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インプラントができない歯茎とは?治療が難しい歯茎の状態と対処法【日本歯科名古屋院長が解説!】

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「インプラントを入れたいけど、歯茎の状態が悪くて難しいと言われた」「骨が足りないからインプラントは無理だと診断された」このようなお悩みを抱える方は少なくありません。実際、インプラント治療はどんな方でも簡単に受けられるわけではなく、特に歯茎や顎の骨の状態によっては治療が難しいケースがあります。しかし、一度「難しい」と言われたとしても、適切な前処置や対策によって治療の可能性が広がることもあります。

この記事では、インプラント治療が困難とされる歯茎や口腔内の状態と、それぞれの状況に応じた対処法について詳しく解説します。

インプラント治療ができない原因

インプラント治療は人工歯根を顎の骨に埋め込む外科的処置です。そのため、単に歯を被せるだけの治療とは異なり、様々な条件が治療の成功に影響します。まずは、どのような状態だとインプラント治療が難しくなるのか、主な原因を見ていきましょう。

顎の骨の量が不足している場合

インプラント治療において最も重要な条件の一つが、十分な顎骨の量です。人工歯根を安定して支えるためには、一定以上の骨の厚みと高さが必要となります。しかし、歯を失ってから時間が経過すると、使われなくなった部分の顎骨は徐々に痩せていき、インプラントを支える土台が不足してしまいます。特に上顎の奥歯の場合は、上顎洞という空洞があるため、さらに利用できる骨の量が制限されることがあります。

骨量不足の具体的な基準としては、一般的にインプラント埋入に必要な最低限の骨の高さは5mm程度、幅は6mm程度と言われています。これを下回る場合、追加的な処置なしでのインプラント埋入は難しくなります。

骨の質が悪い場合

骨の量だけでなく、質も重要な要素です。骨密度が低く柔らかすぎる骨質だと、インプラントが安定せず、治療の失敗リスクが高まります。特に上顎の骨は下顎に比べて元々密度が低いため、骨質の問題が生じやすい傾向があります。また、長期間の歯の欠損や加齢により骨質が低下している場合も、インプラント治療が難しくなることがあります。

骨質は一般的に4段階(D1〜D4)に分類され、D1が最も硬く密度が高い骨、D4が最も柔らかい骨とされています。D4のような柔らかい骨質の場合、インプラントの初期固定が得られにくく、治療が困難になる可能性があります。

重度の歯周病がある場合

歯周病は歯茎と骨を支える組織に炎症を引き起こし、進行すると骨を溶かしてしまう疾患です。重度の歯周病がある状態でインプラント治療を行うと、インプラント周囲炎のリスクが高まります。つまり、新しく入れたインプラントも同様の炎症によって失敗につながる可能性が大きいのです。

歯周病菌は口腔内に残存するため、たとえ歯を全て失った状態でも、その後のインプラント治療に影響を及ぼす可能性があります。そのため、インプラント治療前には歯周病のコントロールが不可欠となります。

インプラント治療を困難にする全身疾患

インプラント治療の成功は、口腔内の状態だけでなく、全身の健康状態や生活習慣にも影響されます。特定の疾患や習慣は、手術のリスクを高めたり、治療後の経過に悪影響を与えたりする可能性があります。ここでは、インプラント治療を困難にする可能性のある全身疾患と生活習慣について解説します。

糖尿病など血糖コントロールができていない場合

糖尿病、特にコントロール不良の状態は、インプラント治療において重大なリスク要因となります。高血糖状態が続くと傷の治りが遅くなり、感染リスクが高まるため、インプラントと骨の結合が正常に進まない可能性があります。また、糖尿病は微小血管障害を引き起こすため、骨への血流が低下し、骨形成が阻害される恐れもあります。

ただし、HbA1c値(過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標)が7.0%未満など、適切にコントロールされている場合は、インプラント治療を受けられることが多いです。主治医との連携のもと、血糖コントロールを改善することで、治療の可能性が広がります。

骨粗鬆症で特定の薬剤を服用している場合

骨粗鬆症自体はインプラント治療の絶対的な禁忌ではありませんが、治療に使用されるビスホスホネート系薬剤やデノスマブなどの特定の薬剤は注意が必要です。これらの薬剤は顎骨壊死というリスクを伴うことがあり、特に注射剤を長期間使用している場合は、インプラント治療を避けるべき場合があります。

経口薬の場合は、服用期間や薬剤の種類により対応が異なります。治療を検討する際は、投与経路、服用期間、休薬の可能性などを主治医と相談し、歯科医師と連携して判断する必要があります。

喫煙習慣がある場合

喫煙はインプラント治療の成功率を低下させる要因の一つです。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させて血流を悪化させるため、傷の治りが遅くなり、インプラントと骨の結合に悪影響を及ぼします。また、喫煙者はインプラント周囲炎のリスクも高いとも言われています。

インプラント治療を希望する方には、治療前に禁煙することを推奨します。少なくとも手術の2週間前から術後8週間程度は禁煙することで、成功率を高めることができます。完全な禁煙が望ましいですが、喫煙量を減らすことでリスク軽減につながります。

免疫抑制状態や特定の疾患がある場合

臓器移植後の免疫抑制剤服用、がん治療中、自己免疫疾患の治療中など、免疫機能が低下している状態では、インプラント手術による感染リスクが高まります。また、心臓弁膜症や人工関節置換後などで感染性心内膜炎予防が必要な場合も、慎重な対応が求められます。

これらの疾患がある場合でも、必ずしもインプラントが絶対にできないわけではありません。担当医との綿密な連携と適切な感染予防措置により、安全に治療を進められる可能性があります。個々の状態に応じたリスク評価と対策が重要です。

インプラントができない歯茎でも可能にする治療法

「インプラントができない」と一度診断されても、適切な前処置や特殊な技術を用いることで、治療の可能性が広がります。ここでは、問題のある歯茎や顎骨でもインプラント治療を可能にする主な方法を解説します。

骨量不足に対する骨造成術(GBR法)

GBR法(Guided Bone Regeneration:誘導骨再生法)は、インプラント埋入に十分な骨量がない場合に用いられる骨造成技術です。この方法では、不足している骨の部分に人工骨や自家骨などの骨補填材を充填し、その上を特殊な膜で覆います。これにより骨形成細胞だけが入り込める環境を作り、新しい骨の再生を促します

骨の横幅が不足している場合や、インプラント埋入予定部位の骨に小さな欠損がある場合に有効です。通常、GBR法による骨造成後、骨が十分に成熟するまで3〜6ヶ月程度待ってからインプラントを埋入します。場合によっては、インプラント埋入と同時にGBR法を行うこともあります。

上顎洞底挙上術(サイナスリフト)

上顎の奥歯部分は、上顎洞(サイナス)という空洞が存在するため、歯を失うと特に骨の高さが不足しやすい部位です。サイナスリフト(上顎洞底挙上術)は、上顎洞の底部にある粘膜を持ち上げ、その下のスペースに骨補填材を充填することで、インプラントを支えるための骨の高さを確保する方法です。

サイナスリフトには、側方からアプローチする方法と、インプラント埋入予定部位から直接アプローチする方法があり、骨の不足量や残存骨の状態によって適切な方法が選択されます。一般的に、大規模な骨造成が必要な場合はラテラルアプローチが、比較的軽度な骨不足にはクレスタルアプローチが選ばれることが多いです。

ソケットプリザベーション

抜歯後の骨吸収を最小限に抑えるための予防的処置として、ソケットプリザベーションという方法があります。これは抜歯直後の歯の窩(ソケット)に骨補填材を充填することで、抜歯後の骨吸収を防ぎ、将来のインプラント治療のための骨量を保存する技術です。特に前歯部など審美性が重要な部位や、すでに骨が薄い部位での抜歯時に有効です。

ソケットプリザベーションを行うことで、将来的なインプラント治療時に大掛かりな骨造成が不要になる可能性があります。インプラント治療を検討している方が歯の抜歯を予定している場合は、この処置について歯科医師に相談することをお勧めします。

歯周病治療とクリーニング

重度の歯周病がある場合、まずは徹底的な歯周病治療が必要です。スケーリング・ルートプレーニングや歯周外科治療によって歯周病菌をコントロールし、口腔内の炎症を抑えることで、インプラント治療の成功率を高めることができます。歯周病治療後は定期的なメインテナンスを継続し、口腔内環境を清潔に保つことが重要です。

歯周病が完全に治ったわけではなく、コントロールされている状態であることを理解し、インプラント治療後も継続的なケアが必要です。インプラント周囲炎予防のため、適切なブラッシング方法や専用の清掃用具の使用など、セルフケアの習得も欠かせません。

問題となる状態 対応や治療法 治療期間の目安
骨の幅が不足 GBR法(骨造成術) 治療後3〜6ヶ月の治癒期間
上顎奥歯の骨高さ不足 サイナスリフト 治療後4〜8ヶ月の治癒期間
抜歯予定で将来インプラント希望 ソケットプリザベーション 治療後3〜4ヶ月の治癒期間
歯周病罹患 歯周病治療・クリーニング 症状により1〜6ヶ月の治療期間

インプラントができない場合の代替治療法

様々な前処置や特殊治療を行っても、インプラント治療が難しい場合や、費用面・身体的負担などの理由からインプラント以外の選択肢を検討したい方もいるでしょう。ここでは、インプラント治療の代替となる主な治療法について解説します。

それぞれの治療法には長所と短所があり、患者さまの口腔内状態や希望、ライフスタイルなどに合わせて最適な選択をすることが大切です。インプラントが第一選択でなくても、満足のいく機能回復や審美性の改善が可能な場合が多くあります。

ブリッジによる治療

ブリッジは、欠損部分の両隣の健全な歯を支台として、その間に人工歯を架ける治療法です。インプラントのように顎の骨に直接固定するわけではないため、骨量が少なくても治療が可能であり、手術も不要なのが大きなメリットです。また、治療期間が比較的短く、保険適用となる場合もあるため、費用面でもインプラントより負担が少ない場合が多いです。

ただし、ブリッジを支えるために健全な隣在歯を削る必要があること、支台歯に負担がかかるため長期的には支台歯のトラブルリスクが高まること、また欠損部の骨吸収は防げないといった欠点もあります。特に欠損部位が広い場合や支台となる歯の状態が良くない場合は、ブリッジの適応が難しくなります。

入れ歯(義歯)による治療

入れ歯は、失った歯の機能を回復する最も一般的な方法の一つです。現在では従来の入れ歯よりも快適に使用できる様々なタイプの入れ歯が開発されており、部分入れ歯、総入れ歯、金属床義歯、ノンクラスプデンチャーなど、患者さんの状態や希望に合わせた選択が可能です

入れ歯の最大のメリットは、手術が不要で身体的負担が少ないこと、広範囲の欠損にも対応できること、そして比較的安価であることです。特に保険適用の入れ歯であれば、経済的負担を抑えながら歯の機能を回復できます。一方で、違和感や発音の問題、噛む力がインプラントや天然歯に比べて弱いこと、定期的な調整や修理が必要になることなどがデメリットとして挙げられます。

磁性アタッチメントを用いた義歯

磁性アタッチメントとは、残存歯や歯根に装着した金属部品と、入れ歯に埋め込んだ磁石の吸引力を利用して入れ歯を安定させる方法です。通常の入れ歯よりも安定性が高く、着脱も容易なため、特に高齢者や手先の器用さに不安がある方に適しています。また、残存歯に過度な負担をかけにくいという利点もあります。

ただし、すべての方に適用できるわけではなく、磁石を支えるための健全な歯根や歯が必要です。また、磁石の劣化により数年ごとに交換が必要になる場合があります。保険適用となるケースもあり、インプラントよりも費用を抑えながら安定した義歯を使用したい方に検討の価値がある選択肢です。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーは、少数のインプラントを支えとして入れ歯を固定する方法です。通常のインプラント治療よりも少ない本数のインプラントで済むため、骨量が十分でない場合や経済的な理由から多数のインプラントが難しい場合に有効な選択肢となります。特に下顎の総入れ歯の場合、わずか2本のインプラントでも大幅な安定性の向上が期待できます。

この治療法のメリットは、通常の入れ歯より安定性と噛む力が向上すること、少ない本数のインプラントで広範囲の欠損に対応できること、また入れ歯自体は取り外し可能なため、清掃性が良いことなどが挙げられます。デメリットとしては、通常の入れ歯よりは高額になること、やはり多少の違和感が残ることなどがあります。

インプラント治療を成功させるための事前準備と相談ポイント

インプラント治療を検討する際、「インプラントができない」と言われても、別の歯科医院ではできる場合もあります。また、適切な準備や歯科医師への相談によって、治療の可能性が広がることも少なくありません。ここでは、インプラント治療を成功させるための事前準備と、歯科医院選びの際の相談ポイントについて解説します。

治療前の生活習慣改善

インプラント治療の成功率を高めるためには、治療前からの生活習慣改善が重要です。特に喫煙者は禁煙することで、血流が改善され、治癒力が高まります。また、血糖値のコントロールや栄養バランスの良い食事、十分な睡眠確保など、全身の健康状態を整えることも治療の成功に寄与します。

口腔内の健康維持も欠かせません。毎日の丁寧な歯磨きやフロスの使用など、基本的な口腔ケアを習慣化しておくことで、インプラント治療後の管理もスムーズになります。また、定期的な歯科検診を受け、早期に問題を発見・対処することも大切です。

セカンドオピニオン

一つの歯科医院で「インプラントは難しい」と言われても、別の歯科医院では治療可能な場合があります。特にインプラント専門医や口腔外科医、歯周病などの高度な専門知識と技術を持つ医師は、一般的には対応が難しいケースでも解決策を提案できることがあります。セカンドオピニオンを求めることは患者の権利であり、より良い治療の選択肢を広げるために有効です。

セカンドオピニオンを求める際は、前医でのレントゲンやCT画像、診断内容などの情報を持参すると、より具体的な相談ができます。また、どのような理由でインプラントが難しいと言われたのかを明確に伝えることも重要です。

治療費と保険適用について

インプラント治療は基本的に保険適用外で、一般的に1本あたり30〜50万円程度かかります。さらに骨造成などの前処置が必要な場合は、追加費用が発生します。ただし、顎の骨や口腔内に腫瘍があった場合や、交通事故などの外傷で歯を失った場合など、一部のケースでは保険適用になる可能性があります。また、自治体によっては高齢者向けの補助制度がある場合もあります。

治療費については、初診時に詳しく説明を受け、治療計画と合わせて総額をしっかり確認することが大切です。また、分割払いやデンタルローンなどの支払い方法についても相談してみるとよいでしょう。

まとめ

インプラント治療ができない歯茎や口腔内の状態には、顎骨の量や質の不足、重度の歯周病、全身疾患や生活習慣の問題など、様々な要因があります。しかし、一度「難しい」と診断されたとしても、骨造成術やサイナスリフト、ソケットプリザベーションなどの前処置によって、治療の可能性が広がることがあります。

また、インプラントが難しい場合でも、ブリッジや入れ歯、磁性アタッチメント、インプラントオーバーデンチャーなど、様々な代替治療法があり、それぞれの状況に合わせた最適な選択肢を見つけることができます。重要なのは、生活習慣の改善や歯科医師へのセカンドオピニオンを求めるなど、積極的なアプローチをとることです。

歯を失ってしまうことは生活の質に大きく影響しますが、現代の歯科医療は多様な解決策を提供しています。「インプラントができない」と悩む前に、歯科医師に相談し、自分に最適な治療法を見つけることをお勧めします。

日本歯科名古屋では、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

稲津副院長

日本歯科名古屋 院長 稲津 由美子

大手歯科グループの院長として長年活躍。
その後静岡歯科の副院長として8年間研鑽を積み、日本歯科名古屋の院長に就任。
女性歯科医師として全国でトップクラスのインプラント実績を持つ。
マウスピース矯正と審美治療を得意とする。