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銀歯がある人はMRI検査をすると痛い?MRI検査による影響を詳しく解説【日本歯科静岡院長が解説!】

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「銀歯があるけどMRI検査は大丈夫?」「検査中に痛みが出たり、火傷したりしないか心配」という声をよく耳にします。MRI検査は強力な磁場を利用するため、口の中の金属が影響を受けるのではと不安に感じる方は少なくありません。結論から書いてしまうと、現代の歯科治療で使用される銀歯の多くは非磁性体であり、基本的には安全にMRI検査を受けることができます。しかし、古いタイプの銀歯や特殊な金属を含む歯科材料の場合は注意が必要です。この記事では、銀歯とMRI検査の関係性、実際に起こりうる症状や安全に検査を受けるための知識について、歯科医師の立場から詳しく解説します。

銀歯とMRI検査の関係性

MRI検査と銀歯の関係を理解するためには、まずMRI検査の原理と銀歯の材質について知っておく必要があります。これらの基本的な知識が、なぜ銀歯があってもMRI検査が可能なのか、または注意が必要なのかを理解する助けになります。

MRI検査とは

MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と電波を使って体内の断層画像を撮影する検査方法です。X線などの放射線を使わないため、被ばくの心配がなく、軟部組織の状態を詳細に観察できるという特徴があります。MRI装置は通常0.5〜3テスラという非常に強力な磁場を発生させ、この磁力は地球の磁場の約3万倍にも達します。この強力な磁場が体内の水素原子に作用し、その反応を画像化するのがMRI検査の原理です。

銀歯の材質と特性

一般的に「銀歯」と呼ばれる歯科修復物は、実際には純銀ではなく、さまざまな金属の合金でできています。日本で最も一般的に使用されているのは金銀パラジウム合金で、金、銀、パラジウム、銅などを含んでいます。現代の歯科治療で使用される銀歯の多くは非磁性体または弱磁性体であり、強い磁力に大きく反応することはありません。ただし、非常に古いタイプの銀歯や特殊な金属を含む修復物の場合は、強磁性体である鉄やニッケルが含まれていることがあります。

金属とMRI検査の物理的相互作用

MRI検査における金属の問題は、主に3つの物理現象に関連しています。1つ目は「磁気吸引力」で、強磁性体が磁場に引き寄せられる現象です。2つ目は「発熱」で、MRIの高周波電磁波によって金属が発熱する可能性があります。3つ目は「アーチファクト(画像の乱れ)」で、金属周辺の画像が歪んだり、黒く抜けたりする現象です。口腔内の銀歯に関しては、現代の合金は非磁性体または弱磁性体であるため、磁気吸引力や発熱による問題は極めて稀です。ただし、画像への影響(アーチファクト)は生じる可能性があります。

銀歯によるMRI検査時の影響と症状

実際のMRI検査において、銀歯がどのような影響を与えるのか、また、どのような症状が起こりうるのかを詳しく見ていきましょう。多くの患者さんが不安に感じる「痛み」や「火傷」のリスクについても解説します。

銀歯による痛みの可能性

「MRI検査中に銀歯が痛くなるのでは?」という不安を持つ方は多いですが、実際には痛みを感じるケースは非常に稀です。現代の銀歯(金銀パラジウム合金など)は基本的に非磁性体または弱磁性体であるため、MRIの磁場によって大きく動いたり、振動したりすることはほとんどありません。ただし、非常に古いタイプの銀歯や、まれに使用される特殊な合金の場合、わずかな振動や発熱による不快感を感じる可能性があります。

発熱や火傷のリスク

MRI検査中に銀歯が発熱し、火傷を引き起こす可能性についても心配される方がいますが、このリスクも極めて低いです。現代の歯科治療で使用される銀歯の材質は、MRIの高周波電磁波を強く吸収して発熱するような性質のものではありません。実際の臨床現場でも、銀歯による火傷が報告されるケースはほとんどありません。ただし、万が一検査中に熱さや痛みを感じた場合は、直ちに検査担当者に伝えることが重要です。

画像診断への影響(アーチファクト)

銀歯によるMRI検査への最も一般的な影響は、画像診断へのアーチファクト(画像の乱れ)です。金属は磁場を乱す性質があるため、銀歯の周辺では画像が歪んだり、黒く抜けたりする現象が生じることがあります。特に頭部や顎部のMRI検査では、この影響が問題になる可能性があります。ただし、この現象は銀歯自体が危険というわけではなく、あくまで画像診断の精度に関する問題です。また、検査の目的部位が口腔から離れている場合(例:膝や腰)、銀歯の影響はほとんど問題になりません。

影響の種類 発生頻度 注意点
痛み・不快感 非常に稀 古い銀歯や特殊合金の場合のみ可能性あり
発熱・火傷 極めて稀 現代の銀歯ではほぼ心配なし
画像アーチファクト 比較的一般的 頭部・顎部MRIで影響大、他部位では影響小

銀歯の種類とMRI検査への影響の違い

歯科治療で使用される「銀歯」にはさまざまな種類があり、その材質によってMRI検査への影響も異なります。ここでは、代表的な歯科金属材料とそのMRI検査との相性について解説します。

金銀パラジウム合金(一般的な銀歯)

日本の健康保険診療で最も一般的に使用される銀歯は、金銀パラジウム合金です。この合金は金(12%)、銀(50%)、パラジウム(20%)、銅などを含んでいます。金銀パラジウム合金は基本的に非磁性体または弱磁性体であり、MRIの強磁場によって大きく引き寄せられたり、強く発熱したりすることはほとんどありません。そのため、この一般的な銀歯がある場合でも、MRI検査は安全に受けることができます。ただし、画像へのアーチファクトは生じる可能性があります。

純チタンやチタン合金

インプラントや一部の補綴物に使用される純チタンやチタン合金は、生体親和性に優れた金属として広く利用されています。チタンは非磁性体であり、MRIの磁場に対して安全性が高い材料です。そのため、チタン製のインプラントや補綴物がある場合でも、基本的にはMRI検査は安全に受けることができます。ただし、他の金属と同様に画像へのアーチファクトは生じる可能性があります。

古いタイプの銀歯や特殊合金

かつては、ニッケルクロム合金や鉄を含む合金が歯科治療に使用されることもありました。また、海外で治療を受けた場合や、非常に古い時期の治療では、現在の一般的な材料とは異なる合金が使用されている可能性があります。これらの中には強磁性体を含むものもあり、MRI検査時に注意が必要な場合があります。治療時期が非常に古い場合や、どのような材料が使用されているか不明な場合は、事前に歯科医師や放射線技師に相談することをおすすめします。

セラミックや樹脂(メタルフリー材料)

近年では審美性の高いセラミックや樹脂を用いたメタルフリーの歯科修復物も普及しています。これらの材料は金属を含まないため、MRI検査に際して全く問題ありません。磁場による吸引力や発熱の心配はなく、画像へのアーチファクトも生じません。審美性だけでなく、MRI検査など将来の医療検査との相性も考慮して、メタルフリー治療を選択する患者さんも増えています。

歯科材料 磁性 MRI検査への影響
金銀パラジウム合金 非磁性体/弱磁性体 安全性高、画像アーチファクトの可能性あり
純チタン/チタン合金 非磁性体 安全性高、画像アーチファクトの可能性あり
古いタイプ/特殊合金 強磁性体含有の可能性 注意が必要、事前相談を推奨
セラミック/樹脂 非金属(磁性なし) 影響なし、最も安全

MRI検査を安全に受けるために知っておくべきこと

銀歯があってもMRI検査は多くの場合は安全に受けられますが、より安心して検査を受けるためには、いくつかの注意点や対策を知っておくことが大切です。ここでは、検査前の準備から検査中の対応まで、具体的なアドバイスをご紹介します。

検査前の事前申告と相談

MRI検査を予約する際や、検査前の問診時には、銀歯やその他の歯科治療(インプラント、ブリッジなど)について必ず申告しましょう。特に治療時期が非常に古い場合や海外で治療を受けた場合、使用されている材料が不明な場合は、その旨を伝えることが重要です。必要に応じて、担当の放射線技師や医師が適切な判断を行います。不安がある場合は、事前に歯科医師に相談し、使用されている材料の情報を確認しておくとよいでしょう。

検査中に気をつけるべきこと

MRI検査中に違和感や痛み、熱感などの異常を感じた場合は、ためらわずにすぐに申し出ることが大切です。多くのMRI装置には緊急停止ボタンやインターホンが設置されており、検査中でも担当者に連絡することができます。また、検査前の説明をしっかり聞き、指示に従うことも重要です。検査中は体を動かさないよう指示されることが多いですが、これは画像の鮮明さを保つためだけでなく、安全に検査を進めるためでもあります。

アーチファクト対策と代替検査

銀歯による画像アーチファクトが問題になる場合、いくつかの対策や代替方法があります。MRI検査の撮影方法を調整したり、特殊なシーケンスを用いることで、金属によるアーチファクトを軽減できる場合があります。また、検査目的によっては、CT検査や超音波検査など他の画像診断法が代替手段となることもあります。担当医師と相談し、最適な検査方法を選択することが重要です。

歯科医師と放射線科医の連携

銀歯やインプラントなどの歯科金属材料に関する不安がある場合、歯科医師と放射線科医の連携が有効です。かかりつけの歯科医師から使用されている材料についての情報提供を受け、それを放射線科医に伝えることで、より安全かつ効果的な検査計画を立てることができます。特に複雑な歯科治療を受けている場合や、治療内容に不安がある場合は、このような医療機関間の連携を積極的に活用しましょう。

銀歯以外の歯科金属とMRIの関係性

銀歯以外にも、さまざまな歯科金属材料がMRI検査に影響を与える可能性があります。ここでは、インプラントや矯正装置など、他の歯科治療で使用される金属材料とMRI検査の関係について解説します。

歯科インプラントとMRI

歯科インプラントは、チタンやチタン合金などの生体親和性の高い材料で作られています。これらの材料は非磁性体であり、MRIの磁場によって引き寄せられたり、発熱したりすることはほとんどありません。そのため、インプラント治療を受けている患者さんも、基本的には安全にMRI検査を受けることができます。ただし、インプラント周辺の画像にはアーチファクトが生じる可能性があるため、頭部や顎部のMRI検査では注意が必要です。

矯正装置や保定装置

歯列矯正の装置(ブラケットやワイヤー)にはステンレススチールなどの金属が使用されることがあります。これらの装置は固定されているため、MRIの磁場で外れる心配は少ないですが、装置の種類によっては磁場の影響を受ける可能性があります。特に取り外し可能な装置(リテーナーなど)は、検査前に外すことが推奨されます。矯正治療中の方は、MRI検査を予定している場合、事前に矯正歯科医に相談することをおすすめします。

金属クラスプ付き義歯

部分入れ歯(部分床義歯)には、金属のクラスプ(バネ)が付いていることがあります。これらの義歯は取り外し可能なため、MRI検査前に外すことで問題を回避できます。検査担当者からの指示に従い、検査前に義歯を外し、適切に保管しましょう。なお、義歯を外す際は、破損や紛失に注意し、検査後は速やかに装着することが大切です。

根管治療(金属ポスト)

神経を抜いた歯(根管治療を受けた歯)には、歯の強度を保つために金属製のポスト(支柱)が入っていることがあります。これらのポストには、ステンレススチールや非貴金属合金が使用されることもありますが、多くの場合は非磁性体または弱磁性体であり、MRI検査に大きな影響を与えることはありません。ただし、非常に古いタイプのポストや特殊な合金が使用されている場合は、事前に歯科医師に確認することをおすすめします。

歯科治療 使用される代表的な金属 MRI検査時の対応
歯科インプラント チタン、チタン合金 安全性高、画像アーチファクトに注意
矯正装置 ステンレススチール等 固定式は基本的に問題なし、取り外し可能なものは外す
部分入れ歯 コバルトクロム合金等 検査前に外す
根管治療ポスト 各種金属合金 基本的に安全、古いタイプは確認推奨

まとめ

銀歯があるとMRI検査で痛みが生じるのではないかという不安を持つ方は多いですが、現代の歯科治療で使用される銀歯(金銀パラジウム合金など)は基本的に非磁性体または弱磁性体であり、MRI検査を安全に受けることができます。

銀歯によるMRI検査時の痛みや火傷のリスクは極めて低く、最も一般的な影響は画像へのアーチファクト(乱れ)です。特に頭部や顎部の撮影では注意が必要ですが、検査の目的部位が口腔から離れている場合は問題になりにくいでしょう。

より安心してMRI検査を受けるためには、検査前に銀歯やその他の歯科治療について申告することが重要です。特に治療時期が非常に古い場合や使用材料が不明な場合は、事前に歯科医師に相談するとよいでしょう。

日本歯科静岡では、豊富な治療実績と先端の技術力を活かし、患者さまの希望に沿ったオーダーメイドのインプラント治療を提供しています。専門スタッフのチーム医療と充実したサポート体制で、術前の疑問や不安をしっかりと解消しながら、安全・安心の治療を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修

日本歯科静岡 院長 戸田 紀章

静岡県出身。
卒後、埼玉医科大学口腔外科で研鑽を積む。
その後、静岡歯科で10年間研鑽を積んだ後、日本歯科静岡の院長に就任。
静岡県トップクラスのインプラント治療実績を持つ。
審美治療やマウスピース矯正も得意とする。