプラントなどで補う方法があり、それぞれの特徴とリスクを歯科医師からご説明します。
セラミックなど自由診療の素材を選ぶ場合
- 標準的な治療内容・回数:歯の形を整え、型取り後に作製・装着します。一般的に数回の通院が必要です。
- 主なリスク:強い力で割れることがある、歯を削る量が増える場合がある、合わない場合は作り直しが必要になることがあります。
- 費用:日本歯科グループの公式サイトでは、セラミックやジルコニアの詰め物1本33,000円〜、被せ物1本88,000円〜としています(公式サイト記載の料金、症例により別途費用あり)。詳しくはセラミックやジルコニアのページをご覧ください。
治療後の注意点
治療直後は、修復した歯に無理な力をかけないよう気をつけましょう。
- 麻酔が切れるまでは、唇や頬をかまないよう注意し、食事は控える
- 治療直後は、修復した歯で硬いものを噛まない
- 仮の詰め物や仮歯が入っている間は、反対側で噛み、粘着性の強い食べ物を避ける
- 根管治療の途中は、その歯で硬いものを噛まない
- 噛み合わせの違和感や痛みが続く場合は、我慢せずに連絡する
具体的な注意点は治療内容によって異なるため、治療後に担当医からご説明します。
歯が欠けないようにする方法
予防の基本は、歯に無理な力をかけないこと、むし歯を防ぐこと、定期検診で早めに見つけることです。
歯ぎしり・食いしばり対策
- 就寝時のマウスピース(ナイトガード)で歯を守る[4]
- 日中は上下の歯を離し、あごの力を抜く習慣をつける[4]
- リラックス法などでストレスと上手に付き合う[4]
スポーツ時のマウスガード
接触や衝突のあるスポーツでは、マウスガードで歯を守る方法があります。マウスガードには、市販品を自分で形を合わせるタイプと、歯科医院で歯型を取って作るタイプがあります[6]。
市販品は合わせ方が難しく、合っていないとかえって危険な場合もあります[6]。歯科医院で作るものは、口や競技に合わせて厚みや適合を調整できます[6]。成長期のお子さんは、歯の生え変わりにあわせて作り直しを検討しましょう。
定期検診で早めに見つける
定期検診では、むし歯や小さなひび、古い詰め物のすき間などを確認できます。歯ぎしりは本人が気づかないことも多いため、定期的な歯科でのチェックが早期発見に役立ちます[4]。冷たいものがしみる、特定の歯で噛むと痛むといった症状があれば、早めに受診してください。
歯が欠けたままにするリスク
欠けた歯を放置すると、むし歯の進行や神経の炎症、噛み合わせの乱れにつながることがあります。
- 欠けた部分から細菌が入り、むし歯が進みやすくなる
- むし歯や欠けが神経に達すると、根管治療が必要になる[2]
- とがった部分で舌や頬を傷つける、食べ物が詰まりやすくなる
- 欠けた歯を避けて噛む癖がつき、ほかの歯やあごに負担がかかる
まとめ
歯が欠けたら、破片を牛乳か唾液に入れて保管し、早めに歯科医院を受診しましょう。強い痛みや出血がある場合は、神経まで欠けている可能性があるため、すぐに連絡してください。
治療法は欠け方によって、レジン、詰め物、被せ物、根管治療などから選びます。歯ぎしり対策、スポーツ時のマウスガード、定期検診で、欠けにくい状態を保つことも大切です。
静岡歯科では、欠けた歯の状態を検査したうえで、治療の選択肢をご説明しています。歯の欠けや違和感が気になる方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
欠けた破片は水で保管してもよいですか?
乾かさずに牛乳か唾液に入れて保管し、歯科医院に持参してください[1]。状態によっては、破片を接着できる場合があります。
痛みがなければ、すぐに受診しなくても大丈夫ですか?
エナメル質だけの小さな欠けなら、急ぎの治療が要らないこともあります[3]。ただし、欠けた部分からむし歯が進むことがあるため、近日中に受診して状態を確認してもらいましょう。
欠けた歯の治療は1回で終わりますか?
小さな欠けをレジンで直す場合は、1回で終わることが多いです[2]。詰め物や被せ物、根管治療が必要な場合は、複数回の通院が必要です。
歯が欠けやすい人はどんな人ですか?
歯ぎしり・食いしばりがある方、硬いものをよく噛む方、大きな詰め物や神経を取った歯がある方は、欠けやすい傾向があります。定期検診で歯の状態を確認し、必要に応じてマウスピースなどで対策しましょう。