オールオン4は、短期間で噛む機能と見た目を回復できる治療法です。しかし、多くの方が「上下両方のオールオン4治療にはいくらかかるのか」「その費用内訳はどうなっているのか」という疑問を抱えています。実際、上下のオールオン4治療費は総額で500万円以上になることが多く、治療計画を立てる上で費用の把握は重要です。
この記事では、上下オールオン4の費用相場や内訳、費用に影響する要素、そして費用を抑える方法について詳しく解説します。
オールオン4とは?従来のインプラント治療との違い
オールオン4とは、4本のインプラントで片顎の総入れ歯を固定する治療法です。従来のフルインプラント治療では片顎に6〜8本のインプラントが必要でしたが、オールオン4では斜めに埋入する特殊な技術により、少ない本数で安定した咬合力を実現します。この治療法の最大の特徴は、少ない本数のインプラントで全ての歯を支えられるため、手術の負担と治療費を抑えられる点にあります。
また、骨量が少ない方でも、骨造成を避けられる可能性が高く、治療期間の短縮にもつながります。従来のインプラント治療では、埋入から最終的な被せ物の装着まで半年以上かかることが一般的でしたが、オールオン4では多くの場合、手術当日または翌日に仮歯を装着できるため、治療中も歯のない期間をほとんど作らずに済みます。
上下オールオン4の一般的な費用相場
上下のオールオン4治療を受ける場合の総費用は、一般的に500万円〜1,000万円程度となります。片顎(上顎または下顎のみ)のオールオン4治療費は、185万円〜550万円程度が相場です。上下両方となると、単純に片顎の費用の2倍というわけではなく、両顎同時手術による効率化や材料費の調整などにより、若干割引になるケースもあります。
ただしこの費用相場は、使用する素材、クリニックの立地や方針、インプラントメーカー、患者さまの口腔内状態などによって変動します。また、手術前の検査費用や、術後のメンテナンス費用も考慮する必要があります。
オールオン4の費用は決して安くはありませんが、従来の総入れ歯の問題点(咬む力の低下、違和感、外れやすさなど)を解消し、固定式の歯を手に入れられるというメリットがあります。また、従来のフルマウスインプラント治療(片顎に6〜8本のインプラントを埋入)と比較すると、インプラント本数が少ないため、総費用を抑えられるというメリットもあります。
上下別々に治療する場合と一度に治療する場合の費用差
オールオン4治療を上下別々のタイミングで行うか、一度に行うかによっても費用に差が生じることがあります。上下を同時に治療することで、麻酔や手術室の準備などの費用が1回で済むため、別々に治療するよりも10〜15%程度費用が抑えられるケースが多いです。
また、治療期間についても、上下同時であれば通院で少なく済むことが多く、仕事や生活への影響を最小限に抑えられるというメリットがあります。ただし、同時手術は手術時間が長くなるため、体力的な負担が大きくなる点は考慮が必要です。高齢の方や持病がある方は、医師と相談の上、別々に治療を行うケースもあります。
治療方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
上下同時治療 | 総費用が抑えられる、治療期間が短い | 1回の手術の負担が大きい、初期投資額が大きい |
上下別々治療 | 1回あたりの負担が小さい、費用を分散できる | 総費用が高くなりがち、治療完了までの期間が長い |
オールオン4の費用内訳
オールオン4治療の費用内訳はどうなっているのでしょうか。ここでは費用内訳と、費用を左右する要素について解説します。
オールオン4治療の一般的な費用内訳
オールオン4の治療費は大きく分けて以下の項目から構成されています。治療費の内訳を理解することで、見積もりの比較や追加費用が発生する可能性を把握しやすくなります。
- 検査・診断費用(CT撮影、診断用模型等):5万円〜15万円
- インプラント埋入手術費:60万円〜120万円
- インプラント体(4本分):40万円〜80万円
- 仮歯(テンポラリーブリッジ):30万円〜50万円
- 最終補綴物(上部構造):50万円〜280万円以上
- その他(麻酔費、投薬費、調整費等):10万円〜30万円
片顎あたりの総費用は上記の合計で、185万円〜550万円程度となります。特に、最終補綴物(上部構造)の費用差が大きく、使用する素材や製作方法によって価格が大きく変わります。アクリルレジン製の場合は比較的安価ですが、ジルコニア製になると高額になる傾向があります。
費用項目 | 金額(片顎あたり) | 備考 |
---|---|---|
検査・診断費用 | 5万円〜15万円 | CT撮影、診断用模型、治療計画立案など |
インプラント埋入手術費 | 60万円〜120万円 | 麻酔費、手術室使用料を含む |
インプラント体(4本分) | 40万円〜80万円 | メーカーや種類によって価格差あり |
仮歯(テンポラリーブリッジ) | 30万円〜50万円 | 即日装着型の場合は高額になる傾向 |
最終補綴物(上部構造) | 50万円〜280万円以上 | 素材や製作方法によって大きく価格差あり |
その他(調整費等) | 10万円〜30万円 | 術後の調整、投薬費など |
素材による費用差(アクリル vs ハイブリッド vs ジルコニア)
オールオン4の上部構造(人工歯と歯茎部分)の素材選択は、費用に大きく影響します。素材によって耐久性、審美性、将来的なメンテナンス費用が異なるため、単に初期費用だけでなく、長期的な視点で選択することが重要です。
- アクリルレジン製:最も安価で片顎210万円〜250万円程度。耐久性は5〜7年程度。
- ハイブリッド素材:中間的な価格帯で片顎240万円〜300万円程度。耐久性は7〜10年程度。
- ジルコニア製:最も高価で片顎300万円〜500万円以上。耐久性は15年以上と最も長い。
アクリルレジン製は初期費用が抑えられるメリットがありますが、経年劣化による変色や摩耗が起こりやすく、定期的な交換が必要になる可能性があります。一方、ジルコニア製は初期費用は高いものの、耐久性に優れ、変色や摩耗が少ないため、長期的に見るとコストパフォーマンスが高いケースもあります。
上部構造の素材 | 片顎の総費用相場 | 耐久性 | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリルレジン | 210万円〜250万円 | 5〜7年 | 軽量、修理しやすい、経年劣化あり |
ハイブリッド素材 | 240万円〜300万円 | 7〜10年 | 中程度の耐久性、自然な見た目 |
ジルコニア | 300万円〜500万円以上 | 15年以上 | 高い耐久性、変色しにくい、修理が難しい |
インプラントメーカーによる費用差
オールオン4治療で使用されるインプラントメーカーによっても費用に差が生じます。世界的に有名なメーカーのインプラントは研究開発費や品質管理費が価格に反映され、比較的高額になる傾向があります。信頼性の高いメジャーメーカーのインプラントは長期的な成功率が高く、将来的なトラブルリスクを減らせる可能性があります。
- ノーベルバイオケア社(スウェーデン):オールオン4の開発元で、専用システムあり。片顎250万円〜550万円程度。
- ストローマン社(スイス):世界的に高いシェアを持つメーカー。片顎230万円〜500万円程度。
- その他メーカー:価格は比較的抑えめで片顎185万円〜400万円程度。
オールオン4は元々ノーベルバイオケア社が開発した治療法で、同社のインプラントシステムを使用する場合、専用の器具や上部構造との互換性が高いというメリットがあります。ただし、他メーカーでも類似のシステムを提供しており、クリニックの技術力や経験によっては同等の治療結果が得られる場合もあります。
クリニックの立地や方針による費用差
オールオン4治療の費用は、クリニックの立地や経営方針によっても大きく異なります。都心の高級立地にあるクリニックは家賃や人件費が高く、治療費に反映される傾向があります。同じ治療内容でも、地域や立地によって10〜30%程度の価格差が生じることも珍しくありません。
また、クリニックの方針(高品質重視か価格重視か)によっても費用は変わります。高額な設備投資を行い、歯科医師や歯科技工士を多く抱えるクリニックは、その分費用が高くなる傾向がありますが、治療の質や安全性、アフターケアが充実しているケースが多いです。
費用だけでなく、クリニックの実績や症例数、担当医の経験、保証制度の有無なども重要な選択基準です。オールオン4は高度な技術を要する治療法であるため、経験豊富な医師による施術が成功の鍵となります。
オールオン4の費用を抑える方法
オールオン4治療は高額になりがちですが、いくつかの選択肢や工夫によって費用を抑えることも可能です。ただし、品質や安全性を犠牲にしない範囲での選択が重要です。ここでは、費用を抑えながらも満足度の高い治療を受けるための方法について解説します。
費用を抑えるための選択肢(素材・メーカー選び)
オールオン4治療の費用を抑えるためには、素材やメーカーの選択が重要です。上部構造の素材は総費用に大きく影響するため、耐久性と費用のバランスを考慮した選択が効果的です。
- 上部構造の素材選択:初期費用を抑えたい場合はアクリルレジン製を選択。将来的に余裕ができたらジルコニア製に交換することも可能。
- インプラントメーカーの選択:必ずしも最高価格帯のメーカーでなくても、実績のある中堅メーカーの製品で十分な場合も多い。
- ハイブリッド素材の検討:アクリルとジルコニアの中間的な素材を選ぶことで、コストと耐久性のバランスを取る。
また、海外製の技工物を使用するクリニックでは、国内製に比べて20〜30%程度費用が抑えられるケースもあります。ただし、品質管理や調整のしやすさなどのメリット・デメリットをよく理解した上で選択することが大切です。
分割払いやローン、医療費控除の活用
高額な支払いの負担を軽減するための方法として、分割払いやローン、医療費控除の活用ができます。多くのクリニックでは、医療ローンを組むことで月々の支払いを3万円〜5万円程度に抑えることができます。
- 医療ローン:多くのクリニックと提携している医療ローン会社では、最長7年程度の分割払いが可能。
- クリニック独自の分割払い:一部のクリニックでは独自の分割払いプランを提供しているケースもある。
- 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けられる可能性がある。
医療費控除を利用する場合、治療費の領収書や明細書を保管しておくことが重要です。また、分割払いやローンを利用する際は、金利や手数料についても事前に確認しておきましょう。中には無金利キャンペーンを実施しているクリニックもあります。
補綴物の歯数や範囲を調整する方法
オールオン4治療では、通常12本程度の人工歯を装着しますが、この本数や範囲を調整することで費用を抑えられる場合があります。見た目に影響しない範囲で奥歯の本数を減らすことで、上部構造の製作費用を抑えることが可能です。
- 歯数の調整:通常12本の人工歯を10本程度に減らすことで、製作コストを5〜10%程度抑えられる場合がある。
- 審美領域の重視:前歯部分(笑った時に見える部分)は高品質な素材を使用し、奥歯部分はコストを抑えた素材を使うという選択肢もある。
- 片顎ずつの治療:資金的に難しい場合は、より問題の大きい顎から治療を始め、時期をずらして治療を行う。
ただし、咬み合わせのバランスや長期的な安定性に影響する可能性もあるため、こうした調整は必ず歯科医師と相談の上で行うべきです。また、将来的な不具合リスクを考慮せず、過度に安い選択肢を選ぶことは避けるべきでしょう。
オールオン4の長期的な費用と総合的な判断基準
オールオン4治療を検討する際は、初期費用だけでなく、長期的なメンテナンス費用や耐久性も考慮することが重要です。また、自分の状態や優先すべき点(機能性、審美性、長期的な安定性など)に基づいて総合的に判断することが大切です。
メンテナンスや修理にかかる長期的な費用
オールオン4治療を受けた後も、定期的なメンテナンスや、場合によっては修理や交換が必要になります。長期的な視点で見ると、これらの追加費用も含めた総費用を考慮することが重要です。
- 定期メンテナンス:3〜6ヶ月ごとの専門的なクリーニングと検査(1回5,000円〜15,000円程度)
- 上部構造の修理:破損や摩耗による修理(5万円〜30万円程度)
- 上部構造の交換:素材によっては5〜15年程度で交換が必要(片顎50万円〜280万円程度)
- インプラント本体のトラブル:まれにインプラント自体の問題が生じる場合(再手術を含め30万円〜100万円程度)
特にアクリルレジン製の上部構造は、ジルコニア製と比較して耐久性が低く、5〜7年程度で交換が必要になるケースが多いです。初期費用は安くても、長期的には交換費用がかさむ可能性があります。一方、ジルコニア製は初期費用は高いものの、耐久性が高く、15年以上使用できるケースも多いため、長期的なコスト効率が良い場合があります。
メンテナンス項目 | 頻度 | 費用 |
---|---|---|
定期検診・クリーニング | 3〜6ヶ月ごと | 5,000円〜15,000円/回 |
アクリル上部構造の交換 | 5〜7年 | 50万円〜150万円/回 |
ジルコニア上部構造の交換 | 15年以上 | 150万円〜280万円/回 |
インプラントの修理・再手術 | 必要時 | 30万円〜100万円/回 |
保証制度と長期サポートの重要性
オールオン4治療を選ぶ際は、クリニックの保証制度や長期サポート体制も重要な判断材料となります。万が一のトラブル時の対応や費用負担について、事前に確認しておくことで将来的な安心にもつながります。
- インプラント体の保証:多くのクリニックでは5〜10年の保証期間を設けている
- 上部構造の保証:素材によって1〜5年程度の保証が一般的
- 保証内容:無償交換、割引価格での再治療など、クリニックによって異なる
- 保証条件:定期メンテナンスの受診が条件となっているケースが多い
また、クリニックの実績も重要な判断基準です。長期間営業しているクリニックであれば、将来的なアフターケアも期待できます。一方、開業間もないクリニックや個人医院では、将来的な継続性に不安がある場合もあります。グループ医院や複数の拠点を持つ医療機関では、一つの医院が閉院しても他の医院でフォローを受けられる可能性が高いでしょう。
保険適用の可能性と条件
オールオン4治療は基本的に自由診療ですが、特定の条件下では一部の費用が保険適用となる可能性があります。顎骨の重度の吸収や欠損がある場合など、特定の条件を満たすと、一部の処置に保険が適用されることがあります。
- 広範囲顎骨支持型装置:重度の顎骨欠損がある場合、インプラント埋入と上部構造の一部が保険適用になる可能性がある
- 適用条件:顎骨腫瘍、外傷、先天性疾患などによる顎骨欠損がある場合
- 保険適用の範囲:全体の30〜50%程度の費用削減になる可能性
- 申請手続き:保険適用には専門医の診断書や詳細な検査結果が必要
保険適用の可能性があるかどうかは、事前の診断と医師の判断によります。一般的な歯の欠損や歯周病による骨吸収だけでは適用されないケースが多いため、治療前にクリニックで詳細を確認することが重要です。また、保険適用となる場合でも、使用できる材料や治療方法に制限があることも理解しておく必要があります。
治療費と満足度のバランスを考える
オールオン4治療を選択する際には、費用だけでなく、治療後の満足度や生活の質(QOL)の向上も考慮することが大切です。高額な治療費を支払っても、噛む機能や見た目の改善によって得られる長期的な満足感や自信を考慮すると、コストパフォーマンスは高い場合が多いです。
- 機能面の回復:固定式のため取り外しの手間がなく、咬む力も大幅に向上(総入れ歯の3〜5倍程度)
- 審美面の向上:自然な見た目で笑顔に自信が持てる
- 心理的な安心:脱落や違和感の心配が少なく、社交的な場面でも安心
- 食生活の改善:固い食べ物や粘着性のある食べ物も食べられるようになる
治療費と満足度のバランスを考える際には、現在の不満点(総入れ歯の不具合、見た目の悩みなど)がどの程度解消されるか、また治療後の生活がどのように改善されるかをイメージすることが重要です。クリニックによっては、実際に治療を受けた患者さまの体験談を聞ける機会を設けているところもあるので、参考にするとよいでしょう。
まとめ
上下のオールオン4治療の費用は、総額で500万円〜1,000万円程度が一般的な相場です。この費用は、インプラント埋入手術、インプラント体、仮歯、最終補綴物などの項目から構成されています。特に上部構造の素材選択により、費用は変動します。
費用を抑える方法としては、素材やメーカーの選択、分割払いやローンの活用、補綴物の歯数調整などが考えられますが、品質や安全性を犠牲にしない範囲での選択が重要です。また、初期費用だけでなく、メンテナンスや将来的な修理・交換費用も含めた長期的な視点で判断することが大切です。
オールオン4治療は高額ではありますが、噛む機能の回復や審美性の向上により、生活の質も改善する可能性があります。クリニック選びでは、費用だけでなく、医師の経験や実績、保証制度、アフターケアの充実度なども重要な判断基準となります。治療前にはいくつかのクリニックで相談を受け、自分に最適な選択をすることをおすすめします。
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