歯の治療後に痛いのはなぜ?|虫歯・神経の治療後の痛みの経過と受診の目安
歯の治療後の痛みは、削った刺激やかみ合わせの高さなどで一時的に起こることが多く、日ごとに軽くなるのが一般的です。痛みが強くなる、何もしなくてもズキズキする、腫れてきた場合は、早めに治療を受けた歯科医院へ相談してください。
この記事では、虫歯の治療や神経の治療、被せ物の治療の後に歯が痛む理由、様子をみてよい痛みと受診したい痛みの見分け方、受診までの過ごし方を整理します。
歯の治療後に痛みが出る主な理由
治療後の痛みは「治療が失敗した」というサインとは限りません。治療の内容によって、起こりやすい痛みと経過の目安が異なります。
| 治療の内容 | 起こりやすい痛み | 経過の目安 |
|---|---|---|
| 虫歯を削って詰めた | 冷たいものでしみる、かむと響く | 数日〜数週間で軽くなることが多い |
| 深い虫歯を削った | しみる、ときどきズキッとする | 神経の反応を経過観察で確認する |
| 詰め物・被せ物を付けた | かむと痛い、浮いたような感じ | かみ合わせの調整で軽くなることがある |
| 神経の治療(根管治療) | かむと痛い、鈍い痛み | 多くは数日〜1週間で落ち着いていく |
| 歯石取り・歯ぐきの処置 | 歯ぐきの痛み、しみる | 数日で落ち着くことが多い |
削った刺激による神経の一時的な反応
虫歯を削ると、歯の内側の象牙質を通じて神経(歯髄)に刺激が伝わります。治療の熱や振動、詰め物の材料の刺激で神経が一時的に敏感になり、冷たいものがしみたり、かんだときに響いたりします。虫歯が神経の近くまで進んでいた場合ほど、この反応は出やすくなります。
深い虫歯では、神経をできるだけ残す処置を選ぶことがあり、治療後に神経の症状が出ないかを経過観察で確認します[1]。神経の近くまで削った歯の痛みについては、神経近くまで削った歯の痛みはいつまで?でも詳しく解説しています。
かみ合わせが高い
詰め物や被せ物がわずかに高いだけでも、かむたびに歯に力が集中し、歯の根の周りの組織が炎症を起こして痛むことがあります。麻酔が効いている間は高さに気づきにくいため、麻酔が切れてから違和感に気づく方も少なくありません。高さを調整すると軽くなることが多いので、我慢せずに伝えましょう。
麻酔や器具による歯ぐき・あごの痛み
麻酔の注射をした場所や、器具が当たった歯ぐきが数日痛むことがあります。また、長い時間口を開けていたことで、あごがだるく感じることもあります。これらは多くの場合、数日で自然に落ち着きます。
神経の治療(根管治療)の後の痛み
根管治療の後は、根の先の組織に炎症が残っていたり、治療の刺激が加わったりして、かむと痛むことがあります。根管治療に関する72件の研究をまとめた系統的レビューでは、痛みのある人の割合は治療前の平均81%から、治療24時間後に40%、1週間後に11%へと減っていました[2]。治療直後の痛みは珍しくありませんが、時間とともに軽くなっていくのが一般的な経過です。治療が終わってしばらくたってから痛む場合は、神経を抜いた歯が痛い原因は?で考えられる原因を解説しています。
虫歯の治療後に痛いとき:様子をみてよい痛みと受診したい痛み
痛みの種類と、日ごとの変化を見ることが大切です。次の表を目安にしてください。
| 様子をみてよいことが多い痛み | 早めに受診したい痛み |
|---|---|
| 冷たいものでしみるが、すぐに治まる | 何もしなくてもズキズキ痛む |
| 日ごとに軽くなっている | 日ごとに強くなる、2週間ほどたっても変わらない |
| かんだときに少し響く程度 | 温かいもので痛み、しばらく痛みが続く |
| 市販の痛み止めで落ち着く | 夜に目が覚めるほど痛む、痛み止めが効かない |
| 麻酔をした場所の歯ぐきが少し痛む | 歯ぐきや顔が腫れる、膿が出る、熱が出る |
何もしなくても痛む、温かいもので長く痛むといった症状は、神経の炎症が強くなっているサインのことがあります。この場合は、神経の治療が必要になることもあるため、早めに受診しましょう。
受診までの過ごし方
- 痛み止めは用法・用量を守る:持病がある方、妊娠中の方、ほかの薬を飲んでいる方は、薬剤師や歯科医師に相談してから使いましょう。
- 治療した側で硬いものをかまない:かむ刺激を減らすと、根の周りの炎症が落ち着きやすくなります。
- 熱すぎるもの・冷たすぎるものを控える:しみる刺激を避けます。
- 仮の詰め物や仮歯が取れたら連絡する:そのままにすると、汚れが入り込む原因になります。
- 抗菌薬を自己判断で飲まない:神経の炎症による痛みに対して、抗菌薬が痛みを減らすという明確な根拠は示されていません[3]。以前もらった薬を自己判断で使うのは避けましょう。
- 食いしばりに気をつける:日中に上下の歯が当たっていないか意識し、力を抜くようにします。
歯科医院で行う主な対応
受診すると、痛みの出方を問診し、かみ合わせの確認、冷たい刺激などへの反応の検査、必要に応じてレントゲン撮影を行い、原因に合わせて対応します。
- かみ合わせの調整:詰め物や被せ物が高い場合は、わずかに削って高さを整えます。
- しみる症状への処置:しみる部分に薬を塗ったり、表面をコーティングしたりします。
- 経過観察:神経の反応が回復していく途中と考えられる場合は、間隔をあけて状態を確認します。
- 神経の治療:神経の炎症が回復しないと判断された場合は、根管治療を行います。治療の流れは根管治療とは?で解説しています。
- 詰め物・被せ物のやり直し:すき間や新たな虫歯が見つかった場合に検討します。
治療後の痛みを長引かせないために
- 治療前の痛みやしみる症状の経過を、できるだけ具体的に伝える
- 麻酔が切れるまでは食事を控え、唇や頬をかまないように注意する
- 根管治療の途中で通院を中断しない(仮のふたのままにしない)
- 治療後も痛みの変化をメモしておき、受診時に伝える
まとめ
歯の治療後の痛みの多くは、削った刺激やかみ合わせ、治療による一時的な炎症によるもので、日ごとに軽くなっていくのが一般的です。一方で、何もしなくても痛む、痛みが強くなる、腫れや発熱があるといった場合は、神経や根の先の炎症が進んでいる可能性があります。我慢せず、治療を受けた歯科医院に経過を伝えて相談しましょう。
よくある質問
虫歯の治療後、しみる症状はいつまで続きますか
浅い虫歯の治療であれば数日、深い虫歯の場合は数週間ほどかけて少しずつ軽くなることが多いです。しみる程度が日ごとに強くなる場合や、何もしなくても痛むようになった場合は受診してください。
治療前より痛くなったのは、治療がうまくいかなかったということですか
治療の刺激による一時的な反応で、治療前より痛く感じることはあります。必ずしも治療の失敗ではありません。ただし、痛みが増し続ける場合は神経の炎症が進んでいることもあるため、早めに相談してください。
神経の治療をした歯がかむと痛いのはなぜですか
根の先の組織に炎症が残っている、仮のふたや被せ物が高い、といった理由が考えられます。多くは数日〜1週間ほどで軽くなりますが、痛みが長く続く場合や強くなる場合は受診してください。
被せ物を入れた後、かむと痛いのですが調整してもらえますか
はい。かみ合わせが高いことが原因であれば、高さを調整することで軽くなることがあります。麻酔が切れた後や、数日使ってから気づくことも多いので、遠慮せずに伝えてください。
治療後の痛みが気になる方は、クリニック一覧から通いやすい医院をご確認のうえ、ご相談ください。
参考文献
- 日本歯科保存学会 う蝕治療ガイドライン作成小委員会「う蝕治療ガイドライン 第2版 詳細版」日本歯科保存学会,2015年(Mindsガイドラインライブラリ掲載)https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00304/
- Pak JG, White SN. Pain prevalence and severity before, during, and after root canal treatment: a systematic review. Journal of Endodontics. 2011;37(4):429-438. doi:10.1016/j.joen.2010.12.016
- Agnihotry A, Thompson W, Fedorowicz Z, van Zuuren EJ, Sprakel J. Antibiotic use for irreversible pulpitis. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2019. doi:10.1002/14651858.CD004969.pub5