突然の事故や硬いものを噛んだときなど、予期せぬタイミングで歯が欠けると不安になるものです。「治療費がいくらかかるのか」も気になる点ではないでしょうか。実は歯が欠けた場合の治療費は、欠け方の程度や選択する治療法、保険適用か自費診療かによって大きく異なります。
この記事では、歯が欠けた際の様々な治療方法とその費用相場をわかりやすく解説します。適切な治療法を選ぶための参考にしていただければ幸いです。
歯が欠けた時の治療方法
歯が欠けた場合、まずは歯科医院で診察を受け、欠けた程度や状態を確認することが重要です。欠け方や範囲によって、適切な治療法が異なります。ここでは、歯が欠けた際の基本的な治療方法と、それぞれにかかる費用の目安をご紹介します。
欠け方の程度による治療法の違い
歯が欠けた場合の治療法は、欠けた範囲や深さによって大きく変わります。軽度の欠けであれば詰め物(レジン充填)で対応できますが、大きく欠けている場合は被せ物(クラウン)が必要になることがあります。歯の欠け方は主に「エナメル質のみの軽度の欠け」「象牙質まで達する中程度の欠け」「神経に近い重度の欠け」の3段階に分られ、それぞれの状態に応じた適切な治療が必要になります。
また、歯が欠けた際に痛みを伴う場合は、神経に近い部分まで損傷している可能性があります。このような場合は、応急処置だけでなく、神経治療(根管治療)が必要になることもあるため、治療費が高くなったり、治療期間が長くなることがあります。
保険診療と自費診療の違い
歯科治療では、保険が適用される「保険診療」と、適用されない「自費診療」があります。保険診療は費用が抑えられる反面、使用できる材料や技術に制限があります。一方、自費診療は費用は高くなりますが、見た目や耐久性に優れた材料を使用できるというメリットがあります。保険診療と自費診療では同じ治療でも費用が数倍から数十倍違うこともあるため、治療を受ける前に十分な説明を受けることが大切です。
歯が欠けた際の治療方法を選ぶ際は、見た目の美しさだけでなく、耐久性、そして費用のバランスを考慮して決めることをおすすめします。。
治療方法別の費用相場
歯が欠けた際の治療費は、選択する治療方法によって大きく異なります。ここでは、一般的な治療方法である「詰め物」「被せ物」「インプラント」などの費用相場を、保険診療と自費診療に分けて紹介します。
詰め物(レジン充填・インレー)の費用
歯の一部が欠けた場合、最も一般的な治療法が「詰め物」です。詰め物には直接歯に詰める「レジン充填」と、型取りをして作製する「インレー」があります。レジン充填は保険適用で1,000円〜5,000円程度、自費診療の場合は1万円〜3万円程度が相場です。一方、インレーは保険適用で2,000円〜7,000円程度、自費診療(ゴールドインレーやセラミックインレー)の場合は3万円〜8万円程度が相場となります。
詰め物の費用は欠けた部分の大きさによっても変わります。小さな欠けであれば比較的安価に済みますが、大きな欠けの場合は費用が高くなる傾向があります。また、前歯などの目立つ部分の場合、見た目を重視した自費診療を選ぶケースも多く見られます。
詰め物の種類 | 保険診療の費用 | 自費診療の費用 |
---|---|---|
レジン充填(プラスチック) | 1,000円〜5,000円 | 10,000円〜30,000円 |
銀歯インレー | 2,000円〜7,000円 | – |
ゴールドインレー | – | 40,000円〜80,000円 |
セラミックインレー | – | 30,000円〜60,000円 |
被せ物(クラウン)の費用
歯の大部分が欠けた場合や、神経を抜いた後の治療には「被せ物(クラウン)」が適しています。被せ物は保険適用の場合、銀歯(メタル)で約5,000円〜1万円程度です。自費診療の場合、素材によって費用が大きく異なり、ハイブリッドセラミックで5万円〜8万円、オールセラミックで10万円〜15万円、ジルコニアで12万円〜20万円程度が相場となります。特に前歯など見た目が気になる部分では、白い被せ物を選ぶ方が多いです。
被せ物の寿命も素材によって異なります。保険適用の銀歯は5〜7年程度、自費診療のセラミックやジルコニアは10〜15年程度持つと言われています。長期的な視点で考えると、初期費用は高くても耐久性に優れた素材を選ぶことで、結果的にコストパフォーマンスが良くなる場合もあります。
被せ物の種類 | 保険診療の費用 | 自費診療の費用 |
---|---|---|
銀歯(メタル) | 5,000円〜10,000円 | 30,000円〜50,000円 |
前歯用レジン前装冠 | 7,000円〜12,000円 | – |
ハイブリッドセラミック | – | 50,000円〜80,000円 |
オールセラミック | – | 100,000円〜150,000円 |
ジルコニア | – | 120,000円〜200,000円 |
神経治療が必要な場合の追加費用
歯が深く欠けて神経まで達している場合や、痛みを伴う場合は根管治療が必要になることがあります。神経治療は保険適用で約7,000円〜2万円程度が相場です。神経治療が必要になると、治療期間が長くなるだけでなく、その後の詰め物や被せ物の費用も別途かかることになるため、トータルでの治療費が高くなります。また、神経を抜いた歯は時間とともに脆くなるため、将来的に再治療が必要になるリスクも考慮しておく必要があります。
神経治療の費用は歯の種類(前歯、小臼歯、大臼歯)や根管の数によっても変わってきます。特に奥歯は根管が複数あることが多く、治療が複雑になるため費用も高くなる傾向にあります。
神経治療の対象 | 保険診療の費用 |
---|---|
前歯(単根管) | 7,000円〜10,000円 |
小臼歯(1〜2根管) | 10,000円〜15,000円 |
大臼歯(3〜4根管) | 15,000円〜20,000円 |
歯を失った場合の治療方法と費用
歯が大きく欠けて保存が難しい場合や、すでに歯を失ってしまった場合は、失った歯の機能を回復するための治療が必要になります。ここでは、歯を失った場合の代表的な治療法である「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」の特徴と費用相場を解説します。
ブリッジの費用相場
ブリッジは失った歯の両隣の健康な歯を削り、橋渡しのように人工歯を固定する治療法です。保険適用の場合、1本の歯を補うブリッジで約1万円〜3万円程度が相場です。自費診療のブリッジは素材によって価格が異なり、メタルボンドで5万円〜8万円、ハイブリッドセラミックで7万円〜10万円、オールセラミックで10万円〜15万円程度が相場となります。
ブリッジは健康な歯を削る必要があるというデメリットがありますが、固定式なので取り外しの手間がなく、噛み心地も比較的自然に近いというメリットがあります。ただし、支える歯に負担がかかるため、将来的にその歯にトラブルが生じるリスクもあることを覚えておきましょう。
ブリッジの種類 | 保険診療の費用 | 自費診療の費用 |
---|---|---|
銀歯(メタル)ブリッジ | 10,000円〜30,000円 | 40,000円〜60,000円 |
メタルボンドブリッジ | – | 50,000円〜80,000円 |
ハイブリッドセラミックブリッジ | – | 70,000円〜100,000円 |
オールセラミックブリッジ | – | 100,000円〜150,000円 |
入れ歯の費用相場
入れ歯は取り外しが可能な義歯で、保険適用の場合、部分入れ歯で約5,000円〜1万5,000円、総入れ歯で約1万円〜2万円程度が相場です。自費診療の入れ歯は素材や製法によって大きく価格が異なり、金属床入れ歯で13万円〜20万円、ノンクラスプ入れ歯で15万円〜25万円、コンフォート入れ歯で20万円〜30万円程度が相場です。高額な入れ歯ほど見た目や装着感、耐久性に優れる傾向があります。
入れ歯は装着感や違和感、噛み心地などに慣れるまで時間がかかることがあります。また、定期的な調整やメンテナンスが必要で、5〜7年程度で作り直しが必要になることも多いため、長期的なコストも考慮する必要があります。
入れ歯の種類 | 保険診療の費用 | 自費診療の費用 |
---|---|---|
部分入れ歯 | 5,000円〜15,000円 | – |
総入れ歯 | 10,000円〜20,000円 | – |
金属床入れ歯 | – | 130,000円〜200,000円 |
ノンクラスプ入れ歯 | – | 150,000円〜250,000円 |
コンフォート入れ歯 | – | 200,000円〜300,000円 |
インプラントの費用相場
インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。原則として自費診療となり、1本あたり30万円〜50万円程度が相場です。インプラント治療の費用には、インプラント埋入手術、アバットメント(連結部分)、上部構造(人工歯)の費用が含まれており、さらに事前の検査費用や、場合によっては骨造成などの追加処置が必要になることもあります。
インプラントは外科手術が必要で、治療期間も長くなりますが、見た目や噛み心地が天然歯に近く、周囲の歯に負担をかけないというメリットがあります。
インプラント治療の項目 | 費用の目安 |
---|---|
事前検査・診断 | 20,000円〜50,000円 |
インプラント埋入手術 | 150,000円〜250,000円 |
アバットメント | 30,000円〜50,000円 |
上部構造(人工歯) | 100,000円〜150,000円 |
骨造成(必要な場合) | 50,000円〜150,000円 |
費用を抑える方法
歯の治療費は高額になることもあり、経済的な負担が心配になることもあるでしょう。ここでは、歯科治療の費用を少しでも抑える方法について解説します。
保険診療と自費診療の使い分け
歯科治療費を抑えるためには、保険診療と自費診療をうまく使い分けることが重要です。例えば、奥歯など見えにくい部分は保険診療、前歯など見える部分は自費診療を選ぶという方法があります。また、被せ物の場合、土台部分は保険診療、見える部分だけ自費診療の素材を使用する「保険外併用療養費制度」を利用することで、全て自費診療にするよりも費用を抑えられることがあります。
治療方法を決める際は、歯科医師に保険診療と自費診療のメリット・デメリットを詳しく説明してもらい、自分の予算や優先したい点(見た目、耐久性など)を考慮して選択することが大切です。複数の歯科医院で相談して比較検討することも一つの方法です。
歯科医院の保証制度について
自費診療の場合、多くの歯科医院では独自の保証制度を設けています。例えば、セラミックの被せ物やインプラントに対して、5年や10年といった期間内であれば、破損や脱落時に無料または割引価格で再治療してくれるというものです。保証期間や条件は歯科医院によって異なりますが、長期的な視点で見ると、保証制度が充実している歯科医院を選ぶことで、思わぬトラブル時の経済的負担を軽減できる可能性があります。
保証制度を利用するためには、定期的なメンテナンスや検診を受けることが条件となっていることが多いため、治療後のアフターケアもしっかり行うことが大切です。保証制度の内容は治療前に必ず確認し、書面でもらっておくとよいでしょう。
医療費控除の活用
高額な医療費を支払った場合に一定額を超える部分が戻ってくる「医療費控除」の制度も活用できます。歯科治療費も医療費控除の対象となりますので、領収書はしっかり保管しておきましょう。年間の医療費が10万円を超えると申請できるため、高額な自費診療を受けた場合は特に覚えておくとよいでしょう。
まとめ
歯が欠けた際の治療費は、欠けた程度や選択する治療法、保険適用か自費診療かによって大きく異なります。軽度の欠けであれば保険適用のレジン充填で1,000円〜5,000円程度、大きく欠けた場合の被せ物は保険適用で5,000円〜1万円、自費診療のセラミックやジルコニアでは10万円〜20万円程度が相場です。
歯を失った場合の治療法としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの選択肢があります。治療法を選ぶ際は、見た目の美しさ、耐久性、噛み心地、そして費用のバランスを考慮することが大切です。
治療費を抑えるためには、保険診療と自費診療をうまく使い分けたり、保証制度が充実した歯科医院を選んだり、医療ローンや医療費控除を活用したりする方法があります。いずれにしても、歯が欠けてしまったら早めに歯科医院を受診し、適切な治療法について相談することをおすすめします。
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