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歯の神経を抜く治療とは?必要なケースと流れ|通院回数・費用・抜いた後の注意点

歯の神経を抜く治療(抜髄)は、むし歯などで神経に元に戻らない炎症が起きたときに行います。複数回の通院で根の中を清掃して薬を詰め、多くはかぶせ物で守ります。保険適用で、早めの受診なら神経を残せる場合もあります。

歯の神経(歯髄)とは?抜く治療が必要になるケース

歯の内側には「歯髄(しずい)」と呼ばれるやわらかい組織があり、神経や血管が通っています。一般に「歯の神経」と呼ばれるのはこの部分で、冷たさや痛みを感じて歯の異常を知らせる役割があります。

むし歯が深く進んで細菌が歯髄に近づいたり、歯が欠けたり割れたりすると、歯髄に炎症が起こります。炎症が軽いうちは回復することもありますが、強い炎症が続いて元に戻らない状態になると、神経を取り除く治療が必要になります。

歯の状態 主な症状 考えられる対応
むし歯が神経の近くまで進んでいる しみる時間が長くなる、ときどき痛む 神経を残す処置を検討
神経に強い炎症がある 何もしなくてもズキズキ痛む、夜に痛む、温かいもので痛む 神経を抜く治療(抜髄)
神経が死んで根の先に炎症がある かむと痛む、歯ぐきが腫れる、歯の色が暗くなる 根の中の感染を取り除く治療

表は目安です。症状の出方には個人差があり、レントゲンや、冷たい刺激への反応を調べる検査などをあわせて判断します。強い痛みが急に消えた場合は、神経が死んでしまった可能性もあるため、一度受診して確認しましょう。

神経を残せる可能性がある処置

神経が健康な状態か、炎症が軽く回復が見込める段階であれば、神経を残す処置を検討できることがあります。日本歯科保存学会の診療ガイドラインでも、神経の近くまで達した深いむし歯に対して、期間をあけて段階的にむし歯を取り除く「歯髄温存療法」が取り上げられています[1]。また、欧州歯内療法学会の声明でも、深いむし歯では神経が露出しないように配慮した処置や、神経を保存する治療の考え方が示されています[2]。

  • 歯髄温存療法:神経の近くのむし歯を一部残して薬で覆い、一定期間様子をみてから、残りのむし歯を取り除く方法です。
  • 直接覆髄:むし歯を取る途中で神経がわずかに出た場合に、薬で覆って神経を保護する方法です。

これらの処置をしても、炎症が進んで痛みが出た場合は、神経を抜く治療に移ることがあります。神経を残せるかどうかは、むし歯の深さや症状、検査の結果によって決まります。

神経を抜く治療(根管治療)の流れと通院回数

神経を抜く治療は、歯の根の中の細い管(根管)をきれいにする「根管治療」の一つです。

  1. 診察・検査:症状を確認し、レントゲンで根の形やむし歯の深さを調べます。
  2. 麻酔:局所麻酔をして、痛みを抑えた状態で治療します。
  3. 神経を取る:むし歯を取り除き、歯に小さな穴をあけて神経を取り出します。
  4. 根管の清掃・消毒:細い器具で根管の中を清掃して形を整え、薬で消毒します。治療の間は仮のふたをします。
  5. 根管充填:根管の中がきれいになったら、細菌が入らないよう薬を緊密に詰めて封鎖します。
  6. 土台とかぶせ物:歯の形を補う土台を立て、かぶせ物や詰め物で歯を守ります。

根管治療は複数回の通院が必要になることが多く、根の数が多い奥歯や、炎症が強い歯では回数が増える傾向があります。根管治療が終わった後、土台やかぶせ物の作製にも通院が必要です。

費用の目安(保険診療)

神経を抜く治療は、多くの場合健康保険が適用されます。令和8年度の歯科点数表では、神経を取る処置(抜髄)そのものの点数は根管の数によって次のように決められています[3]。

根管の数 点数 3割負担の目安
1根管(前歯に多い) 234点 約700円
2根管 426点 約1,280円
3根管以上(奥歯に多い) 600点 約1,800円

実際の窓口負担には、初診料(272点)や再診料(59点)、レントゲン、根管の清掃・消毒や薬を詰める処置、土台やかぶせ物の費用が加わります[3]。かぶせ物は保険の素材か保険外の素材かで費用が大きく変わるため、治療計画の説明を受けるときに目安を確認してください。

治療中・治療後の痛み

治療は局所麻酔をして行うため、処置中に強い痛みを感じることは多くありません。炎症が強いと麻酔が効きにくいことがあり、その場合は麻酔を追加したり、薬で炎症を落ち着かせてから進めたりします。治療後は、かむと響くような痛みや違和感が一時的に出ることがあります。痛みが日ごとに強くなる場合や、歯ぐきが腫れてきた場合は、次の予約を待たずに連絡してください。

神経を抜いた歯で気をつけたいこと

  • 歯が割れやすくなる:神経を取るために歯の内側を削るため、治療前より割れやすくなります。奥歯はかぶせ物で全体を覆って守ることが多いです。
  • 歯の色が変わることがある:時間がたつと、歯が黒っぽく変色することがあります。
  • むし歯に気づきにくい:痛みを感じないため、再びむし歯になっても発見が遅れやすくなります。
  • 再治療が必要になることがある:根の中に細菌が残ったり、かぶせ物のすき間から入り込んだりすると、根の先に炎症が起こることがあります。
  • 治療中は仮のふたに注意:仮のふたは外れやすく、歯も割れやすい状態です。治療中の歯でかたいものをかまず、予約どおりに通院しましょう。

すぐに受診したい症状

  • 何もしなくてもズキズキ痛む、夜眠れないほど痛む
  • 温かいものを口に含むと強く痛む
  • かむと痛い、歯が浮いたように感じる
  • 歯ぐきや頬が腫れている、膿が出ている
  • 治療中の仮のふたが外れた、歯が欠けた

まとめ|神経を抜くかは検査で判断し、治療後のケアも大切に

歯の神経を抜く治療は、神経の炎症が元に戻らなくなったときに、歯そのものを残すために行う治療です。炎症が軽い段階なら神経を残す処置を検討できることもあるため、しみる・痛むといった症状は早めに相談しましょう。神経を抜いた後は歯が割れやすく、むし歯にも気づきにくくなります。かぶせ物で歯を守り、定期検診で状態を確認していきましょう。

ご相談はクリニック一覧から、通いやすい医院をご確認ください。

よくある質問

歯の神経を抜く治療は何回くらい通院しますか

根管治療は複数回の通院が必要になることが多く、根の数が多い奥歯や炎症が強い歯では回数が増える傾向があります。根管治療の後に、土台やかぶせ物を作るための通院も必要です。

神経を抜くときは痛いですか

局所麻酔をして行うため、処置中に強い痛みを感じることは多くありません。炎症が強く麻酔が効きにくいときは、麻酔を追加したり、薬で炎症を落ち着かせてから治療したりします。

神経を抜かずに済む方法はありますか

神経が健康か炎症が軽い段階であれば、歯髄温存療法や直接覆髄など、神経を残す処置を検討できることがあります。炎症が強く元に戻らない状態では、神経を抜く治療が必要になります。

治療の途中で通院をやめるとどうなりますか

仮のふたのまま放置すると、根の中に細菌が入り込み、根の先に炎症が起きたり歯が割れたりして、歯を残せなくなる原因になります。痛みが治まっても、最後まで通院してください。

参考文献

  1. 日本歯科保存学会 編「う蝕治療ガイドライン 第2版 詳細版」(2015年、Minds ガイドラインライブラリ掲載)https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00304/
  2. Duncan HF, et al. European Society of Endodontology position statement: Management of deep caries and the exposed pulp. International Endodontic Journal. 2019;52(7):923-934. DOI: 10.1111/iej.13080
  3. 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第二 歯科診療報酬点数表」https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665293.pdf